奈良・広陵町の「広陵くつした」がルワンダ、カンボジア 、ウクライナへ――地域産業と小学生の学びが世界平和をつなぐ
広陵町の産官学民が作成した「ナス染め靴下」「端材ペットボトルホルダー」「靴下輪紙」を世界3か国で実装。地域の力を結集し、「広陵町から世界へ、世界から広陵町へ」循環する新たな地方創生モデルへ
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表:中村雄一)は、奈良県広陵町、広陵町立真美ヶ丘第一小学校、地域企業などと連携して進める「世界とつながる学びプロジェクト」の一環として、広陵町の地場産業である「靴下」を起点に子どもたちが生み出した教材や作品を、2026年夏、ルワンダ、カンボジア、ウクライナの教育・平和構築の現場へ届けました。

今回世界へ渡ったのは、真美ヶ丘第一小学校の児童たちが地域のナスの皮で染めた「広陵くつした」と、靴下製造時に生まれる端材を活用して制作した「ペットボトルホルダー」。さらに、広陵町の大栄工業株式会社が靴下端材を紙へと再生する「靴下輪紙」を活用した折り紙です。
真美ヶ丘第一小学校の児童たちは2026年7月、「世界とつながる学び」の中で、広陵町の産業やSDGsについて学び、ナスの皮で靴下を染色し、靴下端材からペットボトルホルダーを制作しました。これらは「世界へのプレゼント」としてなかよし学園に託されました。

そして約2か月の間に、それらはアフリカ、東南アジア、東ヨーロッパへ。
奈良県の小学校の教室で生まれた学びが、そのまま世界の現場へ実装されました。
「靴下のまち」広陵町。その地域資源を、世界の課題解決へ
広陵町は靴下生産量日本一の産地であり、町によれば、靴下製造に関わる全工程をワンストップで行える産地として長い歴史と技術を蓄積してきました。明治期から続く産業は、現在も高い技術力と品質を背景に多くの商品を生み出しています。
一方、なかよし学園が今回注目したのは、「完成した靴下」だけではありません。
靴下ひとつだけを見れば地域の日常にあるものです。
でも、「広陵町」という町を中心に靴下をつくる過程で生まれる端材、地域で育つナス、そこで学ぶ子どもたち、企業が持つ加工技術、自治体が持つ地域ネットワーク――。
それぞれのリソースを教育によってつなぎ、世界の現場へ持っていけば、環境教育、ものづくり教育、国際理解教育、平和教育、そして地域産業の発信を同時に行うことができます。

今回のプロジェクトでは、広陵町の可能性をルワンダ、カンボジア、ウクライナという異なる社会課題を抱える3つの地域で実践しました。
ルワンダ――広陵町の子どもたちから、Kibagabagaの子どもたちへ
2026年8月、なかよし学園はルワンダ共和国で教育支援活動を実施しました。その活動地の一つが、なかよし学園が継続的に教育活動を行ってきたKibagabaga Primary Schoolです。この学校に届けられたのは、真美ヶ丘第一小学校の児童たちがナスの皮を使って染めた「広陵くつした」です。

日本の子どもたちが、自分たちの地域について学び、自分たちの手を動かして制作したものが、遠く離れたルワンダの子どもたちの手に渡りました。
また、「くつしたボトルホルダー」はキガリジェノサイドメモリアルの館長Freddy Mutanguha(フレディ・ムタングハ)氏に手渡されました。

これは物資を「送る」だけの国際協力ではありません。
「私たちの町には、こんな産業がある」
「地域にあるものを工夫すると、世界の誰かとつながることができる」
日本の小学生が自分たちの地域について学んだ成果そのものが、世界の子どもたちとのコミュニケーションツールになります。地域学習が、そのまま国際理解教育へ変わった瞬間です。
ジェノサイドの記憶を伝える平和教育者が、広陵町の紙で一羽の鶴を折る
ルワンダでは、もう一つ象徴的な「広陵町から世界へ」の活動が生まれました。
なかよし学園は2026年8月7日、キガリ・ジェノサイド・メモリアルを訪問。同施設を運営する国際非営利組織Aegis TrustのCEO、Freddy Mutanguha氏と面会しました。
Freddy氏は1994年のジェノサイドを生き延びた当事者であり、現在は記憶の継承とジェノサイド予防、平和教育を世界へ広げる活動を担っています。
そこで使用したのが、広陵町の大栄工業株式会社が進める「靴下輪紙」です。
靴下を製造するときに生まれる端材を回収し、粉砕して紙の原料へ再利用する取り組みです。大栄工業では、この紙を名刺や包装、さらに折り紙などへ活用しています。奈良県内の靴下工場では多くの端材が発生しており、「捨てられるものを新しい資源へ変える」地域発の循環型ものづくりです。

