【製造業・金融業 リスキリングに関する意識調査】業界を超えて、リスキリングで最も身につけたいスキルは「AI」
製造業では人材不足を補う手段としても注目
製造業のデジタル変革に挑むキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤 勇志郎)は、製造業・金融業で働く400名を対象に、「リスキリングに関する意識調査」を実施しました。

DXや技術革新の加速、業務の高度化・多様化にともない、働く個人には「今の仕事にとどまらない学び直し=リスキリング」がこれまで以上に求められています。業種や職種を問わず、業務内容の進化に対応する手段として、リスキリングはいまや一部の先進企業だけの取り組みではなく、広く社会に浸透し始めています。中でも製造業・金融業は、伝統的な業務構造にAI・DXの急速な進展によって業務変革へのプレッシャーが特に高まっている領域で、リスキリングの必要性が最も切実に問われていると言えます。
そこで本調査では、過去1年以内にリスキリングに取り組んだ製造業・金融業の会社員400名(各業界200名ずつ)を対象に、実態や意識に関する調査を実施。結果として、業界は異なるものの、実際に取り組む個人の関心や課題には多くの共通点が見られました。
■ 調査サマリー
● 所属する企業からリスキリングを求められているかどうかについて、「はい(補助制度あり/なし)」と回答した人が7割弱(製造業69.5%、金融業70.0%)。
● 企業からのリスキリング支援に対する満足度は、「満足している」と回答した人は約3割(製造業28.5%、金融業29.5%)。「満足していない」「現在支援を受けていないが、今後受けたい」が製造業48.0%、金融業42.5%と、制度とニーズの間にギャップが存在していることが明らかになりました。
● AIに関するリスキリング支援の実施状況については、「全社で実施」「一部で実施」を合わせた割合が6割超(製造業64.0%、金融業61.5%)と、業種にかかわらず過半数の企業で何らかの取り組みが行われている実態が見られました。
● リスキリングの必要性については、「必要」「どちらかというと必要」と回答した人が製造業・金融業ともに86.5%となり、業種を問わずリスキリングが“自分ごと”として浸透し始めていることが明らかになりました。
● 身につけたいスキルとしては、「AIや自動化ツールの活用スキル」が製造業34.1%、金融業26.0%で最多となり、次いで「業務の効率化・標準化」「新しい業務や役割への適応スキル」など、変化に対応する力が重視される傾向が見られました。
● スキルを学ぶ背景としては、「AIやITの進化によって業務の内容ややり方が変わるから」(製造業28.3%、金融業24.9%)が最多となり、ここでもAI時代における業務の進化・変化に応じた学習ニーズが高まっている実態が浮き彫りとなりました。
● 実際に学んだ内容では、「AI」(製造業36.5%、金融業27.5%)が最も選ばれました。業界を問わずAI分野が最多である一方、金融業では専門性への対応も重視される傾向が見られました。
● リスキリングに取り組む中での課題としては、「業務が忙しく、学ぶ時間を確保できない」が最多(製造業28.0%、金融業35.0%)となり、継続的に取り組むための“時間の確保”が両業界共通のボトルネックとなっていることが明らかになりました。
● 企業から提供される理想的な支援内容は、「AIツールや業務システムの使い方に関する支援」(製造業33.0%、金融業28.0%)が最多で、次いで「業務時間中に学習できる仕組み」(製造業25.0%、金融業23.0%)が続くなど、実務直結型の支援と“取り組む余白”の両方が求められました。
● AI時代に備えて必要なこととしては、「今の業務をより効率化・高度化するためのスキル習得」(製造業31.0%、金融業34.5%)と「他職種や他業務にも対応できる柔軟なスキルセット」(製造業31.5%、金融業24.5%)が上位となり、業務適応力と拡張性の双方を意識する傾向が見られました。
● リスキリングへのスタンスについては、「成長のチャンスとして前向きに捉えている」が製造業40.5%、金融業44.0%と最も多く、ネガティブな捉え方をしている人は1割強にとどまるなど、前向きな意識の定着が進みつつあることが明らかになりました。
■ 調査結果
● 勤務先からのリスキリング要請については、業界を問わず7割近くが「求められている」と回答し、制度の有無を問わずリスキリングが浸透している実態が明らかになりました。

● 企業からのリスキリング支援に対して「満足している」と感じているのは3割未満となり、支援制度の導入や内容の充実を求める声は4割を超えています。

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「支援を受けており、満足している」と回答した人は、製造業28.5%、金融業29.5%にとどまり、「支援を受けていても満足していない人(製造業22.0%、金融業17.0%)」や、「支援を受けられていないが今後に期待する人(製造業26.0%、金融業25.5%)」がほぼ同程度存在しています。
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制度の有無に加えて、従業員のニーズに即した支援が提供されているかどうかが、満足度を左右する要因となっている可能性があります。
● AI活用に関するリスキリング支援は、製造業・金融業ともに過半数の企業で実施されています。

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「全社で実施されている」と回答したのは製造業26.0%、金融業27.5%となり、「一部の部署や役職で実施されている」(製造業38.0%、金融業34.0%)と合わせると、製造業64.0%、金融業61.5%でAIリスキリング支援が行われている結果となりました。
● リスキリングの必要性を実感している人は、製造業・金融業ともに約9割にのぼる結果となりました。

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「必要性を感じている」と回答した人は製造業39.0%、金融業45.5%となり、「どちらかというと必要性を感じている」との回答(製造業47.5%、金融業41.0%)と合わせると、両業界ともに86.5%がリスキリングの必要性を認識している結果となりました。
● 最も身につけたいスキルは「AIや自動化ツールの活用」。業界を問わず、業務の変化や効率化に対応するための実践的なスキルへの関心が高い結果となりました。

