【5月12日は看護の日】離島・壱岐島の訪問看護「いしずえ壱岐」に学ぶ、医療者不足下の対策と医療的ケア児のレスパイト支援(介護者の負担軽減)

~「故郷の島で暮らしたい」地方で再現性のある運用と、iBowによる情報連携~

株式会社eWeLL

長崎県の離島・壱岐島(いきのしま)では、人口減少と医療者不足、社会資源の限界といった地方ならではの社会課題が凝縮されています。制約の中でも、在宅療養者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、訪問看護が地方で果たす役割は年々大きくなっています。

在宅医療の質と生産性の向上をDXで推進する株式会社eWeLL(イーウェル 証券コード:5038 本社:大阪市中央区)は、訪問看護専用電子カルテ「iBow(アイボウ)」を開業時から7年にわたりご利用の「訪問看護ステーションいしずえ」への取材を実施しました。

本リリースでは、壱岐島での訪問看護の実情と、医療的ケア児支援におけるレスパイト(家族の負担を軽減し休息につながる支援)によるQOL(生活の質)向上の取り組みをご紹介します。

■ 背景:離島の制約

朝鮮半島と九州の間に位置する壱岐島は「神々の島」と呼ばれ、美しい海と豊かな自然に囲まれた離島です。島民の39.3%が65歳以上の高齢者で、人口は22,979人(2026年3月末時点)と50年でおよそ半分にまで減少しています。(※1)

若年層が島外へ出て戻らない構造もあり、地域の担い手不足は医療の現場にも影響を及ぼしています。

離島・過疎地では、看護師不足などの要因から大手の訪問看護事業者は参入しづらく、限られた人材と資源の中で、在宅療養を支え続ける工夫が求められています。

壱岐島
壱岐島の港町(郷ノ浦)

■取材事例:医療的ケア児とレスパイト支援、「使える形」への落とし込み 

医療的ケア児と離島の社会資源

今回の取材では、壱岐島で家族と暮らす医療的ケアが必要な女の子・長村 磨梨生(おさむら まりぃ)ちゃんのお母さん・長村 佐知子さんにお話を伺いました。

まりぃちゃんと母・佐知子さん

まりぃちゃんは、出生時より「18トリソミー(エドワーズ症候群)」という重度疾患を抱えており、気管切開による呼吸器管理など24時間体制の医療的ケアが必要です。
「1歳の誕生日を迎えられる可能性は10%ほど」と言われたまりぃちゃんは、現在4歳になりました。

なお、医療的ケア児(0歳~19歳)は、医療技術の進歩とともに全国的に増加しています。厚生労働省によると在宅の医療的ケア児は、2005年の9,987人から2021年の20,180人へと、16年間で2倍以上となっています。(※2)


出生後、母子が本土の病院からヘリで壱岐島の自宅へ戻れたのは、まりぃちゃんが1歳の時。当時小学生だった2人のお姉ちゃんや家族とやっと暮らせるようになりました。

長村家

看護師の資格を持つ母・佐知子さん。その後、まりぃちゃんが島内の病院に入院していた折、何度も倒れてしまったそうです。

「壱岐での入院中、夜間は主治医もコール対応で看護師も少ないため、すぐには対応してもらうのが難しい。結局私がつきっきりで見ていたので体力がもたなかった」

退院して在宅療養を始めてからは、地元病院の関連施設である訪問看護ステーションに来てもらっていたものの、高齢者の多い壱岐では訪問看護も人手不足で、訪問は毎日ではなく、家族の負担は限界だったと当時を振り返ります。


なすすべもなくなって、母・佐知子さんは壱岐市長の勧めで、当時まだ開設準備中だった「訪問看護ステーションいしずえ壱岐」(以下 いしずえ壱岐)に電話をかけたと言います。

「どうか受け入れてもらえないでしょうか。もう必死でした」

2025年3月に開設したいしずえ壱岐は、現在週5回、まりぃちゃん宅を訪問しています。当初からの他社ステーションとも連携し、毎日訪問看護を受けられる体制を作り、一つのステーションに依存しないリスク分散も兼ねた体制でご家族を支えています。

また、停電時に備え、まりぃちゃんの呼吸器を維持できるよう、いしずえ壱岐では非常用発電機を購入。365日途切れのない医療的ケアの提供体制を整えています。

訪問看護ステーションいしずえ壱岐

「突然、喘息発作が出たり、家族が留守の時に一人で見るのは怖くて不安だった。何度もすぐ来てくれて、すごく救われている。本当に家族の一員みたい」(母・佐知子さん)

