Indeed、正社員を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施。2024年度上半期の賃上げ率は平均+1.7%にとどまる結果に。対して今後の希望賃上げ率は平均+7.6%で、賃上げの実態と希望に4.4倍の差
希望賃上げ率が最も高いのは40代。
世界No.1求人サイト*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、20歳~59歳の正社員の男女計2,400名を対象に、「賃上げに関する意識調査」を実施しました。本調査は、継続的な物価高と人手不足感から2024年の春闘では33年ぶりの高水準の賃上げとなった中、働く人々全体における2024年4月以降の賃上げの実態や賃金上昇に対する意識を明らかにするために行いました。
■調査結果 主要ポイント
【賃上げに対する意識と実態】
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労働者(正社員)が、昨年(2023年)度に想定していた2024年度の想定賃上げ率は平均+1.6%(1.56%)だったのに対して、実際の2024年度上半期の賃上げ率は平均+1.7%(1.73%)となり、0.2pt(0.17pt)差と大きな乖離はない結果。
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2024年度上半期に賃上げがあった人は約半数(51.9%)にとどまり、その中での賃上げ率は平均+3.6%。このうち賃上げ率に対して満足している人は5割に満たない(49.7%)。労働者が満足のいく賃金を得られていない様子が伺える。
【今後の賃上げに対する希望】
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労働者の次回の賃金改定における希望賃上げ率は平均+7.6%(+2.3万円/月)で、2024年度上半期の実際の賃上げ率の4.4倍と、希望が実態を大きく上回る。
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年代別にみると、最も希望賃上げ率が高かったのは40代で平均+7.9%(+2.6万円/月)。実際の賃上げ率と希望賃上げ率の差が最も大きかったのも40代(実際+1.7%、希望+7.9%で6.2pt差)。
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賃上げ希望理由の最多は、全世代共通で「物価上昇によって生活費の負担が増えているから」(全体45.0%)。2番目に多い理由は40代・50代は「老後の資金を貯めたいから」(全体33.6%)、20代・30代は「(漠然と)将来が不安だから」(全体29.0%)。
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賃上げに向けて取り組もうとしていることの最多は「仕事で成果を出す」(35.0%)。一方で、3割以上(30.9%)は「特に何もしようと思わない」と回答。自分の仕事の成果の賃金反映に対し、諦めを感じている人も多い様子が伺える。
【賃上げと生活実態】
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2024年度上半期の賃上げにより基本給が増えた人のうち、家計に対する物価高の影響が昨年度よりも小さくなったと感じる人は18.0%である一方、物価高の影響が大きくなったと感じる人は32.9%おり、賃上げが物価高に追いついていないケースが多い様子が伺える。
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賃上げにより増加した分の賃金を充てたい先(使用用途)は、貯蓄(38.1%)が最多。次いで、投資(36.1%)、生活費(31.6%)となり、この3つはそれぞれ3割を超える結果に。20代、30代、40代においては、投資が貯蓄を上回っており、NISA(29.2%が充てたいと回答)などの国の施策や、長引く低金利や円安の影響が伺える。
■調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント
平均的には賃金が上昇しているものの、インフレという強い賃上げ動機がある中で、回答者の半数しか賃金上昇を経験しておらず、その中でも満足のいく上昇率を得た人は5割に満たない結果でした。このことは、賃上げが「広範囲かつ十分な規模」で労働者全体に行き渡っていないことを示唆しています。
また、回答者の賃上げ希望理由は主にインフレに起因している一方、回答者が勤務先での賃上げ理由をどのように認識しているかには違いがある可能性があります。この認識の違いが、賃上げ実現に向けた行動への回答のばらつきにつながっていると考えられます。例えば、インフレとは別にパフォーマンスが重要と「認識」している回答者は、「成果を出す」「スキルを磨く」といった行動を挙げる傾向があるかもしれません。
さらに、「賃上げ希望理由」と「賃上げによって増加した分の使用用途」には世代ごとの特徴が見られます。若い世代ほど消費性向が高い傾向があり、消費による物価の影響を受けやすい傾向があります。そして20代の実際の賃上げ率(2.2%)が世代間で相対的に大きく、物価上昇率(例:調査時2024年8月時点のコアCPI 2.8%)にまだ近づけたこともあり、賃上げが物価上昇の影響を軽減すると感じやすい結果につながったと考えられます。この世代では、賃金上昇が十分あれば消費拡大につながる可能性が示唆されます。
一方、年齢が高くなるにつれて、貯蓄への関心が強まり、「老後資金の準備」として賃上げ分を将来の消費に回そうとする回答が多く見られます。ただし、当該世代に対する賃上げが2%未満と十分でないため、実質的に現在の生活費で精一杯であることも留意すべきでしょう。また、家計の金融資産構成において、現金預金が未だ半分を占める日本の現状を考えると、20代から40代を中心に賃上げ分が貯蓄よりもどちらかというと投資に使われる傾向が見られることは、将来の消費拡大につながりうる良い兆候と考えられます。
<Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介(あおき ゆうすけ)プロフィール>
2012年東京工業大学工学部卒、2013年英国UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)経済学修士。その後、外資系コンサルティングファーム等でエコノミスト・データサイエンティストとして政府・民間・司法機関に向けた経済統計分析及び報告書作成に従事。2022年8月より現職。Indeedのデータを活用してOECD各国及び日本の労働市場を分析し、外部関係者に向けて分析結果・インサイトを発信している。
■調査実施の背景
2024年度の春闘の最終集計結果は33年ぶりに高水準となり、厚労省の「毎月勤労統計調査 令和6年10月分結果速報」によると、24年10月時点の名目賃金上昇率(前年同月比、ボーナスを含まない「きまって支給する給与」ベース)は、2.6%増加しています。一方で、物価を反映した実質賃金上昇率(前年同月比、きまって支給する給与ベース)は24年9月まで2年以上マイナスが続いた後、2024年10月時点でようやく0.1%とプラスに転じました(※1)。
そこで25年春闘に向けての動きがスタートしているなか、就業者の賃上げに対する意識や実態を明らかにすることで、就業者に有益な情報として活用いただくとともに、雇用主である企業の賃上げ検討においても参考にしていただきたいと考え、本調査を実施いたしました。
Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、あらゆる人々が公平に自分に合った仕事が得られる社会の実現に向けさまざまな取り組みを行なっています。今後も求職者や採用企業にとって役立つデータや情報を提供してまいります。
※1 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年10月分結果速報」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2410p/2410p.html)
■調査結果 詳細
【賃上げに対する意識と実態】
・2024年度上半期の実際の賃上げ率は想定賃上げ率と0.2pt(0.17pt)差と僅差に
(事業年度が4-8月はじまりの企業に勤務している)20-59歳の正社員の男女2,400名に、昨年度時点で想定していた2024年度の基本給の賃上げ率と、実際の賃上げ率を尋ねました。その結果、想定賃上げ率は平均+1.6%(1.56%)に対し、実際の賃上げ率は平均+1.7%(1.73%)でした。想定していた賃上げ率と実際との差は0.2pt(0.17pt)差と僅差であり、想定に近い賃上げ率であったことがわかりました。
・約5割が2024年度上半期に賃上げを経験、しかし賃上げに満足している人は少ない
2024年度上半期の基本給が昨年度よりも上がったかどうかを尋ねたところ、「上がった」と答えた人は51.9%でした。基本給が「変わらない」「下がった」と回答した人は、それぞれ39.5%、3.0%となっており、約5割が賃金が上がったという結果となっています。
企業規模別に見ると、大規模企業(1,000名~)に勤める従業員のうち63.9%が賃上げを経験、100~999名の中規模企業では56.6%、99名以下の小規模企業では42.5%でした。賃上げ経験率は従業員規模に比例する結果となりました。
しかし、賃上げがあった人(1,246名)に2024年度上半期の賃上げ率に満足しているかどうかを尋ねると、満足している人は49.7%で、5割未満となっており満足している人は半数に満たない結果でした。
【今後の賃上げに対する希望】
・今後の希望賃上げ率は平均+7.6%で、2024年度上半期の賃上げ率(平均+1.7%)を大きく上回る
次回の賃金改定で、現在の基本給からどの程度の賃上げを希望するかを尋ねた結果、賃上げを希望する人が75.2%で、基本給の希望賃上げ率は平均+7.6%となりました。回答者の平均基本月給(29.9万円)(※2)と掛け合わせて金額換算すると、月額+2.3万円になります。
また、この希望賃上げ率は2024年度上半期の実際の賃上げ率(平均+1.7%)の4.4倍となり、正社員就業者は現状の賃上げ率を大きく上回る賃上げを希望していることがわかります。
※2 基本給の平均値は、外れ値をクリーニングして算出。希望賃上げ率との掛け合わせにおいて、『どのくらいの賃上げが妥当なのかわからない』と回答した人は除外して算出。
・希望賃上げ率が最も高いのは40代で、希望と実態の差も最も大きい
希望賃上げ率は、年代によっても違いが見られました。最も希望賃上げ率が高い年代は40-49歳で平均+7.9%(+2.6万円/月)という結果になりました。また、2024年度上半期の賃上げ率と希望賃上げ率の差が最も大きかったのも40代(2024年度上半期賃上げ率+1.7%、希望賃上げ率+7.9%で6.2pt差)でした。
昨今、人材獲得競争の激しい若い世代で賃金の高水準化が進む中、ミドルシニア層における賃金の伸びが小さくなるといった世代間賃上げ格差が見られますが、本調査結果からもその傾向が示唆されました。
一方で、現在の40代は、就職氷河期世代にあたり、企業におけるこの世代の人材が不足しているなどを背景に、ミドルシニア世代の人手不足感の高まりも見られます。企業はミドルシニア世代の人材獲得を目指すにあたっては、特に仕事と賃金のバランスに目を向ける必要があると言えそうです。
・賃上げを求める理由で最も多かったのは、「物価上昇による生活費負担の増加」
