「ビフィズス菌研究会2022年度 第3回シンポジウム」において発表 短鎖脂肪酸(酢酸)を内包した大腸送達性製剤の腸内環境改善及びストレス緩和作用
当社では引き続き、短鎖脂肪酸を内包した大腸送達性製剤の有用性について、研究を進めてまいります。
【背景と目的】
腸内細菌の代謝物の1つである短鎖脂肪酸(酢酸)には、腸内環境改善作用、コレステロール合成抑制作用、ミネラルの吸収促進作用等、宿主に対し有益な生理機能があることが報告されています。しかしながら、短鎖脂肪酸は胃や小腸で容易に吸収されるため、経口で摂取しても大腸には到達せず、大腸において期待される有益な作用を宿主が十分に得られないと考えられます。当社では大腸送達性が確認された新たなカプセルに短鎖脂肪酸(酢酸)を内包した大腸送達性製剤(以下、短鎖脂肪酸カプセル)を作製し、本カプセルの摂取による便通改善及び食後血糖値抑制作用を明らかにいたしました(第75回日本栄養・食糧学会大会(2021年7月))。本研究では、新たに腸内環境改善作用及びストレス緩和作用を評価しました。
【研究成果】
これまでに、短鎖脂肪酸カプセル摂取により、便秘傾向者及び健常者の両被験者において、短鎖脂肪酸カプセル摂取により、プラセボカプセル摂取期間中に比べ「便臭が弱い」と回答した被験者が多く見られるということが明らかとなっております(第75回日本栄養食糧学会大会)。本研究では、短鎖脂肪酸カプセル(1日5粒、酢酸約17mg)またはプラセボカプセルをそれぞれ8週間摂取し、腸内環境(腸内細菌叢、腸内腐敗産物濃度)の変化、唾液中バイオマーカー(コルチゾール、分泌型IgA、オキシトシン)の変化について、評価しました。
試験対象者(9名)において、短鎖脂肪酸カプセル摂取前後で、腸内腐敗産物であるインドール、p-クレゾールの減少傾向と、唾液中コルチゾール濃度の低下を確認しました。
図1、2に示す通り、短鎖脂肪酸カプセルを8週間摂取することで、腸内腐敗産物であるインドールとp-クレゾール濃度が低下する傾向が見られました(p=0.06)
また、ストレスマーカーのひとつである唾液中コルチゾール濃度が、短鎖脂肪酸カプセル摂取後に摂取前よりも有意に低下することが確認されました。摂取後の唾液中コルチゾール濃度を比較すると、プラセボカプセル摂取群よりも低い値を示したことも明らかになりました。
これらの結果により、大腸送達性製剤により大腸まで届いた短鎖脂肪酸(酢酸)は、腸内環境を良好にし、さらにストレスを緩和する作用をもたらすことが示唆されました。
■「2022年度第3回シンポジウム」概要
開催日 :2022年9月16日(金)13:00~18:00
開催方式 :オンライン
公式サイト:https://bifidosympo.jp/
<発表概要>
発表時間:2022年9月16日(金)14:20~
一般講演(ショートプレゼンテーション)
演題:短鎖脂肪酸(酢酸)を内包した大腸送達性製剤の腸内環境改善およびストレス緩和作用
森下仁丹株式会社 事業統括本部 研究開発部
○丸山 晃嗣,河野 麻実子,川上 宏智
○:発表者
社名:森下仁丹株式会社
代表:代表取締役社長 森下雄司
創業:1893年(明治26年)2月
設立:1936年(昭和11年)11月
主な事業:医薬品、医薬部外品、医療機器ならびに食品等の製造および販売
URL:https://www.jintan.co.jp/
業祖 森下博が「社会への奉仕」を信念とし、1893年の創業来、人々の健康や豊かな暮らしの一助となる製品をご提供して参りました。当時、懐中の総合保健薬(当時は赤大粒仁丹)として開発し、その後は口中清涼剤として親しまれる銀粒の「仁丹」(現在は医薬部外品 販売名:仁丹N)、その製造から着想を得て、独自に開発し事業領域を拡大しつつある「シームレスカプセル技術」と、これまでの生薬研究の蓄積と独自技術の確立・育成を通して、幅広い領域で企業活動を行なっています。
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