「まごチャンネル」の利用により⾼齢者の孤独感が減少傾向に
国立長寿医療研究センターとの共同研究中間報告(速報値)
株式会社チカク(東京都渋谷区、代表取締役・梶原健司、以下「チカク」)と国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(愛知県大府市、理事長・荒井秀典、以下「長寿研」)は、チカクが開発した「まごチャンネル」を利⽤した家族との密なコミュニケーションが、⾼齢者の健康や⽣活の質に与える影響についての共同研究を行っており、その中間報告をまとめました。
その中で、有効な被験者54名(平均年齢75.3歳)を対象とした速報値として、3か月間の「まごチャンネル」の利⽤により、被験者のUCLA孤独感スコア(※1)が減少する傾向を確認いたしました。
(※1)UCLA孤独感スコア:「頼れる人が誰もいないと感じることがあるか」「他の人たちから孤立していると感じることはあるか」など、全20項⽬を1~4点で評価(合計20〜80点満点)し、合計の点数が⾼いほど「孤独感が強い」傾向にある。
その中で、有効な被験者54名(平均年齢75.3歳)を対象とした速報値として、3か月間の「まごチャンネル」の利⽤により、被験者のUCLA孤独感スコア(※1)が減少する傾向を確認いたしました。
(※1)UCLA孤独感スコア:「頼れる人が誰もいないと感じることがあるか」「他の人たちから孤立していると感じることはあるか」など、全20項⽬を1~4点で評価(合計20〜80点満点)し、合計の点数が⾼いほど「孤独感が強い」傾向にある。
政府は今年2月に孤独・孤立対策担当相を新設し、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置するなど、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛生活の長期化に伴う孤独・孤立の対策が喫緊の課題となっています。
これまでに⻑寿研は「社会との多様なつながりがある⾼齢者は認知症リスクが半減する」との研究結果を発表し(※2)、また、チカクは⾼齢者世代と遠⽅の子・孫世代をつなぐ「まごチャンネル」を開発・販売しています。
(※2) Saito T, et al., Influence of social relationship domains and their combinations on incident dementia: a prospective cohort study. Journal of Epidemiology & Community Health 72(1);7-12 2018.
https://jech.bmj.com/content/72/1/7.long
(日本語版プレスリリース)
https://www.jages.net/pressroom/?action=cabinet_action_main_download&block_id=1000&room_id=919&cabinet_id=95&file_id=3353&upload_id=3941
こうしたことから、両社は、認知症など心身の健康に寄与する社会的つながりを維持する方法を模索するために、「まごチャンネル」を活用した評価研究の開始に至りました。
今回の研究では、⼀般の「まごチャンネル」新規利⽤開始ユーザーの中から、抗精神病薬等の服用がないなどの一定の条件を満たした被験者を募集。その被験者に対して、「まごチャンネル」利⽤開始前から利⽤開始後3か⽉までの間、毎⽉、孤独感スコアを評価いたしました。
「まごチャンネル」による介⼊前後の被験者54名の孤独感スコアの平均値推移
今回の中間報告において、「まごチャンネル」の利⽤により孤独感の減少傾向が見られたことは、従来の社会的つながりに加えて、遠隔でもつながりを維持・向上できる可能性を⽰唆しており、孤独を起因とする自殺や認知症などの様々な社会課題への対策として期待されます。
長寿研 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 部長 斎藤民、研究員 野口泰司は次のようにコメントしています。
「新型コロナウイルス感染症の流行から、人々の孤立や孤独は世界的課題となっています。「まごチャンネル」は、離れて暮らす家族や友人とのつながりを実感でき、また高齢者にも使用が容易であり、孤独感の解消に向けた有用なツールとなる可能性があります。今後は、さらなる検証をすすめ、「社会的健康」を維持・向上するための新しいつながりの形となることを期待します」
本研究の分担研究者で、チカク 共同創業者・佐藤未知(博士)は次のようにコメントしています。
「本件は従来対⾯コミュニケーションでしか確認されていない心理的健康への影響を、⾮対⾯コミュニケーションにより得る可能性を⽰す研究です。とりわけ現在の新型コロナウイルス感染症の影響下では対⾯コミュニケーションが歴史上類を⾒ないほどに広域で厳しく制限されており、⾼齢化先進国の我が国においてはコミュニケーション不⾜による認知症リスクの増⼤が強く懸念されます。今回の研究により、「まごチャンネル」のような⼀定以上の親密さを前提とした遠隔コミュニケーション技術が⼈間関係に与えるポジティブな影響の⼀側⾯を⽰し、孤独解消の⼀助となることを期待しています」
なお、本研究の最終的な被験者は100名前後を予定しており、今後は特に効果が強く⾒られる属性、利⽤動態などを分析し最終報告をまとめる予定です。(※3)
(※3)今回の発表は、あくまで中間報告の速報値の結果であり、最終報告の結果とは異なる場合があります。
今後もチカクは、高齢者の孤独・孤立問題をはじめとする日本の高齢化社会の課題解決に貢献してまいります。
■研究概要
課題名
遠隔的な写真・動画共有デバイスの使用による別居家族との交流促進が中高齢者の心理・社会機能に及ぼす影響:前後比較試験による feasibility 研究
対象
2020年12月時点で、50歳以上の方及びそのご家族で、「まごチャンネル」の利用開始前より、研究協力を承諾いただける方。
調査方法
「まごチャンネル」設置先の被験者が、3か月間、「まごチャンネル」を使用し、ご家族から週1回以上の頻度で送られる動画や写真を視聴。
「まごチャンネル」利用前、利用開始後1か月(4週間)・2か月(8週間)・3か月(12週間)にアンケートに回答。
研究責任者名
(研究責任者)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 研究員 野口泰司
(共同研究機関研究責任者)
株式会社チカク 代表取締役 梶原健司
(分担研究者)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 部長 斎藤民
株式会社チカク 共同創業者 佐藤未知
株式会社チカク 営業責任者 久保田洋介
■国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
長寿研は、2004年3月1日に、長寿医療を扱う6番目のナショナルセンターとして、愛知県大府市の旧国立療養所中部病院の地に設立され、2010年に独立行政法人に移行。認知症、フレイルなどの老年症候群に対する先進的な医療をはじめ、高齢者医療のモデルとなる医療の提供と超高齢社会で求められる医療・介護・福祉を担う人材育成を行っています。
https://www.ncgg.go.jp/
■株式会社チカク(まごチャンネル)
チカクは“シニア・ファースト”を掲げ、高齢者DXを推進するAgeTech(エイジテック)企業です。第一弾プロジェクトとして、スマートフォンアプリで撮影した動画や写真を実家のテレビに直接送信し、テレビの大画面とスピーカーを通してインターネットやスマートフォンの利用が苦手なシニア世代でも孫と一緒に暮らしているかのような疑似体験ができる「まごチャンネル」を開発・販売しています。
株式会社チカク:https://www.chikaku.co.jp/
まごチャンネル:https://www.mago-ch.com/
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