「学校給食無償化は国の責任で」千葉県7市が緊急要請
学校給食の無償化に関する制度設計と財源措置について、普通交付税不交付団体である千葉県内7市(市川市、成田市、市原市、君津市、浦安市、印西市、袖ケ浦市)が連名にて、文部科学省へ緊急要請を行いました。

■緊急要請の背景と経緯
現在、自民党・公明党・日本維新の会において、「三党合意」(令和7年2月)による「いわゆる学校給食無償化」の実現に向けた制度設計が進められています。報道等によれば、今後「国と地方の負担割合」が焦点とされています。
全国の公立小学校の学校給食費(食材費に相当する額)の合計額は、約3,000億円(文部科学省推計・令和5年現在)とも言われており、現在の物価高騰の影響を踏まえると、学校給食無償化に必要な財源はそれ以上の額になるものと見込まれますが、十分な額が確保できるか疑問があります。
学校給食の無償化は、義務教育に係る負担軽減の観点で行われるべきものであり、地方負担が生じるような財源支援ではなく、国の責任において、必要な額を全額国費で確実に確保する仕組みとされるよう、以下のとおり要請を行いました。
■要請事項
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国の責任による制度設計
学校給食の無償化は、義務教育に係る負担軽減の観点から、国の責任において制度設計を行うこと。 -
確実な財源措置
自治体の財政力に応じた「普通交付税措置」ではなく、不交付団体を含めた全ての自治体に財源が行き渡るよう、直接的な財源措置を講じること。
要請事項(原文)
学校給食の無償化は、国の施策として、全ての地方自治体において地域間格差が生じないよう、国の責任により、持続可能かつ公平な制度を設計すること。
また、普通交付税不交付団体も含め、自治体間で費用負担に格差が生じないよう、直接的な財源措置を講じること。
■要請の様子
令和7年12月5日(金曜日)、松本 洋平 文部科学大臣に対し、袖ケ浦市 粕谷 智浩 市長、成田市 小泉 一成 市長、浦安市 木村 洋志 副市長、市川市 小島 信也 学校教育部次長が要請を行いました。

■なぜ「不交付団体」が緊急要請をしたのか
「普通交付税」とは、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するため、国から地方公共団体に交付されるものです。
しかし、財政力が比較的安定している団体は、「自分たちの財源でまかなえる」とみなされ、普通交付税が交付されません。(千葉県内では7市が該当し、不交付団体と呼ばれます。)
そのため、仮に給食無償化の財源が「普通交付税措置」となった場合、不交付団体はそれに係る費用の全額を自主財源で負担することになります。
学校給食無償化は、国が責任を持って全国一律で行うべき施策であり、自治体に対し、将来的な財政圧迫リスクを与えてはなりません。
ついては、不交付団体7市連名にて、全ての自治体に確実に届く財源措置にするよう求めています。
■市川市 田中 甲 市長のコメント

学校給食費の無償化は、未来を担う子どもたちの健やかな成長を社会全体で支える施策です。
市川市はその思いを持ち、一早く給食費無償化を進めてまいりましたが、本来は少子化の進む我が国において、国が責任を持って進める仕事だと発信してきました。
子どもたちのための重要な施策であり、すべての自治体が持続的に取り組めるよう、第一に要望いたします。
■成田市 小泉 一成 市長のコメント

学校給食費の無償化の取り組みは、自治体間での格差が生じている実情があり、地域格差の解消のためにも、国の責任において恒久的な取り組みとして、全国一律の支援制度を確立すべきと考えます。
財政力にかかわらず、すべての地方自治体に対する、国費による一律の支援制度の構築を強く求めます。
■市原市 小出 譲治 市長のコメント

学校給食費の無償化は、子どもたちの住んでいる自治体の財力によって、地域格差が生じることのないよう、持続可能かつ公平な制度設計がなされるべきものと考えております。
全ての子どもたちへの義務教育に係る負担軽減の観点から、国の責任において、必要な額を確実に確保する仕組みとされることを、強く要請します。
■君津市 石井 宏子 市長のコメント

学校給食の無償化は、義務教育に係る負担軽減として、国の責任において行われるべきものであり、財政力の格差に関係なく公平な国の支援があるべきと考えます。
このため、普通交付税の不交付団体を含む全ての市町村に対し、必要な額を全額国費で確実に確保する仕組みとされるよう強く要望します。
■浦安市 内田 悦嗣 市長のコメント

本市では、子育て支援として保護者の経済的負担の軽減を図るため、令和6年度から学校給食費の完全無償化を実施しておりますが、これを国の施策として行うことには賛同いたします。
ただし実施にあたっては、普通交付税不交付団体を含め、地方自治体の財政力によって費用負担に格差が生じないよう、財源措置を講じることを求めます。
■印西市 藤代 健吾 市長のコメント

現在、国において学校給食の無償化に向けた制度設計が進められていますが、印西市は人口増に伴う学校整備や物価高騰で給食費負担が重く、財政運営に影響を及ぼしかねません。
学校給食の無償化は義務教育の負担軽減のため、国の責任で公平に実現し、すべての自治体が格差なく取り組めるよう直接的な財源措置を強く要望します。
■袖ケ浦市 粕谷 智浩 市長のコメント

学校給食の無償化は、国が推進されるべき重要な少子化対策です。居住する自治体の財政力によって、その恩恵や住民負担に格差が生じることはあってはなりません。
特に不交付団体において、国の実質的な支援がないまま制度だけが義務付けられれば、市民サービスや将来のまちづくり予算を圧迫することになります。
国に対し、責任ある財源措置と公平な制度の構築を強く求めます。
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