名古屋の小学生がつくった「学級目標」がルワンダ・カンボジアへ――世界から“返事”が戻るCoRe Loop

10月1日、名古屋市立鳴海東部小学校で「世界とつながる学び」講演会。「HEROは身近にいる。あなたがそのHEROになれる」教室の学びが世界で役立ち、再び日本へ還ってきた

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、2026年10月1日、名古屋市立鳴海東部小学校において、「世界とつながる学び」講演会を実施しました。

鳴海東部小学校で行われた「世界とつながる学び」講演会

 この日、児童たちの前に戻ってきたのは、夏休み前に自分たちがなかよし学園へ託した「学級目標」のポスター。しかし、それはもう、出発したときと同じポスターではありませんでした。名古屋の教室から海を越え、ルワンダ、カンボジアの子どもたちと出会い、現地の授業で活用され、そこに世界の子どもたちの絵やメッセージが加わって、日本へ帰ってきたのです。

日本で生まれた学びを世界へ。

世界で新しい価値を加え、もう一度日本の教室へ。

 なかよし学園が実践する循環型グローバル教育モデル「CoRe Loop」の一周が、名古屋の小学校で完成しました。

「HEROは身近にいる。あなたが、そのHEROになれる」

 今回の講演会のテーマは、

「誰一人取り残されない世界 ~日本から世界を平和に~」

 冒頭、中村雄一代表は児童たちに問いかけました。

「みなさんはHEROを見たことがありますか?」

アニメや特撮のヒーロー。誰かが困ったときに駆けつけてくれる特別な存在。でも現実世界にはそんなHEROはいない、、、、。しかし中村雄一代表は、世界各地で出会った人々や日本の学校から生まれた実践を紹介しながら、『平和をつくるのは特別な誰かではない。自分にできることを行動に移す一人ひとりがHEROになれる』と児童たちに伝えました。」

 中村雄一代表は、世界各国で出会ってきた人々の写真や映像を紹介しながら伝えます。

「HEROは、実はみなさんの周りにいます」

と。

世界で起こっている社会課題を「自分事」として捉え、アクションを起こす。(※名古屋市教育委員会の指導により鳴海東部小学校児童にはモザイク加工を施しています。)

紛争地で子どもたちを教える先生。

地雷を取り除き続ける人。

困っている誰かに手を差し伸べる人。

そして、自分が学校で学んだことを使って、まだ会ったことのない世界の誰かを笑顔にしようとする子どもたち。

「世界を変えるために、特別な力が必要なわけではない。今、自分が持っているものを誰かのために使う。その瞬間からHEROになれる」

 中村雄一代表は、全国の学校で実践されている「世界とつながる学び」の事例を通して、児童たちにそう語りかけました。

広島市の中学校
壱岐市の中学校
安八町の小学校
遊佐町の中学校

名古屋の教室で生まれた「学級目標」が世界の教材になった

 今回の物語は、夏休み前から始まっていました。なかよし学園は鳴海東部小学校の各学級で制作された学級目標のポスターを、担任の先生方から預かりました。

鳴海東部小学校各クラスで制作した学級目標ポスター

 普段であれば、教室の壁に掲示され、その学級の中で役割を終えるかもしれない作品です。なかよし学園はこれを「世界とつながる教材」として海外へ運びました。

 行き先の一つはアフリカ・ルワンダ。1994年のジェノサイドを経験し、現在も教育を通じた平和構築が続けられている国です。

鳴海東部小から託されたポスター
ポスターはルワンダKibagabaga小学校で授業に活用された
教室に展示されたポスター

 そしてもう一つがカンボジア。内戦と地雷問題の歴史を抱えながら、次の世代を育てている国です。

講演では、児童たち自身が制作したポスターが海を越え、それぞれの国の学校や教育現場へ届けられた様子が紹介されました。 

 児童たちにとって、「外国について勉強する」ことと、「自分がつくったものが外国にある」ことはまったく違います。遠い国だった場所に、自分たちの学級目標がある。その瞬間、「世界」は教科書やニュースの向こう側ではなくなります。

