【SHIRO みんなのすながわプロジェクト】みんなの工場「施設設計の紆余曲折」〜建設費高騰に挑んで見えた大切なこと〜をテーマに第5回オンライン座談会を開催しました。

SHIRO

コスメティックブランドSHIROを展開する株式会社シロ(本社:東京都港区、代表取締役:福永敬弘)が推進している「みんなのすながわプロジェクト」では、7月26日(火)にオンライン座談会を実施しました。市民や本プロジェクトに興味を持ってくださる方々と共に作り上げていく過程や、運営側の想いや葛藤を赤裸々に伝える座談会は、今回で5回目となります。

「みんなの工場」の設計も終盤を迎え、ただ作りたいものをそのまま作るのではなく、VE*の視点や建設費高騰の影響も受けながら、細部まで検討を重ねたからこそ見えてきた‘本当に大切にしたいこと’や、建築資材の源である森と向き合うことから始めた持続可能な建築プロセスなど、今回もこれまでの紆余曲折を、それぞれの立場からありのままにお伝えする座談会となりました。
* Value Engineering/性能や価値を下げずにコストを抑えること

今回の登壇者は、「みんなの工場」の設計を担うアリイイリエアーキテクツの有井さんと入江さん、プロジェクトマネージャーの高山さん(Arup)、みんなのすながわプロジェクト実行委員長の今井、株式会社シロ代表取締役の福永、そしてファシリテーターとして内田さん(YET)をお迎えし、建築家とプロジェクトオーナーとその橋渡し役のプロジェクトマネージャーとが一丸となって進めてきた設計の経緯をありのままにお伝えしました。
 
  • 設計の振り返り〜削られなかった信念
最初に入江さんから、振り返って数えたら120回を超える打ち合わせの中で、VEなどの悲喜こもごもを経ても削ることなく大切にし続けた信念の説明がありました。まずはこの施設の大きなコンセプトである「世界中から人が集い、誰もが感動体験を持ち帰ることができる場所」を形にするということ。そして、初めて砂川を訪れた時に感じた、「大きな国道に貫かれ、車で通り過ぎて人の活気を感じにくい町の中で、シロの工場で働く人たちから感じた熱気を、地元の活気に繋げたい。」という入江さんの変わらない思いが語られました。閉じた箱になりがちな工場を、自然光が差し込む明るい開かれた工場にすることで、働く人にとっても誇りに思え、市民にとっても学びに満ちた風景となり、何かを始めるきっかけになれば。その想いをベースに、以下に続くさまざまな議論が展開されていきました。


​VE(減額調整)に対峙し、制約から生まれたシロならではの創造性
VE(Value Engineering)とは、建物の図面から算出された見積もりに対し、単にコストダウンをするだけではなく、何を残し何を削るかを選択する活動のこと。結果的に、大切なものは何かを常に考え抜く工程です。


「みんなの工場」では、冒頭の入江さんの振り返りにもあったように、「自然光が差し込む明るい工場でいきいきと働く人たちに更に光を当てたい」ということが建築家として大きなコンセプトになっています。通常、大きな建物では窓から遠いほど自然光が届かず暗くなってしまいますが、内部まで自然光を取り入れ明るくするために、ハイサイドライト(高窓)を大きく設計に取り入れていました。しかし、ハイサイドライトは、20cmの高さで数百万円にもなる、大きくコストに直結する設備。今井と福永は、1年の半分以上雪が降り曇天が続く中、高窓の高さがどれくらい影響するだろうか?と、疑問を投げかけ、10cm刻みで何パターンもの検証が行われました。最終的には当初より40cm下げる案に着地しましたが、それもイメージ画像から決めた結果。事前にできる検討は尽くしたが、実際はどのような明るさで、訪れる皆さんはどう感じるかまだわからないと、登壇者たちは笑い合いながら、ぜひ体感してみてほしいと視聴者にも呼びかけます。まさに、ありのままを伝え、みんなで作っていく施設であることを感じられる座談会の一コマでした。


人も素材も地産地消(地元でつくり、地元で育てる)


