ispace、2026年3月期Q3決算を発表
ミッション6開発開始、JAXA実証ピンポイント着陸技術の民間活用へ本年業績見通しは修正されるものの、大部分は既存契約による収益の繰り越しであり、「会社の稼ぐ力」は変わらず
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は2月10日に2026年3月期Q3決算発表を行いました。
詳細は当社IRサイトより、本日発表の2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)資料をご参照下さい。また同サイトにて、2026年3月期Q3 決算説明資料・決算説明会 録画・決算説明会書き起こしも順次開示いたします。
当社IRサイト: https://ir.ispace-inc.com/jpn/news/
本決算説明では事業ハイライトとして、新たに開発始動の発表をしたミッション6に関する進捗について報告しました。ispaceは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)により設置された宇宙戦略基金事業第二期において、「月極域における高精度着陸技術」の実施機関として採択*¹されました。これにより、JAXAが小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon:SLIM)にて実証したピンポイント着陸技術を当社ランダーで活用し、民間企業として本技術を商業利用することを目指します。また欧州宇宙機関(ESA)との間で締結している、MAGPIE(The Mission for Advanced Geophysics and Polar Ice Exploration:先端地球物理学および極域氷探査ミッション)プロジェクト*²のフェーズ1においてこれまでの研究成果が評価され、実証段階となる後続フェーズに対してESAによる最大119億円の予算確保が発表されました。これにより欧州初のローバーによる月面探査実現を目指します。
*¹ 関連プレスリリース: https://ispace-inc.com/jpn/news/?p=8440
*² 関連プレスリリース: https://ispace-inc.com/jpn/news/?p=7624
https://ispace-inc.com/jpn/news/?p=7850
なお当社は会計上の売上高と、営業外収益に含まれる補助金収入を合わせた「プロジェクト収益」を、会社の本質的な力を示す数値として示しておりますが、このたび、2026年3月期のプロジェクト収益の見込みを、当初予測の約100億円から、約4割減となる60億円に修正いたしました。減収の大部分は、既に締結済の契約からの収益が、翌期以降へ繰り越されるものであり、一般的な「売上減」に象徴される様な、契約の喪失や需要の減退による収益減ではなく、従って「会社の稼ぐ力」である総契約金額にも変わりはありません。繰り越しが発生する背景は、ミッション3および4で共通して使用する予定である新エンジンの開発に、当初計画よりも時間を要しているためです。詳細は決算説明資料をご参照下さい。
1. 業務予想の修正
・ プロジェクト収益*³:6,000百万円
主にミッション3について、顧客からの入金が想定よりも遅れたことに伴う前受金の不足により、またミッション4についてSBIR補助金の受領の遅れにより、減収する見込みです。
・ 売上高:3,400百万円
主にミッション3について、顧客からの入金が想定よりも遅れていることに伴う前受金の不足により減収する見込みです。
・ 売上総利益:△1,400百万円
ミッション3および4における前受金不足により、原価は計上するも売上の計上に至らず赤字となる見込みです。
・ 営業損益:△10,000百万円
主にミッション3および4のエンジン開発遅延に伴う費用支出の遅れや、一部機動的に開発費を後ろ倒した影響により赤字幅が改善する見込みです。
・ 当期純損益:△7,200百万円
ミッション4の開発費発生遅れに伴いSBIR補助金収入(営業外利益)が減少したものの、為替差益の発生等により、赤字幅が改善する見込みです。
*³ 会計上の売上高にSBIR補助金からの収入(営業外収益)を加えた当社試算数値

2. 経営成績
・ 売上高:2,743百万円
ミッション3の開発進捗に伴い、前年同期比では増加となった一方、第3四半期においてミッション3に起因する売上計上の遅延が発生しました。
・ 営業損益:△6,948百万円
上記の通り、売上計上遅延およびミッション4の原価計上により売上総損失が発生し、営業損失は対前年比で拡大しました。
・ 当期純損益:△6,246百万円
主に第3四半期で発生した為替差益の影響により△62億円となり、対前年比で縮小しました。なお、Q4においては ミッション4に関連するSBIR補助金収入のうち、今年度受領分が一括計上される予定です。

・ 研究開発費:2,705百万円
日本法人において研究開発の位置づけであったミッション2からミッション4へ移行したことに伴い、ミッション費用計上の中心が研究開発から原価計上へとシフトしたため、研究開発費ベースの比較では前年同期比で減少しました。
・ 給与及び手当:1,573百万円
グループ全体の従業員数の増加(前年同期比+31名)に比例し、前年同期比で32.7%増加しました。
・ その他:2,003百万円
第3四半期の費用支出が前年同期比で減少し、累計で前年同期比は横ばいとなりました。

・ 資産:50,818百万円
現預金:主に2025年10月~11月に実施した182億円の公募増資及び第三者割当増資の影響により、 現預金が342億円となり、安定的な手元流動性を確保しています。
前渡金:主にミッション3およびミッション4の部材調達に伴い前期末比で増加しました。
・ 負債:33,972百万円
有利子負債:2025年5月の借入実施により前期末比で増加しました。
・ 純資産:16,845百万円
上述の増資により対前期末比で増加し、安定的な財務基盤を構築しています。

■ 株式会社ispace 取締役CFO 兼 事業統括エグゼクティブ 野﨑順平のコメント
「この度、宇宙戦略基金第二期「月極域における高精度着陸技術」に当社が採択され、ミッション6の開発が開始したことで、ランダーの“量産化フェーズ”への道筋がより明確になったことを大変嬉しく思います。プロジェクト収益ベースの業績見通しの修正につきましては、減収要因の大部分があくまで「翌期以降への繰り越し」であり、「会社の稼ぐ力」である総契約金額に変わりはありませんので、どうぞご安心を頂ければと思います。開発状況の進捗については今後も適時に状況を報告してまいります。」
■ 株式会社ispace ( https://ispace-inc.com/jpn/ )について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年iには、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年iiには、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4の打ち上げを予定している。
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i 2026年2月時点の想定
ⅱ当該打上げ時期については2026年2月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2026年2月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。
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