2025年7月より国立大学法人長崎大学病院にて、乳児頭蓋矯正治療の専門医師による株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー製ヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」を用いた治療が開始されました
2025年7月より国立大学法人長崎大学病院(長崎県長崎市、以下長崎大学病院)「赤ちゃんの頭のかたち外来」において、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO大野秀晃、以下当社)が開発製造する赤ちゃんの頭のかたちを矯正するヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」を用いた頭蓋矯正治療が開始しました

赤ちゃんの頭のかたち(歪み)に対する治療やケアへの社会的関心が高まる中、長崎県内の乳幼児・小児医療における高次医療機関である国立大学法人長崎大学病院において、2025年7月より「赤ちゃんの頭のかたち外来」が新たに始まっています。長崎県内における適正な頭蓋健診と適正な頭蓋矯正治療のニーズの高まりを受けての開設となりました。これにより、乳児頭蓋矯正治療の専門医師による、病的頭蓋変形の鑑別診断からヘルメット治療の卒業までを一貫して行う本格的な診療体制が整い、長崎県内で初めて、適正な頭蓋健診と適正な頭蓋矯正治療を受けられる環境が実現します。
2025年7月より開始される当社製ヘルメットを用いた乳児頭蓋矯正治療では、ヘルメット治療を的確にサポートする技能を有する当社の専門スタッフが参画し、医師との連携のもと、長崎大学病院内にてヘルメットの処方および調整を行います。初診から治療終了(卒業)まで、赤ちゃんとご家族に寄り添いながら、個々に合わせたオーダーメイドのサービスを提供いたします。
長崎大学病院では、毎回の診察時に専門医師が赤ちゃんの頭蓋の成長発達およびヘルメット治療の効果を丁寧に確認します。そのうえで、赤ちゃんの成長に応じて、ヘルメット内部のインナークッションを受診のたびに交換し調整を行います。こうした、医師の指示に基づく一人ひとりの赤ちゃんに合わせたクッションの調整と交換により、ヘルメットは作製時だけでなく、治療期間中も常にオーダーメイドの状態が保たれます。
診療を担当する長崎大学病院の樫山医師と赤司医師は、赤ちゃんの頭のかたちとヘルメット治療に関する医師同士の学び合いの場である当社主催の「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」に参加するとともに、ヘルメット治療の先行施設(大学病院)の見学も行い、知見の蓄積と診療体制の構築に努められています。
<ヘルメット治療を担当する医師について>

