飲食料品の消費税1%へ――飲食店の「テイクアウトを店内より安くする」方針は23%にとどまる

個人店の「店内より安く」は17.5%、法人・チェーン等の半分以下――価格戦略と対応環境に「減税実装格差」か

株式会社ミツモア

株式会社ミツモア(東京都中央区、代表取締役:石川彩子)が運営するオンライン比較サービス「ミツモア」は、店内飲食を提供する飲食店の経営・運営に関わる533人を対象に、飲食料品の消費税率1%方針への対応を調査しました。このうち、店内飲食と店頭テイクアウトの両方を行う回答者(n=134)では「テイクアウトを店内より安くする」方針は23.1%にとどまりました。

「なぜ店内より安くならない?」――消費者の期待と飲食店の価格戦略を分ける「減税実装格差」

消費者から見れば、関心は減税の効果が値下げとして店頭価格に表れるかです。しかし「テイクアウトを店内より安くする」方針は23.1%にとどまり、個人店では17.5%と、法人・チェーン等37.8%の半分以下でした。

一方、飲食店にとって、値下げだけが選択肢ではありません。テイクアウト価格を下げて集客につなげる、税込価格を据え置いて収益の確保につなげる、新たにテイクアウトへ参入して販路を広げるなど、制度変更をどのような価格・販路戦略に活かすかという経営判断になります。

また、何らかの減税対応を見込む個人店の85.5%は、「自店・自社の人員だけで対応する」と回答しました。一方、法人・チェーン等では、POSを利用している割合や、減税対応で外部サービス等の活用を見込む割合が個人店より高く、減税対応の実行方法にも差が見られました。

これらの結果を合わせると、個人店では必要な制度対応は行えても、値下げやテイクアウト拡大、支援策の活用など、減税を経営上の選択肢へ変える対応まで手を広げにくい可能性があります。

政府の支援策が、こうした店舗形態による差を縮めるのかが今後の焦点です。一方、支援策の利用が、申請や機器導入を進められる体制のある店舗に集中すれば、差がさらに広がる懸念もあります。ミツモアは、制度変更を価格・販路戦略へ活かすための条件に店舗形態による差がある構造を「減税実装格差」と捉えます。

政府は2026年8月5日、2027年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税率を1%とする基本方針を閣議決定しました。実現すれば、店内飲食10%とテイクアウト1%の税率差は、現在の2ポイントから9ポイントに広がります。

本調査は8月18日~21日に実施しました。その後、政府は8月26日、税率が1%となるテイクアウトを導入する外食事業者への支援策を検討する方針を示しました。したがって、本調査は支援方針が報じられる前の回答です。

・政府の基本方針について:内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除(政府の基本方針)について」

・現行の軽減税率制度と「外食」の定義について:国税庁「消費税の軽減税率制度」

・同じ税込価格で販売する場合の現行の取扱いについて:国税庁「イートイン/テイクアウトを税込同一価格で販売している場合」

・政府のテイクアウト導入支援の検討について:テレビ朝日「食料品の消費減税 農家に給付金の方針 外食のテイクアウト導入支援へ」

調査結果の要点

  • 9ポイント差でも「店内より安く」は23.1%――店内と同じ価格にする方針が53.0%で最多

  • 個人店の「店内より安く」は17.5%――法人・チェーン等37.8%の半分以下

  • 価格戦略を支える環境にも差――POS利用は個人店20.6%、法人・チェーン等59.2%

  • 別価格予定店の76.9%が「レジ・POS以外」も見直し――仕入れ・原価、会計・税務、顧客説明などが対象

  • 「活路はテイクアウト」にも壁――未実施店の91.4%は「新たに始める予定なし」

税率9ポイント差でも、テイクアウトを「店内より安くする」は23.1%、店内飲食と同じ価格が53.0%で最多

現在、店内飲食と店頭テイクアウトの両方を行っている回答者(n=134)に、店内飲食が10%、店頭テイクアウトが1%になった場合、同じ、または内容がよく似たメニューの税込販売価格をどう設定するか尋ねました。

「テイクアウトを店内よりおおむね税率差に相当する分だけ安くする」は17.2%、「テイクアウトを店内より安くするが、価格差は税率差に相当する分より小さくする」は6.0%で、合わせて23.1%でした。

これに対し、「店内とテイクアウトを同じ税込価格にする」は53.0%、「容器代などを含め、テイクアウトを店内より高くする」は6.0%でした。合わせると、店内と同じ価格またはテイクアウトの方を高くする方針は59.0%となります。

