【沖縄美ら海水族館】枯れ葉そっくりの稚魚 日本初「ナンヨウツバメウオ」の繁殖に成功
このたび、沖縄美ら海水族館(所在地:沖縄県国頭郡本部町 館長:佐藤 圭一)では、日本初となる「ナンヨウツバメウオ」の繁殖に成功し、「サンゴ礁への旅 個水槽」にて稚魚の展示を開始しましたのでお知らせいたします。

【ナンヨウツバメウオ】
学 名:Platax orbicularis
英 名:Orbicular batfish
日本では岩手県から沖縄県にかけて分布するマンジュウダイ科魚類で、全長50㎝ほどに達します。
稚魚は全身が茶褐色で枯れ葉のような形態をしており、漁港や河川汽水域などの水面付近を漂うように泳ぐ姿がみられます。成魚は全身が銀色味を帯び、サンゴ礁域で数匹から数十匹ほどの群れで遊泳します。
展示場所:サンゴ礁への旅 個水槽
展示個体:2個体 全長:約6㎝
※生き物の状況により展示を終了することがあります。あらかじめご了承ください。
親魚は、2013年から2016年にかけて沖縄島北部より搬入した3個体です。
2025年9月14日夕方頃から、雄2個体が雌1個体を盛んに追尾する行動が観察されました。
その後、18日朝に直径約1.3 mmの受精卵を回収し、孵化槽に収容したところ同日夜に孵化しました。
本種の受精卵(発眼卵)は、飼育槽の塩分(32 psu)で静置した場合、一般的な海産魚類の卵のように水面には浮かず、水槽底部に沈むことが確認されました。
仔魚は体の前半部が丸みを帯びた体形をしており、孵化後約2週間は水底付近を遊泳していましたが、その後、わずか2日ほどで体高が急激に増加し、稚魚期特有の枯れ葉のような姿に変化しました。
これと同時に遊泳場所が水面付近へと移行する様子も観察されました。



今回の繁殖成功により、本種は仔魚期から稚魚期に移行する過程で、短期間のうちに形態と遊泳方法を大きく変化させることが判明しました。
この知見は、本種の稚魚が示す特異な色彩・形態の理解を深めるうえで大変興味深く、海産魚類の初期生活史や擬態行動に関する研究への貢献が期待されます。
沖縄美ら海水族館では、生物の繁殖を通じて展示生物への理解を深め、保全に役立ててまいります。
■沖縄美ら海水族館について
「沖縄美ら海水族館(おきなわちゅらうみすいぞくかん)」は、沖縄本島北部で持続可能な観光と地域振興をけん引する拠点施設です。沖縄の生物多様性を再現するコンセプトのもと、「沖縄の海との出会い」をテーマに、南西諸島や黒潮に息づく多様な生態系を再現・展示し、その価値を次世代へ継承する役割を担います。目標実現のため、希少生物の保全・繁殖研究や生物多様性に関する先進的な研究を独自に推進し、科学的知見に基づいた質の高い教育の機会をすべての人に提供しています。なお、名称の“ちゅら”は沖縄の言葉で「美しい」「清(きよ)らしい」を意味し、当館の理念を象徴しています。
※ 沖縄美ら海水族館は、国営沖縄記念公園(海洋博公園)の一施設で、「一般財団法人 沖縄美ら島財団(URL https://churashima.okinawa/)」が管理・運営しています。
■海洋博公園について
海洋博公園は、沖縄の「太陽と花と海」を体感できる国営公園です。「沖縄の海との出会い」をテーマにした”沖縄美ら海水族館”や亜熱帯気候の植物が楽しめる”熱帯ドリームセンター”、太平洋地域および沖縄の海洋民族の歴史・文化を発信する”海洋文化館”、郷土文化を伝える”おきなわ郷土村”など多彩な施設を有します。
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