カンボジアで活用された鳴海東部小の学級目標

カンボジアで「初めての絵の具」――日本から届いたポスターが、新しい表現を生んだ

 2026年8月、なかよし学園はカンボジア・シェムリアップ州で教育活動を実施しました。

 8月25日。シェムリアップにあるSPEAN CHRIEV AMELIO PRIMARY SCHOOLで、なかよし学園は約100人の児童を対象に授業を実施。その授業の中で、鳴海東部小学校から預かった学級目標のポスターを紹介しました。

 そこでなかよし学園が用意したのが「絵の具」でした。日本では学校生活の中で当たり前のように使われる教材も、世界のすべての子どもにとって当たり前ではありません。「世界とつながる学び」プロジェクト参加校の山形県遊佐中学校の生徒たちが自発的に集めた文房具。遊佐中の生徒は「どうやったらこの文房具を世界に届けられるか?」を探究し、募金活動を実施。これまでもルワンダやカンボジアなど多くの国に文房具を届ける活動を行っています。

募金活動を行う生徒たち
募金活動を行う生徒たち
カンボジアに届いた文房具

 なかよし学園は現地の子どもたちへ絵の具セットをプレゼントし、日本から来たポスターを見てもらいました。初めて見るという絵の具に教室では歓喜の声が上がります。そして、このプレゼントはカンボジアの子どもたちにとって「日本の生徒に想いを伝えるツール」になります。

 今度は、カンボジアの子どもたちが「伝える側」になる番です。子どもたちは色を使って絵を描き、日本の鳴海東部小学校へ向けたメッセージを加えました。

「はじめての絵の具」を使って鳴海東部小に想いを伝えるカンボジアの子どもたち

 日本の日常的な学校生活から生まれたポスターがカンボジアで教材となり、そこで新しい表現が加えられ、再び日本へ戻る。これは一方的な「支援」ではありません。

日本の子どもたちが教える。
世界の子どもたちから教わる。

その両方が一つの教材の中で起こっています。

子どもたちの制作風景
子どもたちの制作風景
子どもたちの制作風景

 子どもたちはその絵の具を使って、日本の児童たちへ向けた絵やメッセージを制作。日本から届いた学級目標に、カンボジアの子どもたちの表現が加わり、ひとつの教材が国境を越えて往復する学びへと発展しました。

完成した「なかよしポスター」と制作したクラスの生徒たち

世界を旅したポスターが、10月1日、名古屋へ帰ってきた

 そして10月1日。世界を旅した教材が、鳴海東部小学校へ戻ってきました。

 スクリーンにはルワンダやカンボジアの子どもたちの姿が映し出されます。そこには、自分たちがつくったポスターを手にする世界の子どもたちがいました。

 講演会を通して鳴海東部小学校の児童たちは、中村雄一代表から現地でどのようにポスターを紹介したのか、どんな反応があったのか、そして世界の子どもたちが何を返してくれたのかを伝えられました。

鳴海東部小のポスターが活用された様子を知る児童たち

 児童たちは、自分たちが教室で何気なくつくったものが、国境を越え、「人と人をつなぐ教材」になったことを知りました。そして、カンボジアの子どもたちから託された作品が手渡されました。ここでCoRe Loopは一周します。

この日、カンボジアから鳴海東部小学校へ「想い」が手渡された。(※名古屋市教育委員会の指導により鳴海東部小学校児童にはモザイク加工を施しています。)

Create ― 日本でつくる。
Reach ― 世界へ届ける。
Co-Reflect ― 世界の人と一緒に考える。
Return & Redesign ― 世界から学びを持ち帰り、次の行動へつなげる。

「世界とつながる学び」は、オンラインで外国の人と話して終わる国際交流でも、物を海外へ送って終わる支援でもありません。

 日本の教室で生まれた学びを海外の現場で実際に使い、その結果を日本の子どもたちに返す「往還」そのものを教育にする仕組みです。なかよし学園はこのモデルを全国の学校へ展開しており、今年2月にはこのモデルがUNESCOのホームページに先進事例として掲載されています。

ユネスコのホームページに掲載されているなかよし学園の「世界とつながる学び」。

児童たちが語った「世界とつながった」実感

 講演後、児童たちからは次のような感想が寄せられました。

「他の国とのつながりが感じられた。」

「絵の具を初めて使うのに、とても上手で驚いた。」

「他の国の小学生が、どんな学校生活を送っているのか、興味がわいた。」

「自分たちの学級目標が他の国で飾られるなんてすごい。」

 

