汗で刻々と変わる日焼け止め膜、剥がれ方は4タイプと判明
「汗への強さ」×「心地よさ」両立へ弾み
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、横浜国立大学と共同で汗で日焼け止めが肌から剥がれる様子を可視化する新たな技術を開発(※1)し、日焼け止めの汗による剥がれ方は4つに類型化されることを発見しました。この発見により、日焼け止めが剥がれるメカニズムの解明が進み、心地よい感触でありながら汗に強い新たな日焼け止めを開発することが可能となります。
※1 「汗で刻々と変わる日焼け止め膜の観察方法を確立 メカニズム解明が可能となり『汗への強さ』×『心地よさ』両立へ布石」(2025年8月27日)
使い心地と耐久性のトレードオフ解消を目指し、日焼け止めの剥がれ方の違いを詳細に解析
猛暑やウェルネス意識の高まりに伴い、日焼け止め市場は世界的に拡大しています。日焼け止め製品には“みずみずしい使い心地”と“汗や水に落ちない耐久性”が求められますが、両者はトレードオフの関係でした。ポーラ化成工業はこの課題に根本から向き合うため、先行する研究※1にて、OCT技術を改良し日焼け止めが汗で剥がれる様子をリアルタイムに動画観察する新たな手法を開発しています。本研究では、この動画観察法を活用することで剥がれ方の違いを詳細に明らかにしました。
日焼け止めの剥がれ方は4タイプと判明 メカニズム解明と理想の日焼け止め開発に光
自社で改良したOCT技術(Optical Coherence Tomography技術、補足資料1)を活用し、異なる処方の日焼け止め10種類で調べたところ、従来の評価法では見えなかった特徴が明確に浮かび上がりました。汗に対する日焼け止めの挙動は、「溶解型」「剥離型」「分裂型」「保持型」の4タイプに分類されることを発見したのです(図1)。

この結果を基にそれぞれのタイプで“なぜ日焼け止めが落ちるのか”を考察したところ、理想的な日焼け止めに必要な要素は、1. 水になじまないこと 2.膜が強靭で均一であること 3.肌への密着性が高いこと の3つがあり、各タイプごとに異なると考えられました。OCT技術で観察することで、目指す日焼け止め処方タイプに応じた対応策が取れるようになり、「耐久性」という長年の課題に対して処方設計の観点から具体的に検討できるようになりました。
日焼け止めにとどまらない次世代の製剤開発を後押し
本研究により理想の日焼け止めに必要な要素を明らかにできました。これにより、感触の心地よさと耐久性を両立する、優れた日焼け止めを的確に設計できるようになります。さらに本研究で用いたOCT技術の応用範囲は広く、スキンケア製品の膜の状態やメークアップ膜の崩れにくさの評価など、化粧品全体で膜の機能設計や感触改善を支える革新ツールとして期待されます。
本研究成果の一部は、第2回日本化粧品技術者会(SCCJ)学術大会で口頭発表部門のTOP3に選出されています。
【補足資料1】 OCT技術について
OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層撮影)とは、光の干渉を利用して、ものの表面や内部を断面画像で見る技術です。目や血管、肌などの微細な構造を高い解像度で観察でき、病気の早期発見や診断に役立てられています。超音波を使うエコー検査のようなイメージで、痛みなく内部を測定でき、かつエコー検査よりも詳細に知ることができる点が特徴です。
本研究ではOCT技術を肌表面の日焼け止め膜の断面観察に適用しました(図2)。

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