【開催レポート】インタセクト、CCCJ WEEK 2025 インバウンド分科会でモデレーターを担当
鉄道・百貨店・ホテル・航空・観光マーケティングのキープレイヤーが集結、訪日観光6000万人目標達成に向けた課題と解決策を討議

中国・台湾などの海外プロモーション・インバウンド支援を行うインタセクト・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:譚 玉峰)は、一般社団法人 日本中華總商会主催「CCCJ WEEK 2025 インバウンド分科会」において、当社社員がモデレーターを務めたことをお知らせいたします。
過去最速ペースで増え続ける訪日客と、各地で顕在化する受入れ課題――いまをどう解き、6,000万人時代に何を整えるべきなのか。登壇者の言葉から手がかりをたどります。
日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年1~7月の訪日客は2,495万人と過去最高のペースで推移する一方、オーバーツーリズムなどの課題が一部地域で表面化しています。
本セッションの目的は、急伸する訪日需要のもとで各分野が直面する課題を共有し、6,000万人時代を見据えた実装可能な方向性を多角的に検討することにありました。鉄道・小売・宿泊・航空のキープレイヤーが現場知見を持ち寄り、課題認識と優先順位の共通化を図る場となりました。本レポートでは、当日の発言に沿って主要論点と示唆を、講演1・講演2・パネルディスカッションの順に簡潔に記録します。
※おことわり・・本レポートは、登壇者の発言内容をもとに報道用として簡略化・整理してまとめたものであり、各登壇者やその所属団体の公式且つ詳細な見解を示すものではありません。
■実施概要(インバウンド分科会)
日時:2025年9月9日(火)
会場:ベルサール東京日本橋
主催:一般社団法人 日本中華總商会(CCCJ)
運営:インバウンド協議会委員会(CCCJ内)
登壇者: ※五十音順
・株式会社阪急阪神百貨店
海外顧客ビジネスグループ 海外顧客事業部 ゼネラルマネージャー 白井康之氏
・株式会社アゴーラホスピタリティーグループ 代表取締役社長兼CEO セン・ソヘイ氏
・観光・インバウンド・デジタルマーケティングプロデューサー 高橋敦司氏
・南海電気鉄道株式会社 まちづくり推進室 グレーターなんば創造部長 寺田成氏
・トキエア 株式会社 代表取締役 長谷川政樹氏
モデレーター:インタセクト・コミュニケーションズ 海外広告推進グループ 部長代理 下川雅博
※各登壇者のプロフィールは8月12日付のプレスリリースをご参照ください
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000032118.html
■講演1「グレーターなんばのまちづくり」

登壇者:
まちづくり推進室 グレーターなんば創造部長
寺田成氏
※参考
南海電鉄 なんばエリアでのまちづくり
背景と課題認識:
南海電鉄は140年の歴史を持つものの、人口減少や定期券収入の減少で鉄道収益が縮小。2031年開業予定のなにわ筋新線により「ターミナル機能としてのなんばの価値」が低下する恐れがあり、鉄道依存からエリア全体の価値創造へ転換する必要性を説明。
なんばエリアの強み:
食・出会い・回遊を組み合わせた回遊性、江戸時代の米蔵からたばこ工場、GHQ接収、大阪球場を経てショッピングセンターに至る歴史レイヤー、吉本興業によるエンタメ・エコシステム、新世界などの庶民性を特徴として挙げた。
グレーターなんばのビジョン:
道頓堀〜なんば〜日本橋〜新今宮~通天閣・新世界までを歩いて楽しい「面」として整備し、アジア若年層だけでなく欧米・豪州や富裕層、ファミリー世代までターゲットを拡大。
ウォーカブルな街づくり、多言語対応、安全安心の見える化を進める。
実装例と施策:
18年かけて地元主導で完成したなんば広場をイルミネーションやプロレスイベントなどソフト起点で検証。新駅周辺のライフ・ステイ競争エリア、南海保有地の再開発、日本橋のオタク文化、新今宮の低価格ステイ層を組み合わせたエリア編成や、通天閣取得による新世界の価値向上を紹介。
メッセージ:
「鉄道だけでは利益が取りにくい時代。だからこそ“面としての価値”で選ばれる街にする」「箱は後。まず“ソフトから”何ができるかを決めてから器を考える」と締めくくった。
■講演2「多様化するインバウンドの今後の戦略」

