キンコーズが本社移転にかかるCO2排出量を徹底計測 〜印刷屋がゼロから創る、サステナブルの新基準〜
キンコーズ・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡辺 浩基、以下 キンコーズ)は、本社オフィスの移転にあたり、「環境配慮型オフィス」への転換を図る機会と捉え、移転作業に伴うCO₂排出量を、業界に先駆けて詳細に計測するという独自の挑戦に取り組みました。

「オフィス移転」という一見限定的な行為を、環境配慮の観点から見直し、移転に伴う全工程のCO₂排出量を“ゼロから算定”することに挑戦しました。本取り組みは、キンコーズのMissionである「期待を超えるオンデマンドソリューションの提供を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する」という理念を体現するものです。これまでもオンデマンドプリントサービスを通じて、「必要な分だけつくる」「無駄をつくらない」という考え方を広げてきた当社は、その姿勢をさらに一歩進め、環境負荷の“見える化”に取り組みました。
当プロジェクトは、株式会社地球中心デザイン研究所、およびK&ESG株式会社によるCO₂排出量算定の専門的アドバイスのもとで実施し、両社の知見と協働により、この試みが実現しました。


【新しい基準づくりに先んじて。CFP*算定への挑戦】
建物の施工や改修におけるCO₂排出量の算定は、現在、国土交通省を中心にルール整備が進められている段階で、現時点では、算定義務や強い要請はない状況です。しかし、各種情報で「建築や建物の改修はCO₂排出の大きなホットスポットである」と指摘されていることを踏まえ(参考資料1,2)、「ならば私たち自身が行動し、環境に配慮したオフィス移転の先行事例になろう」と考えたことが、この挑戦のきっかけでした。施工業者へのヒアリングや見積書の分析、他業界のPCR**等を参考に、キンコーズでは、算定方法を整理・構築いたしました。印刷を主業とする当社にとって、オフィス移転におけるCO₂算出は本来の事業範囲外ですが、だからこそ主体的に取り組み、客観的な数値を示すことに大きな意義があると考えました。今回で得た知見は、今後、本業であるオンデマンド印刷・制作事業での排出量算出にも活かし、将来的には事業活動全体でのCO₂排出を体系的に把握・管理していく基盤づくりにつなげていく考えです。
また、今回のレポートでは総排出量に加えて「1㎡あたりのCO₂排出量」も開示し、今後、他社が環境配慮型オフィス移転を行う際の指標や参考データとして活用されることを目指しています。
*CFP(Carbon Footprint of Product)
製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量を、CO2排出量として換算した値のことです。
**PCR(Product Category Rule)
製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷をどのように算定・報告するかを定めた、製品カテゴリー別のルールです。 同一カテゴリー内での公平かつ一貫した算定・比較を可能にするための共通指針として活用されます。
【やるなら徹底的。精緻な算定へのこだわり】

一般的なCFP算定では、全体の環境負荷に占める割合がごく小さい要素については「カットオフ(算定からの省略)」が認められています。しかしキンコーズでは「どうせやるなら、徹底的に」という想いのもと、可能なかぎり詳細かつ網羅的なデータを収集し、精緻な算定にこだわりました。
例えば移転準備に伴うパソコン作業や会議時間も感覚的な推測ではなく、実際の活動量を記録し、より現実に近い排出量を算出しました。また、施工会社への直接ヒアリングと見積書を参考に、金額ベースでなく「物量ベース」での算定を実施。輸送管理シートや出勤表を活用し、電話での聞き取りを重ねることで、実査に近い信頼性の高いデータ収集を行いました。
【計測概要】


【算定結果】
総排出量は 約65,494kgCO₂(1㎡あたり約115kgCO₂)。
施工工程が最も多く 65.6%(42,947kgCO₂) を占め、次いでシステム/ネットワーク工事が 23.4%(15,312kgCO₂)、廃棄工程が 10.8%(7,069kgCO₂) でした。
中項目別では「造作工事(17.1%)」「電気・照明設備(16.5%)」「ネットワーク工事(18.6%)」が高い割合を示し、施工とネットワーク関連が全体の約半分を占めています。

