【2024年版|外国籍園児の保育の実態】保育士の96.2%が、外国籍園児の保育に「難しさ」を実感、2022年比1.7ポイント増 一方、「外国籍の子でも日本国籍の子と変わらず十分な保育を行いたい」想いも
<増える外国籍園児と対応に迫られる保育所>外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修を求める声
尚、本調査は、2022年版の同内容調査(※1)と比較して発表いたします。
調査サマリー
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調査概要
調査名称:【2024年版】外国籍園児への保育課題に関する定点調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年5月17日〜同年5月20日
有効回答:外国籍園児を保育した経験がある保育士104名
※1|【2022年版】外国籍園児への保育課題に関する定点調査:2022年6月10日〜同年6月12日|https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000043389.html
※2|構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
外国籍園児の保育に関して、96.1%が、「難しさを感じたことがある」と回答、2022年比1.7ポイント増
「Q1.あなたは、外国籍園児の保育に関して、難しさを感じたことがありますか。」と質問したところ、「かなりある」が48.0%、「ややある」が48.1%という回答となりました。
<2024年(n=104)>
・かなりある:48.0%
・ややある:48.1%
・あまりない:2.9%
・全くない:1.0%
<2022年(n=106)>
・かなりある:37.8%
・ややある:56.6%
・あまりない:4.7%
・全くない:0.9%
外国籍園児の保育に関しての具体的な難しさ第1位、2024年は「指示が伝わらない」(56.0%)、2022年は「保護者との連携が取れない」(60.0%)
Q1で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q2.具体的に、どのような点に難しさを感じますか。(複数回答)」と質問したところ、「指示が伝わらない」が56.0%、「保護者との連携が取れない」が49.0%、「話しかける言語が分からない」が42.0%という回答となりました。
<2024年(n=100)>
・指示が伝わらない:56.0%
・保護者との連携が取れない:49.0%
・話しかける言語が分からない:42.0%
・日本語・日本文化の教え方が分からない:40.0%
・集団生活・集団行動に馴染めない:34.0%
・日本食に馴染めない:30.0%
・宗教などで個別の対応が必要な場合がある:29.0%
・他園児とコミュニケーションを取ろうとしない:22.0%
・日本の歌や絵本に興味を持たない:15.0%
・その他:7.0%
・わからない/答えられない:1.0%
<2022年(n=100)>
・保護者との連携が取れない:60.0%
・指示が伝わらない:59.0%
・話しかける言語が分からない:39.0%
・日本語・日本文化の教え方が分からない:36.0%
・集団生活に馴染めない:31.0%
・日本食に馴染めない:29.0%
・宗教などで個別の対応が必要な場合がある:27.0%
・他園児とコミュニケーションを取ろうとしない:19.0%
・日本の歌や絵本に興味を持たない:11.0%
・その他:5.0%
・わからない/答えられない:0.0%
「宗教上の配慮や確認」や「言葉の壁があり、行事や連絡事項など伝え方が難しい」などの難しさも
Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q3.Q2で回答した以外に、難しさを感じる点があれば教えてください。(自由回答)」と質問したところ、「宗教上の配慮や確認」や「言葉の壁があり、行事や連絡事項など伝え方が難しい」など63の回答を得ることができました。
<2024年(n=99)自由回答・一部抜粋>
・45歳: 宗教の豚肉エキスなど難しく、市販のおやつを出すのに苦労しました。
・35歳: 言葉の壁があり、行事や連絡事項など伝え方が難しい。
・30歳: 3歳以下ならまだしも5歳以上だとある程度母国の文化や言葉が身についているため、教えるのが難しいし尊重したいと思う。
・33歳: 英語ならまだ私自身もわかるが、ポルトガル語や中国語は子どもが話している言葉がわからずになかなかコミュニケーションを取るのが難しいと思う。
・42歳: 宗教上の配慮や確認。