税率変更後の価格方針

割合

店内とテイクアウトを同じ税込価格にする

53.0%

テイクアウトを店内より安くする

23.1%

テイクアウトを店内より高くする

6.0%

商品内容や量などを変える

2.2%

同一・類似メニューをテイクアウトでは販売しない

4.5%

本部・運営会社などの決定に従う

0.7%

まだ決めていない

9.7%

その他

0.7%

※集計対象 n=134。割合は実数をもとに算出しています。表示値は小数第2位を四捨五入しているため、内訳の表示値を足した結果と合計値が一致しない場合があります。

制度上の税率差は9ポイントありますが、その差がそのまま店頭の価格差になるとは限りません。消費者が目にするのは適用税率そのものではなく、飲食店が最終的に決める税込価格です。

なお、9ポイントは税率の差であり、税込価格が9%下がることを意味しません。また、現行制度では、店内飲食とテイクアウトを同じ税込価格に設定すること自体は可能です。ただし、適用税率まで同じになるわけではないため、販売時の意思確認などによって店内飲食かテイクアウトかを判定し、消費税の申告が必要な事業者は、適用税率に基づいて区分経理・申告を行う必要があります。税率1%となった場合の具体的な取扱いは、今後の制度設計によって決まります。

テイクアウト価格が店内飲食と同額になれば、消費者は9ポイントの税率差を、店頭での価格差として実感しにくくなります。その結果「1%なのになぜテイクアウトが安くないのか」という不満が、飲食店に向かう可能性があります。

※本調査は、税率変更後の店内価格とテイクアウト価格の関係を尋ねたものです。現在の販売価格から値上げ・値下げするかは尋ねていません。

個人店と法人・チェーン等で価格・対応体制に差――「店内より安く」は半分以下

店内飲食と店頭テイクアウトの両方を行う回答者(n=134)を運営形態別に見ると、テイクアウトを店内より安くする方針は、個人事業主が運営する独立1店舗では17.5%、法人・チェーン等では37.8%でした。20.3ポイントの差があります。

一方、テイクアウト価格を店内と同額以上にする方針は、個人・独立店66.0%、法人・チェーン等40.5%でした。

税率変更後の価格方針

個人・独立店(n=97)

法人・チェーン等(n=37)

テイクアウトを店内より安くする

17.5%

37.8%

テイクアウトを店内と同額以上にする

66.0%

40.5%

減税対応の実行方法にも差――個人店は「自店・自社の人員だけ」が85.5%

メニュー、価格表示、会計、スタッフへの周知など、何らかの減税対応を見込む店舗に、誰が対応を担う予定かを尋ねました。 

「自店・自社の人員だけで対応する」は、個人・独立店では85.5%、法人・チェーン等では49.3%でした。一方、現在利用している外部サービスへの依頼や、新しい外部サービスの利用・比較を合わせた「外部活用」は、個人・独立店4.6%、法人・チェーン等33.3%でした。

減税対応の実行方法

個人・独立店(n=173)

法人・チェーン等(n=69)

自店・自社の人員だけで対応

85.5%

49.3%

外部サービス等を活用

4.6%

33.3%

※飲食料品1%への対応で、メニュー、価格表示、会計、スタッフへの周知など、少なくとも一つの対応が必要になると回答した層を対象に集計しています。

※「外部サービス等を活用」は、「現在利用しているサービス・商品・業者に依頼」「新しい外部サービス・商品・業者を選定済み」「新しい外部サービス・商品・業者をこれから探す・比較する」の合計です。

POS利用率も、個人・独立店20.6%、法人・チェーン等59.2%と差がありました。個人店と法人・チェーン等では、減税対応を始める時点のシステム環境と、対応を担う体制の両方が異なっています。

これらの結果を合わせると、個人店では減税対応を店主やスタッフが担う割合が高い一方、POSを利用している割合や、外部サービス等の活用を見込む割合は法人・チェーン等より低いことが分かります。店舗形態によって、減税対応に使えるシステムや外部の支援手段に差があります。 

個人店では必要な制度対応を自店の人員で担う割合が高く、価格の見直しやテイクアウト拡大、支援策の活用など、制度変更を経営上の選択肢へ変える対応まで手を広げにくい可能性があります。同じ減税を前提としても、制度変更を経営上の選択肢へ変える条件が店舗形態によって異なることがうかがえます。

