味の素㈱、日本のメーカー初のカンヌライオンズ公式セッションを主催し、日本食のクリエイティビティを世界に発信
〜 世界を魅了する日本食独自の「創造的循環モデル」をテーマに対話を展開 〜
味の素株式会社(社長:中村 茂雄、本社:東京都中央区)は、2025年6月16日(月)13:15~13:45(フランス現地時間)に、世界最大級のクリエイティビティの祭典「Cannes Lions International Festival of Creativity(カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)」で日本のメーカーとして初めて、公式セッションを主催いたしました。

今回、味の素㈱が主催したセッションのテーマは「Inspire, Reinvent, Globalise: Secrets of Japanese Food Creativity(インスパイア、リインベント、グローバライズ:日本食のクリエイティビティの秘密)」です。
日本食は現在、世界でファンを増やしており、2023年12月にTasteAtlasが発表した「世界の料理ベスト100」(※)では、1位のイタリアに次いで、日本が2位にランクインしました。
島国である日本は、歴史的に海外の料理からインスピレーションを受け、それを日本人の味覚に合わせて「再構築」し、新しい形でグローバルに広げており、日本食には「着想→再構築→グローバル化」というユニークなクリエイティブ・サイクルがあります。今回は、この日本食ならではのクリエイティビティについてトークセッションを実施しました。
◆セッション概要◆
・日 時 :2025年6月16日(月)13:15~13:45(現地時間)
・会 場 :フォーラム(パレ・デ・フェスティバル内)
・セッションタイトル :Inspire, Reinvent, Globalise: Secrets of Japanese Food Creativity
【オープニングムービー】

登壇者は、フランス人以外で史上最年少でフランス・ミシュランの星を獲得した日本人シェフ・松嶋啓介氏、戦略PRの第一人者であるPRストラテジストの本田哲也氏、味の素㈱ 欧州アフリカ本部長 森 妹子(まいこ)の3名で、企業とシェフという異なる視点から、日本食がいかに世界に受け入れられ、広がっていったのか、その過程に込められた想いや試行錯誤について、世界中から集まったオーディエンスの前で深い対話が展開されました。
※出典:テイストアトラス(TasteAtlas)「世界の料理ベスト100(These are the 100 Best Cuisines and Dishes of the World)」https://www.tasteatlas.com/tasteatlas-awards-23-24
◾️日本食の人気を支えるクリエイティビティのサイクル「創造的循環モデル」
セッション内では、日本の食文化がどのように進化してきたのかを紐解く「創造的循環モデル
(Creative Cycle Model)」について紹介。Inspire(着想)→ Reinvent(再構築)→ Globalise(グローバル化)という形で、日本食は他文化から着想を得て再解釈し、それを再び世界に向けて発信するというサイクルを繰り返すことで、長い年月をかけて独自の進化を遂げ、世界中で不動の地位を築いてきたことを概念的に説明しました。

ステージではこのモデルを軸に、日本の食文化がグローバル市場でどのように新たな価値や可能性を生み出しているのか、議論しました。
◾️松嶋啓介さんーフランスを舞台に活躍するミシュラン獲得の日本人シェフがみる「世界での日本食」
フランスでシェフとして活躍するご自身と日本食の関わりについて、「料理を通して日本らしさを出そうと努めてきました。そのまま日本の食材を使うということではなく、伝統的なヨーロッパの食材を使いながら、そこに日本的なアレンジを加えた料理を作るようにしています。そうしないと、地元の人たちに認めてもらえないんです。地元の食材をどう使い、日本人シェフとしての強みをどう発揮するかを常に考えています。その中で日本人ならではの強みとは、”うま味”を活かした料理こそが日本らしさになると考えました。」と話しました。
また、日本食の国際的な広がりについて問われると、松嶋氏は、日本では、天ぷら、オムライス、カレーといった外国から来た料理に、無意識のうちに「うま味」をどのように際立たせるかを考え、日本人の味覚に合うように再構築してきたという食の歴史に触れ、「日本には、外から来たものを自分たちの文化として育てる力がある」と述べました。また、日本人にとっての「うま味」とは「単なるおいしさだけではなく、うま味のおいしさとともに健康を育んできた歴史があり、心身の健康に重要なものである」ことも説明。さらに、「今、世界中でさまざまな争いがある中で、うま味を豊かに感じられる日本の食を世界の人々にも味わってもらうことで、より平和な社会が築かれることを願っている。それは、海外の人々が日本に寄せる期待でもある。」と自身の見解を述べ、日本食が平和への小さな一歩となることを願う気持ちを語りました。
◾️味の素グループがグローバルで展開する各国での食文化づくりを支える「おいしさ設計技術®」
味の素㈱ 欧州アフリカ本部長の森 妹子(まいこ)は、世界各地での事業展開において、いかに「うま味」や「おいしさ設計技術®」を軸に各国の食文化と向き合ってきたかについて語りました。「日本発の食品メーカーとして、私たちは単に日本食を世界に届けているだけではありません。それぞれの国で地域に根ざした食文化を創造することに挑戦しています。具体的には、各地域で人々が日常的にどのような食生活をしているかを丁寧に観察することから始め、その味を分析し製品に落とし込んでいます。」と説明。
さらに、「現地の味にこだわるため、地域の素材を大切に活用しています。地域の農業にも貢献することや、フードロスを極力抑える製造方法にも工夫することで、人にも社会にも地球にも良いことすべてを実践することに取り組んでいます。」と述べました。
現地の食材や味、調理法を分析し、その土地の味の本質を理解したうえで、「うま味」を大切にした日本発のレシピをその国の文化に合わせて再構築していく―まさにこのプロセスは味の素グループにおける「創造的循環モデル」の実践です。
また、セッション内では、味・香り・食感という三要素で「おいしさ」を科学的に捉える独自の「おいしさ設計技術®」にも触れ、現地の風土や食習慣により「おいしさ」の感じ方が異なることを前提に、各国の味の本質を分析し、それぞれの文化に寄り添う形で再構築する姿勢で商品開発を行っていることを、世界中でバラエティに富んだローカライズが行われている「餃子」を用いて説明しました。
セッションを通じて、日本発の食品メーカーとして、各国の文化と人々の味覚に寄り添い、世界中の食卓に新しい価値を創造していることを、世界中から集まったオーディエンスに向けて発信しました。