・61歳: 日本に合わせられるようになれば良いと言うものではない。互いの文化を大事にしながらどう保育すれば良いのか。
・50歳: 日本語が通じないので、コミュニケーションが難しかったです。
<2022年(n=100)自由回答・一部抜粋>
・28歳:子育ての考え方の根本が違うと感じることがあった。
・59歳:国の習慣の違い。
・38歳:子どもが何かを訴えてきても言葉の壁により理解しにくい。
・38歳:言葉が通じないことにより、子ども同士のトラブルになりやすい。
・54歳:保護者の国の習慣と日本の保育園のルールの違いに驚かされる事が多い。
・29歳:保護者にどこまで伝わっているか、何が不明か分かりにくい。
・30歳:意思疎通ができない。こちらが伝えていることを理解しているかの確認ができない。
・32歳:文化の違いが多すぎる。
86.5%が、外国籍園児の保育に関して文化の違いを「感じたことがある」と回答、2022年より1.6ポイント高い結果に
「Q4.あなたは、外国籍園児の保育に関して文化の違いを感じたことがありますか。」と質問したところ、「かなりある」が45.2%、「ややある」が41.3%という回答となりました。
<2024年(n=104)>
・かなりある:45.2%
・ややある:41.3%
・あまりない:13.5%
・全くない:0.0%
<2022年(n=106)>
・かなりある:26.4%
・ややある:58.5%
・あまりない:15.1%
・全くない:0.0%
文化の違いを感じた具体的な場面、「化粧やピアスをしている」や「宗教の都合で食べられないものがある」など
Q4で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q5.具体的にどのような場面で文化の違いを感じましたか。(複数回答)」と質問したところ、「化粧やピアスをしている」が41.1%、「宗教の都合で食べられないものがある」が41.1%、「日本食の味付けに慣れていない」が38.9%という回答となりました。
<2024年(n=90)>
・化粧やピアスをしている:41.1%
・宗教の都合で食べられないものがある:41.1%
・日本食の味付けに慣れていない:38.9%
・お箸を使うのが苦手:32.2%
・宗教の都合で出来ないことがある:31.1%
・母国語以外を話そうとしない:25.6%
・玩具等の私物やおやつを持ってくる:22.2%
・その他:10.0%
・わからない/答えられない:2.2%
<2022年(n=90)>
・日本食の味付けに慣れていない:50.0%
・宗教の都合で食べられないものがある:36.7%
・化粧やピアスをしている:23.3%
・お箸を使うのが苦手:23.3%
・母国語以外を話そうとしない:23.3%
・宗教の都合で出来ないことがある:16.7%
・玩具等の私物やおやつを持ってくる:14.4%
・その他:17.8%
・わからない/答えられない:0.0%
「調味料の違い」や「 お祈りをしないといけない」などの違いも
Q5で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、文化の違いを感じた場面があれば教えてください。(自由回答)」と質問したところ、「調味料の違い」や「 お祈りをしないといけない」など49の回答を得ることができました。
<2024年(n=88)自由回答・一部抜粋>
・39歳: 生活習慣や時間についての考え方などが合わない。
・47歳: 列に並ばない。
・35歳: 服装の感覚。
・35歳: 調味料の違い。
・34歳: お祈りをしないといけない。
・51歳: 食文化、生活習慣の相違等多方面で違いを感じる。
・50歳: 興味をもつ玩具や絵本などが異なる。
<2022年(n=90)自由回答・一部抜粋>
・38歳:本名でなく、ニックネームで呼ぶように言われる。
・24歳:スキンシップの多さ。
・44歳:髪型が個性的。
・33歳:遊び方や大人との接し方。
・56歳:笑いを呼び起こすやり方が難しい。
・26歳:行事への認識の違い。
・36歳:集団生活への認識の違い。
約6割が、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修に「参加経験なし」と回答、2022年より10.2ポイント参加経験は増加
「Q7.あなたは、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修に参加したことがありますか。」と質問したところ、「ない」が58.7%という回答となりました。
<2024年(n=104)>
・ある:41.3%
・ない:58.7%
<2022年(n=106)>
・ある:31.1%
・ない:68.9%
約8割から、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ「研修」を求める声
