【台湾情報】台湾金属加工機械設備製造業の産業概況と2022年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2022年6月第2週号発行>
〜台湾機械業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年6月第2週号を発行しました。今週号では、金属加工機械設備業界、専用機械設備製造業界、自動車用電装部品メーカーの為升電装工業、工作機械業界の動向をご紹介します。
<最新号目次>
- 台湾金属加工機械設備製造業の産業概況と2022年の展望
- 台湾専用機械設備製造業の産業概況と2022年の展望
- 自動車用電装部品メーカー、為升電装工業(CUB Elecparts Ins.)
- 台湾工作機械産業、グリーン化でネットゼロに対応
一、産業概況
2021年は世界各国で新型コロナウイルスのワクチン接種率が上昇したことから、新型コロナによる世界経済への影響は明らかに薄れた。製造業の経済活動も以前の水準並みに回復し、多くの国で製造業購買担当者景気指数(PMI)は「景気拡大」を示す50以上が続いた。機械業界の景気拡大で金属加工機械設備(工作機械)の調達も増加した。また、車載用半導体不足により世界中で自動車の生産に影響が出たが、自動車の需要は大きく回復し、自動車向け工作機械の需要は上昇した。
台湾では台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資を受け、機械業、金属工業の景気が拡大し、工作機械の調達が増加した。以上、輸出受注増、台湾域内の景気回復などを背景に、台湾工作機械産業の21年生産額は1223億4900万台湾元と前年比33.77%増加、販売額は1218億2400万元と32.05%増加した。
22年の世界経済は中国経済の鈍化、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けているが、台湾工作機械産業の第1四半期生産額、販売額はいずれもプラス成長が続く見通しだ。21年第4四半期の受注分が相次いで出荷されていることに加え、台商のUターン投資と台湾企業の域内投資拡大を受け、工作機械メーカーの多くは22年第2四半期まで受注見通しが立っているためだ。ただ、中国向けの需要低下などが響き、成長ペースは鈍化すると予想される。
二、カテゴリー別の販売状況
1.金属切削工作機械
22年第1四半期の各カテゴリーの販売額は大部分が成長した。金属切削工作機械のうち、販売比率の大きい「マシニングセンタ」と「NC旋盤」は自動車産業の調達金額が増加したほか、21年第4四半期の受注分が出荷されたことで、22年第1四半期の販売額はそれぞれ前年同期比29.94%増の63億5400万元、11.23%増の47億1300万元となった。「その他NC工作機械」は自動化生産の需要増加を受けて、22年第1四半期の販売額は35.17%増だった。
また、「切削工作機械部品」は、工作機械の世界生産量増加、台湾工作機械産業の販売好調を受けて調達需要が増加したため、22年第1四半期の販売額は前年同期比4.57%増の49億4100万元だった。
2. 金属成形工作機械
金属成形工作機械のうち、「プレス機」の販売額は19年から2年連続で減少したため、比較水準の昨年数値が低かったことに加えて、21年に入ってから川下メーカーの需要が回復したことから、21年の販売額は前年比56.25%増加した。22年第1四半期も受注分の出荷が続きものの、販売額は9億700万元と前年同期比1.63%減だった。
また、「液圧プレス機」の22年第1四半期の販売額は2億6000万元で、前年同期比3.08%減少した。「その他金属加工機械・部品」の22年第1四半期の販売額は前年同期比15.97%増だった。
三、今後の展望
22年も主要国の経済成長が続き、世界経済全体で成長が続く見通しだが、ロシアによるウクライナ侵攻が世界経済に悪影響を及ぼしている。台湾工作機械業界にとって重要な輸出先であるロシアが多くの国から経済制裁を科されたことで、台湾当産業のロシア向け出荷は減少する見通しだ。また、インフレ圧力を受けて米国連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを複数回実施すると予想されており、企業の投資意欲への影響が懸念される。
一方、世界の自動車、機械産業は景気拡大が続く見込みだ。米国が多方向から経済振興政策を実施して投資需要を刺激している一方、欧州でもサプライチェーンの再編を受けて工作機械の需要増加が続くとみられ、(つづく)
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