保育園留学の利用動向、初公開。過疎地域に216組750人の家族が留学、子育て移住事例も。

地域経済効果3500万円の地域も。「やわらかな定住」のニーズが顕在化

株式会社キッチハイク

地域と子育て家族をつなぐ暮らし体験「保育園留学®️」を展開する株式会社キッチハイク(本社:東京都台東区、代表取締役CEO:山本雅也)は、保育園留学®️白書として保育園留学®️の実績・利用動向を初公開しました。約2週間の留学という地域での子育て需要の高まりや、未就学児期間のライフステージに合わせた弾力的定住が起きるなど、これまでの完全移住とは異なる「やわらかな定住」の高まりが起きています。

白書ハイライト
・216家族(大人と子ども約750人)が過疎地域に留学し、関係人口に。
・首都圏を主とする都市部の子育て家族の留学が85%以上。
・経済効果は、年間3500万円の地域も
・移住に関心を持った/移住したいと思った70%、移住家族も誕生。

  • 保育園留学®️とは

保育園留学®️とは、地域と子育て家族をつなぎ、約2週間家族で地域に滞在できる暮らし体験。お子様には、幼少期に大自然に触れ、心身ともに健やかに育つ環境を、ご両親は働きながら多様な選択肢を、さらに過疎地域に、子育て家族を招き、地域経済に貢献をもたらします。


▼保育園留学®️ HP
https://hoikuen-ryugaku.com/

「保育園留学®️」は、株式会社キッチハイクの商標です。特許取得済。(特許第7164260号 「滞在支援システム、滞在支援方法、およびプログラム」)


  • 都市の子育て家族をとりまく社会背景

都市部で保育園に子どもを通わせる親にとって、子どもにのびのびとした環境を用意するのが難しい現状があります。2001年、それまで保育所に必ず設置が必要とされていた園庭について、近所の公園や屋上で代用ができるようになりました(*1)。首都圏や関西、その他地方都市においても、ビルの一室を利用した保育園は珍しくなくなり、特に東京23区内の園庭保有率は約50%まで低下(*2)。園庭のない保育園では外遊び時間が約50%短い傾向も報告されています(*3)。

一方、都市部以外の地域では広々とした園庭や園舎を持つ保育園が数多く存在。ただし人口減少・子育て世帯の流出により、のびのびした環境がありながらも定員割れを起こす地域も見られています。人口3500人の過疎地域である北海道厚沢部町の場合、複数保育所を合併したこども園でも定員率は75%を下回り、さらに減少傾向にありました。保育園留学®️は、その双方に対するアプローチとして広がりを見せています。


  •  保育園留学®️利用動向から見る特徴

■留学先

保育園留学®️は2021年11月から北海道厚沢部町で募集を開始しました。取り組みが広がり、全国合計19の園で募集を行っています。


<留学先一覧 (2023/5月末)>

北海道厚沢部町 認定こども園 はぜる

北海道清水町 しみず認定こども園

北海道上士幌町 認定こども園ほろん

新潟県南魚沼市 金城幼稚園・保育園

新潟県佐渡市沢 根保育園

岐阜県美濃市 美濃保育園

富山県富山市認定こども園 上滝保育園

石川県中能登町 こすもす保育園

石川県中能登町 つくし保育園

石川県七尾市 認定こども園 ひまわり

石川県羽咋市西北台保育園

長野県上田市ISN プレスクール上田・上田原キャンパス

静岡県東伊豆町 社会福祉法人たちばな童園 東伊豆認定こども園

島根県大田市大森町 大森さくら保育園

熊本県天草市 認定こども園 もぐし海のこども園

熊本県天草市 崎津保育園

静岡県御殿場市 高嶺の森のこども園

香川県 東かがわ市 引田こども園

岡山県高梁市 有漢こども園


▼留学先一覧

https://guide.hoikuen-ryugaku.com/hoikuen-monthlylist


■子育て家族の留学数

2021年11月の募集から2023年5月末までの全国拠点に留学したご家族は累計216組、大人と子どもを合わせると約750人(大人420人・こども330人)でした(*4)。最も受け入れ期間の長い北海道厚沢部町ではリピート希望率が97%(*5)と、多くの留学家族がリピートを希望。保育園留学®️は短期の旅行ではなく、家族で地域に1-3週間暮らします。さらに、子育て世帯の中期滞在はその後超長期的な関係に発展しやすいため、一過性の観光人口ではなく、家族ぐるみの関係人口創造に繋がっていると考えられます。

これまで留学で交流した地域側の在園児、交流した地域住民(先生・宿泊先・近隣住民etc.)は全国地域全体で推計4900人(*6)と見られます。子どもたちの最終登園日には、お互い寂しくて涙する深い関係になっていると園からの報告もあります。大人は仕事の合間に立ち寄ったカフェや道の駅で、地元の人たちから観光や暮らしの情報を教えてもらうなど、様々な地域との関係性が育まれています。


■利用者の居住地・年齢

保育園留学®︎の利用者の約9割が都市部からの参加です(*7)。特に関東首都圏の利用者は85%(東京都59%、神奈川県15%、千葉県7%、埼玉県4%)。次に大阪、愛知、京都、兵庫など都市部の利用者となっています。これらの地域は、園庭のない保育園が多く、リモートワーク実施企業が多い地域です。「子どもたちにのびのびとした生活を体験させてみたい」という思いと、「どこでも仕事を継続することができる」という条件が揃うのが東京をはじめとした首都圏と関西都市部だと考えられます。

