マンション立地のアービトラージ現象か? マンションデータ専門家が分析する「目黒区青葉台」の魅力
東京都心マンション市場を俯瞰する:エリア別の坪単価分布
東京都内のマンション市場において、エリアごとの平均坪単価の違いは、投資価値や将来性を見極めるうえで非常に重要な指標となっています。図1では、東京都千代田区・港区・中央区・渋谷区・目黒区におけるマンションの平均坪単価を色分けしました。
図1:都心エリア別マンション平均坪単価価格帯分布

この図では、以下のように色分けがされています:
赤:平均坪単価800万円以上
黄:平均坪単価500万円~800万円未満
緑:平均坪単価500万円未満
このプロットによって、高額物件が集中するエリアと、比較的価格が抑えられているエリアとが明確に区別され、都心部における不動産市場の構造的な特徴が浮かび上がります。
超高額エリアの代表格:千代田区・港区・渋谷区
まず、赤で表示されている坪単価800万円を超える高価格帯のエリアとして、最も顕著なのが千代田区番町エリアです。このエリアは皇居の西側に位置し、文教地区としても知られており、長年にわたって都内屈指の高級住宅地としての地位を維持しています。教育・治安・環境の三拍子が揃った地域であり、資産価値の安定性も高いことから、特に富裕層の間で根強い人気を誇っています。
次に注目されるのが、皇居の南側に位置する港区の麻布・六本木エリア、および白金高輪・三田エリアです。これらの地域は、国際色豊かな雰囲気と高度な都市機能を備えており、大使館や外資系企業のオフィスが集積していることから、外国人富裕層や国内の上位所得層からの需要が非常に高く、地価の高騰が続いています。
さらに、近年特に注目を集めているのが渋谷区・渋谷駅周辺エリアです。この地域では、「100年に一度」とも称される再開発が進行中であり、商業施設・オフィス・住宅を一体化させた大規模複合施設が次々と誕生しています。再開発によって、渋谷は若者文化の中心地という従来のイメージを超え、ハイグレードな住宅地としても存在感を高めています。
価格上昇エリア:マンション立地の「強さ」とは
次に、図2では、2024年末時点における価格動向に着目したプロットが示されています。
図2:都心エリア別マンション平均坪単価価格帯と強いエリア分布

この図では、以下の2つの条件を同時に満たすエリアが特定されています:
・前年比で70%以上の物件が価格上昇
・平均価格上昇率が10%以上
つまり、単に一部の物件だけが高騰したのではなく、多くの物件が平均的に大幅に価格上昇しており、そのエリア全体としての強さを物語っています。このようなエリアは、不動産市場において「強いマンション立地」として評価され、今後の価格上昇や投資価値の観点からも非常に魅力的とされます。人口の流入、都市機能の集積、周辺開発の進展など、複数のポジティブ要因が重なり合って形成される傾向にあります。
注目のエリア:目黒区青葉台が示す“伸びしろ”
図3:注目エリア目黒区青葉台

この図3の中で、特に注目される存在が「目黒区青葉台」です。青葉台は、渋谷区に隣接し、代官山や中目黒といった人気エリアに囲まれた立地にありながら、平均坪単価は500万円未満と、比較的リーズナブルな価格帯に留まっています。
通常であれば、この価格帯のエリアは黄色や緑で示されることが多いのですが、青葉台は図3において「非常に強いマンション立地」としてプロットされており、価格の大幅上昇が確認されています。
この現象は、青葉台が周辺エリアとの地続きの一体感ある街並みを持ちつつ、地価はまだ割安な「伸びしろのある地域」として市場から評価されていることを意味します。言い換えれば、青葉台は今後さらなる価格上昇が期待できるポテンシャルを秘めた、いわゆる「狙い目エリア」だと言えるでしょう。
図4:代官山周辺

図4では、青葉台の最寄り駅の一つである代官山駅周辺の詳細な状況が示されています。この図によると、青葉台に隣接するエリアでは、既に坪単価800万円を超える水準となっており、高価格帯エリアとしての地位を確立しています。それに対して青葉台の価格は依然として抑えられているものの、街並みや生活環境は周辺とほぼ同等であり、整った都市景観と文化的な雰囲気が共通しています。
このような価格と価値のギャップは、不動産投資における「アービトラージ」のような状況を生み出しており、目利きの投資家や実需層にとって魅力的なターゲットとなります。周辺エリアと比較してまだ価格が追いついていない青葉台は、今後の再開発や需要増加に伴って周辺価格との差が縮まる可能性が高いと考えられます。
まとめ:価格データの背後にある「都市の本質」を読み解く
総じて、現在の東京におけるマンション市場では、単純な坪単価の水準だけでなく、価格の動向、周辺との比較、将来性といった多角的な視点からエリアを評価することが不可欠です。
「目黒区青葉台」のように、現在の価格は抑えられていながらも、データが示す通り「非常に強い立地」としての実力を持つエリアを見極めることは、今後の資産形成や住まい選びにおいて極めて重要です。不動産は一朝一夕で変わるものではありませんが、数字と現場の感覚を重ね合わせることで、真に価値ある選択が可能になるのです。

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室
不動産データ分析責任者
福嶋総研
代表研究員
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。
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会社名: マンションリサーチ株式会社
代表取締役社長: 山田力
所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階
設立年月日: 2011年4月
資本金 : 1億円
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