『食品製造業のサステナビリティ取り組みランキング2025』発表 ~1位は明治HD~取り組み拡大企業は64.5%に 環境対応から経営基盤へ

サプライヤーとの協働、従業員満足度の向上、地域社会とのつながり強化など、経営全体や企業価値の向上につながる長期的な効果が広がる 

公益財団法人流通経済研究所

公益財団法人流通経済研究所(東京都千代田区:理事長 加藤 弘貴)は、食品製造業の企業124社を対象に、サステナビリティの取り組みに関するアンケート調査を実施しました。その結果、取り組みランキング1位は明治ホールディングスとなりました。全体の65%が「今後取り組みを拡大する予定」と回答し、食品製造業のサステナブルな取り組みにおいて、経営全体でサステナビリティを推進する動きが広がってことがわかりました。本調査の結果公表を通じて、食品製造企業のサステナブルな取り組みの推進の一助となることを目指します。 

調査の背景・目的

気候変動対策や人権・労働環境への配慮など、企業に求められるサステナビリティの範囲は年々広がっています。2024年には、国際的な開示基準であるISSB(国際サステナビリティ基準審議会)のルールが世界的に注目を集め、日本でもこれに整合した基準づくりが進んでいます。脱炭素社会の実現に向け、Scope3(サプライチェーン全体の排出量)を含む開示や、企業全体での環境・社会対応を求める動きが加速しました。 

調査結果

こうした背景のもと、公益財団法人流通経済研究所は、全国の食品製造企業を対象にサステナビリティへの取り組み状況を調査しました。その結果、ランキング1位は明治ホールディングス、2位は同率でカルビーと森永製菓となりました。

脱炭素のための技術革新やScope3を含むサプライチェーン全体での排出削減、原材料から廃棄に至る資源循環の取り組みが進み、CO₂排出削減やリサイクル率の向上といった環境面の成果に加え、サプライヤーとの協働、従業員満足度の向上、地域社会とのつながり強化など、経営全体や企業価値の向上につながる長期的な効果が広がっています。 

サステナビリティへの取り組み-現在の注力度(N=124)

サステナビリティへの取り組み推進に「とても力を入れている」のは19.4%、「どちらかというと力を入れている」のは51.6%であり、合わせて71.0%と取り組みが広がっていることがうかがえます。ただし、「とても力を入れている」だけ見ると2割強にとどまっており、依然として積極的に取り組んでいる企業は限られています。 

サステナビリティへの取り組み-今後の拡大意向(N=124)

今後、サステナビリティへの取り組みを「拡大する予定である」と回答した企業は64.5%にのぼり、多くの企業が取り組みの強化を進めていることがわかります。 

個別テーマ別の注力度(N=124) 

「とても力を入れている」と「どちらかというと力を入れている」の回答を合計すると、「地域社会への貢献」(85.5%)が最も多く、それに次いで「食品ロス削減とリサイクル率の向上」(83.9%)が続き、どちらも8割を超えています。 

唯一、「持続可能な物流への貢献」のみが回答率5割を下回っており、今後の改善や推進が求められる領域といえます。 

サステナビリティへの取り組みが事業・経営に与える良い影響(N=124)

サステナビリティへの取り組みが事業や経営に良い影響を与えていると感じている企業は、「とても感じる」「どちらかというと感じる」と回答した企業を合わせて68.6%にのぼり、多くの企業がその効果を実感しています。 

具体的な良い影響としては、「CO2排出量の削減」「リサイクル率の向上」「持続可能な到達に向けたサプライヤーとの連携強化」「顧客満足度の向上」「従業員満足度の向上」などが挙げられました。 

担当者総括コメント

今回の調査から、食品製造業のサステナビリティ推進は、単なる環境対応にとどまらず、企業経営の中核に根づきつつあることが明らかになりました。 

CO₂排出削減やリサイクル率の向上といった環境面での成果に加え、サプライヤーとの協働、従業員満足度の向上、地域社会との関係強化など、社会・経済の両面での効果が着実に広がっています。 

一方で、調査を通じて浮かび上がったのは、「成果の見える化」と「サプライチェーン全体での連携」、そして「制度的基盤の整備」という3つの課題です。さらに、Scope3を含む排出量管理や持続可能な調達など、サプライチェーンを巻き込んだ取り組みが次のステージの焦点となります。 

サステナビリティ対応は、企業経営を行う上で欠かすことのできない要件となりつつあり、食品製造業には、持続可能な食のサプライチェーン構築を主導する役割が期待されています。 

本調査の結果詳細はこちらからご確認ください。 

調査概要

調査対象者

全国の食品製造業(畜産食料品製造業、水産食料品製造業、野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業、調味料製造業、糖類製造業、精穀・製粉業、パン・菓子製造業、動植物油脂製造業、清涼飲料製造業、酒類製造業、茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)、その他) 

調査期間

2025年6月2日~8月15日

配布方法

郵送、メール 

回収方法

Web回答フォームもしくはExcelファイルのメール送付(配布数:1,256社 回収数:124社) 

回答者属性

産食料品製造業15社、水産食料品製造業16社、野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業6社、調味料製造業12社、糖類製造業3社、精穀・製粉業3社、パン・菓子製造業28社、動植物油脂製造業4社、清涼飲料製造業3社、酒類製造業3社、茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)1社、その他30社 

なお本調査では、できるだけ多くの意見を反映させるため、アンケートの全設問に回答しなかった回答者も含めて集計を行っています。その結果、設問によっては回答がない場合があり、グラフに表示されているn数も設問によって異なる可能性があります。この点を考慮して、集計データを解釈してください。 

※注記 「N=87」などの表記は、当該設問への回答者数を示しています。 

■ランキング掲載の基準 

上位30社を公表しています。ただし、回答者にHDと事業会社が重複して含まれる場合はHDを掲載することとし、事業会社は掲載せず、それにより社数が減じた場合は31社以降を追加しています。 

■採点の基準 

以下の設問(137問)の合計得点で評価しています。 

サステナビリティ推進の方針策定・体制整備(18問) 

サステナビリティへの取り組みの実践や報告の実施(12問) 

持続可能な調達(8問) 

環境・気候変動対策(18問) 

食品ロス削減とリサイクル向上(8問) 

地域社会への貢献(10問) 

持続可能性に配慮した商品(13問) 

持続可能な働き方の創造(29問) 

サステナビリティ推進のためのイノベーションと技術の活用(9問) 

持続可能な物流(12問) 

■その他 

ランキング上位で社名公表候補となる企業には予め公表許諾を得ています。 

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会社概要

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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区九段南4-8-21 山脇ビル 10F
電話番号
03-5213-4531
代表者名
加藤弘貴
上場
未上場
資本金
-
設立
1966年10月