【台湾情報】台湾電力設備製造業の概況と2022年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2022年5月第3週号発行>
〜台湾機械業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年5月第3週号を発行しました。今週号では、電力設備業界、半導体業界、高周波・マイクロ波通信部品メーカーの昇達科技(UMT)、エネルギー業界の動向について紹介します。
<最新号目次>
- 台湾電力設備製造業の概況と2022年の展望
- スマート化で加速する車載用半導体需要、台湾ICT産業は研究開発に注力
- 高周波・マイクロ波通信部品メーカー、昇達科技(UMT)
- 太陽光発電装置メーカー、養殖漁業とのソーラーシェアリング市場に注力
一、産業概況
経済部統計処の統計によると、台湾電力設備製造業の2021年の生産額は4,731億台湾元と前年比26.7%増加し、過去最高を更新した。▽景気回復、▽メーカーの生産拡大、▽洋上(オフショア)風力発電政策の推進、▽原材料価格の上昇などが貢献した。
統計処によると、台湾電力設備製造業の生産額は10年以降、毎年3,600億~4,000億元の水準を維持していた。
21年生産額のうち、業種別では電線・配線機器業が2102億元と前年比47.9%増加し、全体の約44%を占めた。需要増と銅価格の上昇が貢献した。その他の業種の生産額は▽その他電力設備業、▽発電・送電・配電機械製造業、▽家庭用電力機器業、▽電池業、▽照明機器業の順に多かった。
二、産業トッピクス
第3段階の洋上風力発電ブロック開発始動
台湾における洋上風力発電開発は、13年の第1段階「モデルファーム奨励」計画発表、18年の第2段階「ポテンシャル海域開発」の選定作業完了を経て、21年には第3段階「ブロック開発」の選定規則が発表された。
第3段階では、26~31年の設備容量9ギガワット(GW)、32~35年の6ギガワットを合わせた15ギガワットが計画されている。このうち、26~27年に送電開始予定の計3ギガワット分の入札は22年8月末に書類申請受付が締め切られる。
オーステッドの彰化沖風力発電所が発電開始
デンマークの洋上風力発電大手、オーステッドは4月21日、彰化県沖で開発を進める洋上風力発電所「大彰化西南離岸風場」(第1期)に設置した第1基目の発電機が発電に成功したと発表した。
オーステッドがアジア太平洋地域に設置した洋上風力発電機の稼働は初めて。オーステッドは彰化県沖35~60キロメートルの洋上で「大彰化東南離岸風場」と「大彰化西南離岸風場」の第1期工事を進めている。両発電所を合わせた設備容量は900メガワット(MW)と台湾最大規模となり、50年までの温室効果ガスの実質排出ゼロ(ネットゼロ)を目指す政府や企業のエネルギー転換を支える見通しだ。
三、2022年の展望
22年第1四半期の見通しについては、台湾電力(台電、TPC)の「火力発電所の新設・更新計画」や「洋上(オフショア)風力発電グリッド強化第1期計画」などが予定通り進められているため、台湾電力設備製造業の需要は従来水準を維持すると予想される。また、▽経済部が洋上風力発電の内製化政策を進めていること、▽第2段階の洋上風力発電所の工事が進められていること、▽第3段階の洋上風力ブロック開発計画が近く始動すること、▽民営の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の着工も需要を押し上げる見込みだ。
なお、台湾では一部企業がミニ発光ダイオード(LED)関連の受注増を受けて生産能力拡大を進めている。ミニLED関連需要は22年も大きく伸びる見通しで、関連メーカーの生産能力増強は今後も続くとみられる。(つづく)
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