中村里英事務局長が、日本で折り鶴が平和の象徴として受け継がれてきた背景を説明し、Freddy氏も自ら靴下輪紙で鶴を制作。



Freddy氏によって折られた鶴は、再び海をわたり日本へ還ってきました。
広陵町で生まれた靴下。
その製造過程で生まれた端材。
端材からつくられた紙。
その紙が海を越えてルワンダへ渡り、ジェノサイドを経験し、現在は次の暴力を防ぐ教育を担う人物の手によって一羽の折り鶴となり、日本へ還ってくる。
この往還そのものが、なかよし学園が実践する「CoRe Loop」です。

カンボジア――地雷を取り除く人たちの手へ
次に広陵町の教材が向かったのは、カンボジアでした。
なかよし学園は2026年8月21日から28日、シェムリアップ州で「カンボジアプロジェクト2026」を実施。地雷原周辺の学校でのEORE(爆発性兵器リスク教育)、AKIRA地雷博物館との連携、地雷除去チームへの後方支援、学校教育、文化交流などを行いました。


活動メンバーは実際に地雷除去現場を訪れ、防護装備を着用し、安全区域と危険区域の区画や除去作業について学びました。そこで広陵町の小学生が制作したペットボトルホルダーを、地雷除去スタッフへ手渡しました。

靴下を製造する際に生まれた端材が、小学生の手によって編み直され、水を持ち歩くための実用品へ。そして今度は、その品が地雷を一つひとつ取り除き、人々が再び安全に暮らせる土地をつくるスタッフの手に渡りました。地雷除去のスタッフたちは「日本の子どもからのプレゼント」に皆驚きと喜びの声を伝えました。40度の炎天下の中で地道に地雷除去を続けるスタッフたちにとって、遠く離れた日本の子どもたちからの想いのこもったプレゼントは、一つの「希望」になりました。
カンボジアでのなかよし学園の活動は、「地雷を除去すること」だけを支援対象としていません。地雷除去という、わずかな判断ミスが命に関わる仕事を担う人々に対して、食や美容、教育、文化交流などを組み合わせ、活動する「人」を支える取り組みも進めています。その現場に、広陵町の子どもたちがつくった一つの作品が加わりました。
地域の廃材が、世界の安全をつくる人を支える道具になる。
それは「リサイクル」という言葉だけでは表せない、環境教育と平和構築が交差する実践となりました。

ウクライナ――空襲が続く国へ、「捨てない」という日本のものづくりを届ける
2026年9月、なかよし学園はウクライナのキーウとリビウで平和教育プロジェクトを実施しました。
日本からNゲージ、レゴ、ミニ四駆、折り紙、手紙などを持ち込み、戦争下にある子どもたちや教員、保護者、文化施設関係者、退役軍人らと「未来のまちづくり」をテーマに授業を行いました。

そのウクライナにも、広陵町の靴下端材から生まれたペットボトルホルダーを持参。
キーウの教育現場では教員へ手渡し、日本の地域産業では「捨てられるもの」であっても、工夫とアイデアによって新しい価値を持った製品へ変えられることを紹介しました。
さらにリビウで行った授業でも、海洋プラスチックからつくられたフライングディスクとともに、広陵町の靴下産業から生まれた端材を活用したペットボトルケースを紹介。戦争下でも未来の産業や環境を考えるための「循環型ものづくり」の教材として活用しました。


戦争が続く国へ何を届けるのか。
食料や生活用品だけが支援ではありません。
「壊れたものをつくり直す」
「捨てられるものに価値を与える」
「自分たちの手で未来をデザインする」。
広陵町のものづくりには、復興や未来を考える教育につながるメッセージがあります。それを今回なかよし学園が実現しました。

