ispaceとJALグループ、地球と月を結ぶ新たな経済圏の構築を見据え、月面輸送・運航分野での協業検討に関する基本合意書を締結
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)、日本航空株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:鳥取三津子、以下JAL)、株式会社JALエンジニアリング(東京都大田区、代表取締役社長:濱本 隆士、以下JALEC)、株式会社JALUX(東京都港区、代表取締役社長:河西 敏章、以下JALUX)の4社は、2025年11月28日に「将来の月面における持続的な活動を支える輸送システムおよび基盤の構築」を目指し、協業に向けた基本合意書を締結しました。
今回、新たにJALグループの商社であるJALUXが加わり、4社体制で地球と月を結ぶ新たな経済圏「シスルナ経済圏」の構築に向け、検討を加速させます。

月面では今後、輸送・探査・居住といったさまざまな活動が本格化すると想定されており、ispaceは持続可能なシスルナ経済圏の構築をビジョンに掲げています。JALは、「航空と同じ世界を、宇宙に」というビジョンの下、これまで70年にわたる航空輸送の歴史において「安全・安心な空の移動」を切り拓いてきた経験を宇宙輸送にも展開し、宇宙への定期的な人流・物流を生み出す持続可能な世界の創造に挑戦しています。
これまでJALは、月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに参加したチーム「HAKUTO」や、日本初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画し、ispaceのランダー(月着陸船)部品やローバー(月面探査車)の航空輸送をはじめ、JALECによる燃料配管の溶接や組立・試験など技術面での支援を行ってきました。今後は、本基本合意に基づき、ispaceのランダーやその関連設備に対し、JALとJALECが航空分野で培った整備技術や航空管制、運航管理などの知見を活用し、将来の月面生活圏および輸送機の高頻度な離着陸を支えるシステム・基盤構築の共創を進めてまいります。
さらに、JALUXの加入を機に、JALグループの一般顧客向け宇宙関連サービスに関する新たな協業も検討するほか、ispaceの主力事業である月面輸送サービスにおいてペイロード(荷物)搭載枠の販売連携を検討していきます。ispaceのランダーによる月面輸送とJALグループの航空知見や顧客ネットワークを掛け合わせることで、一般顧客や民間企業など多様なステークホルダーに月面輸送の機会を提供します。
ispaceとJALグループは、月面と地上の活動をつなぐ新たな体験価値の創出に挑み、宇宙輸送がより身近になる未来に向けて、事業開発・技術・輸送サービスの観点から具体的な取り組みを進めていきます。本協業は、シスルナ経済圏における月面輸送・運航の社会実装基盤を築く重要な第一歩であり、今後段階的に取り組みを進める予定です。
4社はそれぞれの強みを活かし、月面での持続的活動に不可欠なインフラの共創を目指してまいります。
【ispaceとJALグループの主な協業の歩み】
2015年 JALがHAKUTOのコーポレートパートナーとして支援
2018年 HAKUTO-Rプログラム始動
2019年 JALがコーポレートパートナーとして継続参画
2018–2022年 JALECがランダー組立・試験支援および推進系配管の溶接・非破壊検査を実施
ミッション1 ランダーフライトモデル推進系配管の航空輸送
2024年 ミッション2 ローバーの航空輸送支援
2025年 JALUXも加わり、月面輸送・運航分野での協業検討に合意(本件)


■ ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント
「JALグループの皆さまと、月面輸送・運航の将来を見据えた協業検討を進められることを大変心強く感じています。民間航空で培われた安全・品質の知見と、ispaceの月面輸送の経験を重ね合わせ、月面における高頻度な離着陸を支える基盤づくりや、新たな体験価値の共創に取り組んでまいります。」
■ JAL執行役員 イノベーション本部 本部長 鈴木隆夫のコメント
「JALグループは10年にわたってispace社の挑戦を支援してまいりました。今回の基本合意書締結により、地球と月を結ぶ新たな経済圏の構築に向けた両者の連携を深め、ispace社の掲げる『日本を失敗できない国にしない』という想いとともに、宇宙輸送における新たな価値創出に挑戦してまいります。ともに、宙へ。」
■ JALEC取締役 事業推進部 部長 秡川宏樹のコメント
「HAKUTO-Rにおける私たちの技術支援は、両者の関係性を深め、未来への更なる可能性を感じさせるものとなりました。今回を機に、将来は宇宙輸送システムにおける“整備”という分野も見据えながら、宇宙インフラを支えるべく、ispace社と連携してまいります。」
■ JALUX 執行役員 航空・空港事業本部 本部長 毛利英史のコメント
「JALUXは、宇宙輸送・衛星データ領域における宇宙関連企業との共創を通じて、社会課題の解決に役立つ宇宙産業の発展を目指し取り組んでおります。今回の基本合意書締結により、JALUXグループのネットワークを活用しispace社のペイロード(荷物)搭載枠の販路拡大に寄与するとともに、月面を舞台に新たな価値を創造してまいります。」
日本航空株式会社について
日本航空は、1951年に設立されました。oneworld®アライアンスのメンバーであり、2025年3月時点で232機の航空機を所有し、提携パートナーとともに世界68カ国・395空港へのネットワークを提供しています。(*)
Skytrax社の”5-Star Airline”、北米を拠点とする航空非営利団体 APEXの”World Class”にも認定され、世界で最も定時性の優れたエアラインの一つです。日本航空は「世界一愛されるエアライン」を目指し、お客さまに最高レベルの安全とサービス品質を提供します。
詳細はWebサイトをご覧ください。 http://www.jal.com/ja
(*)グループ航空会社を含むネットワークを記載しています。
株式会社JALエンジニアリング(http://www.jalec.co.jp/ )について
JALグループの整備会社4社と、一部機能を除くJAL本体の整備本部の統合により2009年に設立。羽田、成田、伊丹の各空港を主な拠点に、JALをはじめジェイエアやZIPAIR Tokyo、スプリング・ジャパンなどJALグループが運航する約200機の航空機の整備と整備計画の策定・管理を担当しており、長年の経験の中で培ってきた幅広い知識や高度な技術力を活用した高品質の整備により、空の安全を支えています。
株式会社JALUXについて
JALUXは、航空・空港、ライフサービス、リテール、食品など幅広い事業を展開するJALグループの商社です。航空機部品事業や海外空港運営など航空・空港領域に強みをもつほか、不動産や保険、環境関連、食品関連など人々のくらしに密接する事業にも幅広く取り組んでいます。 また、宇宙事業をはじめ、新たな領域での事業創出にも挑戦しています。
株式会社ispace ( https://ispace-inc.com/jpn/ )について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年iには、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年iiには、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。
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i 2025年12月時点の想定
ⅱ当該打上げ時期については2025年12月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2025年12月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。
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