【関東大震災100年 自治体防災DXアンケート】デジタル活用が災害発生時の初動対応のカギに
~初動対応に不安がある人の約6割がデジタル活用が進んでいないと回答~
関東大震災から100年という節目の年を迎えた2023年。建物の耐震化や不燃化は進んだものの、帰宅困難者など新たな課題も見えてきています。
南海トラフや首都直下型地震に加え、気候変動による豪雨なども増加し、自然災害によるリスクが高まる今、どのような災害にも柔軟に対応できるレジリエントな社会を作ることが求められています。
このような状況を乗り越えるためには、自助・共助など国民一人ひとりの防災力を高めることはもちろん、自治体による支援の高度化も欠かせません。
自治体では近年さまざまなデータを活用した防災対策の動きも進んでいます。
自治体や民間企業の多くに防災・危機管理ソリューション『Spectee Pro』を提供するスペクティは、自治体で防災・災害対応に携わる方の課題や防災DXへの取り組み状況について、約1,000人の方々を対象に調査を実施しました。
そこからは、防災DX、つまりデジタル技術によって防災を進化させることの必要性が浮かび上がってきました。
「地震」への対策を重点的に行なっている自治体が多い結果に
はじめに、日本全国を7つのエリアに分けたうえで、「現在、どのような災害に対して重点的に対策をしていますか?(複数回答可)」と質問したところ、それぞれ下記のような回答結果となりました。
【北海道地方】『地震(79.7%)』『水害(43.4%)』『津波(40.6%)』
【東北地方】『地震(67.6%)』『台風(38.0%)』『水害(38.0%)』
【関東地方】『地震(70.7%)』『台風(40.0%)』『水害(37.3%)』
【中部地方】『地震(75.0%)』『台風(50.0%)』『水害(42.6%)』
【近畿地方】『地震(72.8%)』『台風(51.7%)』『水害(38.1%)』
【中国・四国地方】『地震(67.4%)』『台風(55.3%)』『水害(53.9%)』
【九州地方】『地震(69.5%)』『台風(57.5%)』『水害(49.7%)』
7エリア全てにおいて、地震への対策が最も多い結果となりました。南海トラフや首都直下型地震のリスクの高まりを受けて、関東地方から九州地方に至るまで、地震対策の必要性が共通して強く認識されているのかもしれません。
また、近年増加している台風や豪雨による風水害対策も重視されています。
災害発生時において、初動対応や現場の状況把握が課題に
次に、「災害発生時に直面する課題は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、
『初動対応が迅速にできない(43.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『刻一刻と変化する状況を把握することが難しい(42.1%)』『住民へいかに迅速に情報を伝達するか(36.0%)』と続きました。
また、33.6%の方が『人手不足』と回答し、12.9%の方が『避難所の運営や環境の改善』を課題だと答えました。少子高齢化やコロナ禍を受けて、新たな課題も見えています。
続いて、「直面する課題に対してどのような対策をしていますか(対策を検討していますか)?(複数回答可)」と質問したところ、
『関係各所との連携を含めた訓練(45.9%)』と回答した人が最も多く、次いで『インターネットのウェブサイトを通じた情報収集(35.9%)』『職員間のコミュニケーションツールの導入(33.9%)』と続きました。
有事の際に適切な行動やコミュニケーションが取れるよう、日頃から訓練を行うとともに、SNSなどを活用した情報連携や発信を行っている自治体が多いことが分かりました。
初動対応への対策については改善する傾向も、いまだ3割が対策不十分と回答
次に、上記の質問で最も課題に挙がっていた災害発生時の初動対応について聞きました。
「災害発生時の”初動対応への対策”はできていますか?」と質問したところ、
3割近くが『あまりできていない(26.8%)』『全くできていない(1.9%)』と、『初動対応への対策ができていない』と回答しました。
初動対応の対策について、2020年に行った調査からは若干の改善が見られますが、それでもまだ課題を抱える自治体は多いようです。
また、初動対応への対策ができているかどうか評価する理由について詳しく聞いてみると、
【十分にできている】
・初動対応の職員が決まっており、定期的に研修や訓練を行っている(40代/男性/宮城県)
・被害状況を把握する手段や連絡方法などが十分できている(50代/男性/北海道)
・避難経路を住民の人たちと定期的に確認しあっている(30代/男性/京都府)
【ある程度できている】
・初動対応の計画が明確になっている(30代/男性/山梨県)
・適宜マニュアルを見直し、最新の情報にしているから。また、人事異動ごとに体制の確認を行っている(40代/女性/大阪府)
・場所の確保や最低限の必要なものは揃っているが、避難者が増えると対応ができない(40代/女性/京都府)
・避難が困難な方との速やかな連絡方法を模索中(40代/女性/島根県)
【あまりできていない】
・確実に連絡を取れる方法が確立できていない(30代/男性/山口県)
・通信機器、特にネット環境がダウンした際の対策が不十分(40代/男性/福島県)
・災害が起きると住民がパニックになる可能性があり、想定していた動きが取れるか心配である(40代/男性/長野県)
・想定訓練がコロナ禍で3年間できていないため、スタッフも含めて災害対応のイメージができていない(50代/女性/山梨県)
【全くできていない】
・現場では人員不足に加えて、デジタル技術を理解し使いこなせる人が少ないため、デジタル化への移行に懸念がある(40代/男性/岡山県)
などの回答が寄せられました。
「ある程度できている」と回答した人でも、自治体によっては被害状況の把握手段や連絡方法などに不十分な点があり、初動対応への対策に差があることが分かりました。
約9割が「防災DX」の必要性を感じている
初動対応の迅速化や状況把握において、近年は最新の技術を活用したソリューションも多く登場しています。(スペクティが提供する「Spectee Pro」もその一つです)
政府も防災DXを積極的に推進するなど、これからの防災にはデジタルの力が欠かせません。
実際に、「大規模災害においてデジタルを活用した対策は必要だと思いますか?」と質問したところ、
『必要だと思う(49.2%)』『どちらかといえば必要だと思う(40.1%)』と9割近くが、大規模災害においてデジタル技術を活用した対策が必要だと考えていると回答しました。
では、具体的に防災のデジタル化にどのような期待をしているのでしょうか。
「デジタルを活用することで期待する成果・効果は以下のどれに該当しますか?(複数回答可)」と質問したところ、
『迅速な情報収集(53.2%)』と回答した方が最も多く、次いで『災害リスクの予測(45.5%)』『情報伝達手段の構築・最適化(43.3%)』と続きました。
デジタル技術の活用によって、迅速な情報収集が可能になることを期待する自治体が多いようです。また、災害リスクの予測や情報伝達手段の構築・最適化を望む声も多く寄せられました。
初動対応にはデジタル活用がカギに
では、実際にデジタル技術を活用した防災対策は進んでいるのでしょうか?