部門設立と初期施策:
2018年にインバウンド専門部門を新設し、2019年にはWeChat Payを百貨店で旗艦店として導入。コロナ禍でも部門を維持してVIP顧客クラブを育成し、免税売上をV字回復させた実績を報告。
顧客化戦略:
訪日客を「観光客」ではなく「顧客」と捉え、百貨店をつながり続ける場所へと再定義。年間一定額以上購入実績をお持ちのVIPクラブは4.5万人規模に拡大し、WeChat等を通じた継続的コミュニケーションが収益の柱となっている。
サービス領域の拡張:
金沢の工芸体験ツアーでは非公開アトリエ訪問から受注発注、免税販売までを一体化した「三方よし」モデルを紹介。関空エリアでも地元DMOとの連携でプレミアム体験を開発し、不動産紹介やゴルフ場、医療・美容、ホテルなど百貨店外のサービスコンテンツも拡充しつつある。
将来の方向性:
日本ならではのアニメや伝統工芸とファッションなどを掛け合わせた商品開発、旅行業ライセンス取得による体験造成〜販売〜免税〜配送〜アフターケアの一貫提供、地域自治体との連携による地域活性化により、海外富裕層需要の取り込みを進めると述べた。
メッセージ:
「観光客ではなく“海外顧客”として捉え、つながり続ける仕組みをつくる」「ショッピングと観光をセットで楽しめる“ショッピングツーリズム”が鍵」と強調した
■パネルディスカッション
登壇者(ステージ上手側より着席順):