MINILAND.UAのCEOも、広陵町の紙で折り鶴を
ウクライナではもう一つ、広陵町と世界をつなぐ象徴的な活動を行いました。
9月2日、なかよし学園はキーウの鉄道模型・ミニチュア施設MINILAND.UAを訪問。日本全国から集めたNゲージを寄贈するとともに、広陵町の靴下産業から生まれた折り紙を使い、折り鶴のワークショップを行いました。日本が広島・長崎の被害を経験した後、教育とものづくりを通じて社会を再建してきたことも伝えました。

ここでも、靴下端材から生まれた紙が「平和を考える教材」になりました。MINILAND.UAのCEOをはじめとするスタッフが、自らの手で折り鶴を制作。ルワンダと同様、その折り鶴をなかよし学園が日本へ持ち帰ります。



「なかよし学園折り鶴プロジェクト」は世界各地域で教育、文化、記憶、そして次の社会をつくる役割を担うリーダーたちに平和の象徴である折り鶴を伝え、彼らの作成した折り鶴を日本に還す。世界を折り鶴で繋ぐプロジェクトです。
ルワンダでは、ジェノサイドの記憶を次世代の平和教育へ変えるFreddy Mutanguha氏。
ウクライナでは、戦争下でも模型とものづくりを通じて子どもたちに未来を描く場所を守るMINILAND.UAの人々。
広陵町から世界へ渡った一枚の紙に、世界の人々が自ら平和への意味を加え、日本へ返していきます。

「送って終わり」ではない。世界から広陵町へ還す
ルワンダでつくられた折り鶴。
ウクライナでつくられた折り鶴。
現地の人々からのメッセージ。
広陵町の子どもたちが制作した作品を受け取った人々の反応。
それらを、なかよし学園は日本へ持ち帰っています。今後、真美ヶ丘第一小学校では、「世界とつながる学び」プロジェクトの最終段階となる「Phase4 3Re-Forum(Return, Reflect & Redesign)」を実施する予定です。
3Re-Forum
Return――世界から成果を地域へ「還す」。
Reflect――自分たちの学びや活動が世界でどのように使われたのかを「振り返る」。
Redesign――そこで得た気づきをもとに、次の教材、次の行動、次の地域づくりを「再設計する」。
なかよし学園は「プレゼントをつくりました。海外へ送りました」で授業を終わらせません。
・自分たちがつくったものが世界のどこへ行き、誰の手に渡り、どんな意味を持ったのか。
・そして世界の人々は、それを受け取って何を感じたのか。
その答えを子どもたち自身が受け取り、次の学びをつくります。

海外へ行かなくても、「地域の教室」をグローバル化できる
海外グローバル教育というと、「子どもたちを海外へ連れていくこと」「オンラインで外国と繋ぐこと」が注目されがちです。しかし、すべての子どもが海外へ行けるわけではありません。また、ただ外国と繋ぐだけでは何の学びも得られません。
なかよし学園が進める「世界とつながる学び」は、子ども自身が海外へ渡航しなくても、子どもたちの作品、問い、アイデア、地域の文化や産業を世界へ送り、その結果を教室へ戻すことで、地域の学校そのものを世界とつなぐことを目指しています。また、このつながりから実際に海を渡って海外で「授業を行う」生徒児童もたくさんいます。

真美ヶ丘第一小学校の教室で生まれたものが、ルワンダの学校へ行く。
カンボジアの地雷除去現場へ行く。
戦争が続くウクライナの学校へ行く。
そして、そこで生まれた物語が再び広陵町の教室へ戻ってくる。
日本中どこからでも、学びのフィールドは世界へ広げることができます。
「産・官・学・民」で、日本の地方を世界へ
今回のプロジェクトは、学校だけで成立しているものではありません。
「産」は、100年以上にわたりものづくりを受け継いできた広陵町の靴下産業や、端材を新しい紙へ生まれ変わらせる大栄工業株式会社。
大栄工業株式会社ホームページ
https://kaminchu.jp/kutsushitawashi/
「官」は、地域産業や教育、地域の魅力を支える広陵町。
「学」は、地域について学び、自分たちのアイデアを形にした真美ヶ丘第一小学校。
そして「民」として、それらを世界の教育・平和構築の現場へ運び、現地で授業として実装し、再び日本へ還すなかよし学園プロジェクト。
それぞれが単独で世界へ出ていくのではなく、地域が持つ強みを組み合わせ、一つのTEAMとして世界の課題と向き合う。これが、なかよし学園が目指す産官学民連携です。

