オンライン医療相談がアトピー性皮膚炎の発症を抑える可能性
~疾患予防におけるICTの活用に大きな期待~
株式会社Kids Public(所在地:東京都千代田区、代表:橋本直也)と、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区、理事長:五十嵐隆)政策科学研究部の安藤友久共同研究員、竹原健二部長らのグループは、小児科に特化したオンライン医療相談「小児科オンライン」を用いて、オンライン医療相談が生後4か月時点の子どものアトピー性皮膚炎の有症率にどのような影響を与えるのかを調べる共同研究を行いました。
本研究(栄区母子小児医療相談研究:SIMPLE Study(シンプル・スタディ))は、横浜市栄区において特定の期間に出生した子どもとその母親を、オンライン医療相談などを提供する介入群と、提供しない対照群にランダムに分けて調査しました。
その結果、介入群は対照群と比べて、生後4か月時点のアトピー性皮膚炎の有症率が13%低くなりました。これは、オンライン医療相談で小児科医から直接受ける自宅でのスキンケア方法についてのアドバイス、またメールマガジンでスキンケアの重要性などの情報を得られる環境が、アトピー性皮膚炎を抑えることに有効であることを示唆しています。
本研究(栄区母子小児医療相談研究:SIMPLE Study(シンプル・スタディ))は、横浜市栄区において特定の期間に出生した子どもとその母親を、オンライン医療相談などを提供する介入群と、提供しない対照群にランダムに分けて調査しました。
その結果、介入群は対照群と比べて、生後4か月時点のアトピー性皮膚炎の有症率が13%低くなりました。これは、オンライン医療相談で小児科医から直接受ける自宅でのスキンケア方法についてのアドバイス、またメールマガジンでスキンケアの重要性などの情報を得られる環境が、アトピー性皮膚炎を抑えることに有効であることを示唆しています。
今後、さらなる研究や検証を進めることで、アトピー性皮膚炎だけではなく、さまざまな疾患の発症予防や早期発見などにおいてもICTの活用が期待されます。
本研究結果は、2022年2月17日に英文雑誌「JMIR Pediatrics and Parenting」に掲載されました。
対象:2017年11月1日~2018年5月31日の間に、横浜市栄区に出生連絡票を提出した母子。
研究方法:オンライン医療相談などを提供する介入群と、提供しない対照群にランダムに振り分け、介入群には、出生連絡票提出後から生後4か月までオンライン医療相談の無料提供とメールマガジンを3日ごとに配信しました。
対象者数:介入群140名、対照群138名(解析対象は介入群138名、対照群127名)
結果の評価方法:横浜市栄区役所で実施された4か月健診の際に、同一の1名の小児科医がどちらの群に属しているかはわからない状態で子どもの皮膚の状態を診察。United Kingdom Working Party (UKWP) criteria※1 に基づいてアトピー性皮膚炎の有無を判断。
■プレスリリースのポイント
■小児科に特化したオンライン医療相談「小児科オンライン」
小児科オンラインWebページ:https://syounika.jp
■株式会社Kids Public代表取締役 小児科医 橋本直也 コメント
本研究の結果は、オンラインでの小児科医と保護者の関係性構築が子どもの健康を向上させることができることを証明しました。小児科オンラインは、「手のひらに、小児科医を。」をコンセプトに、医療施設で待っているだけではなく、小児科医が保護者のスマートフォンにコミュニケーションチャネルを持つことで子どもたちの健康に貢献できるのでは、という仮説のもと事業を運営しています。今回のようなエビデンスを出すことができ、事業の方向性が間違っていないことを確信しました。乳児期のアトピー性皮膚炎は困っている保護者も多く、将来の各種アレルギー疾患の発症との関連も言われています。その減少に貢献できたことを大変嬉しく思います。本研究の結果を自信に、今後も事業の発展に努めます。
■国立成育医療研究センター政策科学研究部部長 竹原 健二コメント
産後は保護者にとって不安や心配が尽きない時期です。子どものことで気になることがあっても、受診した方がよいのか、だれに相談したらいいのか、判断がつきにくいことも少なくありません。オンライン医療相談は、そうした専門家への相談のハードルを下げ、保護者の悩みが解消されやすくなるとともに、保護者が正しい知識を得て、適切な育児行動をとる可能性を高めることにつながると期待されています。本研究は探索的な介入研究ではありますが、オンライン医療相談の有効性が示唆されました。今後のさらなる検証や、オンライン医療相談の普及への貴重な足掛かりとなることを願っております。
【掲載論文情報】
掲載雑誌:JMIR Pediatrics and Parenting
論文タイトル:Effectiveness of Pediatric Teleconsultation to Prevent Skin Conditions in Infants and Reduce Parenting Stress in Mothers: Randomized Controlled Trial
著者:Tomohisa Ando, Rintaro Mori, Kenji Takehara, Mari Asukata4, Shuichi Ito, Akira Oka
論⽂へのリンク:https://pediatrics.jmir.org/2022/1/e27615
doi: 10.2196/27615
【注釈】
※1:UKWPの診断基準(大基準(1)と3項目以上の小基準(2)を満たす場合をアトピー性皮膚炎と診断。)
(1) お子さんは皮膚がかゆい状態である。または、両親から子どもが皮膚を引っかいたり、こすったりしているという報告がある。
(2)
① お子さんはこれまでに肘の内側、膝の裏、足首の前、首のまわり(9歳以下は頬を含む)のどこかに皮膚のかゆい状態がでたことがある。
② お子さんは喘息や花粉症の既往がある。または、一等親以内に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある。
③ 過去12か月の間に全身の皮膚乾燥の既往がある。
④ 関節の内側の湿疹(3歳以下は頬・おでこ・四肢外側を含む)が確認できる。
⑤ 1歳以下で発症している(3歳以下のお子さんにはこの基準を使わない)。
【問い合わせ先】
株式会社Kids Public 広報室
担当:春山 電話:03-6206-8803(代表) E-mail:contact@syounika.jp
