「未来は、誰かにもらうものではない」ルワンダの子どもと大人がレゴで描いた“夢のまち”

9年間の継続支援を、創造性・都市設計・地域リーダーシップへ――なかよし学園がKibagabaga小学校とMiyove地区で世代を超えた教育を実施

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2026年8月に実施した「ルワンダプロジェクト2026」において、レゴブロックを活用した創造性・問題解決力・リーダーシップ育成授業を、Kibagabaga Primary School(キバガバガ小学校)とMiyove(ミヨベ)地区で実施しました。

 Kibagabaga小学校では、児童が自分の発想を形にする授業に加え、現地教員が同じ授業を継続できるよう、翌日に教員向け模範授業と研修を行いました。

 Miyove地区では、子どもだけでなく、十分な学校教育を受ける機会がなかった大人たちも参加。「どのような地域で暮らしたいか」「地域に何が必要か」をレゴブロックで表現する、住民参加型の「未来のまちづくり」授業を実施しました。

 今回の活動は、完成品を与える支援ではありません。一人ひとりが未来を想像し、他者と話し合い、失敗と修正を重ねながら、自分たちの社会を自分たちでつくる。その経験を通じて、創造性と地域の当事者意識を育てる教育プロジェクトです。

MIYOVE地域でレゴブロックを使った授業を受ける保護者たち

 今回のプロジェクトの出発点は、なかよし学園に参加する一人の小学生の思いでした。

「レゴが好き。レゴを使って、みんなで夢のまちをつくりたい」

 子どもの純粋な「好き」と「やってみたい」という気持ちが、日本国内だけにとどまらず、海を越えてルワンダの教育現場へ届きました。

 なかよし学園が大切にしているのは、大人が考えた支援を子どもに手伝わせることではありません。子ども自身の興味や得意なことを、世界の誰かの学びに変えることです。

 レゴブロックを前にしたルワンダの子どもたちは、誰かが作った見本をまねるのではなく、それぞれが自由に考えました。部品を選び、組み立て、うまくいかなければ壊して、もう一度作り直す。隣の友達の作品を見て、新しいアイデアを取り入れる。そして最後に、自分が何を作り、なぜその形にしたのかを言葉や身振りで説明しました。

 そこでは「正解を覚える授業」ではなく、構想、制作、失敗、修正、説明という、創造とイノベーションの基礎となる学びが生まれていました。

レゴの面白さと可能性をKIBAGABAGA小学校児童たちに説明するなかよし学園メンバー

2017年から9年間――Kibagabaga小学校に「授業を残す」

 Kibagabaga小学校は、都市部の貧困地域に位置する学校です。なかよし学園は2017年から9年にわたり、毎年教材を届け、児童・教員を対象とした模範授業と教員研修を続けてきました。

 活動を始めた当初、授業の中心は、教員が教科書の内容を黒板に書き、児童がそれをノートに写すものでした。教材や教育機会が限られる中では、児童が実際に手を動かし、考え、試し、失敗から学ぶ授業を行うことは容易ではありませんでした。

 そこで、なかよし学園は教材を渡して終わるのではなく、まず日本人メンバーが児童の前で模範授業を実施。その授業を教員にも体験してもらい、翌日には授業の導入方法、問いの投げかけ方、教材の使い方、失敗を学びへ変える方法を解説してきました。

 その後は、現地教員が新学期以降も同じ教材を使い、自分たちの授業として継続します。

「教材を届ける」
「模範授業を行う」
「教員が授業方法を学ぶ」
「現地の学校で授業が繰り返される」

 この再現可能な教育モデルを9年間続けた結果、Kibagabaga小学校では、児童が理解し、楽しみ、学んだことを活用する授業が定着し始めました。同校は、貧困地域にある学校としては異例となる、ルワンダ政府による教育先進校の表彰を受けるまでに成長しています。

 なかよし学園が学校を変えたのではありません。新しい授業を学び、それを自分たちの教育として育ててきた現地教員と児童の努力が、学校を変えました。なかよし学園は、その長い歩みに教材と授業を通じて伴走してきました。