シロのものづくりに通ずる取り組みが、建築でも行われています。旭川市江丹別町の森から木こりの皆さん(木こりビルダーズ)が切り出した白樺を、地元の空知単板工業株式会社の工場で薄い板状に加工し、施設内ショップの什器に使われることになりました。通常の建築では、その材料や木の産地まで把握することはほぼない、と高山さんは言います。今井も、さまざまな森や製材現場などを訪問し、木こりの皆さんから建築現場までの繋がりがないことを知り、資材が高騰しているのに、その課題を打開するために繋がり合う工夫がないことに違和感があったと言います。高山さん曰く、「それは、色々なところを経由するたびに経費が加算されていく建築業界の重層構造の課題。でも今回、一番大元の素材を持っている人を訪ねる今井さんのやり方を目の当たりにし、その課題も解決出来ることがわかりました。人に出会って繋がって開発していくのは普遍的。生産者にとって、最終ユーザーの顔が見えることも喜びではないかと感じます。」今井も「生産者さんから加工会社まで何箇所もの調整が増える大変さはあるけれど、単純に森に関わる関係人口が増るのは嬉しい。全部を一社にお任せする楽な方法と、どっちが地球にとって環境にとっていいか?未来の子どもたちに残せるのか?を考えれば、自ずとわかること。子どもたちと一緒に森を作れる楽しみもあります。」と語っていました。


公式Youtubeよりアーカイブ動画もご視聴可能
「みんなのすながわプロジェクト」公式Youtubeでは、すべてのオンライン座談会とワークショップの様子をアーカイブ動画でご視聴いただけます。
動画だからこそ伝わる、プロジェクトメンバーや市民の方々など参加者の熱い議論の数々を、ぜひご確認ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Wpi4_afpxAc&t=2926s

 
  • 現在の「みんなの工場」
2022年4月末に起工式を行い、現在は工場部分の鉄骨の柱や梁を立てている段階。8月以降は、いよいよ屋根が掛けられ施設の形が見えてきます。ショップやカフェ、ラウンジなどが入る付帯施設部分は、コンクリートの流し込みや鉄骨の柱の根元を埋め込むなど、基礎を作っている状態。8月以降は、工場部分のように、鉄骨の柱や梁を立てていく作業に入っていきます。


皆さんのご意見を反映しながら設計された「みんなの工場」は、座談会でも語られたように、さまざまな想いが交差して施工に至っています。22年12月の新工場稼働まで残り5カ月。ぜひ楽しみにお待ちください。

 
  • 全国からプロボノや仲間を募集中


みんなのすながわプロジェクトでは、全国からプロボノやボランティアスタッフを募集しています。
プロジェクトのテーマは「わたしがつくる、みんなの砂川」。市民の皆さまや市外からも関わってくださるたくさんの方々と、ディスカッションを重ねながら、常に進化していくプロジェクトです。現在、子どもたちの居場所づくりに関わる「子どもサポーター部会」、豪雪地帯である砂川での冬のアクティビティを構想する「雪部会」、公式サイトの企画運営を行う「WEB部会」、プロジェクトの経緯をドキュメンタリーとして映像に残していく「映像部会」、日々進化していくプロジェクトのリアルを広く発信していく「PR部会」、そしてプロボノ活動を広め新しい人材を集める「やまびこ部会」などが活躍しています。
砂川のことを知らなくても大丈夫です。私たちのまちづくりに興味を持ち共感してくれる方、得意を活かして、一緒に楽しみながら、まちづくりをしてみませんか。
ご応募は、公式ウェブサイトよりお待ちしております。
https://shiro-sunagawa.jp/topics/2022/01/probono.html


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SHIROについて
「自分たちが毎日使いたいものをつくる」というシンプルな想いからスタートしたコスメティックブランド。自社内に開発から販売まですべての機能を持ち創業当初からエシカルな信念に基づくものづくりを続けている。国内外で出会った素材のちからを最大限に引き出すスキンケア、コスメ、フレグランスを提案。日本全国に直営店舗を展開するほか、ロンドンに実店舗を構え、台湾や米国では自社EC、中国では越境ECでの販売を行う。

会社概要
企業名   :株式会社シロ
所在地   :〒107-0061東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー9F
設立    :1989年10月23日
代表取締役 :福永 敬弘(ふくなが たかひろ)
事業内容  :自社ブランド「SHIRO」の企画、開発、製造、販売、店舗運営(「SHIRO/化粧品、雑貨」」「SHIRO LIFE/食物販」「SHIRO CAFE/飲食」「SHIRO BEAUTY/サロン」)、SHIRO オンラインストア等、通販事業運営
URL      :https://shiro-shiro.jp/

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業種
製造業
本社所在地
東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー8F
電話番号
03-6805-0220
代表者名
福永 敬弘
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1989年10月