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 広報企画室
担当:村上、近藤 電話:03-3416-0181(代表) E-mail:koho@ncchd.go.jp
本研究結果は、2022年2月17日に英文雑誌「JMIR Pediatrics and Parenting」に掲載されました。
■研究の概要
対象:2017年11月1日~2018年5月31日の間に、横浜市栄区に出生連絡票を提出した母子。
研究方法:オンライン医療相談などを提供する介入群と、提供しない対照群にランダムに振り分け、介入群には、出生連絡票提出後から生後4か月までオンライン医療相談の無料提供とメールマガジンを3日ごとに配信しました。
対象者数:介入群140名、対照群138名(解析対象は介入群138名、対照群127名)
結果の評価方法:横浜市栄区役所で実施された4か月健診の際に、同一の1名の小児科医がどちらの群に属しているかはわからない状態で子どもの皮膚の状態を診察。United Kingdom Working Party (UKWP) criteria※1 に基づいてアトピー性皮膚炎の有無を判断。
■プレスリリースのポイント
- 介入群では、対照群に比べ生後4か月健診時点でのアトピー性皮膚炎の有症率が13%低くなりました。(20% vs 33%, P=.02; relative risk ratio, 0.709 [95% CI 0.519-0.969])。
- オンライン医療相談の提供が、アトピー性皮膚炎の有症率を下げる効果がある可能性を示唆した世界初の研究です。
- 現代社会においては、半数以上の乳児が何らかの皮膚トラブルを抱えると言われています。中でもアトピー性皮膚炎は、その後のアレルギー疾患(食物アレルギーや喘息など)の発症にも関わっていると言われており、乳児期の予防や治療がとても重要とされています。
- 本研究は、介入研究において信頼性が高い「ランダム化比較試験」を用いており、介入による効果を示唆することができました。
■小児科に特化したオンライン医療相談「小児科オンライン」
株式会社Kids Publicが運営する、オンライン医療相談サービスです。電話やLINEを使って、平日18時~22時に、子育てにおける疑問や不安などを小児科医に直接相談できます。「小児科オンライン」は、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」平成30年3月(令和4年1月一部改訂)において定義されている遠隔健康医療相談(医師)です。医療行為は行っておらず、診断や薬の処方はできません。本プレスリリース内では遠隔健康医療相談(医師)を便宜的にオンライン医療相談と記載しています。
小児科オンラインWebページ:https://syounika.jp
■株式会社Kids Public代表取締役 小児科医 橋本直也 コメント
本研究の結果は、オンラインでの小児科医と保護者の関係性構築が子どもの健康を向上させることができることを証明しました。小児科オンラインは、「手のひらに、小児科医を。」をコンセプトに、医療施設で待っているだけではなく、小児科医が保護者のスマートフォンにコミュニケーションチャネルを持つことで子どもたちの健康に貢献できるのでは、という仮説のもと事業を運営しています。今回のようなエビデンスを出すことができ、事業の方向性が間違っていないことを確信しました。乳児期のアトピー性皮膚炎は困っている保護者も多く、将来の各種アレルギー疾患の発症との関連も言われています。その減少に貢献できたことを大変嬉しく思います。本研究の結果を自信に、今後も事業の発展に努めます。
■国立成育医療研究センター政策科学研究部部長 竹原 健二コメント
産後は保護者にとって不安や心配が尽きない時期です。子どものことで気になることがあっても、受診した方がよいのか、だれに相談したらいいのか、判断がつきにくいことも少なくありません。オンライン医療相談は、そうした専門家への相談のハードルを下げ、保護者の悩みが解消されやすくなるとともに、保護者が正しい知識を得て、適切な育児行動をとる可能性を高めることにつながると期待されています。本研究は探索的な介入研究ではありますが、オンライン医療相談の有効性が示唆されました。今後のさらなる検証や、オンライン医療相談の普及への貴重な足掛かりとなることを願っております。
【掲載論文情報】
掲載雑誌:JMIR Pediatrics and Parenting
論文タイトル:Effectiveness of Pediatric Teleconsultation to Prevent Skin Conditions in Infants and Reduce Parenting Stress in Mothers: Randomized Controlled Trial
著者:Tomohisa Ando, Rintaro Mori, Kenji Takehara, Mari Asukata4, Shuichi Ito, Akira Oka
論⽂へのリンク:https://pediatrics.jmir.org/2022/1/e27615
doi: 10.2196/27615
【注釈】
※1:UKWPの診断基準(大基準(1)と3項目以上の小基準(2)を満たす場合をアトピー性皮膚炎と診断。)
(1) お子さんは皮膚がかゆい状態である。または、両親から子どもが皮膚を引っかいたり、こすったりしているという報告がある。
(2)
① お子さんはこれまでに肘の内側、膝の裏、足首の前、首のまわり(9歳以下は頬を含む)のどこかに皮膚のかゆい状態がでたことがある。
② お子さんは喘息や花粉症の既往がある。または、一等親以内に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある。
③ 過去12か月の間に全身の皮膚乾燥の既往がある。
④ 関節の内側の湿疹(3歳以下は頬・おでこ・四肢外側を含む)が確認できる。
⑤ 1歳以下で発症している(3歳以下のお子さんにはこの基準を使わない)。
【問い合わせ先】
株式会社Kids Public 広報室
担当:春山 電話:03-6206-8803(代表) E-mail:contact@syounika.jp
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 広報企画室
担当:村上、近藤 電話:03-3416-0181(代表) E-mail:koho@ncchd.go.jp
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