※本調査は、店舗形態と回答傾向の関連を示すものであり、価格方針や対応体制の因果関係を検証したものではありません。

「レジ支援だけ」では終わらない――別価格予定店の76.9%が「レジ・POS以外」も見直し

店内とテイクアウトを別価格にする方針の回答者では、76.9%が、メニュー・価格表示とPOS・レジ以外の業務でも見直しが必要になると考えていました。同じ税込価格にする回答者では54.9%で、別価格を予定する回答者が22.0ポイント上回りました。

別価格を予定する回答者が挙げた「メニュー・POS以外」の業務では、「仕入先、食材、量、原価・粗利構造」が38.5%で最も高く、「会計、請求、税務処理」35.9%、「スタッフ教育、お客さまへの説明」33.3%が続きました。

別価格予定店が見直しを想定する主な業務(n=39)

割合

仕入先、食材、量、原価・粗利構造

38.5%

会計、請求、税務処理

35.9%

スタッフ教育、お客さまへの説明

33.3%

Webサイト、SNS、店舗アプリ、クーポン・会員施策

17.9%

厨房、容器、包装、受け渡し導線

15.4%

店内とテイクアウトで二つの価格を運用する場合、レジの税率マスターを書き換えるだけでは終わりません。仕入れや粗利の管理、会計・税務処理、スタッフと顧客への説明、Web上の情報、容器や受け渡しまで、店頭からバックオフィスへ対応が広がります。

さらに、別価格を予定する回答者のうち、メニュー・価格表示やPOS・レジを含めて何らかの見直し・対応が必要と答えた層では、77.1%が新たな費用がかかると見込んでいました。ここでいう費用は、既存の月額利用料と自店・自社の人件費を除き、機器購入、設定・改修、制作・印刷、外部委託などの一時的な費用です。

テイクアウト価格を店内飲食と分ける場合、レジ・POSだけでなく、仕入れ・原価、会計・税務、スタッフ教育、顧客説明などにも対応が広がります。2つの価格を運用するために、新たな作業や費用が生じる構造です。

今後の政府による支援策がレジ改修や機器導入に偏った場合、飲食店が実際に抱える業務負担を十分に軽減できない可能性があります。レジ・POSの対応だけでなく、その外側にある会計、価格表示、スタッフ・顧客対応まで支援の対象にできるかが課題になります。

※76.9%は、店内飲食・店頭テイクアウト併用店のうち、別価格を予定する39店を対象に、「店内注文・モバイルオーダー・予約」「デリバリー連携」「Web・SNS・店舗アプリ等」「会計・請求・税務」「厨房・容器・包装・受け渡し導線」「仕入先・食材・量・原価・粗利」「スタッフ教育・顧客説明」のいずれかを選んだ割合です。複数回答、4項目まで。

※費用見込みの集計対象は、別価格を予定し、何らかの見直し・対応が必要と回答した層(n=35)です。

「活路はテイクアウト」にも壁――未実施店の91.4%「新たに始める予定なし」

飲食料品1%を機に、飲食店がテイクアウトへ販路を広げるとの見方があります。そこで、現在テイクアウトを実施していない185店に、今後の方針を尋ねました。

「新たに始める予定はない」は91.4%でした。「始める方向で具体的に検討している」は5.4%、「新たに始めることを決めている」は3.2%で、開始決定・具体検討を合わせても8.6%にとどまりました。

税率差が9ポイントに広がっても、テイクアウト未実施店による新規参入がすぐに広がるとは考えにくい結果です。

テイクアウトの開始には、価格設定だけでなく、会計・税務、容器・包装、受け渡し導線、スタッフや顧客への説明など、複数の準備が伴います。

また、別の集計では、何らかの減税対応を見込む個人・独立店の85.5%が「自店・自社の人員だけで対応する」と回答しました。こうした対応方法の差を踏まえると、個人店では、必要な制度対応に加えて、新たな販路の立ち上げまで手を広げにくい可能性があります。

本調査終了後の8月26日、政府はテイクアウトを導入する外食事業者への支援策を検討する方針を示しました。本調査は支援方針が報じられる前に実施しているため、未実施店の91.4%が「新たに始める予定はない」という結果は、支援策を踏まえた意向ではありません。支援策によって、この意向が今後どこまで変わるかが注目されます。 

一方、支援策の利用が、申請や機器導入を進められる体制のある店舗に集中すれば、個人店と法人・チェーン等の「減税実装格差」が広がる懸念もあります。機器の導入だけでなく、価格設定、会計、販促、顧客対応を含めて、個人店が実際に活用できる支援にできるかが課題になります。

