事業系食品ロス削減は「次のステージ」へ――制度・商慣習・技術・現場の最新動向を特集 新たな「2000年度比60%削減」目標の達成に向け、食品ロス削減のこれからを考察

公益財団法人流通経済研究所(東京都千代田区)は、『流通情報』2026年9月号を刊行しました。 本号では、「食品ロス削減、次のステージへ―制度・商慣習・技術・現場の最新動向」を特集しています。

流研

我が国の事業系食品ロスは、食品流通業界、行政、事業者等による長年の取組により大きく減少し、2030年度までに2000年度比50%削減するという従来の目標を前倒しで達成しました。これを受け、新たに2030年度までに同60%削減というより高い目標が設定されています。

一方で、これまでの取組によって食品ロスが大きく削減された今、さらなる削減には新たな発想が求められます。

本特集では、食品ロス削減をめぐるこれまでの成果を踏まえ、今後の課題を「取組事業者が選ばれる環境の整備」「サプライチェーン・地域全体での連携」「政策や施策の効果検証」の3つの観点から捉え直します。

 また、食品ロス削減推進法施行後の政策・制度の進展に加え、納品期限緩和などの商慣習見直し、AIを活用した需要予測、新たな技術、食品寄附、食品リサイクル、食べ残し持ち帰りなど、食品ロス削減を取り巻く最新の動向を幅広く紹介します。

URL:https://www.dei.or.jp/information/info01

「減らす」だけではない、食品ロス削減の新たな局面

食品ロス削減の取組は、単純に廃棄を減らす段階から食品の価値をできる限り生かし、サプライチェーン全体で最適化する段階へと広がっています。

例えば、商慣習の見直しでは、納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化・賞味期限延長が進展しています。

技術面では、AIによる需要予測を活用した発注・生産の高度化に加え、ダイナミックプライシング、アップサイクル、画像認識などさまざまな新技術の活用可能性が広がっています。

さらに、未利用食品の有効活用では、食品寄附を支えるフードバンク認証制度が始まり、外食分野では食べ残し持ち帰り「mottECO」の普及に向けた取組も進められています。

 こうした動きは、食品ロス削減が「廃棄を減らす」という一つの課題にとどまらず、食品サプライチェーンのあり方そのものを見直すテーマになっていることを示しています。

本特集で取り上げる主な論点

本特集では、行政、研究者、企業など多様な立場から、食品ロス削減の現在と今後の方向性を論じています。

新たな削減目標と政策の展望

― 農林水産省 新事業・食品産業部 外食・食文化課 食品ロス・リサイクル対策室

農林水産省論文では、事業系食品ロスの新たな削減目標や制度改正をはじめ、商慣習の見直し、食品寄附、食品リサイクル、取組の見える化など、目標達成に向けた政策の最新動向を解説します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

食品寄附を支える「フードバンク認証制度」

― 消費者庁 消費者教育推進課(前)食品ロス削減推進室 係長 岩田 敏治

消費者庁論文では、食品寄附への社会的信頼を高め、企業等からフードバンクへの食品寄附を促進することを目的とした「フードバンク認証制度」について、その背景や仕組み、食品寄附者・フードバンクに期待される役割を紹介します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

商慣習見直しはどこまで進んだのか

― 公益財団法人流通経済研究所 上席研究員  石川 友博

納品期限緩和を中心とした商慣習見直しについては、実証実験、流通データ分析、消費者調査等から得られた知見を整理。取組企業が増加する一方で、依然として残る課題と、今後求められる企業間連携について考察します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

食品ロス削減を支える新技術

― 公益財団法人流通経済研究所 研究員    寺田 奈津美

需要予測、シェアリング、食品生産製造のスマート化、賞味期限延長、物流、ダイナミックプライシング、アップサイクル、食品廃棄量管理、画像認識という9分野から、新技術の動向と今後の可能性を整理します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

需要予測を「共通言語」にしたサプライチェーン最適化

― 一般財団法人日本気象協会 商品需要予測事業 プロジェクトリーダー 中野 俊夫

気象、人流、暦、販売促進などのデータを活用した需要予測について、小売業の発注高度化だけでなく、製造業の受注に基づく生産へ近づけるCPFRの有効性を論じます。需要予測を企業間連携の共通言語として活用することで、食品ロス削減とサプライチェーン全体の最適化を目指す考え方を紹介します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

イオンによる食品ロス削減と資源循環

― イオン株式会社 責任者 サスティナビリティ担当 兼 環境・社会貢献部長 渡邉 祐子

イオン株式会社の取組では、AI需要予測や製造量の最適化、売り切りなどによる発生抑制と、食品リサイクルループによる資源循環を両輪とした取組を紹介。2040年に向けた新たな目標と、地域循環型モデルの方向性について論じます。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

食べ残し持ち帰り「mottECO」の普及に向けて

― 公益財団法人流通経済研究所 主任研究員 

船井 隆

食べ残し持ち帰り「mottECO」について、ガイドラインに準拠した運用と店舗負担の軽減を両立する実証結果を紹介するとともに、mottECOが「望ましい取組」から社会に定着した「当たり前の選択肢」へと移行する可能性を考察します。

『流通情報』2026年9月号より抜粋

食品ロス削減を「次のステージ」へ

食品ロス削減は、これまでの15年間で大きく進展しました。

今後は、個々の事業者が努力するだけではなく、食品ロス削減に取り組む事業者が評価され、選ばれる環境をつくること、メーカー・卸・小売・外食・物流・行政・消費者・フードバンク等が連携してサプライチェーンや地域全体の課題を解決すること、そして、どのような政策や施策が実際に事業者の行動変容につながるのかを検証していくことが重要になります。

「2000年度比60%削減」という新たな目標の達成に向け、食品ロス削減は次のステージを迎えています。

 本特集が、食品ロス削減に関わる事業者、行政、研究者等にとって、これからの取組を考えるための一助となることを期待しています。

発行日:2026年9月1日(火)

詳細:https://www.dei.or.jp/information/info01

◇特集 「食品ロス削減、次のステージへ―制度・商慣習・技術・現場の最新動向」

掲載論文

  • 食品ロス削減・食品リサイクル政策の現在と展望―事業系食品ロス削減目標等の達成に向けて

  • フードバンク認証制度について

  • 納品期限緩和を中心とした商慣習見直しの進展と今後の課題―食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームの活動報告と展望―

  • 食品ロス削減に資する新技術の動向と今後の展望

  • 需要予測を活用した流通の最適化

  • 食品廃棄のない社会へ―イオンの食品ロス削減と資源循環の新たな挑戦

  • 食べ残し持ち帰り「mottECO」普及の転換点:「やる理由」ではなく「やらない理由」が問われるとき

◇視点 「熊本地震と社会インフラとしての小売業」―公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学 商学部 教授 渡辺 達朗

◆研究情報誌 『流通情報』

『流通情報』は、流通活動・マーケティングのトピックにフォーカスしたインサイドレポート集です。

食品業界、小売業、卸売業、物流業などの流通業や研究者・学生など、多岐にわたる分野の関係者に向けて、当研究所の研究員による報告など、他では得られない独自のコンテンツを提供しています。

公益財団法人流通経済研究所の研究情報誌『流通情報』

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本社所在地
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電話番号
03-5213-4531
代表者名
加藤弘貴
上場
未上場
資本金
-
設立
1966年10月