エネルギー危機をよそに、企業のクリーンエネルギー調達は過去最高に
企業は長期契約を通じて36.7ギガワットのクリーン電力を調達しアメリカ地域およびアジア太平洋地域で力強い成長を遂げる:ブルームバーグNEF
【ニューヨーク、ロンドン-2023年2月9日】世界的なエネルギー危機、サプライチェーンのボトルネック、および高い金利に関わらず、民間企業と公的機関は、2022年に過去最高である36.7ギガワット(GW)のクリーン電力の電力購入契約(PPA)を発表しました。これは、2021年と比べて18%増となっています。
ブルームバーグNEF(BNEF)の2023年上半期の「企業のエネルギー市場見通し(Corporate Energy Market Outlook)」では、世界36の市場でPPAを発表した、アマゾン、フォード、マクドナルドなどを含む167の企業を取り上げています。2008年以降、企業は合計148GWに及ぶクリーン電力のPPAを締結しており、これはフランスの全発電容量を上回る値です。
BNEFのサステナビリティ分析部門長であるカイル・ハリソンは、次のように述べています。「企業のクリーンエネルギー調達は、ESG投資の他分野が厳しい視線を浴びる中、揺るぎない安定感を保っています。企業は世界の主要市場のほとんどで大規模のクリーンエネルギーにアクセスできます。経済性があり、エネルギー市場が変動する中、PPAはCFOのリスク軽減戦略として普及してきました」
図1:世界におけるコーポレートPPA契約量(地域別)
世界の主要3地域のうち2地域で活動が加速化しました。締結済みの契約(GW表示)はアメリカ地域で18%増加し、過去最高の24.1GWとなりました。特に米国と中南米の両地域で増加が見られました。米国では、バーチャルPPAと呼ばれる、電力を顧客に直接送電するのではなく、クリーン電力を卸電力市場においてスポット価格で販売するスキームが採用されています。この契約は買い手にとって比較的締結しやすく、電力価格の高騰をヘッジすることができます。チリとブラジルのへき地における作業でクリーン電力を利用しようとする鉱業会社が、中南米でのPPA活動のけん引役となりました。
アジア太平洋地域では、インドとオーストラリアがけん引し、コーポレートPPAの締結量が2倍以上増加して4.6GWとなりました。PPAモデルは、同地域の主要市場である日本、中国、韓国で幅広く利用できるようになりました。これは1年前には見られなかったことです。再生可能エネルギー100%の目標を設定する企業が増えていることから、同地域全体の活動は今後も大幅に成長し続けると予想されます。
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域での活動は7%減少し、2022年には8.1GWとなりました。これは主に同地域のエネルギー危機によるものです。欧州全体のエネルギー価格の上昇を反映するために、より厳格なPPAを求めるようになったデベロッパーもいれば、PPAを締結せずに卸電力市場で取引をするデベロッパーもいました。一方で、EMEAにおけるPPA市場は、天然ガス価格の低下と欧州委員会が提案した電力市場改革のため、2023年には回復する可能性があります。
2022年にクリーンエネルギー契約を結んだ米国企業は、10.9GWのPPAを締結したアマゾンを筆頭に、メタ(2.6GW)、グーグル(1.6GW)、マイクロソフト(1.3GW)と続き、ビッグ・テックが今後も同市場を占有していくと思われます。アマゾンはこれまでに合計24.8GWのPPAを発表しており、電力会社を含め世界第7位のクリーンエネルギーポートフォリオを保有しています。急速に成長する電力需要を満たすため、テクノロジー企業はクリーンエネルギー調達を継続する必要に迫られるでしょう。
図2:2022年のクリーンエネルギー購入上位企業
2022年にクリーン電力調達の契約を締結した買い手企業は、少なくとも135のプロジェクトデベロッパーと提携しています。米国バージニア州に本拠を置くAESコーポレーションは、2022年に2.8GWのPPAを締結し、売り手として首位を占めました。エンジー(1.6GW)とアクシオナ(1.1GW)がこれに続きます。これらの企業はいずれも、顧客の電力需要プロフィールに合わせカスタマイズした契約を提供しました。
クリーン電力を事業活動に取り入れようとする企業や団体は増え続けています。2022年には56社が新たにRE100(事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ)に加わり、将来的に消費電力を100%クリーンエネルギーにすることを目標としています。RE100の加盟企業397社は、これまでに合計で推定249テラワット時のクリーン電力を調達してきましたが、目標達成には2030年に290テラワット時をさらに調達する必要があるとBNEFでは予測しています。使用電力をカーボンフリー電力で1年を通じて時間単位でカバーしようとするグーグルやマイクロソフトなどの企業の場合、カーボンフリー電力需要はさらに高まることになります。
「1時間単位でのカーボンフリーエネルギー電力目標に移行したり、電力供給の信頼性を向上させる目的でクリーンエネルギー契約を締結したりと、クリーンエネルギー調達を行う企業の中で進展が見られています。安定した電力供給や調整力を提供できるデベロッパーは、企業のクリーンエネルギー需要を基に、この市場で大いに成功を収めることができるでしょう」」とハリソンは述べています。
BNEFは、企業のクリーン電力調達に関するデータを毎月更新し、企業のクリーンエネルギー調達戦略に関する市場見通しを年に2回公表しています。
ブルームバーグNEFについて
ブルームバーグNEF(BNEF)は、世界の脱炭素化についての戦略的な分析を提供する、ブルームバーグのリサーチ部門です。各国のアナリストが、脱炭素社会の実現に向けての鍵となる最先端の技術、政策、金融動向を追い、排出量の多いセクターを中心にデータやリサーチを日々配信。政府・金融・企業の戦略立案者を中心とする幅広いユーザー層にご活用いただいております。