レゴ作りに夢中になるKIBAGABAGA小学校児童たち

レゴを「遊び」で終わらせず、現地教員の授業へ

 8月6日の授業では、レゴブロックを使い、児童一人ひとりが自分の発想を形にしました。

大切にしたのは、立派な作品を完成させることではありません。

「何をつくりたいのか」
「そのためには、どの部品が必要なのか」
「なぜ倒れてしまったのか」
「もっと良くするには、何を変えればよいのか」
「自分の考えを、どうすれば相手に伝えられるのか」

 一つの作品をつくる過程には、観察、論理的思考、空間認識、試行錯誤、コミュニケーション、協働といった多くの学びが含まれています。

レゴワークショップ
レゴワークショップ
レゴワークショップ
レゴワークショップ

 翌8月7日には、同校の教員を対象に、前日の授業を再現するための研修を実施しました。授業を受けた児童だけの一度きりの体験にせず、現地教員が次の児童、その次の学年へと学びを広げていくためです。

 Kibagabaga小学校のTheophile教員は、これまでの変化について次のように語っています。

「なかよし学園は毎年、質の高い日本の教育をKibagabagaに提供してくれます。私たちは研修によって学びを自分たちのものとし、9月からの新学期に授業へ取り入れています。以前は、教師が教科書を黒板に写し、児童はそれを書き取る授業でした。しかし今は、理解し、楽しみ、さらに学びを活用する授業へと変わっています。これからも共に学び合い、平和な世界をつくっていきたいです」

KIBAGABAGA小学校Theophile教諭

支援物資を求めた地域で、今度は「未来」をつくる

 8月11日、なかよし学園はMiyove地区で、子どもと大人を対象としたレゴの「未来のまちづくり」授業を実施しました。

 Miyoveは、ルワンダ国内でも特に貧困が深刻な地域の一つです。

 なかよし学園が活動を始めた当初は、生活に必要な物資が極端に不足し、支援物資が届くと大人たちが殺到せざるを得ない状況がありました。それは秩序や思いやりがないからではありません。明日の食事や家族の命を守るため、目の前の物を確保しなければ生きられないほど、地域が追い詰められていたからです。

入浴支援を行うなどMIYOVE地区の発展に貢献してきたなかよし学園

 なかよし学園は現地パートナーとともに、教育支援だけでなく、保護者の就業支援や幼稚園設立を進めてきました。

 幼い子どもを幼稚園で預かり、給食を提供する。その間に保護者が仕事に就き、収入を得る。そして、その収入から幼稚園以降の教育費を出せるようにする。

 食料だけ、学校だけ、仕事だけを切り離すのではなく、教育、就業、所得、子育てを一つの仕組みとしてつなぐことで、地域が自給自足だけに依存する状態から抜け出せるよう支援を続けてきました。

 コロナ禍には、感染拡大と食料不足が同時に地域を襲いました。住民が餓死しかねない状況の中、なかよし学園は現地パートナーと感染予防授業を行い、食料を一度配って終わるのではなく、その後も地域で育てられる種芋を提供しました。

 あれから年月が過ぎ、今回、同じ地域の人々が机を囲み、レゴブロックを手にして「これからのMiyove」を考えました。

 かつて、今日を生きるための物資を求めた地域で、人々が明日のまちをつくり始めたのです。

なぜ、大人にもレゴの授業を行うのか

 Miyove地区には、幼少期に十分な学校教育を受ける機会がなく、読み書きや長い文章による意思表明が難しい大人も少なくありません。

 しかし、文字で計画書を書けないことと、地域の未来を考えられないことは同じではありません。

レゴブロックを使えば、学校、道路、仕事を生み出す施設、人が集まる場所、子どもが安心して過ごせる空間などを、目に見える形で表現できます。

「ここには学校が必要だ」
「子どもたちが安全に通れる道をつくりたい」
「仕事が生まれる場所がほしい」
「家族が一緒に暮らせる地域にしたい」

 言葉だけでは伝えにくかった願いが、色とりどりのブロックによって形になりました。参加者は互いの作品を見せ、笑い、説明し、他の人のアイデアを組み合わせながら、自分たちが暮らしたい地域を考えました。