長崎大学病院
形成外科教授 樫山和也先生
[経歴]
2003年 長崎大学医学部 卒業
同年長崎大学医学部 形成外科学教室入局
2004年 日本赤十字社 長崎原爆病院 皮膚科・麻酔科
2005年 山口県立総合医療センター 形成外科
2006年 愛媛県立中央病院 形成外科・顎顔面外科
2007年 宮崎社会保険病院 形成外科
2009年 長崎大学医学部医歯薬学総合研究科 入学
2011年 長崎大学医学部医歯薬学総合研究科 卒業
2012年 長崎大学医歯薬学総合研究科 原研医療 研究員
2013年 長崎大学 形成外科 医員
2014年 豊見城中央病院 形成外科・顎顔面外科・美容外科・美容皮膚科 医長
2019年 長崎大学 形成外科 助教
2021年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 助教
2022年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 准教授
2024年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 教授
[資格・学会活動など]
医学博士
日本専門医機構(形成外科専門医・領域指導医・プログラム指導医)
日本形成外科学会(小児形成外科分野指導医・皮膚腫瘍外科分野指導医・レーザー分野指導医/評議員/機関誌編集委員・学術委員・制度検討委員・専門医認定委員)
日本形成外科学会・九州地方会(世話人)
日本頭蓋顎顔面外科学会(専門医/代議員/機関誌編集委員会副委員長・医療安全委員)
日本創傷外科学会(専門医/評議員)
日本熱傷学会(専門医)
日本熱傷学会・九州地方会(世話人)
日本レーザー医学会(専門医/評議員)
日本美容外科学会JSAPS(専門医)
日本皮膚科学会
日本褥瘡学会
日本褥瘡学会・九州地方会(世話人)
日本手外科学会
脂肪幹細胞研究会(世話人)
日本形成外科手術手技学会(理事)
Kyushu Conference of the Craniofacial Surgeons, KCCS(主催者)
【樫山先生よりコメント】
赤ちゃんの頭蓋骨は成人と異なり、いくつかのパーツに分かれていて、それぞれの骨は非常に薄く、やわらかいです(生後すぐにはわずか数ミリの厚さしかなく、我々の手の指の爪くらいのイメージです)。成長するにつれ、隣同士の骨は徐々に一体化し、硬くて分厚い大人の頭蓋骨(成人の頭蓋骨の厚さは1~2センチ)へと近づいていきます。
そのため、頭蓋骨がやわらかい生後数か月の間は、「向きぐせ」によるゆがみ(位置的頭蓋変形)が生じやすい状態です。
赤ちゃんの頭の形がゆがんでいることを気にして受診される方のうち、大多数はこの位置的頭蓋変形であり、その場合、脳の発達や成長には影響はありません。位置的頭蓋変形とは、赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ることや、母親のお腹の中でのさまざまな要因(多胎妊娠など)で、後頭部が平らになったり左右非対称になったりする状態です。この状態は病気ではなく、脳機能の発達に影響が出ることは基本的にありません。
変形が軽い場合は、赤ちゃんが成長し頭が大きくなったり自分で寝返りするようになったりする中で自然に治ることが期待できます。寝返りするようになる前は、頭部の向きを工夫したり、タミータイムと呼ばれる見守り下でのうつ伏せの時間を増やしたりすることで改善が見込めます。
しかしながら、変形が強くなった場合には、耳やおでこ、目、頬、あごの形にもゆがみが生じることがあります。このような場合、先ほど述べた方法だけでは治りにくく、大人になってもゆがみの名残が残ってしまうこともあります。こうしたケースでは、ヘルメットを使った矯正治療が効果的であることがわかっています。海外では1900年代から、日本では2012年から保険外の診療として行われており、効果を示す研究もあります。
当院はこれまで、保険が使えないヘルメット治療を希望される方には院外の他施設を紹介していました。しかし、通院の利便性などから、院内でヘルメットを作成・処方し、矯正治療を行うことが可能となりました。
稀ではありますが、「骨の病気」など、何らかの疾患によって頭の形がゆがんでしまうことがあります。隣同士の骨が異常に早く一体化してしまう病気(頭蓋骨縫合早期癒合症)がその代表で、この場合、頭蓋骨が大きく成長できず、脳の発達に悪影響を及ぼすことがあり、場合によっては早期の手術が必要となることもあります。
このように、赤ちゃんの頭のかたちがゆがんでいる場合、それが病気によるものか、それとも病気でないものか、適切な医師の診断を受けることがとても重要です。

長崎大学病院
形成外科 赤司理菜先生
[経歴]
2019年 佐賀大学医学部卒業
2021年 長崎大学医学部形成外科教室入局
2022年 長崎みなとメディカルセンター形成外科
2025年 長崎大学病院形成外科
【赤司先生よりコメント】
本外来では、頭蓋の変形に関する正確な評価を行い、お子様の頭の形に関するご家族の不安や悩みに寄り添いながら、専門的かつ丁寧な医療を提供してまいります。ヘルメット治療では、3Dスキャナーを用いた精密な評価により、頭蓋形状を客観的に把握し、一人ひとりに適した治療方針をご提案いたします。装着開始後は継続的なフォローアップ体制を整えており、保護者の方とともにお子さまの健やかな成長を支えてまいります。あたまの形について気になることがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
長崎大学病院について

長崎大学病院は、長崎県内唯一の大学病院として、地域の高度医療を担う中核的な役割を果たしています。腎・肝・肺などの臓器移植をはじめとした先進的な医療を提供するほか、原爆被爆者医療や感染症・放射線障害医療の分野では国内外で高い評価を受けています。さらに、救命救急センターを中心に24時間体制での医療提供を行い、離島地域への遠隔診療や医療支援にも積極的に取り組んでいます。
医学教育・研究の拠点としても多くの医学生や研修医を受け入れており、国際連携にも力を注いでいます。高度医療、教育、研究、地域・国際貢献を融合した先進的な大学病院です。
・赤ちゃんの頭のゆがみについて

赤ちゃんの頭のゆがみは、向き癖など外部からの圧力が主な原因ですが、稀に病的変形があり、ヘルメット治療の対象となるのは、外部からの圧力による位置的頭蓋変形になります。赤ちゃんの頭囲が急成長する生後3ヶ月~生後6か月頃までの間に、治療用のヘルメットを装着することで頭蓋変形を治療することが可能になっています。
赤ちゃんの頭のかたちの測定は、専用の3Dスキャナーだけでなく、「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」でも行うことが可能です。
当社が開発した「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」では、写真を撮るだけで赤ちゃんの頭のかたちを簡単に計測することができます。累計30万ダウンロード(※注)を超えアプリの精度も向上しており、医師の論文発表等にもアプリデータが使用されています。アプリは医師監修の基に作られており、病院の診察の際にも役立てることもできますので、ぜひダウンロードしお役立てください。
※注:2025年7月 当社調べ
アプリに関連するプレスリリース
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国内初「赤ちゃんの頭のかたち測定」アプリが累計25万ダウンロードを突破!乳児の頭蓋変形の測定のみならず頭蓋変形に関する研究開発への応用も進む
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【自治医科大学附属さいたま医療センター × ジャパン・メディカル・カンパニー】スマートフォンによる頭蓋形状評価の新時代へ/共同研究の成果が国際学術誌に掲載


