【「望ましくないかかわり」に該当するのはどんな保育行為か判断できる?】保育士によって賛否両論!半数以上が「壁ぺったん、手はお膝」など指示で子どもを動かすことは当てはまらないの声
〜保育士ごとの多様な意見も明らかに〜
※本プレスリリースでは、全21問の質問内容のうち、一部を掲載しています。調査結果全文をご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。 |
調査サマリー
調査概要
調査概要:保育士の「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」の考え方に関する意識調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年2月21日〜同年2月23日
有効回答:保育士100名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
84.0%が、保育中に強い言葉や脅し言葉を使うことは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると回答
「Q1.子どもに言うことを聞いてもらうために、強い言葉や脅し言葉(鬼、おばけ、など)を使うことは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が84.0%という回答となりました。
・はい:84.0%
・いいえ:16.0%
76.0%が、子どもが望んでいない場所へ移動させることは「望ましくない」と回答
「Q2.子ども(乳児を除く)の意思を聞かずに抱っこして、子どもが望んでいない場所へ移動させることは、「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が76.0%という回答となりました。
・はい:76.0%
・いいえ:24.0%
子どもが望んでいない場所へ移動させることが「望ましくない」と思う理由、「子どもの意思を尊重していない」など
Q2で「はい」と回答した方に、「Q3.子どもの意思を聞かずに抱っこして、子どもが望んでいない場所へ移動させることが、「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思う理由を教えてください。(自由回答)」(n=76)と質問したところ、「子どもの意思を尊重していないから」や「子どもが不安に感じると思うから」など76の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・23歳:ただ恐怖感を抱かせるだけで、何の解決にもならないし、自分自身が幼少期に園の部屋に閉じ込められた記憶が残ってるから。
・37歳:無理やり行かせることはしたくありません。しかし、命の危険や保健衛生的に必要な場合は行います。
・28歳:子どもが不安に感じると思うから。
・59歳:子どもの意思を尊重していないから。
・40歳:状況によるが、子どもへの言葉がけもなく、気持ちを尊重しない行動は、不安や不信感を抱かせる。
・40歳:自主性に任せる。
・50歳:子どもの意思を確認していないところが、人権を守られていないから。
子どもが望んでいない場所へ移動させることが「望ましくない」と思わない理由、「危険を回避するためなら必要」など
Q2で「いいえ」と回答した方に、「Q4.子どもの意思を聞かずに抱っこして、子どもが望んでいない場所へ移動させることが、「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思わない理由を教えてください。(自由回答)」(n=24)と質問したところ、「危険を回避するためなら必要だと思う」や「必要な理由があれば一概に望ましくないと言えない為」など24の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・34歳:こどものことを考えてのことだから。
・42歳:危険を回避するためなら必要だと思う。
・49歳:時と場合により必ずそうとは思えない。
・26歳:危険行為から子どもの身を守る為、他人を傷つける行為をやめさせる為、パニックを落ち着かせる為など必要な理由があれば一概に望ましくないと言えない為。
・34歳:周囲に危険が及ぶ場合は、安全確保が優先。 その他の場合は、子どもとの対話が優先。静かな環境は必要。
指示で子どもを動かすこと、45.0%が「望ましくない」、55.0%が「望ましい」と二極端
「Q5.指示で子どもを動かす(例:壁ぺったん、手はお膝、など)ことは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が45.0%という回答となりました。
・はい:45.0%
・いいえ:55.0%
指示で子どもを動かすことが「望ましくない」と思う理由、「意思を尊重してないから」など
Q5で「はい」と回答した方に、「Q6.指示で子どもを動かすことが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思う理由を教えてください。(自由回答)」(n=45)と質問したところ、「意思を尊重してないから」や「言葉がけで変わる、指示ではなく誘いかける」など45の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・41歳:常識範囲ならよいが、範囲外は無い。