Q7で「ない」と回答した方に、「Q8.あなたは、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修が欲しいと思いますか。」と質問したところ、「非常にそう思う」が14.7%、「ややそう思う」が60.7%という回答となりました。
<2024年(n=61)>
・非常にそう思う:14.7%
・ややそう思う:60.7%
・あまりそう思わない:23.0%
・全くそう思わない:1.6%
<2022年(n=73)>
・非常にそう思う:13.7%
・ややそう思う:64.4%
・あまりそう思わない:21.9%
・全くそう思わない:0.0%
「視野を広げたいため」や「異文化を学ぶため」などの理由も
Q8で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q9.あなたが、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修が欲しい理由を教えてください。(自由回答)」と質問したところ、「視野を広げたいため」や「異文化を学ぶため」など29の回答を得ることができました。
<2024年(n=46)自由回答・一部抜粋>
・42歳:知識を得たいから。
・41歳:視野を広げたいため。
・35歳:伝え方や対応の仕方、関係性を上手く築くために役立てたい。
・34歳:担当クラスに外国籍の子どもがいるから。
・35歳:外国籍の子どもの育ちや特性を知りたいから。
・53歳:日本の生活を押し付ける形でいいのか食事面など。
・40歳:異文化を学ぶため。
<2022年(n=57)自由回答・一部抜粋>
・37歳:外国籍園児が増えてきたと思うから。
・36歳:日本にいるから日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重するべきだと思うから。
・28歳:外国籍の子でも日本国籍の子と変わらず十分な保育を行いたい。
・38歳:子どもたちを平等にみるために、適切な知識をつけたいから。
・35歳:それぞれの国に合った対応の仕方を実例を通して学んで生かしていきたいから。
・37歳:理解した方が、歩み寄れる方法やきっかけが探りやすいから。
・33歳:クラスに2、3人はいるので、他の園での対応法を学びたい。
・38歳:独自に知ろうとしても限界がある。
約7割が、日本の文化を正しく伝える研修に「参加した経験なし」、2022年より7.3ポイント参加経験者アップ
「Q10.あなたは、日本の文化を正しく伝える研修に参加したことがありますか。」と質問したところ、「ない」が66.3%という回答となりました。
<2024年(n=104)>
・ある:33.7%
・ない:66.3%
<2022年(n=106)>
・ある:26.4%
・ない:73.6%
研修経験のない保育士のうち、60.8%から「研修」を求める声
Q10で「ない」と回答した方に、「Q11.あなたは、日本の文化を正しく伝える研修が欲しいと思いますか。」と質問したところ、「非常にそう思う」が11.5%、「ややそう思う」が49.3%という回答となりました。
<2024年(n=69)>
・非常にそう思う:11.5%
・ややそう思う:49.3%
・あまりそう思わない:30.4%
・全くそう思わない:8.7%
<2022年(n=78)>
・非常にそう思う:11.5%
・ややそう思う:50.0%
・あまりそう思わない:37.2%
・全くそう思わない:1.3%
「教えるためにはまず自分が知りたい」や「行事の由来など伝える時に役立つ」などの理由も
Q11で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q12.日本の文化を正しく伝える研修が欲しい理由を教えてください。(自由回答)」と質問したところ、「教えるためにはまず自分が知りたい」や「行事の由来など伝える時に役立つ」など25の回答を得ることができました。
<2024年(n=42)自由回答・一部抜粋>
・37歳:日本の文化を正しく理解しているか自分自身不安があって、間違った教え方をしないか不安だから。
・39歳:日本とはどんな国なのか、改めて考えてみると自信がないから。
・30歳:教えるためにはまず自分が知りたい。
・34歳:理解していないと伝えられないから。
・35歳:日本の保育所の行事を伝えることが難しい。入学式や卒園式など大事な行事だと言うことを伝えても伝わっていないことが多い。
・38歳:行事の由来などを伝える時に役立つ。
・30歳:せっかく日本で生活しているのだから伝えてあげたい。
<2022年(n=48)自由回答・一部抜粋>
・26歳:外国籍児だけでなく他の子たちにも正しく伝えていきたいため。
・28歳:当たり前と思っている文化を伝えることが難しい。