レゴワークショップ
レゴワークショップ
レゴワークショップ
レゴワークショップ

 この授業において、レゴは子どもの玩具ではありません。年齢、識字能力、教育歴の違いを超えて、誰もが地域づくりに参加するためのコミュニケーションツールです。

初めてのレゴ作りを楽しむ保護者たち

「自分たちの社会を、自分たちでつくる」リーダーシップ教育

 都市や地域は、建物を並べるだけでは成立しません。

学校、道路、仕事、医療、防災、食料、公共空間、住民同士の助け合い。それぞれの要素がつながり、一つの社会システムとして機能する必要があります。

 今回の授業では、都市設計の考え方を基礎に、参加者が自分の作品だけでなく、他者がつくったものとの関係を考えました。

 学校をつくるなら、子どもが通う道が必要です。
 仕事場をつくるなら、そこで働く人と商品を届ける仕組みが必要です。
 人が安心して暮らすためには、教育、仕事、所得、家族、助け合いがつながらなければなりません。

一人で自由に作品をつくる「創造性」から、他者の意見を聞き、複数の作品を一つの地域へまとめる「協働性」へ。そして、自分たちの地域の課題を自分たちで考え、行動する「リーダーシップ」へ。

なかよし学園は、レゴを通じて次のメッセージを伝えました。

「未来は、誰かがつくって与えてくれるものではない。自分たちで考え、仲間と話し合い、自分たちの手でつくっていくものです」

今回は良い「システム」が良い社会を作り平和を作ると説明。レゴをただの玩具にせず教育ツールに活用するなかよし学園。

二つの地域で育てる、二つの持続可能性

 今回のレゴ授業は、二つの地域で異なる役割を持っています。

Kibagabaga小学校では、児童への模範授業と教員研修を組み合わせ、現地教員によって授業が繰り返される「教育の持続可能性」をつくりました。

 Miyove地区では、子どもと大人が一緒に地域の未来を考え、住民自身が地域づくりの主体となる「社会の持続可能性」を育てました。

一度きりの体験で終わらせず、授業が学校に残る。
答えを外から与えるのではなく、地域の人々が答えをつくる。
支援を受けるだけだった人が、次の誰かを支える側になる。

なかよし学園は、この変化こそが、貧困の連鎖を断ち、戦争や暴力を生み出さない地域をつくる基盤になると考えています。

これまでも様々な授業でKIBAGABAGA小学校を支援してきたなかよし学園

今後の展開――ルワンダで生まれた未来を、日本へ還す

 今後は、Kibagabaga小学校の教員が新学期以降にレゴや算数教材を用いた授業をどのように再現・発展させているかを継続的に記録します。

 Miyove地区では、現地パートナーと連携し、今回生まれた地域のアイデアを教育、就業支援、幼児教育、地域づくりへつなげていきます。

 自分の「好き」から始まった行動が、世界の子どもだけでなく、大人たちが未来を考える学びにまで広がったことを知る。そのフィードバックが、今度は日本の子どもの自己効力感と、次の行動を生み出します。

レゴを自由に創作し、あらゆるものを創造するレゴの魅力を伝えたなかよし学園メンバー

 日本で生まれた思いが世界で実装され、その成果が日本へ還り、次の学びへつながる。これは、なかよし学園が展開する「世界とつながる学び(CoRe Loop)」の実践です。

自分の「好き」を授業にし、多くの喜びを学んだ小学生メンバー

なかよし学園プロジェクト代表・中村雄一メッセージ

「9年前、Miyoveで活動を始めた時、人々は目の前に届いた物資を確保しなければ、明日を生きられないほど追い詰められていました。その姿を見て、単に『譲り合いましょう』と伝えることに意味はありません。安心して譲り合える社会をつくるためには、食料、教育、仕事、所得がつながる仕組みそのものが必要だからです。