詳細URL:https://www.kinkos.co.jp/corporate/sustainability/officemove/
【お祝い花の代わりに能登へ植樹を】
今回の移転に際し、祝い花の代わりに、認定NPO法人環境リレーションズ研究所が運営する「Present Tree」を通じて、能登への植樹寄付を行いました。各社から賛同いただき集まった寄付と当社からの寄付を合わせ、コナラやクヌギなどの植樹を行い、環境への還元を図ります。この取り組みが能登の復興の一助となることを願っています。
【持続可能な社会の実現へ。挑戦はつづく】
オフィス移転におけるCO₂算定の明確なルールがない現状において、本取り組みは業界横断的な「新しい基準づくり」を目指す試みです。今後は得られたデータをオープンに共有し、他社が環境配慮型の移転を行う際のベンチマークとして活用できるよう推進します。また今回得た知見をもとに、事業活動全体での環境負荷低減をさらに推進します。キンコーズは、全国の店舗での取り組み共有や改善提案を通じ、日々の業務の中で環境配慮を実践し、資材調達から製造、提供に至るまで、サプライチェーン全体でのサステナビリティ向上を目指します。
キンコーズは、「想いを創り、伝えるに寄り添い、世界に彩りを。〜オンデマンドソリューションで叶える〜」というVisionのもと、持続可能な社会の実現に貢献する企業として、これからも挑戦を続けていきます。
参考資料
1.国土交通省 「建築物におけるLCAの推進について」
URL: https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001885288.pdf
2.IEA 「2023 Global Status Report for Buildings and Construction」
株式会社 地球中心デザイン研究所について
地球中心デザイン研究所は、「サステナビリティ×クリエイティビティ」を軸に活動するクリエイティブエージェンシーです。人間中心の価値観から一歩進み、環境や他の生物、多様な生命の視点を取り入れながら、地球全体をステークホルダーと捉える「地球中心デザイン」の思考に基づき、社会やビジネスの再設計を目指しています。企業ブランディング、CI/UI/UXデザイン、映像・空間デザイン、新規事業開発、地方創生など幅広いプロジェクトに取り組み、持続可能な未来の実現を支援しています。
https://ecdtokyo.jp/
K&ESG株式会社について
K&ESGは、ESG情報開示および脱炭素経営を、業務プロセスの整理から可視化、認証取得に至るまで一気通貫でサポートする会社です。特に、欧州法規対応やEPD・EPEATに関連するCFP/LCA算定、財務インパクト評価に強みを有しています。社名の“K”は、明治期に活躍した哲学者・清沢満之氏の頭文字に由来しています。
https://k-esg.jp/
キンコーズ・ジャパン株式会社 会社概要
当社は、お客様のライフとビジネスに寄り添い、サステナブルな社会を実現するオンデマンドソリューションサービスのサプライヤーとして様々なお客様からパートナーと認識されることを目指しています。有人接客型プリントサービスのキンコーズ及びコワーキングスペースのツクル・ワークといった店舗運営事業をはじめ、顧客の業務改善を支援するプラットフォームソリューションの開発・運用支援を行うデジタルソリューション事業、屋内外の装飾・展示会の出展向け大型インクジェット出力・加工・施工から、ショッピングモールでの販促支援室の運営、セールスプロモーションにおける企画立案・デザインなどのマーケティングサービス事業と多岐にわたるサービスを展開しています。
会 社 名 :キンコーズ・ジャパン株式会社
所 在 地 :東京都港区三田3-4-10 リーラヒジリザカ3階
代 表 者 :代表取締役社長 渡辺浩基
設 立 :1991年12月24日
資 本 金 :100,000千円
従業員数:723名(2025年9月1日現在)

報道関係お問い合わせ先
キンコーズ・ジャパン株式会社
広報・サステナビリティ推進部 E-mail: koho@kinkos.co.jp
ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日現在の情報です。お客様がご覧いただいた時点で、情報が変更(生産・販売が終了している場合や、価格、仕様など)されている可能性がありますのであらかじめご了承下さい。
すべての画像
- 種類
- 経営情報
- ビジネスカテゴリ
- 商業施設・オフィスビル環境・エコ・リサイクル
- ダウンロード
