【奈良高専】学生が開発した観測装置を搭載したロケットが打ち上げへ!
『新たな観測装置で電離圏擾乱の解明を目指します』
奈良工業高等専門学校(奈良県大和郡山市、校長:後藤景子 以下「奈良高専」という。)の電気工学科・芦原佑樹准教授が提案し、奈良高専の学生が参画する「観測ロケットS-520-32号機実験」が、令和4年7月10日~9月17日(予備期間含む)に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝属郡肝付町)において実施されます
JAXA 観測ロケットS-520-32号機実験の実施について
https://www.jaxa.jp/press/2022/05/20220518-1_j.html
【概要】
この観測実験は、電離圏擾乱(※)発生メカニズムの解明を目的として、奈良高専が京都大学、富山県立大学、東北大学、東海大学(以下、「共同実施機関」という。)と共同で宇宙航空研究開発機構(JAXA)に提案し、採択されたものです。
また、文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費宇宙航空人材育成プログラム「観測ロケット実験を通した宇宙機器エンジニアリングスキル養成プログラム(令和元年度~3年度)」の採択も受け、奈良高専および共同実施機関が担当する観測機器の新規開発や内製化について学生が中心となって取り組み、実践的なスキルを持つ宇宙人材を育成するという目的も併せ持ちます。
文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費宇宙航空人材育成プログラム
https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/jigyou/detail/1347482.htm#r01
※ 電離圏擾乱:地上からの高さ80~300kmにある電離圏と呼ばれる領域の大気(プラズマ)密度に濃淡が生じること。電離圏擾乱はスマートフォンやカーナビでの位置測位に影響を与えます。この発生メカニズムの解明は、位置測位の精度向上に貢献することが期待されます。
【奈良高専が開発した電子密度観測装置について】
観測ロケットに搭載した各種測定器により電離圏プラズマ密度の鉛直・水平方向の構造を観測します。芦原研究室はGNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)を使った電子密度観測装置を担当し、奈良高専学生が設計開発・製造した観測装置が観測ロケットに搭載されます。電子密度観測のためにはGNSS電波の搬送波位相を連続的に観測する必要があるため、観測ロケットの回転に対応できるように複数のアンテナを使用し、地上モデルを使って最適な配置を検討しています。学生は受信機の開発を担当する者、アンテナシステムの開発を担当する者というように、分業しながら開発を進めてきました。このように、本観測装置の開発には、基礎研究を含めると11年を費やし、その間11名の学生が卒業研究・専攻科特別研究として取り組んだ成果が集結しています。
今回実施される打ち上げオペレーションには専攻科生2名も参加し、観測装置の最終動作確認と観測データ取得を行います。オペレーションに参加する学生は、観測装置の設計・製作、ロケット搭載のための耐環境試験、ロケット搭載時の他観測機器との統合試験、打ち上げオペレーション、観測データ解析等、実践的な広い経験を得ることになります。
奈良高専について
実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関。中学校卒業程度を入学資格とする本科(5年制、機械・電気・電子制御・情報・物質化学工学科の5学科)および専攻科(2年制、システム創成工学・物質創成工学専攻の2専攻)を有し、敷地内に学寮も備え、奈良県内外から入学者を迎えています。
在学生の課外活動が活発で、全国高専間で開催されるロボコン大会、高専体育大会、各種コンテストにおいても優秀な成績を収めています。また、中小企業が集積し特に電子産業、製造業が盛んな地域であり、地域への情報発信と企業の技術相談窓口としての機能を持ち、県内だけでなく東大阪・八尾・京阪奈等周辺地域の産学官金連携の拠点としての役割を担っています。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 奈良工業高等専門学校
所在地:奈良県大和郡山市矢田町22
代表者:校長 後藤 景子
設立:1964年
URL:https://www.nara-k.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
奈良工業高等専門学校 総務課 企画・研究協力係
TEL:0743-55-6173(平日8:30-17:00)
e-mail:sangaku@jimu.nara-k.ac.jp
~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/
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