「デジタルを活用した防災対策に取り組んでいますか?」と質問したところ、
全体では『あまり取り組めていない』『全く取り組めていない』と答えた人が3割程度だったのに対し、初動対応への対策が不十分と答えた人だけに限って見てみるとおよそ6割となりました。
具体的なデジタル活用事例を聞いてみると、
・LINEを使った情報共有(40代/男性/長崎県)
・スマートフォンとタブレットを利用した情報収集(50代/男性/広島県)
・災害時の物資の在庫管理(50代/男性/大阪府)
など、初動対応に直結する情報共有や収集においての声も多くありました。
初動対応の迅速化にはやはりデジタル活用が欠かせないといえるのではないでしょうか。
防災のデジタル活用の課題は、予算と人材不足が多い結果に
一方で、デジタル化への課題はどのようなものがあるのでしょうか?
「デジタルを活用した防災対策において課題に感じていることを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
『予算がない(42.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『デジタルを活用できる人材がいない(41.5%)』『個人情報・プライバシー等の取り扱いの懸念(36.2%)』と続きました。
自治体で防災DXを促進するためには、予算や人材の確保といった基盤を作ることが重要になってきそうです。災害対応の効率化を図るにも、最初は金銭面や人への投資が必要となるため、国から自治体への補助などがあることが望ましいと思われます。
まとめ 初動対応の迅速化は依然として課題に デジタル活用がカギとなるか
災害発生時には、適切かつスピーディーな初動対応が不可欠となります。
7割以上の自治体が初動対応に対策できていると評価する一方で、3割近くの自治体では対策が不十分だと考えているようです。2020年の調査結果よりも改善傾向が読み取れますが、完全に課題を解決できたとはいえないでしょう。
こうした中、大規模災害においてデジタル技術を活用した防災対策が必要だと考える自治体は、9割近くにのぼりました。デジタル活用を通じた防災DXでは、情報の収集や伝達の効率化に期待がかかります。
実際に、デジタル技術を活用した防災対策に取り組む自治体は7割程度いた一方で、初動対応への対策が不十分と答えた人に限ると4割程度にとどまりました。初動対応とデジタル活用が深く関連していることが推察されます。
また、デジタル化には、予算や人員不足、高齢化によるデジタルリテラシーの課題なども浮かび上がっています。
南海トラフや首都直下型地震、その他豪雨などの自然災害のリスクが高まりを見せる中、デジタル技術の活用を通じて防災体制の整備、特に初動対応の迅速化を促進することが、日本のレジリエンスを高めるために一番の近道なのではないでしょうか。
災害時に必要な「危機」情報を瞬時に収集。AIリアルタイム危機管理ソリューション『Spectee Pro』
スペクティが提供する防災・危機管理ソリューション『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/service/spectee/)は、AI技術を活用して、世界中のSNSや、車のプローブデータ、河川・道路などに設置されたカメラのデータ等を解析し、危機情報の収集、通知、可視化・予測ができるAIリアルタイム危機管理ソリューションです。
ほとんどの主要メディアで情報源として活用頂いており、ニュースより速く、正確な情報収集を可能にします。
2023年6月現在で、官公庁、自治体、報道機関、交通機関、通信会社、メーカー、物流、商社など、900社以上に支持いただいています。
▼『Spectee Pro』で解決できる主な課題
・「正確な情報か否かの判断」
・「情報過多」
・「SNS上からの正確な情報検索」
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『Spectee Pro』は、人工知能(AI)を活用した情報解析をもとに、災害やリスク情報をいち早く正確に「可視化」し、現場の意思決定を円滑にする、AIリアルタイム危機管理ソリューションです。
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『Spectee Pro』無料トライアル・資料ダウンロード > https://spectee.co.jp/download/
■株式会社Spectee
■AIリアルタイム危機管理ソリューション『Spectee Pro』:https://spectee.co.jp/service/spectee/
■お問い合わせ:https://spectee.co.jp/contact/
■お電話でのお問い合わせ:03-6261-3655(平日9:00~17:30)
※営業目的のお電話は一切受け付けておりませんのでご了承ください。
調査概要:【2023年版】「自治体の防災対応での課題」に関する調査
【調査期間】2023年5月12日(金)~2023年5月14日(日)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】1,012人
【調査対象】調査回答時に 自治体で防災・災害対応に関連する業務従事者 と回答したモニター
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
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