地方創生を「世界に売る」から、「世界の課題を一緒に解く」へ
地域産業の海外PRは、商品を海外へ販売することだけではありません。
「なぜこの町で、この技術が生まれたのか」
「その技術は、世界のどんな課題に役立つのか」
「その地域で育つ子どもたちは、その産業から何を学ぶのか」
そこまでを一つのストーリーとして世界へ伝えることで、地域産業の価値は「商品」から「地域そのものの価値」へ広がります。
広陵町では、靴下そのものだけでなく、
ナスで染める。
端材を編み直す。
端材を紙に変える。
その紙を折り鶴にする。
そして世界の人々がその鶴を折り、日本へ返す。
という新しい循環が生まれています。
広陵町ではかねてから、靴下を「ふるさと名物」と位置づけ、地域ブランドを育成し、国内外へ発信する取り組みを進めています。今回の実践は、その地域資源をさらに教育、環境、国際交流、平和構築という世界共通のテーマへ接続する挑戦です。

広陵町から世界へ。世界から、もう一度広陵町へ。
一足の靴下。
一本のペットボトルホルダー。
一枚の紙。
一羽の折り鶴。
それだけで世界の課題がなくなるわけではありません。
地域の子どもたちが「自分たちにも世界のためにできることがある」と知ること。
地域の企業が培ってきた技術が、世界の教育や課題解決の場で新しい意味を持つこと。
世界で平和をつくる人々の思いが、日本の小学校へ戻り、次の子どもたちの学びになること。
その一つひとつが、地域と世界の関係を変えていきます。
広陵町から世界へ。
そして、世界から広陵町へ。
なかよし学園は今後も、日本各地の自治体、学校、企業、市民が持つそれぞれの強みを世界の教育現場へつなぎ、世界で得た経験を地域へ還す「CoRe Loop」を通じて、地域教育のグローバル化、地場産業の国際発信、地方創生、そして平和教育を一つの循環として実現するモデルを広げていきます。

なかよし学園プロジェクト 代表・中村雄一 コメント
「今回、真美ヶ丘第一小学校の子どもたちが作った靴下やペットボトルホルダーが、ルワンダ、カンボジア、ウクライナへ渡りました。広陵町の教室で生まれた学びが、世界の教育や平和づくりの現場で本当に使われたことに大きな意味があります。
広陵町には、日本を代表する靴下産業があり、高いものづくりの技術があり、それを支える企業、自治体、そして地域から学ぶ子どもたちがいます。私は、こうした地域の力を結集すれば、日本の地方には世界の課題を解決できる大きな可能性があると考えています。
大切なのは、届けて終わらないことです。広陵町から世界へ渡ったものが、現地で新しい意味や物語を持ち、今度は折り鶴やメッセージとなって広陵町へ還ってくる。そして子どもたちが『自分たちの活動が世界でどう生きたのか』『次は何ができるのか』を考える。これが、なかよし学園が進めるCoRe Loopです。
世界平和は、決して遠い場所だけでつくられるものではありません。地域の工場にも、小学校の教室にも、子どもたちの手の中にも、そのきっかけがあります。
『広陵町だからできること』を『世界に必要とされること』へ変えていく。広陵町から世界へ、そして世界から広陵町へ。この循環を、これからも地域のみなさんと一緒につくっていきたいと思います。」

関連情報
奈良県広陵町の“日本一の靴下”が、ネパールから世界へつながる平和教材に
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000166170.html
終戦81年、日本とルワンダの記憶を「世界で行動する平和」へ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000129.000166170.html
大栄工業株式会社「靴下輪紙」靴下輪紙について
https://kaminchu.jp/kutsushitawashi/
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
写真素材・取材対応が可能です。
掲載時の写真クレジット:©なかよし学園プロジェクト
すべての画像
- 種類
- イベント
- ビジネスカテゴリ
- 政治・官公庁・地方自治体国際情報・国際サービス
- ダウンロード
- プレスリリース素材
このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます
