「子どもの貧困」「生活困窮者」支援、全国の生協の9割以上が実施 ~物価高で支援ニーズが高まる一方、フードドライブへの「お米」等の寄付減少が課題に~
日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:新井ちとせ)は、「子どもの貧困支援」「生活困窮者支援」に関する各地の生協の取り組みについて、2024年度の活動状況を取りまとめました。
近年、全国の消費者のくらしは物価高騰や実質賃金の伸び悩みにより厳しさを増しており、「2024年度全国生協組合員意識調査」でも8割を超える組合員が「物価高騰でくらしが苦しくなっている」と回答しています。こうした中、子どもの貧困や生活困窮者支援の重要性は一層高まっています。2024年には「子どもの貧困対策推進法」が「こどもの貧困の解消に向けた対策推進法」へと改正され、妊娠期から成人まで切れ目ない支援の義務化など、抜本的な制度改正が進みました。経済的困難だけでなく、虐待、不登校、メンタルヘルスなど多面的な困難に対し、包括的かつ長期的な支援が求められています。
今回の調査結果のポイント
■「子どもの貧困」「生活困窮者」支援、全国の生協の9割以上が実施
今回の調査で子どもの貧困・生活困窮者支援に関する活動に関わっている生協数は64となり、2023年度に実施した前回調査(2022年度の活動を対象とした調査/以下、「前回調査」)の62を上回りました(回答生協数は67) 。
■子ども食堂・多世代食堂、フードドライブ、フードバンクに関わる生協数は増加、学習支援は減少
活動別にみると、子ども食堂・多世代食堂で1生協、フードドライブで5生協、フードバンクで3生協と、支援に関わる生協数はいずれも増加し、学習支援に関わる生協数は前回調査から2生協減少しました。奨学金制度をもつ生協数、助成金制度をもつ生協数はともに、前回調査と比べて2生協増えています。
■物価高による寄付減少の顕在化
ここ数年の物価高が活動に及ぼしている影響については、寄せられる食品(米など)の減少を指摘する回答が多いことが特徴的でした。
■社会福祉協議会との連携が増加
子どもの貧困・生活困窮者支援の取り組みにあたっての連携先としては、社会福祉協議会との連携が増えています。
日本生協連では、誰も取り残されることのない社会の実現に向けて、全国の生協とともに子育て支援・生活困窮者支援活動に引き続き取り組んでまいります。
活動別の内訳と全国の生協の取り組み事例
<子どもの貧困・生活困窮者支援に関する活動の内訳>

※関係・協力団体や地域の施設等で実施した場合はその他としてカウントしていること、また一部生協では実施箇所の内訳数の把握が難しいため、全体箇所数と内訳箇所数に差異が生じています(フードドライブ)。
当事者のニーズに寄り添い、物資支援から心のケアまでサポート領域が拡大
■みやぎ生協
家庭の余剰食品ではなく、寄贈先が必要としているものを店舗で購入して寄付いただく独自のスタイルでフードドライブを実施しています。寄付された食品は地域の組合員(メンバー)が直接福祉施設や子ども食堂等へお届けし、現状把握と継続的な支援につなげています。2024年度はエリア(地域)での実施回数が前年比10回増となり、食品以外(文房具等)の支援も8エリアで行いました。また、寄贈団体と連携した「フードドライブWEEK」の初開催や、本部での常設ボックス設置など、取り組みを拡大しています。エリア(地域)活動ではのべ52店舗で60回実施し、8,363食を80団体へ寄贈しました。また、本部活動では3,596食を7団体へ寄贈しました。

■パルシステム生活協同組合連合会
組合員からの募金を原資に、経済的困難を抱える学生を支援する「パルシステム給付型奨学金(若者応援基金)」に取り組んでいます。2020年の制度創設以来、累計97人に給付を行っており、2024年度までの募金総額は2億円を超えています。本制度は、毎月4万円の給付を行うだけでなく、地域団体と連携した生活相談などの「伴走型支援」や、産直産地での農業体験・ボランティアといった「社会体験プログラム」を提供している点が特徴です。単なる資金援助にとどまらず、貧困家庭の課題である「社会との接点の少なさ」に対し、学生に寄り添いながら多様なつながりや体験の機会をつくり出しています。こうした経済支援を超えた細やかなサポートの仕組みや、事業の持続可能性が高く評価され、2025年10月に「2025年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

2024年度取り組みの主な内容
●フードドライブ(54生協 820箇所)
フードドライブとは、家庭で使いきれない未使用の食品を持ち寄り、まとめてフードバンク団体や、地域の福祉施設、子ども食堂などに寄贈する活動です。
2024年度の取り組み生協数は54生協でした。家庭で余った食品を組合員が店舗に持ち寄る仕組みや、宅配で回収する仕組みが整備され、食品だけでなく文房具や制服、子ども服など日用品も対象に拡大しています。
●フードバンク(44生協)
品質に問題がないにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、企業・組織から寄付を受け生活困窮者などに提供する活動です。
2024年度の取り組み生協数は44生協でした。活動は、自前でフードバンクを運営する生協と、地域のフードバンクと連携する生協に分かれています。集まった食品の仕分けや配送には組合員ボランティアが参加する事例もあります。
●子ども食堂・多世代食堂(42生協 1,410箇所)
子どもやその親、および地域の人々に対し、無料または安価で栄養のある食事や温かなだんらんを提供するための社会活動です。
2024年度の取り組み生協数は42生協でした。活動の形態は多様で、生協が独自に食堂を運営するケースや、社会福祉協議会・地域NPOと連携し、場所や食材を提供する中間支援型の事例も多く見られます。
●学習支援(17生協 85箇所)
2024年度の取り組み生協数は17生協でした。学習支援は、生協が場所や軽食を提供し、スタッフとして関与する直接支援のほか、地域団体への助成金を通じた間接支援もあります。
●奨学金制度・助成金制度(奨学金16生協、助成金20生協)
2024年度の取り組み生協数は、奨学金制度16生協、助成金制度20生協でした。返済不要の給付型奨学金をひとり親家庭など生活困窮世帯の子どもに支給する事例や、地域団体の学習支援や子育て支援に対して経済的支援を行う事例が見られます。
調査概要
〇調査対象:全国の70生協(地域購買生協と職域生協)のうち67生協より回答
〇実施時期:2025年8月~10月
※2016~2023年は毎年実施してきましたが、今回から隔年実施としています。
〇調査内容
・2024 年度(2024年4月~2025年3月)に実施した子どもの貧困・生活困窮者支援活動の全体概況
・各取り組みの状況(子ども食堂・学習支援・フードドライブ ・フードバンク・奨学金制度・その他)
・子どもの貧困と生活困窮者支援の取り組みにおける連携状況
・生協内学習の実施状況
(参考)
「子どもの未来アクション」
日本生協連は子どもの貧困に関する学習活動「子どもの未来アクション」の取り組みを、生協内外を問わず2018年から全国に呼びかけています。子どもの貧困問題に関心を持つ人を増やす役割のアンバサダー登録は1,388人(2025年12月時点)になりました。また、2020年からは「子どもの貧困問題」支援活動への応援助成の事業をしています。

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