これらの言葉には、CoRe Loopが目指す学びの変化が表れています。「かわいそうな国を助ける」という一方向の視点ではなく、

「あの子たちは普段、どんな学校生活をしているのだろう」

という好奇心が児童たちに生まれ、「次はどんなアクションを起こそうか?」というサステナブルな探究が生まれています。

 また、「初めて絵の具を使うのに上手だった」という驚きは、無意識に持っていた「教える側/教わる側」という関係を揺さぶります。世界には、自分たちとは違う環境で、自分たちとは違う力を持つ同世代の子どもたちがいる。その発見こそ、「世界とつながる学び」が大切にする出発点です。

遠く離れたカンボジアと「顔が見えるつながり」を体感した鳴海東部小の児童たち(※名古屋市教育委員会の指導により鳴海東部小学校児童にはモザイク加工を施しています。)

昨年度は名古屋の「防災」が世界へ。今年度は「学級目標」が世界へ

 なかよし学園と名古屋市内の学校とのグローバル教育は、今回が初めてではありません。昨年度は、名古屋市立扇台中学校の生徒たちが制作した「防災カルタ」を海外の教育現場へ展開しました。

 災害の多い日本で培われてきた防災の知識を、中学生自身の言葉とイラストでカルタにする。その教材は国境を越え、防災教育や平和教育の現場で活用されました。また、扇台中学校の実践は国際連合システム学術会議ACUNSでも、日本の学校教育から生まれたグローバル教育実践の一つとして紹介されています。

名古屋市扇台中学校の実践が国際連合ACUNSで発表される(ニュースリリース)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000166170.html

 今年度は、そのモデルをさらに広げ、名古屋市内の複数の学校で「世界とつながる学び」を進めています。鳴海東部小学校の実践は、「特別な教材をつくらなくても、普段の学校生活そのものが世界とつながる」ことを示す事例になりました。

 学級目標。図工。防災。地域学習。国語。社会。日本の学校で日々行われている学びは、視点を変えれば、世界の誰かとつながるための教育資源になります。

児童たちは今回の活動を通してHEROが身近な存在であり、自分たちもHEROだということを知る。(※名古屋市教育委員会の指導により鳴海東部小学校児童にはモザイク加工を施しています。)

全国の教室から、ルワンダ・カンボジアへ

 鳴海東部小学校の活動と同時に、なかよし学園は全国の学校で生まれた学びを世界で実装しています。

広島市立広島特別支援学校では、生徒たちの「ものづくり」がルワンダやカンボジアへ届けられました。支援を受ける存在として固定するのではなく、自分たちが誰かに届ける側にもなれる教育モデルとして、その実践はUNESCOと欧州機関による「Inclusive Education in Action」のケーススタディにも掲載されています。

「支援される側から支援する側へ」を掲げた活動がユネスコにも掲載された広島市特別支援学校

 オイスカ浜松国際高等学校では、生徒が制作した海洋プラスチックディスクや千羽鶴などを教員自身がルワンダへ持参。日本の生徒がつくり、教師が世界へ届け、現地から得た経験を再び学校へ持ち帰るCoRe Loopを実践しています。

海洋プラスチックリサイクルを学び、スポーツの楽しさを世界に発信するオイスカ浜松高校

 千葉商科大学では、大学生と松戸市内の小中学生が共同制作した「PEACE防災カルタ」をルワンダのKibagabaga Primary SchoolとMiyove地区で実際に使用。地域で生まれた防災教育を世界で検証し、その成果を日本へ返す取り組みを進めました。

千葉商科大学と市川市・松戸市の小中学生が行った「PEACE防災カルタ」

教室で生まれた小さなアイデアが、世界のどこかで誰かの学びになる。

そして、その世界からの反応が、もう一度日本の子どもたちを育てる。

そんななかよし学園の「世界とつながる学び」の取り組み。鳴海東部小学校も、その大きな循環の一員となりました。

「自分たちがやったことが、世界で認められる」経験を子どもたちへ

 なかよし学園がCoRe Loopで重視しているのは、「届ける」こと以上に「返す」ことです。児童生徒が一生懸命つくった教材を海外へ持っていくだけでは、子どもたち自身には世界で何が起きたのか分かりません。