・35歳:日本で過ごすにあたって快適に生活してほしいと思うから。
・36歳:せっかく覚えてもらうなら正しく教えたいから。
・33歳:日本の文化について自分で把握しておくと相手にも伝えやすいから。
・22歳:文化などを子どもたちに伝えるが、それが正しいのかも分からないし、伝え方も難しい。
・33歳:自分が日本の文化をきちんとわかっているかを知りたい。
・28歳:外国籍の子に向けてだけでなく、日本国籍の子にも正しく日本の文化を伝えていけたらと思う。外国のことを知るにはまず日本の文化をよく知っていきたい。
まとめ
今回は、外国籍園児を保育した経験がある保育士104名を対象に、【2024年版】外国籍園児への保育課題に関する定点調査を実施しました。
まず、96.2%の保育士が外国籍園児の保育に関して難しさを感じており、2022年と比較して1.7ポイント増加しました。具体的な難しさとして、「指示が伝わらない」(56.0%)、次いで「保護者との連携が取れない」(49.0%)が挙げられました。また、86.5%が文化の違いを感じたことがあり、「化粧やピアスをしている」(41.1%)や「宗教の都合で食べられないものがある」(41.1%)といった場面で感じることが多いことがわかりました。さらに、約8割の保育士が、外国籍園児の文化について学ぶ機会(研修など)を求めていますが、参加経験がある保育士は41.3%に留まりました。研修を求める理由としては「視野を広げたい」や「異文化を学びたい」といった声が寄せられています。また、66.3%の保育士が日本の文化を正しく伝える研修に参加したことがなく、60.8%がそのような研修を望んでいます。理由としては、「教えるためにはまず自分が知りたい」や「行事の由来などを伝える時に役立つ」といった意見がありました。
こども家庭庁のレポート(※3)によると、近年、日本に在留する外国人の増加に伴い、外国籍の乳幼児数が増加、外国にルーツを持つ子どもや保護者が保育所等を利用する際には、言語が通じないことによるコミュニケーションの問題や文化の違いに起因するトラブル、子どもの言語発達の課題など様々な困難に直面する可能性があることが明らかとなっていると発表しています。今回の調査でも、外国籍園児を保育する保育士が多くの課題を感じていることが明らかになりました。特に、言語や文化の違いによるコミュニケーションの難しさを感じていますが、「日本にいるから日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重するべきだと思うから」という声や、「外国籍の子でも日本国籍の子と変わらず十分な保育を行いたい」といった声がある通り、国籍や障がいの有無といった”違い”に関係なく、子どもたち同士が多様性を認めて育ち合える保育、インクルーシブ保育を意識したような姿勢も見受けられます。
グローバル化が進む現代社会において、異文化理解はもとより、自国文化の再認識も、保育の現場においては重要性が増しているのではないでしょうか。
(※3)こども家庭庁実施主体 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社|令和2年3月 保育所等における外国籍等の子ども・保護者への対応に関する調査研究事業報告書|https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000756538.pdf
▼本調査のレポートダウンロードはこちら
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サービス内容:・選ばれる園づくりコンサルティングサービス
・保育施設向け研修&巡回サービス
・保育専門実証実験 コーディネートサービス
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会社概要
会社名 :株式会社 明日香
設立 :1994年8月30日
代表取締役:萩野 吉俗
所在地 :東京都文京区小石川5丁目2番2号 明日香ビル3F
事業内容 :■保育室の設置・運営(院内保育室、企業内保育室、認可保育所)
■自治体と連携した子育て支援事業
(児童館、放課後児童クラブ、子育て支援拠点、こども広場等の運営)
■保育に関わる人材の派遣・紹介(保育士・幼稚園教諭・看護師・栄養士など)
■居宅訪問型子育て支援
(ベビー・キッズシッターサービス、家事代行サービス、自治体の委託業務)
■臨時保育室の設置・運営(イベント時保育サービス)
■保育に関わる人材の教育(研修会、講演会、各種セミナーの開催)
■新規保育事業の開発及びコンサルティング
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