いつも「ただいま」と言いながら訪れる、いしずえ壱岐の管理者西山さん。母・佐知子さんは、何かあると真っ先に駆けつけてくれる西山さんをまりぃちゃんの「第二の母」と呼びます。


「レスパイトをやってくれる施設が無くて」

繊細な小児ケアを常に行い続けている家庭において、支援が十分に得られない状況は、介護者の心身の負担を増やし、結果として在宅生活の継続を難しくします。

そんな介護者の負担を軽減する支援の形が、レスパイト・ケアです。

これまで壱岐では、レスパイトの制度と自治体の予算はあったものの、島内でレスパイト先となる施設が乏しく、制度を活用された事例はほぼありませんでした。

いしずえ壱岐では、壱岐市の制度(年間96時間を上限に、1時間あたり7,500円の補助を受けられる「壱岐市医療的ケア児訪問型レスパイト事業」※3)を活用しつつ、受診同行など「通常の訪問看護の算定枠では難しい支援」を組み合わせ、家族の休息と安心につながる形でレスパイトを実装しています。

制度は「知っている」だけでは現場で機能しません。対象要件や算定ルールを確認し、現場で使える運用に落とし込むことで、支援が回り始め、ケアの質を高めます。

また、「レスパイトはもっと必要(上限時間を伸長)」という声もあります。まずは活用事例を積み重ねることが、制度の“枠”の改善・拡充につながる可能性があります。

レスパイト支援制度は、利用条件や時間上限は自治体により異なりますが、各地で導入が進んでいます。地域の制度を理解し、使える形に整えることが、医療的ケア児の家族の休息を支え、在宅生活の継続性が高まり、地域の訪問看護体制の維持にもつながります。

これは地域での雇用創出と、人口増加にも繋がる地方を元気にする連鎖の一面も持ちます。


■「訪問看護の活用価値」認知不足の課題

いしずえ代表理事 田邉友也さん

離島や過疎地など全国9カ所で「訪問看護ステーションいしずえ」を運営するNPO法人精神医療サポートセンターの代表理事 田邉友也さん(精神看護専門看護師/精神科認定看護師)は、地方では特に「訪問看護を活用する価値」が十分知られていないことが課題だと言います。

「しんどくなったら病院へ」「本土の施設に入るしかない」などの意識が根強い中、訪問看護を活用することで自宅で暮らし続けられる可能性があることを、実践(具体的な支援の形)で示していくことを田邉さんは大切にしています。

また、離島や地方では、「ご近所に知られたくない」などの事情から相談が遅れ、症状の悪化を招くケースも起こりえます。訪問看護の役割や活用方法の理解が広がり、早期の相談・支援を行うことが、本人とご家族双方の安心にもつながります。


■iBowが支える価値:離島でも「運用が回る」土台とは 

離島や過疎地では、看護師等の人材不足や、資格はあっても経験や専門スキルが異なるなど、すべての条件が揃うのは難しく、制約を受けやすい環境です。

しかし、情報が集約されていれば判断と連携の質を上げて対処することができます。いしずえ壱岐では、電子カルテ「iBow」とチャットを活用し、大阪の本部や遠隔地の関係スタッフともリアルタイムに情報共有を行っています。

オンコール(夜間・休日の緊急電話)や急変時も含め、状況把握と連携のスピードを高める運用により、少人数体制でも属人化や伝達漏れを防ぎ、安定したケアの継続を支えています。

訪問看護専用電子カルテ「iBow」(いしずえ壱岐にて)


iBowは、以下のような“運用が回る”状態を支えます。

  • 記録と情報共有の即時性を高め、申し送りの抜け漏れ・対応遅れを減らす 

  • 状態変化の早期把握により、オンコールや急変時の判断材料を集積する 

  • 離れた拠点・管理者との連携においても、共通の情報基盤として24時間機能する

eWeLLは今後も、現場での運用に根差したICT活用を通じて、訪問看護の発展を支え、より良い地域社会づくりに貢献してまいります。


なお本日、5月12日【看護の日】に長崎新聞にて、いしずえ壱岐とまりぃちゃんの記事が掲載されます。より多くの方に、看護の現場への真の理解が深まることを願っています。