観光・インバウンド・デジタル
マーケティングプロデューサー
高橋敦司氏


モデレーター:
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社 海外広告推進グループ 部長代理 下川雅博
共通課題の認識
登壇者は、6000万人目標の達成に向けて東京・大阪・京都への過集中や輸送・宿泊キャパシティ不足、キャッシュレスと多言語対応の遅れ、住民合意形成の難しさといった課題を共有しました。
パネルディスカッションでのコメント・提言例
◆寺田成氏(南海電鉄)
沿線分散と生活環境整備:
関西空港となんばを結ぶ動線を沿線各地へ「にじみ出し」させ、観光客の滞在を分散させるとともに、教育・医療・住宅など外国人労働者が定住しやすい生活環境を整備する必要があると提案。
キャッシュレスと連携強化:
「海外の人はクレジットカードが強い。ロッカーをいち早くクレカ対応にしている」と述べ、鉄道や施設のキャッシュレス対応を推進し、沿線自治体や企業と連携して新しい回遊ルートを開発する方針を示した。
◆白井康之氏(阪急阪神百貨店)
伝統産業の高付加価値化:
職人の後継者不足と国内市場の低収益を課題に挙げ、工芸体験やVIP同伴ツアーで海外富裕層向けに高付加価値なサービスを提供するモデルを構築したいと話した。
VIP顧客基盤の海外連携:
海外金融機関との提携を拡大し、百貨店と地元企業が連携することで地方の工芸や食文化をインバウンドVIP顧客に紹介し、地方に利益を還元する取り組みを強調した。
◆セン・ソヘイ氏(アゴーラホスピタリティーグループ)
DXによるサービス向上:
DXを人員削減目的ではなくサービス向上の手段と位置づけ、顔認証や自動チェックインを導入して省力化しつつ「お帰りなさい」と声をかける温かいホスピタリティを実現する方針を示した。
地方型宿泊モデルの推進:
小規模宿泊施設と地域文化体験を組み合わせた滞在価値の向上を提唱し、地方自治体や地元企業と連携して観光客の地方分散と滞在時間の伸長を目指すと述べた。
◆高橋敦司氏(観光マーケティングプロデューサー)
輸送・宿泊キャパシティの可視化と直行ネットワーク:
東京から放射状に広がる鉄道ネットワークだけでは6000万人をさばききれないと指摘し、東京経由に依存しない直行ルートや地方間ネットワークの構築、宿泊キャパシティをリアルタイムで可視化するダッシュボードの必要性を提案した。
住民合意形成とDMO機能強化:
「観光で生活維持できる」ことを説得力を持って語ることが鍵と述べ、観光収入が上下水道やごみ収集などのインフラ維持に直結する事実を住民に伝える広報活動を、自治体やDMOが強化すべきだと主張した。
◆長谷川政樹氏(トキエア)
平日需要の創出と新コンテンツ:
ビジネス客の減少で週末偏重となっている需要構造を変えるため、平日のインバウンド誘客が不可欠と説明。佐渡島空港の活用や花火・富士山の遊覧飛行など富裕層向けの新コンテンツ開発に取り組むと述べた。
航空×鉄道の連携と地方間ルート:
「東京から飛べば1時間10分、佐渡の世界が変わる」と語り、仙台–新潟など鉄道でカバーできない区間を短距離航空で補完し、鉄道と協調した広域回遊ルートを造成する意義を提言した。
入国ゲートの分散:
地方空港の国際化やチャーター/季節便の活用により、入国から地方へ直行できる導線を増やす必要性を述べた。
共通の方向性
議論の総括として、「分散戦略」「交通連携」「受入れDX」「住民合意」の四本柱が共有されました。各業界が連携し、VIP顧客や地方工芸体験を実証モデルとしながらキャッシュレス対応やDXによる受入れ環境を整備することが、6000万人時代の実現に向けた鍵であると確認されました。
当社の今後の取り組み
当社は本分科会への参画を通じ、都市部への過集中や受入れインフラの課題を改めて認識しました。
本分科会で共有された課題を踏まえ、観光DXを軸とした受入環境の整備(キャッシュレス決済・無人店舗・事前予約システム等)、都市から地方へ“にじみ出す”ためのと広域回遊の設計と認知施策、旅ナカ施策での誘導促進と効果検証までを連続した一つの導線として進めます。
全国の自治体・DMOや地域に根付いた民間企業と連携し、訪日客の体験価値の向上と地域の受け入れ持続性の継続を目指し、地域経済の持続的な発展に貢献してまいります。
■日本中華總商会(CCCJ)について
正式名称:一般社団法人日本中華總商会
代表者 :会長 䔥敬如
Webサイト:https://cccj.jp/
日本中華總商会(CCCJ)は、在日華僑華人企業を主体として1999年9月9日に設立され、2012年に一般社団法人として登録された経済団体です。日本企業との交流や、世界各地の華人組織との連携を通じ、会員企業と地域経済の発展に寄与することを目的としています。
なお、当社代表の譚玉峰はCCCJの副会長を務めています。本インバウンド分科会はCCCJが主催し、CCCJ内の「インバウンド協議会委員会」が運営、事務局への協力体制として当社が実務支援を行いました。
■会社概要
商号 :インタセクト・コミュニケーションズ株式会社
代表者 :代表取締役社長 譚玉峰
所在地 :〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目1番地 B・Mビル2F
国内拠点:東京・北海道(札幌)・京都・大阪・姫路、沖縄(那覇・グループ企業)
https://www.intasect.com/company/access.html
設立 :2000年11月
事業内容 :中国本土・台湾を主軸とした観光DXによる海外プロモーション・インバウンド(訪日誘客)支援、中国向け越境EC、アフィリエイト運用代行、アフィリエイトサイトパトロール、システム開発等
資本金 :9,856万円
URL :https://www.intasect.com/
2000年に設立した日本国内及び中国大陸・台湾地域を主体とした海外プロモーション・システム開発企業で、以下のとおり、幅広い事業を展開しています。
国内海外QR決済ソリューション「IntaPay」、海外向けとしては、生成AIを用いた観光DXによる訪日誘客施策・旅ナカ回遊促進、百度広告やSNS、在日・海外インフルエンサーなどの海外デジタル広告、WeChatミニプログラム開発、越境EC等の海外販路拡大。
また、アフィリエイト広告運用及びアフィリエイトサイトパトロール、SIサービス、ERP事業、BPM、電子契約、ウォークスルー型無人AI店舗、モバイルオーダー「eateat」、添削・共有・指示ツールの「Passton」等、国内外においてDX技術を用いた幅広い事業を展開中です。
実績事例はこちらをご参照ください。
2025年現在、国内・中国本土あわせ10拠点以上、グループ全体の従業員数は約1,000名となっています。
【本件に関するお問い合わせ】
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社 海外広告推進グループ
電話:03-3233-3527 (営業時間: 平日9:00~18:00)
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