バンコク病院向け陽子線治療システムを受注

〜最先端がん治療の普及に向けて、東南アジア医療機関で初受注〜

住友重機械工業株式会社（本社:東京都品川区、代表取締役社長:下村真司、以下「当社」）は、Bangkok Dusit Medical Services PCL社が運営するバンコク病院本院にある専門病院「ワタノソットがん病院」向けの、次世代陽子線治療システム(以下「本システム」、※1)を受注しました。

本システムはタイ・バンコクに新設される「陽子線治療センター（仮称）」に設置され、2029年から陽子線治療が開始される予定です。

東南アジア地域において、当社が陽子線治療システムを受注することは今回が初となります。当社は今後も健康で長生きできる社会の実現を目指して、東南アジア地域をはじめ海外でのがん治療にさらに貢献していきます。

【今回受注した陽子線システムのイメージ（※2）】

【ワタノソットがん病院（Wattanosoth Cancer Hospital）】

2005年に設立されたバンコク病院本院内にあるがん専門施設。専門医によって構成された各チームが高度な診断機器と最先端の医療技術を用いて、包括的ながん治療を提供しています。

【Bangkok Dusit Medical Services PCL】

タイ最大の民間病院運営企業で、バンコク病院をはじめ、タイ国内で約60の病院を運営し、国際水準の幅広い医療サービスを提供しています。

【次世代陽子線治療システム】

導入予定の次世代陽子線治療システムは、１つの加速器を複数の治療室で共有できるマルチルームタイプで、360度の照射が可能な回転ガントリー(※3)を備えた治療室と将来拡張用の1室で構成されています。コンパクトなシステムレイアウトで、従来機と比べて設置に必要な建屋体積を約30%削減できます。また、360度回転ガントリーに搭載された広視野コーンビームCT（※4）によってシンプルかつ高精度に患者の位置決めが可能です。さらに、肺や肝臓などの動く臓器に対しても高速スキャニング技術を採用し短時間照射が可能となり、精度の高い治療を実現します。加速器には陽子線治療用として世界最大出力の超電導サイクロトロンを備えています。

【陽子線治療】

陽子線治療はがんに対する放射線治療の一つで、水素イオンとも呼ばれる陽子を加速して腫瘍に照射し、腫瘍細胞を破壊します。陽子線の特性から腫瘍細胞に集中して照射することができ、副作用を軽減しながら、患者が社会生活を維持できる治療が期待されています。

（※1）次世代陽子線治療システムは未承認医療機器です。

（※2）新陽子線治療棟は2治療室用として建設されます。1室は治療を開始し、もう1室は将来増設予定です。

（※3）陽子線治療システムの一部で、患者の周囲を回転する大型の機構です。患者の体に様々な角度から陽子線を照射することが可能になり、腫瘍に対して最適な方向から治療を行うことができます。

（※4）X線を用いて高精度な三次元画像を取得する画像診断装置です。