そして、患者さまとご家族のために日々献身されている看護に携わるすべての方へ、感謝と敬意を込めて本記事をお届けします。

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▼関連動画

■訪問看護ステーションいしずえについて

昨日より良かった、今日を。

訪問看護ステーションいしずえは、2019年9月に事業をスタートいたしました。大阪府の泉佐野市を拠点に、大阪全域のみならず、北海道から長崎の離島まで可能な限り全国に対応し、地域の方々に看護を通じて貢献することを目指しています。

こころやからだをわずらっている方のなかには、悩み、苦しみ、どこに助けを求めればいいのかわからない状況にある方もおられます。いしずえは、さまざまな背景を抱えた方々に個別性に合わせた専門性の高い看護が提供できるよう、スタッフで一丸となり、あなたの「芯」の痛みに寄り添います。こころやからだのことでお困りの場合は、ご遠慮なく、まずはお気軽にご相談ください。

法人名:特定非営利活動法人 精神医療サポートセンター

代表者:代表理事 田邉友也(タナベ トモヤ)
住所:大阪府泉佐野市鶴原二丁目11番12号 
法人設立:2007年6月8日

法人の目的:この法人は、訪問看護事業を運営し、また、精神疾患によって様々な問題に直面している患者やその家族に対する情報提供及び相談環境の構築を行うとともに、精神看護に携わる関係者のための学習機会・研究の充実や病院を含む精神科専門施設の適切な医療行為の啓発を通じて、地域社会と調和し且つ安心できる地域福祉の推進に寄与することを目的とする。

理念:心もからだもささえる あなたのいしずえに。

事業所:「訪問看護ステーション いしずえ」(大阪府泉佐野)など全国9事業所(いしずえ壱岐(長崎県壱岐)いしずえ五島(長崎県五島)いしずえ長崎(長崎県諫早)いしずえ深川(北海道深川)いしずえ五所川原(青森県五所川原)いしずえ和歌山(和歌山県岩出)いしずえ町田(東京都町田)いしずえ松原(大阪府松原)

大阪本部:大阪府泉佐野市市場東3丁目3番8号  キノソービル2階
事業所開設:2019年9月1日

■eWeLLについて

「ひとを幸せにする」をミッションに掲げ、DXで在宅医療の業務支援を推進し、医療従事者の業務効率化と患者QOLの向上を実現するサービスを提供しています。

訪問看護向け電子カルテ「iBow」、地域全体の医療リソースを最適化し病院の退院支援を効率化するマッチングプラットフォーム「けあログっと」等を展開し、全国47都道府県で6万3千人以上の看護師等(※4)の業務で日々利用され、延べ92万人以上の在宅患者(※5)の療養を支えています。

社名:株式会社eWeLL
上場市場:東京証券取引所グロース(5038)
代表者:代表取締役社長 中野剛人(ナカノノリト)
本社:大阪市中央区久太郎町4-1-3 13F
設立:2012年6月11日

事業内容 :在宅医療分野における業務支援事業(「iBow」等のSaaS型業務支援ツールの提供、診療報酬請求業務代行サービスなど)

URL:eWeLL公式サイト https://ewell.co.jp
   eWeLL IR情報  https://ewell.co.jp/ir
   iBow公式サイト  https://ewellibow.jp
   けあログっと公式 https://carelogood.jp

※1 壱岐市 令和6年3月「壱岐市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画(概要版)」 https://www.city.iki.nagasaki.jp/material/files/group/38/gaiyou.pdf

※2 厚生労働省「医療的ケア児について」 https://www.mhlw.go.jp/content/000981371.pdf
※3 「壱岐市医療的ケア児訪問型レスパイト事業補助金交付要綱」 https://www.city.iki.nagasaki.jp/section/reiki/reiki_honbun/r014RG00001509.html
※4 2025年12月末時点におけるiBow上で稼働中職員の看護師、准看護師、専門看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、看護助手等の総数。

※5 2025年12月末時点における発行されたiBow上の訪問看護指示書の延べ対象患者数。

※ 本記事は、取材時点の情報に基づき記載しています。(取材日:2026年5月7日)

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会社概要

株式会社eWeLL

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URL
https://ewell.co.jp
業種
情報通信
本社所在地
大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1-3 大阪御堂筋ビル13F
電話番号
06-6243-3355
代表者名
中野剛人
上場
東証グロース
資本金
4億2600万円
設立
2012年06月