※現在テイクアウト未実施と選択肢上で確認できる185店を集計しました。「まだ決めていない」など、現在の実施状況を確定できない回答は母数に含めていません。

※本調査では、テイクアウトを始めない理由を直接尋ねていません。個人店の対応負担に関する記述は、減税対応の担い手など、別設問の結果を踏まえた考察です。

減税を経営に活かす条件を可視化――ミツモアが「減税実装格差」を調査する理由

本調査では、価格方針だけでなく、その実行に関わる業務、費用、販路まで横断して尋ねました。

ミツモアは、事業者と各分野の専門事業者をつなぐサービスを運営しています。制度変更によって店舗運営のどこに課題が生じるのかを横断的に可視化し、飲食店が必要な情報や支援を整理できるようにすることは、事業者の課題解決を支援するミツモアの役割とつながります。

調査結果は、メディア向けの情報提供に加え、飲食店の制度対応に関する解説コンテンツや、Web制作、販促物制作、会計・税務、業務システムなどの関連情報にも活用します。

調査概要

  • 調査名:飲食料品の消費税率1%方針を踏まえた飲食店調査

  • 調査方法:Fastaskを利用したインターネット調査

  • 調査期間:2026年8月18日~8月21日

  • 配信対象:モニター登録情報で勤務先業種を「飲食店」と登録している人

  • 回収数:705人

  • 応諾者数:660人

  • 分析対象:533人

  • 分析対象の条件:店内飲食を提供する飲食店の経営・運営に関わり、価格または販売方法の検討状況を把握している人

  • 分析対象の主な構成:個人事業主が運営する独立1店舗81.2%、50歳以上77.5%、男性74.1%

  • 地域・属性割付:地域、性別、年代による割付なし

集計上の注意

  • 回答者が複数店舗に関わる場合は、回答対象とする1店舗を決めて回答しています。 

  • 割合は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

  • 設問ごとに対象条件が異なるため、母数を各結果に記載しています。

  • 「個人・独立店」は個人事業主が運営する独立1店舗です。

  • 「法人・チェーン等」は、法人が運営する独立1店舗、独立して複数店舗を運営する店舗、FC加盟店、直営チェーン、チェーン本部・運営会社を含みます。

  • 本調査は一般消費者パネルの登録属性を用いたインターネット調査であり、全国の全飲食店を統計的に代表するものではありません。

  • 本調査は、2026年8月5日の閣議決定を踏まえ、店内飲食10%、テイクアウト・デリバリー1%となる場合を回答者に提示して実施しました。最終的な制度内容や施行条件は今後の法制化等によって変わる可能性があります。

本調査結果のご利用について

※本調査結果を記事等でご利用いただく際は、出典として「ミツモア調べ」を明記いただき、当社サービスサイト(https://meetsmore.com/product-services)へのリンク設置にご協力ください。

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オンライン比較サービス「ミツモア」について

 

「ミツモア」は、自社に最適なビジネス製品・サービスを簡単に比較・選定できる、日本最大級のオンライン比較サービスです。 

業種や求める機能を画面上で選択するだけで、最短1分で最大5つの最適な製品・サービスを自動で絞り込み、比較表で機能や料金を一覧化できます。ビジネス向けには会計ソフト、業務管理ツール、IT導入支援、マーケティング支援など、300を超えるサービスにおいて、3,500以上の製品、2,700以上の事業者を比較検討することが可能です。 

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「ミツモア」サービスサイト:https://meetsmore.com/product-services

株式会社ミツモアについて

生活インフラ産業の生産性向上を通じて、ミッションである「日本のGDPを増やし 明日がもっといい日になる と思える社会に」の達成を目指すスタートアップ企業。全国10万超の事業者ネットワークを基盤に、生活インフラ産業を支え事業者エコシステムの構造的な変革と持続的な発展を実現します。

2017年2月創業以来、オンラインで見積もり比較から受発注までワンストップで完結するサービス「ミツモア」や、現場業界特化のオールインワンSaaSサービス「プロワン」、法人の調達・発注業務を支援する「ハッチュー」の開発・提供をしています。

2023年には、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2023」にて経済産業大臣賞(ダイバーシティ賞)を受賞。週刊東洋経済が主催する「すごいベンチャー100」2023年版に選出。

さらに、代表の石川彩子は、Forbes JAPAN主催「日本の起業家ランキング」Top20に2024年度・2026年度と複数回にわたり選出されました。

ミツモア会社概要:https://meetsmore.com/company

「プロワン」サービスサイト:https://pro-one-cloud.com/

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会社概要

株式会社ミツモア

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URL
https://meetsmore.com/company
業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区銀座7丁目16-12 G-7ビルディング8階
電話番号
-
代表者名
石川彩子
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2017年02月