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BNEFのサステナビリティ分析部門長であるカイル・ハリソンは、次のように述べています。「企業のクリーンエネルギー調達は、ESG投資の他分野が厳しい視線を浴びる中、揺るぎない安定感を保っています。企業は世界の主要市場のほとんどで大規模のクリーンエネルギーにアクセスできます。経済性があり、エネルギー市場が変動する中、PPAはCFOのリスク軽減戦略として普及してきました」
図1:世界におけるコーポレートPPA契約量(地域別)
出所:ブルームバーグNEF注:オンサイトPPAは除外されます。アジア太平洋地域のデータは予想値です。メキシコにおける市場改革前のPPAおよびオーストラリアにおける小売り事業者を通じたPPAは除外されています。契約容量の単位は直流ベースです。
世界の主要3地域のうち2地域で活動が加速化しました。締結済みの契約(GW表示)はアメリカ地域で18%増加し、過去最高の24.1GWとなりました。特に米国と中南米の両地域で増加が見られました。米国では、バーチャルPPAと呼ばれる、電力を顧客に直接送電するのではなく、クリーン電力を卸電力市場においてスポット価格で販売するスキームが採用されています。この契約は買い手にとって比較的締結しやすく、電力価格の高騰をヘッジすることができます。チリとブラジルのへき地における作業でクリーン電力を利用しようとする鉱業会社が、中南米でのPPA活動のけん引役となりました。
アジア太平洋地域では、インドとオーストラリアがけん引し、コーポレートPPAの締結量が2倍以上増加して4.6GWとなりました。PPAモデルは、同地域の主要市場である日本、中国、韓国で幅広く利用できるようになりました。これは1年前には見られなかったことです。再生可能エネルギー100%の目標を設定する企業が増えていることから、同地域全体の活動は今後も大幅に成長し続けると予想されます。
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域での活動は7%減少し、2022年には8.1GWとなりました。これは主に同地域のエネルギー危機によるものです。欧州全体のエネルギー価格の上昇を反映するために、より厳格なPPAを求めるようになったデベロッパーもいれば、PPAを締結せずに卸電力市場で取引をするデベロッパーもいました。一方で、EMEAにおけるPPA市場は、天然ガス価格の低下と欧州委員会が提案した電力市場改革のため、2023年には回復する可能性があります。
2022年にクリーンエネルギー契約を結んだ米国企業は、10.9GWのPPAを締結したアマゾンを筆頭に、メタ(2.6GW)、グーグル(1.6GW)、マイクロソフト(1.3GW)と続き、ビッグ・テックが今後も同市場を占有していくと思われます。アマゾンはこれまでに合計24.8GWのPPAを発表しており、電力会社を含め世界第7位のクリーンエネルギーポートフォリオを保有しています。急速に成長する電力需要を満たすため、テクノロジー企業はクリーンエネルギー調達を継続する必要に迫られるでしょう。
図2:2022年のクリーンエネルギー購入上位企業
出所:ブルームバーグNEF注:オンサイトPPAは除外されます。データは公開情報に基づき、交流(AC)ではなく直流(DC)容量で開示されています。
2022年にクリーン電力調達の契約を締結した買い手企業は、少なくとも135のプロジェクトデベロッパーと提携しています。米国バージニア州に本拠を置くAESコーポレーションは、2022年に2.8GWのPPAを締結し、売り手として首位を占めました。エンジー(1.6GW)とアクシオナ(1.1GW)がこれに続きます。これらの企業はいずれも、顧客の電力需要プロフィールに合わせカスタマイズした契約を提供しました。
クリーン電力を事業活動に取り入れようとする企業や団体は増え続けています。2022年には56社が新たにRE100(事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ)に加わり、将来的に消費電力を100%クリーンエネルギーにすることを目標としています。RE100の加盟企業397社は、これまでに合計で推定249テラワット時のクリーン電力を調達してきましたが、目標達成には2030年に290テラワット時をさらに調達する必要があるとBNEFでは予測しています。使用電力をカーボンフリー電力で1年を通じて時間単位でカバーしようとするグーグルやマイクロソフトなどの企業の場合、カーボンフリー電力需要はさらに高まることになります。
「1時間単位でのカーボンフリーエネルギー電力目標に移行したり、電力供給の信頼性を向上させる目的でクリーンエネルギー契約を締結したりと、クリーンエネルギー調達を行う企業の中で進展が見られています。安定した電力供給や調整力を提供できるデベロッパーは、企業のクリーンエネルギー需要を基に、この市場で大いに成功を収めることができるでしょう」」とハリソンは述べています。
BNEFは、企業のクリーン電力調達に関するデータを毎月更新し、企業のクリーンエネルギー調達戦略に関する市場見通しを年に2回公表しています。
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ブルームバーグNEF(BNEF)は、世界の脱炭素化についての戦略的な分析を提供する、ブルームバーグのリサーチ部門です。各国のアナリストが、脱炭素社会の実現に向けての鍵となる最先端の技術、政策、金融動向を追い、排出量の多いセクターを中心にデータやリサーチを日々配信。政府・金融・企業の戦略立案者を中心とする幅広いユーザー層にご活用いただいております。
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