発振出力4倍!テラヘルツ波発振デバイスの第2世代品を開発

ローム株式会社

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、半導体素子の共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)(*1)を用いた、テラヘルツ波発振デバイスの第2世代品を開発しました。サンプル品とケーブル、評価ボードをセットにしたテラヘルツ波デバイス評価キット「RTD-EVK-G2」として提供を開始します。

テラヘルツ波デバイス評価キット「RTD-EVK-G2」

第2世代品は、第1世代品と同じ0.5 × 0.5mmのチップサイズながら、高出力化が可能な内部構造とすることで、発振出力を4倍の最大40µWに向上しました。対象物を透過・反射した後のテラヘルツ波を検出しやすくなるため、高い信号品質が求められるセンシングやイメージングなどのアプリケーションに活用できます。

また、パッケージにも同じ4.0 × 4.3mmサイズのPLCC(*2)を採用し、業界最小(※)サイズを維持しています。これにより、限られたスペースでも評価環境を構築できます。さらに、RTD方式は他方式(*3)と比べて発熱量が小さく、消費電力も低いことから、企業や研究機関におけるアプリケーション開発の負担を軽減します。

※2026年8月4日現在 ローム調べ

ロームのテラヘルツ波発振デバイスの特長

第2世代品のサンプルを含む評価キット「RTD-EVK-G2」は、2026年8月より35万円/セット(税抜)で販売を開始します。他方式よりも費用を抑えて評価できるため、非破壊検査や医療・ヘルスケア分野でのイメージング及びセンシング、材料識別や水分検知など、さまざまなアプリケーションの開発を後押しします。あわせて、低消費電力を重視する用途に向けて第1世代品の販売も継続します。詳しくは担当営業、もしくはローム公式Webよりお問い合わせください。なお、評価キットの購入には、事前にロームとのNDA(機密保持契約)の締結が必要です。

東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所 鈴木 左文 教授

テラヘルツ波は、非破壊検査やイメージング・センシング、無線通信など、幅広い分野への応用が期待される一方、商用化には大掛かりな装置や高額な導入費用などの課題が山積しています。

ロームとの長年の共同研究を通じて開発したRTDテラヘルツ波デバイスは、小型かつ低消費電力で冷却を必要としないという特長を持ち、かつ低コストで導入できることから、企業や研究機関によるテラヘルツ波研究への参入を後押しするものです。

発振出力を大幅に向上した第2世代品の登場をきっかけに、より高い信号品質が求められるアプリケーションの開発が加速することを期待しています。

東京科学大学 鈴木 左文 教授

ローム株式会社 研究開発センター長 中原 健

「RTD-EVK-G2」の提供開始により、テラヘルツ技術の実用化に向けてより大きな前進が見込めると期待しております。

第1世代品を多くの方々に使っていただいた結果、より高出力なデバイスを求める声が多いことが分かりました。今般発表の第2世代品では、コンパクトなサイズはそのままに発振出力を約4倍に向上させることに成功しており、ご要望に近づくことができた、と実感しています。

テラヘルツ技術は、一歩ずつ着実に社会実装に向かって進んでいます。ロームは今後も、お客様、パートナー、大学・研究機関、行政機関の皆様と連携しながら、テラヘルツ波アプリケーションの開発を後押しし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

研究開発センター長 中原 健

<背景>

電波と光の中間の周波数領域に位置する電磁波「テラヘルツ波」は、電波のような透過性と、光のような直進性を併せ持ちます。高分子材料や水分などに対する特有の吸収特性を持つことから、放射線を使わない非破壊検査や医療・ヘルスケア分野での検査技術、高精細なレーダーセンシングなどへの活用が期待されています。一方で、他方式では装置の大型化や高額な導入コストを理由に、研究や事業化への新規参入は難しいのが実情でした。

ロームでは2000年代後半から、東京科学大学や大阪大学など多くの大学・研究機関と共同研究を行い、RTDを用いたテラヘルツ波発振・検出デバイスの開発を進めてきました。2024年には、第1世代品のサンプル提供を開始し、従来方式と比べて大幅な小型化と低コスト化を実現しました。

そして今回、アプリケーション開発における信号品質向上へのニーズに対応するため、小型サイズを維持しながら発振出力を従来品比で約4倍に高めた第2世代品を開発しました。低消費電力タイプの第1世代品を用途に応じて提案することで、テラヘルツ波アプリケーション開発の幅を広げ、テラヘルツ技術の早期産業化と社会実装に貢献していきます。

<サポート情報>

ロームは、テラヘルツ波の研究及びアプリケーション開発のサポートに注力しており、各種サポートコンテンツを準備しています。

また、テラヘルツ波デバイス評価キット「RTD-EVK-G2」は、Digilent社が販売するAnalog Discovery 3™などの計測ツールとパソコン、ソフトウェアを組み合わせることで、簡単にテラヘルツ波の発振・検出が評価できます。デバイス、評価ボードともに小型であり、限られたスペースでも研究・開発環境を構築することが可能です。詳細につきましては、担当営業もしくは、ロームWebのお問い合わせ先よりお問い合わせください。

 *Analog Discovery 3™はDigilent社の商標又は登録商標です。

<鈴木 左文 教授 プロフィール>

東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所 教授、工学博士。研究対象は、共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いたテラヘルツ波デバイスの開発。

・経歴

2009年3月 東京工業大学(当時)大学院総合理工学研究科博士課程修了

2009年4月 同大大学院総合理工学研究科助教

2014年4月 同大工学部准教授

2024年8月 東京工業大学 科学技術創成研究院(現 東京科学大学 総合研究院) 未来産業技術研究所 教授

<用語説明>

(*1)共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)

半導体素子を用いたテラヘルツ波光源の1つで、小型で低消費電力、室温で発振できるなどのメリットがある。ロームでは、多くの大学や研究機関との研究開発の末、効率的なテラヘルツ波の発振と検出が可能なRTDデバイスの内製化に成功した。

(*2) PLCC

Plastic Leaded Chip Carrierの略で、半導体集積回路のパッケージの一種。

(*3) 他方式

テラヘルツ波発振の他方式として、電気信号の周波数を整数倍に変換して出力する「周波数逓倍方式」と、波長の異なる2つのレーザー光をフォトミキサで混合したときに生じる差周波から生成する「フォトミキシング方式」の2つが挙げられる。いずれの方式も、テラヘルツ波の発生に高額かつ大型の装置が必要となる。

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会社概要

ローム株式会社

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URL
https://www.rohm.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
京都府京都市右京区西院溝崎町 21
電話番号
075-311-2121
代表者名
東 克己
上場
東証1部
資本金
869億6900万円
設立
1958年09月