台日漫画交流の大突破 台湾漫画展が北九州市の漫画博物館に登場
台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと国立台湾歴史博物館が初めて北九州市漫画ミュージアムと合同開催する特別展「台湾漫画史不思議旅行 貸本屋さんと漫画の100年」の開幕式が11月26日、北九州市漫画ミュージアムで開催された。同開幕式には台湾から李静慧・文化部政務次長(文化省副大臣に相当)、張隆志・国立台湾歴史博物館館長らが来日出席し、王淑芳・駐日代表処台湾文化センター長、陳銘俊・駐福岡弁事処処長、西田幸生・北九州市副市長、田中時彦・北九州市漫画ミュージアム館長らとともに日本の各界に向けて台湾の漫画をPRした。
台湾文化センターは、2019年より北九州市とのアーティスト・イン・レジデンス協力を推進し、今年初めて台湾人漫画家の柚子(ユズ)とPETER MANN(ピーター・マン)が11月7日から12月5日まで北九州市に滞在して創作活動を行っている。台湾文化センターでは、台湾人漫画家のアーティスト・イン・レジデンス計画に合わせて、昨年11月に北九州市漫画ミュージアムおよび国立台湾歴史博物館と合同イベントを開催する企画を招請し、1年余りの準備期間を経て、北九州市漫画ミュージアムにて同展の開幕の日を迎えた。
李静慧・文化部政務次長は、挨拶のなかで「日本の漫画は多くの台湾人の子どもの生活と共にあり、多くの台湾の読者と漫画家にとって、日本の漫画は台湾の人々の生活の記憶の一部となっている。今回は台湾文化部が初めて日本の漫画ミュージアムで台湾漫画展を開催したものであり、また初めて台湾の漫画家を日本でのアーティスト・イン・レジデンスに派遣したことは、台湾の漫画の歴史においても大きな意味を持つものであり、台日漫画交流史においても重要な1ページになったといえる」と述べ、日本の人々に同展を通して台湾の漫画の魅力を知ってもらえることを期待した。さらに李次長は、漫画は映像・クリエイティブ作品のIP(著作権ライセンス)ビジネスの牽引役であり、台湾文化部は漫画産業の発展を重視し、漫画産業の環境整備のほか、台湾人漫画家の活躍舞台を積極的に後押しすると同時に、国家漫画博物館を開設して台湾漫画を収蔵展示する構想を進めており、漫画を通して台湾と世界の対話を始めていきたいとの考えを示した。
また、李次長は、今回の北九州市漫画ミュージアムとの連携を通して、今後日本各地の漫画に関する博物館とも多面的に交流を拡大することを望んでおり、台湾の国家漫画博物館は今後、海外の漫画家との交流も推進し、台湾人漫画家を日本に派遣するだけでなく、将来的には日本人漫画家を台湾に招き、滞在創作を通して台湾の物語を描いてもらいたいと述べた。
西田幸生・北九州市副市長は、今回の展示は日本と台湾のキュレーターによる共同企画であり、展示内容は非常に味わい深く、日本の人々にも同展を通して台湾の貸本屋と漫画の歴史を知ってもらいたいと挨拶した。田中時彦・北九州市漫画ミュージアム館長は、ここ数年間の台湾の漫画との交流の事績を述べ、台湾の文化部が長きにわたり日本で台日漫画交流を推進してきたことに感謝の意を表した。また、今年は北九州市漫画ミュージアム開館10周年であり、このタイミングで台湾漫画の特別展が開催できたことは特別な意義があると強調した。
台湾文化センターは近年、台湾漫画を日本に向けて積極的にPRしており、2020年には台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(文化内容策進院)と合同で「台湾漫画夜市展」、2021年には「『ありがとう日本』イラスト展」と「音とともに楽しむ台湾コミック展」を開催し、好評を博し、日本における著作権ライセンス契約拡大が進んだ。さらに今年は台湾人漫画家がはじめて日本でアーティスト・イン・レジデンスを行い、またはじめて日本の著名なミュージアムで台湾の漫画作品を展示した。漫画を用いて日本の読者らと対話することにより、台湾の漫画ブームが起こり始めている。
同展は国立台湾歴史博物館・国家漫画博物館準備小組の企画で、「貸本屋」をテーマに、台日の漫画のつながりや歴史を振り返るもので、日本統治時代の台湾貸本屋から始まり、戦後の武侠漫画ブームや、出版制限下の漫画、21世紀のデジタル時代に貸本屋が直面する課題などを展示し、同時に多彩な現代台湾漫画を日本の人々に紹介している。また、会場には台湾からアーティスト・イン・レジデンスで派遣された柚子とPETER MANNの滞在創作した漫画作品を展示している。
同展の会期は2023年1月22日まで。台湾文化センターは、立体的、多層的に台湾漫画を日本に広げていく戦略で、日本における台湾漫画の販売ルートを構築することを通して、日本の人々に台湾漫画を深く知ってもらい、台湾漫画の市場価値を高めていく。
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