・50歳:意思を尊重してないから。
・59歳:言葉がけで変わる、指示ではなく誘いかける。
・34歳:自分で考えるのではなく、監視管理された生活環境にいると感じる。 自然災害などの緊急時には、指示になることがあると思う。
・23歳:ちゃんと話を聞く。
指示で子どもを動かすことが「望ましくない」と思わない理由、「ある程度のしつけは大事」や「子どもにとって分かりやすい表現」など
Q5で「いいえ」と回答した方に、「Q7.指示で子どもを動かすことが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思わない理由を教えてください。 (自由回答)」(n=55)と質問したところ、「ある程度のしつけは大事」や「子どもにとって分かりやすい表現であり、人権問題を感じないから」など55の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・44歳:遊びの一貫として取り入れれば当たると思わない。
・52歳:ある程度のしつけは大事。
・40歳:危険が伴う場合、危険を回避するために指示することはあるから。
・28歳:子どもにとって分かりやすい表現であり、人権問題を感じないから。
・59歳:動作の目安となるから。
・29歳:教養を教えるうえでは必要なこと。
・64歳:微妙だけど集団を安全にと思うとやむを得ない。
72.0%が、給食時、子どもの成長を想い、嫌がっている食材も残さず食べさせることは「望ましくない」と回答
「Q8.給食時、子どもの成長を想い、嫌がっている食材も残さず食べさせることは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が72.0%という回答となりました。
・はい:72.0%
・いいえ:28.0%
72.0%が、「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることは「望ましくない」と回答
「Q9.「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が72.0%という回答となりました。
・はい:72.0%
・いいえ:28.0%
「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることが「望ましくない」と思う理由、「「良い子」の意味が大人にとって都合の良い子であると感じる」など
Q9で「はい」と回答した方に、「Q10.「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思う理由を教えてください。(自由回答)」(n=61)と質問したところ、「「良い子」の意味が大人にとって都合の良い子であると感じる」や「ただその子らしくいることを否定している感じがするから」など61の回答を得ることができました
<自由回答・一部抜粋>
・42歳:今日はというのが子どもにとってプレッシャーになりそう。
・50歳:何をもって良いとするのかの基準が示されていないから。
・40歳:そもそも良い子とは大人の思うように行動するという意味を含んでいるように感じるのと、今日は、というのはそれ以外は違うという意味があると思うから。
・37歳:ただその子らしくいることを否定している感じがするから。
・40歳:良い子でいないとダメな子だと思わせるから。
・26歳:「良い子」の意味が大人にとって都合の良い子であると感じる。具体的にできていたことを挙げて褒めてあげたい。
・36歳:定義が曖昧。
「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることが「望ましくない」と思わない理由、「褒めることは子どもの成長に繋がる」など
Q9で「いいえ」と回答した方に、「Q11.「”今日は”良い子で過ごせたね」と子どもに声を掛けることが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思わない理由を教えてください。(自由回答)」(n=39)と質問したところ、「褒めることは子どもの成長に繋がる」や「その子の行動を評価すること自体は問題ない」など39の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・37歳:褒めることは子どもの成長に繋がる。
・55歳:良い子でいなければいけないと言う価値観の押し付けはNGだが、その子の行動を評価すること自体は問題ない。良い悪いという言葉に固執しだすと言葉狩りになる。事実を伝える気表現法として受け取れる関係性や信頼関係の問題だと考える。
・30歳:普通の声かけだと思う。
・28歳:良い子だねは褒め言葉だと思うから。
・29歳:今日の一日の振り返りなどから会話が生まれて派生させることで語彙力が伸びる。
・32歳:人格形成によくない影響を及ぼすことと人権侵害はイコールではないと思うから。
・25歳:このような声掛けは人権侵害には当たらないと思う。
お絵描き時など、子どものアニミズムを正すことについて、58.0%が「望ましくない」、42.0%が「望ましい」と回答
「Q12.お絵描き時など、子どものアニミズムを正す(例:草木、太陽などに顔を描く行為を非現実的として訂正する等)ことは「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「はい」が58.0%という回答となりました。
・はい:58.0%
・いいえ:42.0%
子どものアニミズムを正すことが「望ましくない」と思う理由、「表現の自由」など
Q12で「はい」と回答した方に、「Q13.お絵描き時など、子どものアニミズムを正す(例:草木、太陽などに顔を描く行為を非現実的として訂正する等)ことが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思う理由を教えてください。(自由回答)」(n=58)と質問したところ、「表現の自由」や「子どもが書いたものを修正するのは良くないとおもう」など58の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・23歳:同じ太陽や草木でも、表情を表してくれることはとても素晴らしいことだと思うから、訂正はしたくないし、子どもにはのびのびお絵かきを楽しんでほしい。
・44歳:発想は自由でいいと思う。
・33歳:表現の自由。
・23歳:子どもが書いたものを修正するのは良くないとおもう。
・26歳:お絵描きは自由にすれば良いと思う。決めつけは子どもの感受性や想像力を狭めてしまうと思う。
・29歳:頭ごなしに否定し続けるのは成長が促されない。
・46歳:その子の想像力を大切に扱っていない。おとなの勝手な概念を押し付けている。
子どものアニミズムを正すことが「望ましくない」と思わない理由、「ある程度の年齢になったら知らせることも必要」など
Q12で「いいえ」と回答した方に、「Q14.お絵描き時など、子どものアニミズムを正す(例:草木、太陽などに顔を描く行為を非現実的として訂正する等)ことが「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に当たると思わない理由を教えてください。(自由回答)」(n=42)と質問したところ、「ある程度の年齢になったら知らせることも必要だと思うから」や「人権の問題とは別問題」など42の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・30歳:悪いとは思わない。
・44歳:正してあげるのも優しさ。
・49歳:人権の問題とは別問題。
・39歳:観察画として行うときは声をかけると思う。
・28歳:その子なりの個性で自由に描くことは大切だけど、ある程度の年齢になったら知らせることも必要だと思うから。
約8割から、勤務先の保育園では「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に対処するため、「十分な支援や機会が提供されている」との声
「Q15.あなたのお勤め先の保育園では「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」に対処するための十分な支援や機会が提供されていると思いますか。」(n=100)と質問したところ、「非常にそう思う」が28.0%、「ややそう思う」が49.0%という回答となりました。
・非常にそう思う:28.0%
・ややそう思う:49.0%
・あまりそう思わない:17.0%
・全くそう思わない:6.0%
まとめ
今回は、保育士100名を対象に、保育士の「こどもの人権擁護の観点から望ましくないと考えられるかかわり」の考え方に関する意識調査を実施しました。
昨今ニュースなどで耳にする「不適切保育」。政府が示すガイドライン(令和5年5月)では、「不適切な保育」とは、「虐待等と疑われる事案※」と捉えていますが、これに繋がる恐れのある行為として、「こどもの人権擁護の観点から「望ましくない」と考えられるかかわり※」が概念化されています。前者においては、メディアの影響もあって社会全般的に認知されるようになりましたが、一方で後者は、保育士がその判断で分かれることがあり、子どもへの親しみのつもりであったり前後の流れの関係から、周囲が見過ごしてしまう場合も考えられます。
「不適切な保育」と「望ましくないかかわり」の違い、そして具体的には何がその行為に該当するのか、今回の調査でも、賛否が分かれる結果となりました。意見は違えど、日常的に子どもと関わる中で、保育士が子ども一人ひとりの意思を尊重し、成長を支える環境づくりに注力していることが伺えます。子育て・保育を取り巻く環境や価値観が日々変化する中、虐待や虐待等に繋がる行為を起こさないためにも、保育の経験年数や役職・年齢に関係なく保育士側の情報アップデートや互いの保育に関するフィードバックの機会が重要なアクションとなりますが、周囲がその支援を強化することも求められているのではないでしょうか。
※こども家庭庁|保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
▼調査結果全文をご覧になりたい方は、下記よりダウンロードください。 |
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