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「AIや自動化ツールの活用スキル」は、製造業34.1%、金融業26.0%といずれの業界でも最多となり、業務の変化への対応力を高める手段として、AIリテラシーの習得が重視されていることが明らかになりました。
● リスキリングが求められる背景には、「AIやITの進化による業務の変化」「現状の業務での必要性」「人材不足をAIやITで補う必要性」の3つが共通して浮上。

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「AIやITの進化によって業務の内容ややり方が今後大きく変わるから」(製造業28.3%、金融業24.9%)と、「今の業務にすでに必要になってきているから」(製造業22.5%、金融業24.9%)といった業務の現場レベルでの実感に根ざした回答が上位を占めました。
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また、「人材難で、人手不足をAIや自動化などの技術で補う必要があるから」では、金融業15.6%に比べて製造業は25.4%と約10%高く、人手不足が大きな課題の一つであることが明らかになりました。両業界、リソース不足を補う手段としてのリスキリングという捉え方も顕著となっています。
● 実際に学ばれている内容でも「AI」が最多。特に製造業では3人に1人以上が学習経験ありという結果になりました。

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「AI」を学んだと回答した人は製造業36.5%、金融業27.5%といずれの業界でも最多となりました。現在の業務での活用や将来の業務変化を見据えた“実践的なテクノロジー学習”が進んでいる実態がうかがえます。
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特に製造業では36.5%がAIを学んでおり、すでに業務において不可欠なスキルとして根づき始めている実態がうかがえます。
● リスキリングに取り組むうえで最大の課題は「学習時間の確保」。特に業務の忙しさが障壁となっていることが明らかになりました。

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「業務が忙しく、学ぶ時間を十分に確保できない」と回答した人は、製造業28.0%、金融業35.0%で、いずれの業界でも最多となりました。業務との両立が学習継続の最大の障壁になっていることがうかがえます。
● 理想とされる支援は「AIツール・業務システムの使い方」に関する実務直結型のサポートが最多となりました。業務との両立を可能にする「学習時間の確保」も上位に入り、制度や教材の整備だけでなく、“取り組める余白”の設計が求められています。

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最も多かった回答は「AIツールや業務システムの使い方に関する支援」で、製造業33.0%、金融業28.0%。実際の業務に即した実践的なスキル支援が現場から強く求められていることが明らかになりました。
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次いで「業務時間中に学習できる仕組み」が製造業25.0%、金融業23.0%と高く、制度の提供にとどまらず“学ぶ時間”そのものを設計する必要性が浮き彫りとなりました。
● AI時代に求められるのは「今の業務の高度化」と「職種を越えて対応できる柔軟性」。スキルアップの方向性として、“今の仕事を深める”と“将来に備えて広げる”の両面が重視されている実態が明らかになりました。

● リスキリングを「成長のチャンス」と前向きに捉える人が最多。業務変化への対応や会社からの要請という受動的な理由も見られる一方で、自らの意思で学び直しに取り組む姿勢が主流になりつつあることが明らかになりました。

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「成長のチャンスとして前向きに捉えている」と回答した人は、製造業40.5%、金融業44.0%でいずれの業界でも最多となりました。リスキリングが“仕方なくやるもの”から“自らの可能性を広げる手段”へと意識が変化している様子がうかがえます。
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一方で「業務の変化に対応するため仕方なく必要だと捉えている」(製造業29.0%、金融業23.0%)、「会社から求められており、業務の一環として捉えている」(製造業23.0%、金融業25.5%)という“外発的な理由”も一定数見られました。
<解説>
今回の調査では、リスキリングにおいて「AI活用スキル」が業界を超えて最も関心を集めていることが明らかになりました。
製造業は現場オペレーションのデジタル化・自動化が急速に進む一方、金融業では業務プロセスや顧客対応におけるAI導入が進展しており、業務構造や役割の違いはあるものの、両業界に共通して“AIが業務変革の鍵を握る”という認識が広がっていると言えます。
一方で、個人のリスキリングへの取り組みにあたって最も大きな障壁となっているのが「学習時間の確保」ということが明らかになりました。業務が忙しく時間がとれないという回答が最多となり、制度の充実や教材の整備だけでなく、日々の業務と両立できる仕組みづくりが企業に求められていることが浮き彫りになりました。
また、リスキリングを「成長のために必要」と前向きに捉える従業員は一定数いるにもかかわらず、企業からの支援に「満足している」と答えた人は3割未満にとどまりました。このギャップは、学ぶ意志のある人材を活かしきれていない現状を物語っています。
企業競争力の観点から見ても、こうした自発的な学びの機運に応える支援設計は不可欠であり、個人の意欲と企業のサポートがかみ合う環境整備が、リスキリングの実効性を高める鍵となりそうです。今後は、「誰に・どのような支援が必要か」を丁寧に捉えた取り組みが、現場レベルおよび組織力向上につながっていくこととなるでしょう。
===調査概要=====================================
調査名称: リスキリングに関する意識調査
調査期間:2025年 7月7日(月)~ 7月14日(月)
調査方法:インターネット調査
調査対象者:製造・金融・保険・証券業界従事者
有効回答数:スクリーニング調査 4,000名、本調査 400名
表記:四捨五入し、小数第1位までの値で記載
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キャディ株式会社
キャディ株式会社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、点在するデータ・経験を資産化し、新たな価値を創出する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を開発・提供するスタートアップ企業です。アプリケーションである「製造業データ活用クラウドCADDi Drawer」「製造業AI見積クラウド CADDi Quote」をはじめ、今後もプラットフォーム上に様々なアプリケーションを提供予定です。日本をはじめアメリカ、ベトナム、タイを含む4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を実現していきます。累計エクイティ資金調達額は257.3億円。
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