関税リスクは「どこで作るか」から「何を使うか」へ――エレクトロニクス企業に製品設計の転換迫る【A.T. カーニー】

BOMの価値集中と製品複雑性から4類型を分析、関税に強い製品をつくる4つの設計手法を提示

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、エレクトロニクス製品の関税リスクを製品設計の観点から分析した論考「新たな関税現実に向けたエレクトロニクス設計」(英題:Designing electronics for a new tariff reality)を発表しました。

本論考では、関税の判断軸が最終組立地だけでなく、原材料、半導体、電池セル、プリント基板アセンブリなどの部材や、BOM(部品表)内の価値へ広がる可能性を指摘しています。将来の制度形態には不確実性があるものの、関税リスクは『どこで組み立てるか』より『製品に何が含まれるか』に左右される可能性が高いとしています。企業が対応方針を定めるため、本論考は、BOM内の価値集中と製品複雑性という2つの評価軸、4つの製品アーキタイプ、関税レジリエンスを高める4つの設計手段を提示しています。 

2つの評価軸で関税リスクを判断、組立地から部材・価値へ視点を広げる

従来の通商ルールでは、関税は通常、最終製品の『実質的変更』が生じた国、すなわち最終組立地によって決まりました。このため企業は、関税対象国の外へ組立や調達を移す地理的裁定によって、関税リスクを抑えることができました。

一方、本論考は、米国の鉄鋼・アルミニウム関税が原材料レベルで適用されていることや、半導体・電池セルへの関税、重要部品の製造地を原産地判断に用いた個別裁定を挙げ、政策当局が製品の『箱の中』を見る方向へ動いていると指摘しています。製品全体の部品単位で関税を査定する制度は執行の複雑さからなお可能性が低いとしつつ、企業には、価値集中と製品複雑性の2軸から対応余地を評価することが求められるとしています。

2軸から4つの製品類型へ、同じ関税ショックでも対応余地が変わる

価値集中は、製品価値が少数の部品やモジュールに集中しているか、多数の部品とサプライヤーに分散しているかを示します。製品複雑性は、設計変更、サプライヤーの代替、製造工程、再認定、規制承認の難度を表します。本論考はこの2軸から、エレクトロニクス製品を4つのアーキタイプに整理しています。

コモディティ化されたアセンブリでは、第二の生産ラインと設計・工程の標準化、高価値密度製品では、重要モジュールの地域横断デュアルソース化と共通インターフェース設計が中心となります。ハイテク・プラットフォームでは極度のモジュール化と国別サプライヤーの事前認定、規制対象システムでは詳細なサプライチェーン・マッピングと、局所生産が可能なサブシステム設計が重要です。

4つの設計手段でレジリエンスを製品へ、BOM削減で関税リスクも低減

本論考は、関税を製品が工場へ届く前の設計段階から設計パラメータとして扱う必要があるとしています。第1の手段はDesign-to-valueです。顧客が価値を置かない機能や仕様を削り、BOMから1ドル削減するごとに関税の対象となり得る価値も1ドル減少します。第2はBOM簡素化で、固有部品を減らして汎用品を採用し、代替部品の認定を容易にします。

第3はプラットフォーム化と極度のモジュール化です。共通アーキテクチャを維持しながら高リスク機能を交換可能なサブシステムへ隔離し、関税ショックを製品全体ではなく個別モジュールへ封じ込めます。第4はサブシステム再構築で、高リスク部品を別個の基板やモジュールへ集中させ、必要な部分だけを関税上のリスクが低い地域で生産できるようにします。従来の『持ち上げて移す』対応から、『持ち上げ、再設計し、必要に応じて移す』対応へ移行することが、関税だけでなく輸出禁止やより広範な通商混乱への適応にもつながるとしています。

-       論考について

論考名:「新たな関税現実に向けたエレクトロニクス設計」(英題:Designing electronics for a new tariff reality)

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/designing-electronics-for-a-new-tariff-reality

-       監修者

西川 覚也 シニアパートナー

東京大学工学部卒。特許事務所を経て、A.T. カーニー入社。現在の技術軸に新しい技術軸を足して、需要を創造するM&A戦略、IoTを梃にした新しい価値の創造(ビジネスモデル、オペレーションモデル)を支援。

 

竹井 潔 プリンシパル

MITスローン経営大学院修了(MBA)。東芝(現キオクシア)半導体事業の経営企画部門で、事業戦略立案や海外企業との提携交渉に従事したのち、KEARNEYに入社。通信、ハイテク領域を中心に、全社戦略、事業ポートフォリオ変革、新事業開発、M&A戦略等のテーマを手掛ける。クロスボーダーのプロジェクトリードが可能。経済産業省 JAXA部会委員

 

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月