 だからこそ、写真、映像、作品、手紙、現地の声を日本へ戻します。

「自分のつくったものを喜んでくれた人がいた」

「自分が学校で勉強していることが、世界では役に立った」

「世界の子どもたちも、自分に何かを教えてくれた」

 教科書ではわからない、相手の「顔」が見えるつながりを創る。自分が世界に対して「笑顔を作ることができた」という成功体験を持つ。その実感までを含めてなかよし学園の授業は行われます。

 なかよし学園のCoRe Loopは、教材を海外へ運ぶための仕組みではありません。

子どもの学びを社会につなぎ、その価値が本人へ見える形で戻ってくる仕組みです。

なかよし学園のCoRe Loopモデル

なかよし学園プロジェクト代表・中村雄一 コメント

 今日、一番伝えたかったのは、『HEROは遠いところにいる特別な人ではない』ということです。

鳴海東部小学校のみんなが学校でつくった学級目標は、本人たちにとっては日常の学習だったと思います。でも、それを必要としている場所へ持っていけば、世界の誰かを笑顔にする教材になる。

 そしてカンボジアの子どもたちは、今度は自分たちの絵やメッセージを日本へ返してくれました。

どちらかが助ける側で、どちらかが助けられる側なのではありません。

お互いが持っているものを持ち寄って、お互いがHEROになる。

それが僕たちの考える『世界とつながる学び』です。

 私たちが特に大切にしているのは、子どもたちが行動した結果を、きちんと本人たちへ返すことです。

自分が考えたこと、自分がつくったもの、自分が行動したことが、世界の誰かに届き、喜ばれ、社会の中で価値を持った。その経験は、テストの点数とは違う大きな自信になります。だからこそ、日本と世界の子ども達が「顔」と「顔」を伝え合い、教科書ではわからない「現実世界のトモダチがこの地球上にいる」という実感を教えること。それが私たちが考える本当のグローバル教育です。

 これからの未来を創っていく子どもたちには、自分たちの行動には社会を変える価値があるということを、世界とのつながりの中で実感してほしい。

 今日ここにいる鳴海東部小学校の子どもたちも、もう『名古屋のHERO』です。

世界中に自分の笑顔を届ける。なかよし学園が行う「笑顔で世界を平和にBig Smile」を伝える中村雄一代表

「願う平和」から「行動する平和」へ

 講演の最後に中村雄一代表が示したメッセージは、

「“平和”って誰でも作れる!」

そして、

「“未知”の時代を切り開く 誰でもHEROになれる!」

でした。

 世界の問題を知るだけではなく、自分にできることを探す。つくる。届ける。世界から返ってきたものを受け取る。そして、もう一度考える。

 名古屋の一つの教室から始まった小さな学級目標は、ルワンダ、カンボジアを旅し、世界の子どもたちの思いを乗せて、再び名古屋へ帰ってきました。その一周を経験した子どもたちが、次に何をつくり、誰とつながるのか。

 なかよし学園はこれからも、日本全国の学校と世界の教育現場をつなぎ、「世界について学ぶ教育」から、「世界の中で行動する教育」への転換を進めていきます。

講演会の中で行われたディスカッションでは多くの児童が「自分の考え」を持ち、「自分の意見」として発表した。名古屋から世界のリーダーをつくる。なかよし学園の挑戦は続く。

「世界とつながる学び」CoRe Loopについて

「世界とつながる学びプロジェクト」は、日本の学校で行われている教科・総合学習・探究学習・地域学習・ものづくり等を、なかよし学園が活動する海外の教育・平和構築現場へ接続する教育プログラムです。

 日本で教材やアイデアをつくり、海外で実装し、現地の反応や作品、メッセージを日本へ返すことで、学びを一方向で終わらせない「CoRe Loop」を構築しています。

 日本の学びを世界へ届け、世界の経験を日本の次の学びへ還すという循環は、カンボジアプロジェクトでも活動モデルの中核として位置づけられています。

「世界とつながる学び」2026年度版について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000166170.html

世界とつながる学び公式ホームページ

https://nakayoshigakuen.org/coreloop

本件に関するお問い合わせ先

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org

写真素材・取材対応が可能です。
掲載時の写真クレジット:©なかよし学園プロジェクト

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会社概要

URL
https://nakayoshigakuen.org
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県松戸市小金原4-14-14
電話番号
047-704-9844
代表者名
中村雄一
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月