【提言】日本のジョブ型人事導入に向けたロードマップ
人材のスキル可視化のための共通言語をいかに構築するか
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、政府が打ち出す「三位一体の労働市場改革」実現に必要となる、労働市場における職務やスキルに関する共通言語構築に向けたロードマップを作成しました。そして、日本の人材流動化を推進させる具体的な6つの方策について提言します。
1. 背景
失われた30年を経て、日本経済はようやくデフレからの脱却が見通せるようになり、24年の春闘では実に33年ぶりという高い賃上げ水準が実現されました。賃上げを持続させ、経済を成長軌道に乗せるためには生産性の向上が不可欠であり、その実現には人材を成長分野に振り向けることが必要です。
こうした中、政府は8月末に「ジョブ型人事指針」を公表し、企業が個々の職務に応じて必要となるスキルを設定、従業員が自ら職務やリスキリングの内容を選択していくジョブ型人事(職務給)に移行するためのガイドラインを示しました。
一方、政府がうたう「内部労働市場と外部労働市場※のシームレスな接続」の実現には、内外労働市場が職務やスキルに関する共通言語を持つことが不可欠ですが、日本の労働市場にはこうした共通言語が整備されていません。
今回、MRIでは、人材流動化に必要となる情報を「職の共通言語」と定義し、その構築に向けた具体的な方策について提言します。
※内部労働市場とは企業内の労働市場(従業員の配置転換など)、外部労働市場とは企業と外部の間の労働市場(新卒・中途採用や転職など)を指す。
2. 本提言の概要
本提言は、スキルベースを含む「職の共通言語」の社会実装に向けて、可視化の先も見据えた具体的なステップを示すことを目的としています。日本の労働市場における課題点をアクター別に明確化した上で実装に向けたロードマップを提示し、6つの具体的な政策を提言します。
行政への提言
提言1:ビジョンと産官学役割分担の提示
提言2:民間サービサーを通じた情報活用の促進
提言3:企業のジョブ型導入後押し
企業への提言
提言4:前提となる目的(パーパス)の明確化
提言5:内に閉じない職務・スキル可視化の推進
産業団体/人材・教育事業者への提言
提言6:人材流動化エコシステムの一員としてスキルベース共通言語の普及促進
詳細はレポート本文をご参照ください。
3. 今後の予定
今後、三位一体の労働市場改革が進展する中、MRIは総合的・科学的・客観的なデータに基づき分析・提言します。また、行政や企業、内外の研究機関と連携しながら、日本の労働市場における人材の円滑な移動を通じた経済活性化に貢献します。
この一環として、9月25日(水)に海外の有識者を交えた「デジタル技術革新と労働市場改革」と題する国際ワークショップを開催します。生成AIを含むデジタル技術が仕事に与える影響や、それに対応するための労働市場改革に関心をお持ちの多くの方々の参加をお待ちしています。
レポート全文
日本のジョブ型人事導入に向けたロードマップ 職の共通言語をいかに構築していくか [3.8MB]
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