基本給の賃上げを希望する人の理由として、最も多く挙げられたのは全世代共通で「物価上昇によって生活費の負担が増えているから」(全体45.0%)でした。一方で、2位以下の理由には世代間で差が見られました。40代・50代で2番目に多かった理由は「老後の資金を貯めたいから」(40代38.9%・50代40.5% / 全体33.6%)、20代・30代では「(漠然と)将来が不安だから」(20代23.5%・30代34.5% / 全体29.0%)となりました。
「パフォーマンスに見合った賃金が欲しい」と回答した人は24.0%にとどまり、それよりも、当面の生活費や将来への備えのために賃金アップを望む人が多い傾向にあることがわかります。
・賃上げに向けて取り組みたいこと、「仕事で成果を出す」「スキルアップ・自己研鑽」が上位の一方で、3割は「特に何もしようと思わない」
希望の賃上げ率を達成するために、次の賃金改定までに取り組もうとしていることを聞いたところ、最も多かったのは「仕事で成果を出す」(35.0%)、次いで「スキルアップ・自己研鑽する」(24.3%)という結果になりました。一方で、3割以上は「特に何もしようと思わない」と回答しています。
仕事の成果や自身のスキルアップなどが、賃金に反映される実感を得られておらず、諦めを感じている人も一定数いるのではないかと推測されます。
【賃上げと生活実態】
・物価高に対する賃上げの効果は限定的
2024年度上半期に賃上げがあった人(1,246名)を対象に、賃上げによって、物価高の影響がどう変化したと感じるかを聴取しました。
基本給が増えたことで、物価高による家計への影響が、昨年と比較してどう変化したかを聞いたところ、「小さくなった」は18.0%、「変わらない」は49.1%、「大きくなった」は32.9%という結果となりました。全体では、影響が大きくなったという割合が、小さくなったという割合を上回り、賃上げ実感が物価高に追いついていないケースが多い様子が伺えます。
一方、世代別でみると、20代では、物価高による家計への影響が「小さくなった」は33.4%で、「大きくなった」の23.9%を上回りました。若い世代においては、賃上げにより生活が楽になったと感じるケースがより多い傾向にありそうです。
・賃上げ分は「貯蓄」「生活費」「投資」に充てたい
賃上げに伴う支出の変化に着目すべく、(2024年度上半期の)賃上げによって増えたお金を何に充てたいかを尋ねました。その結果、「貯蓄」(38.1%)、「投資」(36.1%)(※3)、「生活費(家族の扶養費含む)」(31.6%)の3つがそれぞれ3割を超える結果となりました。
年代別でみると、50代は「貯蓄に充てたい」という回答が最も多かった(47.1%)一方で、20代・30代・40代では「投資に充てたい」という回答が最も多い(それぞれ37.4%、37.6%、39.7%)結果となりました。貯蓄に対して投資の差分は、20代+6.1pt、30代+1.2pt、40代+0.02ptとなり、若い世代ほど貯蓄よりも投資に回したいと考える傾向が高いことがわかりました。
日本では、家計金融資産における現金・預金の割合が高く、投資よりも貯蓄に回す傾向が諸外国よりも高い状況にありますが(※4)、NISA(29.2%が充てたいと回答)などの国の施策や、長引く低金利や円安の影響もあり、投資に回したいと考える割合が高まっている様子が伺えます。
※3「NISA」または「NISA以外の投資」と回答した人の割合
※4 日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf)
■「賃上げに関する意識調査」概要
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調査主体:Indeed Japan株式会社
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調査対象:現在就業中の20~59歳の正社員(勤務先の従業員規模が2名以上、現在の勤務先の勤続年数が満1年以上、勤務先の事業年度の開始が4-8月の間) 男女計2,400名
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割付方法:性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収
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補正:「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比にあわせて補正
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調査方法:インターネット調査
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調査期間:2024年8月26日~8月28日
※構成比(%)、差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合があります。
Indeed(インディード)について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト*です。Indeedには、5億8000万件以上の求職者プロフィールがあり、28言語で60か国以上の人々がIndeedで仕事を探したり、履歴書を投稿したり、企業を調べたりしています。 350万以上の雇用主がIndeedを利用して新しい従業員を見つけ、採用しています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
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※本プレスリリースは、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20241210
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