味の素グループは「アミノサイエンス®」を軸に、食と健康の課題解決においてグローバルで革新を続けてきました。本セッションの開催は、その取り組みの新たな一歩であり、グローバルブランドとしての可能性をさらに広げる重要な機会となりました。今後も多様な文化や食習慣に寄り添いながら、グローバルで価値ある商品やサービスを提供し続けることを目指します。
◆登壇者プロフィール◆

味の素㈱ 欧州アフリカ本部長/Ajinomoto Europe S.A.S. 社長 森 妹子プロフィール
1995年に味の素株式会社に入社。以降、研究・事業開発・経営の各分野で多岐にわたる実績を積む。2006年から2008年にかけてはスウェーデンのカロリンスカ研究所にて客員研究員を務め、国際的な研究活動にも従事。2013年にはイノベーション研究所 アミノ酸機能研究グループ長に就任し、2019年にはアミノインデックス事業部長、2021年には食品研究所 健康価値開発センター長を歴任。2022年より栄養・加工食品事業部長として新たな製品領域を牽引し、2023年4月には執行役 食品事業本部副本部長 兼 栄養・加工食品事業部長に就任。現在は、味の素株式会社の執行役 欧州・アフリカ本部長として、欧州子会社Ajinomoto Europe S.A.S. の社長も兼任。科学的知見と市場戦略の双方を強みとし、「アミノサイエンス®」を基軸に、グローバル市場での価値創造を推進している。

SARL Passion レストランオーナー/シェフ 松嶋 啓介氏プロフィール
幼少期からシェフを志し、調理師学校を卒業後、20歳で渡仏。フランス各地の名店で修業を重ね、2002年、25歳の若さでニースに自身のレストラン「Kei’s Passion」をオープン。2008年には、外国人として最年少でフランス国内においてミシュラン一つ星を獲得。その後、店舗を拡張し、レストラン名を「KEISUKE MATSUSHIMA」へと改称。2009年には東京にも店舗を構え、2020年まで営業。2010年、フランス政府より芸術文化勲章(L'Ordre des Arts et des Lettres)をシェフとして最年少で受章。さらに日本酒造青年協議会(JSS)より「酒サムライ」と命名される。現在はオーナーシェフとしての活動に加え、料理教室の開催や講演活動も行い、良い食事や食の在り方に対する理解を広めることに力を注いでいる。2024年には『Umami: le goût de l'harmonie et du lien』(うま味──調和とつながりの味)を共著で出版。

■株式会社本⽥事務所 代表取締役 / PR ストラテジスト 本田哲也氏プロフィール
「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。2009年に「戦略PR」を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。2019年より株式会社本田事務所としての活動を開始。2023年にシンガポールに活動拠点を移す。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」、「パーセプション 市場をつくる新発想」など多数。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。2017年にはカンヌライオンズのPR部門審査員を務め、2018年にはLDH、2019年には近藤麻理恵氏の公式セッションをカンヌ最大ステージで実現。2024年にはPRovoke Mediaの「Innovator 25 Asia Pacific」にも選出される。
<カンヌライオンズとは>
世界にある数々の広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、エントリー数・来場者数ともに最大規模を誇るのが「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」です。毎年6月、地中海沿いに位置するフランスのビーチリゾート、カンヌの街は昼夜を問わずカンヌライオンズの参加者で溢れ返ります。世界約100の国と地域から参加者が集い、約26,000点の作品が出品されるこのフェスティバルは、広告・マーケティング・PR・テクノロジー・エンターテインメントなど多様な分野の最前線で活躍するプロフェッショナルたちが一堂に会する、グローバルなクリエイティビティの祭典です。2025年は、6月16日(月)から6月20日(金)に開催されました。
味の素株式会社・味の素グループの詳細は味の素株式会社 ~Eat Well, Live Well.~
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