AI技術で下水道管の高画質管口カメラ画像の劣化判定を自動化 下水道管内の調査業務を効率化するシステム開発に向けた共同研究を開始
株式会社 Rist（本社：京都市下京区、代表取締役社長：長野 慶、以下 Rist）は、AI 技術で下水道管の劣化判定を自動化し、下水道管内の調査業務を効率化するシステム（以下：本システム）の有効性を検証する共同研究を開始いたします。
現状の課題
全国の下水道事業では、これまでの下水道の普及に伴い、管路施設の整備を進められています。
今後、標準耐用年数を迎える下水道管がますます増えていくことが見込まれている中、より効率的かつ迅速に下水道管の状態を把握し、対策優先度（緊急度）に基づいて老朽化対策を行っていく必要があります。
京都市上下水道局の取組について
京都市上下水道局では、地上からマンホール内に高画質管口カメラを投入し、下水道管内を撮影する「管口カメラ調査」を活用した管内調査の効率化について調査研究をしています。この研究では、撮影した画像データに写る下水道管の壁面の破損やクラック、腐食のランク等をもとに、下水道管の劣化判定手法を検討しています。
画像データの劣化判定においては、一定の判定基準に基づき評価しているものの、人的な判定作業が必要になるため、判定者が代わることで評価結果にばらつきが生じる可能性があります。また、劣化判定の精度を維持するために一定の作業時間が必要なため、1日に判定できる件数は限られており、時間の効率化を図ることが難しい点も課題となっています。
Ristの現在までの取り組み：下水道管の劣化判定を自動化するAIモデルの開発に着手
Rist は、上記の課題を解決するため、京都市上下水道局、パシフィックコンサルタンツ株式会社（以下、パシフィックコンサルタンツ）と共にAIの概念実証を開始し、2025年4月からは、本格的な事業化を目標に、管口カメラ調査で撮影した高画質管口カメラ画像データ（以下、画像データ）の情報をもとに、下水道管の劣化判定を自動化する AI モデルの共同研究に着手いたしました。
＜AIモデルの概要＞
①管口カメラ調査で撮影した画像データの良否判定を行うAIモデル
画像データにピントや構図のずれ、照明不足等がないかを AI が認識し、劣化判定に使用できるか否かの良否判定を行います。撮影画像に問題がある場合は、AI の判定結果から再撮影を促すことで、現場での調査作業を省力化し、さらに画像データの品質確保・品質管理の自動化につなげます。
②下水道管の劣化判定を行うAIモデル
画像データに写っている破損やクラック、腐食のランク等を AI が認識し、劣化判定を行います。判定の自動化による作業の効率化だけでなく、判定結果のばらつきの防止につなげます。
開発においては、高度な AI 開発力を持つ技術者集団として企業のビジネス支援を行ってきた Rist と、インフラプロジェクトやインフラビジネス、DX ソリューションを提供する社会インフラサービス企業であるパシフィックコンサルタンツの知見を掛け合わせることで、従来は熟練の技術者が多数の劣化項目や微細な変化を見極めて判定してきた劣化のランクをAIで判定することの実現に向けた見通しが得られました。今後は、判定の精度向上に向けて検証を進めていく予定です。
2025年4月より、下水道管の調査業務を効率化するAIシステムの開発に向けて共同研究を開始
Rist は、2025年4月より、上記で開発中の AI モデルを、京都市上下水道局が管口カメラ調査の撮影データ管理・蓄積における研究のために構築した地理情報システム（以下、GIS）と外部連携した AI システム開発の実現に向け、京都市上下水道局と、水や環境に関するコンサルティングや DX・カスタマーサービス事業を展開する株式会社 NJS（以下、NJS）との共同研究を開始いたします。
京都市上下水道局では、2024年より、管口カメラ調査において撮影された画像データの効率的な蓄積手法の研究に取り組んでいます。下水道管やマンホールの情報や地図情報を一体として管理できる GIS をもとに、ユーザーがタブレットで閲覧できる仕組みを構築し、管口カメラ調査における現場調査作業時にタブレット操作で撮影した画像データと撮影箇所（下水道管）を紐づけて保存できる機能を付与することで、撮影や画像データの整理作業を簡略化するなど、データを効率的に蓄積する手法について調査研究を進めています。
このたび開始する共同研究では、上記で構築した GISとRist が開発中の AI モデルの連携を行います。具体的には、GIS に蓄積されている下水道管内の画像データを AI が良否判定や劣化判定し、新たに調査記録と判定結果を整理したデータベースを作成するシステムの開発を目指します。さらに、ユーザーがタブレット上でシステムを操作できるようにすることで、管口カメラ調査における撮影、データ管理、劣化判定、判定結果の保存までを一括管理できる仕組みを作り、下水道管の調査業務の効率化を図ります。
今後の展望
公共下水道事業では事業拡張期に大量の下水道管を整備しており、これらの下水道管が順次標準耐用年数を迎え老朽化が進むことから、限られた財源や人的資源を有効活用し、適切な維持管理と効果的にリスクを低減する仕組みづくりが必要です。
Rist は、京都市上下水道局が管理する下水道管の効率的で効果的な維持管理の実施や、予防保全型施設管理の実現に向けて、安定的かつ持続的な下水道サービスの維持に貢献することを目指します。
■Rist会社概要
Rist は、「画像 AI 事業」「データ分析事業」を軸に、AI 技術を用いたシステムの開発、データ分析、プロダクトにより、顧客や社会の課題解決に貢献しています。AI の活用や撮像に関するコンサルティング、企業の研究開発・技術支援にも対応しており、課題や要望に応じて幅広いソリューションを提供しています。
会社名：株式会社 Rist
本社：京都府京都市下京区五条通河原町西入本覚寺前町 830 京都エクセルヒューマンビル7階
設立日：2016年8月1日
代表取締役社長：長野 慶
※記載されている会社名、ロゴ、システム名、商品名、ブランド名などは、各社の商号、登録商標、または商標です。
【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
株式会社 Rist 広報チーム
TEL：080-4577-4027（担当直通）075-708-7020（代表）
MAIL：pr@rist.co.jp
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