・製品情報 Qurum Fit(クルムフィット

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーは、長年にわたり頭蓋形状矯正ヘルメットの製造と開発に取り組んできました。このたび、脳神経外科、小児科、新生児科、小児外科、形成外科の専門医とともに開発検討委員会を立ち上げ、共同開発を実施。その成果として誕生したのが、最先端の3Dプリンタ技術を駆使して製造された日本製ヘルメットであるクルムフィットです。東京発の下町ベンチャーとして、荒川区にある自社工場で完全自主製造をしています。
クルムフィットは、高い通気性を備えた設計によりムレを防ぎ、快適な使用感を実現しています。ヘルメット本体だけでなくクッション部分も水洗いが可能で、衛生面にも配慮されています。赤ちゃんのために細部までこだわり抜かれたデザインと機能性が特徴で、快適さと効果を両立させた製品です。
日本国内の信頼ある医師との共同開発によるプロダクトとそのプロダクトを用いた優れた医療サービス体制が評価され、シンガポール最大の女性・小児医療専門の公立病院であるKK Women’s and Children’s Hospitalでもクルムフィットを用いた頭蓋矯正治療が採用されています。
当社は製品の高い品質だけでなく、治療の安全性と信頼性を確保するための体制にも注力しています。当社製品を取り扱う医師には、必ず弊社主催の研修会「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」への参加をお願いしています。また、治療経験を持つ先行施設(大学病院またはこども病院)での診療への実地見学を通じて、より治療サービスに対する深い洞察を得ていただいています。ヘルメット治療導入後も継続的に研修会に参加していただくことで、最新の知識と技術を共有し続ける仕組みを整えています。
こうした取り組みは、親御様が安心して頭蓋健診やヘルメット治療を受けられる環境を提供するため、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事を中心とした専門医と協力して進めているものです。
「最高の安心」をお届けするために。私たちは、ヘルメット治療の導入からその後のフォローアップまで、製品だけでなく徹底した品質管理とサポート体制を通じて赤ちゃんとそのご家族を支えています。私たちは、未来の医療を支える革新的な製品づくりを通じて、安心と健康を提供し続けてまいります。
https://babyhelmet.jp/product/
・株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて

ジャパン・メディカル・カンパニーは、最先端の3Dプリンティング技術を用いて、医療のカタチを革新するものづくりベンチャー企業です。
1897年創業の鉄鋼メーカーの大野興業を前身とし、130年にわたり培われたものづくりの技術と精神を基盤に成長を続けてきました。
1999年に積層造形技術(3Dプリント)を駆使したリバースエンジニアリングを導入し、耳小骨などのヒト骨模型の製法で特許を取得。手術前シミュレーション用3D模型の分野で、数々の術前症例模型や教育練習用模型の開発に至りました。現在では脳神経外科・耳鼻咽喉科領域を中心に、手術前シミュレーションや認定医試験等の場面で当社模型を用いたハンズオントレーニング等にご活用いただいています。
2012年には初の国産 頭蓋矯正ヘルメット「Aimet(アイメット)」を脳神経外科医と共同で開発、2018年にジャパン・メディカル・カンパニーとして独立いたしました。
現在は頭蓋矯正用ヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」「Qurum(クルム)」や乳児の頭蓋変形の程度を簡便に計測できる「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」、ヘルメット治療を支援する「metto(メット)アプリ」等の開発・製造・販売を行い、医療分野における新たな価値創出を目指しています。
ヘルメットを用いた累計症例数は18,000症例以上の実績があり、ヘルメット治療のさらなる認知拡⼤を図るとともに、頭蓋形状矯正という概念そのものと疾病啓発の普及に取り組んでまいります。
■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
■設⽴:2018年5⽉
■代表取締役CEO:⼤野秀晃
■事業内容:医療機器の開発・製造・販売、医療雑品の開発・製造・販売
■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
当社のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/46445
本リリースに関するお問い合わせ・ご質問はこちら
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂
TEL:03-5829-8342 / choice@japanmedicalcompany.co.jp
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