 今回、そのMiyoveで、子どもと大人が一緒にレゴを手に取り、未来の地域をつくりました。大人たちが夢中になってブロックを組み立て、自分の作品を誇らしそうに見せる姿を見た時、私たちが9年間続けてきたことの意味を感じました。

 貧困とは、物やお金が少ないことだけではありません。自分の未来を想像する機会、自分の考えを表現する機会、社会の意思決定に参加する機会が失われていることも、貧困の一つです。

 だからこそ、教育によって一人ひとりに『自分の人生と社会をつくる力』を取り戻してもらいたい。Kibagabagaでは、その教育を現地の先生方が自分たちの授業として9年間育ててきました。Miyoveでは、教育機会を得られなかった大人たちも、地域の未来を考える主体になりました。

 机の上に並んでいたのは、小さなブロックです。しかし、そこに表現されていたのは、学校、仕事、家族、希望、そして平和でした。

 平和は、遠い国の政治家だけがつくるものではありません。一人ひとりが自分の未来を選び、他者と力を合わせ、より良い社会をつくる主体になる。その積み重ねから、戦争や暴力を必要としない地域が生まれます。

 これからも私たちは、何かを与えるだけの支援ではなく、現地の人々が自分たちの社会をつくる力を育てる教育を続けていきます」

コロナ禍、MIYOVEでウイルス予防授業を行う中村雄一代表

なかよし学園プロジェクト事務局長・中村里英メッセージ

「今回の活動は、日本の小学生メンバーの『レゴが好き』『レゴで夢のまちをつくりたい』という思いから始まりました。

 子どもの“好き”は、決して小さなものではありません。それを大人が受け止め、世界とつなぐ仕組みがあれば、国境を越えて誰かの学びを生み出すことができます。

 ルワンダでは、子どもたちだけでなく、大人たちもレゴを手にした瞬間、目を輝かせました。年齢や言葉、教育歴が違っても、何かを思いつき、手を動かし、完成したものを『見てほしい』と思う気持ちは同じです。

 特にMiyoveのお母さんやお父さんたちが、作品を前に笑顔を見せる姿が印象に残っています。学校へ通うことができなかった大人にも、考える力、つくる力、誰かに伝えたい思いがあります。教育は子どもだけのものではありません。学び直したいと思った時、誰にでも開かれているべきものです。

 そして今度は、ルワンダで生まれた作品や笑顔を、日本の小学生メンバーへ還します。『あなたの好きなことが、世界の誰かに新しい可能性を届けた』と伝えるところまでが、このプロジェクトです。

 一人の子どもの“好き”が、世界の子どもと大人をつなぎ、地域の未来を考える授業になりました。これからも日本の子どもたちが持つ小さなアイデアを、世界を平和にする大きな一歩へ変えていきたいと思います」

ルワンダで活動する中村里英事務局長

実施概要プロジェクト名:ルワンダプロジェクト2026「レゴでつくる未来のまち」

実施団体:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

実施日・実施場所:2026年8月6日:Kibagabaga小学校・児童向け授業

2026年8月7日:Kibagabaga小学校・教員研修

2026年8月11日:Miyove地区・子どもおよび大人向け授業主な内容:創造性教育、問題解決学習、教員研修、都市設計学習、住民参加型地域デザイン、リーダーシップ教育

今後の展開:現地教員による授業再現の追跡、地域活動への発展、日本での3R-Forum講演会(Return, Reflect & Redesignを体感するフィードバック講演会)

関連情報コロナ禍におけるMiyove地区での感染予防・種芋支援(東京新聞掲載記事

2026年ルワンダプロジェクトにおける関連活動
一杯のそばが松戸とルワンダをつなぐ――Peace Noodle Project

団体概要

団体名:特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト

事業内容:世界とつながる学び(CoRe Loop)を軸とした探究・平和・包摂教育プログラムの企画運営/国内外の教育・食・心のケア支援 等

本件に関するお問い合わせ先

特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(事務局)

E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org

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会社概要

URL
https://nakayoshigakuen.org
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県松戸市小金原4-14-14
電話番号
047-704-9844
代表者名
中村雄一
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月