参加した親の年代は30-40代。こどもの年齢は0歳から6歳まで参加しています(*8)。0歳児を除くと年齢による大きな差はなく、幅広い年齢のこどもが留学しています。年齢の低い年少(3歳児クラス)以下のお子さんを持つご家族でも利用度が低くないことを示しています。


■滞在日数と地域経済効果

滞在日数は、1-3週間プランの中で約半数48%が2週間利用のご家族で、3週間利用が28%、1週間利用が24%でした(*9)。2週間以上の場合、滞在中に週末を終日挟めるため、地域アクティビティや少し足を伸ばした観光などが楽しまれています。

宿泊費、一時預かり費用、現地出費(レンタカー代、食費、レジャー費用など)を含めると保育園留学を通じて年間推計3500万円以上の地域経済効果をもたらす地域もありました。(*10)

厚沢部町では、保育園留学®️費用や地元加盟店舗で使用可能なふるさと納税の返礼品として受け取れる電子クーポン「あっさぶe街ギフト」の活用が進んでおり、自治体への還元も行われています。

▼あっさぶe街ギフト
https://hoikuen-ryugaku.com/assabu/emachi-gift


■移住事例・やわらかな定住

移住意向についての調査では、移住に興味をもった・移住したいと思った合計が約70%でした(*11)。北海道厚沢部町では、認定こども園はぜるに通うために子育て移住を決めた事例も誕生しています。

厚沢部町では、約2週間という留学の受け入れにより、過疎地域に常時4~6家族が滞在しており、実質的に生活者増を実現しています。また、上記のような、まずは未就学児期間を前提とした移住事例も発生しています。リモートワークの浸透によって親の働き方も多様化するなか、子どもにとって最もいい環境に住むことがより現実的に選べる様になってきました。子育て世代は、子どもの年齢や兄弟構成によって「今何が大切か?」が数年単位で変化します。これまでは移住は完全移住を意味することが多かったですが、地域にとっても家族にとっても、その時々のライフステージやライフスタイルに合わせてフィットする地域に住む弾力的な住まい方「やわらかな定住」の受け入れ・実践が増加していくと予想されます。


■利用者の声

実際の会員レビュー、アンケート結果より一部抜粋。

◽ 言葉では言い表せない価値を感じました。 (北海道厚沢部)

◽ 子育てをしながらも、親も諦めることなく人生を謳歌するための新たな選択肢。 (北海道厚沢部)

◽ 今まで場所も知らなかった美濃市が、帰る頃には再び会いたい人、訪れたい場所がたくさんできて、我が家にとって大切な場所になりました。 (岐阜県美濃市)

◽ 旅行でもなく移住でもない、貴重な体験の機会でした。 (熊本県天草市)


参考資料・引用

*1 厚生労働省雇用機会等・児童家庭局保育課, (2001), 『待機児童解消に向けた児童福祉施設最低基準に係る留意事項等』

*2 普光院亜紀. (2016). 『100 都市保育力充実度チェック』 のデータに見る 保育の現状と課題. 保育通信, (730), 12-17.

*3 小池孝子, & 定行まり子. (2008). 都市部における保育施設の屋外保育環境について 東京都区部における複合型保育所の施設環境に関する研究 その2

*4 株式会社キッチハイク. 保育園留学®️アンケート調査(全国)より

*5/7/8/9/10/11 株式会社キッチハイク. 保育園留学®️アンケート調査(厚沢部)より

*6 株式会社キッチハイク. 保育園留学®️アンケート調査(全国)より推定


  • 株式会社キッチハイク 会社概要

株式会社キッチハイクは「地域の価値を拡充し、地球の未来へつなぐ」をミッションにした、地域と人生をつなぐ、食と暮らしの発明・実装カンパニー。関係人口経済圏を創出・拡大する自治体ソリューションを全国に提供しています。「保育園留学®️」は家族ぐるみでの超長期的な関係人口を創出できるということから内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」優良3事例に選ばれ、2022年度は2500組近くのキャンセル待ちとなりました。

本社:東京都台東区東上野4-13-9 ROUTE89 BLDG.4F

代表取締役CEO:山本雅也

設立:2012年12月(サービス開始 2013年5月)

https://kitchhike.jp/

事業一覧

◎地域と子育て家族をつなぎ、未来をつくる留学プログラム「保育園留学®️」:https://hoikuen-ryugaku.com/

◎関係人口特化型SaaS「つながるDX」:https://dx.kitchhike.com/

◎日本各地の食文化を贈るカタログギフト「NIPPON LOCAL FOOD GIFT」」:https://n-localfoodgift.com/

◎地域と生活者をつなぐ食体験「ふるさと食体験」:https://kitchhike.com/

◎採用情報・カルチャーデック公開中:https://recruit.kitchhike.jp/

すべての画像


会社概要

株式会社キッチハイク

52フォロワー

RSS
URL
https://kitchhike.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都台東区東上野4-13-9 ROUTE 89 BLDG.4F
電話番号
-
代表者名
山本雅也
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2012年12月