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独立行政法人国立高等専門学校機構
会社概要

鈴鹿高専生の卒業研究がイギリス材料表面処理学会の論文誌に掲載

~金属材料表面のバイオフィルム(ぬめり)を色の濃淡で評価-抗菌製品技術協議会も注目~

独立行政法人国立高等専門学校機構

独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校(三重県鈴鹿市 校長:竹茂 求 以下「鈴鹿高専」という。)の材料工学科・高柳美月さんの卒業研究が、イギリス材料表面処理学会の論文誌(Transactions of IMF)に掲載されました。本研究は、GEARマテリアルの鈴鹿高専のコア技術とする抗菌・抗ウイルス・抗バイオフィルム材料評価プラットフォームの中で行われたものです。本研究で明らかとなった方法は、抗菌製品技術協議会(SIAA)による国際規格化が検討されています。

高柳美月さん(左)と兼松秀行特命教授(右)高柳美月さん(左)と兼松秀行特命教授(右)

掲載論文と論文タイトル掲載論文と論文タイトル

















研究成果の要点
  • 大腸菌及び表皮ブトウ球菌の形成するバイオフィルムの量をクリスタルバイオレット(※)の色度で予測できた。
  • ラマン分光による解析の結果、異なる細菌の種類及び材料によりバイオフィルムの形成においてその構成分や量に差が出ることを明らかにした。

クリスタルバイオレット染色法によるバイオフィルム形成の測定クリスタルバイオレット染色法によるバイオフィルム形成の測定

概要
 鈴鹿高専の高柳美月さんは卒業研究で、細菌により形成されるバイオフィルム(※)を簡単な方法で定量化する方法を検討していました。そして度重なる実験を行い、ある一定の傾向が得られることを2019年の2月の卒論にまとめ上げました。その後、小山高専、大阪大学、物質・材料研究機構(NIMS)の研究者間で、繰り返し実験を重ね今回の論文発表となりました。
 これまでバイオフィルムは顕微鏡や様々な高価で高度な分析装置(電子顕微鏡など)で観察する試みは多数見られますが、工業的な観点から簡易的に・迅速にバイオフィルムを定量評価できる方法は少なく、新たな提案(測定法)が期待されていました。高柳さんの研究成果はその期待に応えるものであり、抗菌製品技術協議会(SIAA) (※)はこの方法を基に国際規格化の検討を進めており、材料表面上で発生するぬめりの定量化とともに、その数値化による新規な材料開発に弾みがつくととになると考えます。
 鈴鹿高専では、GEAR5.0 (未来技術の社会実装教育の高度化) プロジェクトのマテリアル分野における中核校であり、高柳さんは本プロジェクトへの参画を通じて、プロジェクトリーダーの兼松特命教授らの指導のもと、大きな研究成果を挙げることができました。

研究成果

チタン表面上に発生する大腸菌(E.coli)及び表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)と色との関係チタン表面上に発生する大腸菌(E.coli)及び表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)と色との関係

炭素鋼表面上に発生する大腸菌(E.coli)及び表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)と色との関係炭素鋼表面上に発生する大腸菌(E.coli)及び表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)と色との関係

 上図は、各材料(チタン・炭素鋼)別の、表面上に発生する大腸菌及び表皮ブドウ球菌と色との関係を示したものです。ラマン分光法(※)により、バイオフィルムの発生度合い及び構成分を測定できることから、本研究の中でバイオフィルムの形成は菌種と材料により、その発生する度合いが異なることが明らかにしました。例えば、図に示したように炭素鋼ではバイオフィルムの度合いと明るさが相乗的に増加する関係にあるのに対して、チタンではそれが緩慢であることがわかります。また、クリスタルバイオレットの染色はバイオフィルムの量、特に多糖類の含量と密接な関係があることが確認され、有効なバイオフィルム定量法であることが示されました。

著者名
高柳美月、兼松秀行、幸後健、河合里紗、小川亜希子、平井信充 (鈴鹿高専)
加藤岳仁 (小山高専)
三浦英和 (鈴鹿医療科学大学)
吉武道子 (物質・材料研究機構)
田中敏宏 (大阪大学)
Barry D.M. (Clarkson大学)
発表論文URL: https://doi.org/10.1080/00202967.2022.2066830

GEAR5.0マテリアル
https://www.suzuka-ct.ac.jp/gear-materials/

高専生の活躍
 鈴鹿高専卒業生の高柳美月さんは現在、お茶の水女子大学の大学院で研究を続けています。在学中は実験をすることが好きで、当初データのばらつきはあったものの繰り返し実験をして論文にまとめることのできる努力家でした。高柳さんは、研究する上で大切なことは諦めずに創意工夫することを強調していました。鈴鹿高専は、これからも社会で活躍できる研究者・技術者の育成を行っています。

用語解説
※  バイオフィルムとは
バイオフィルムは、流し台の排水溝に発生する“ぬめり”の原因となるなど、水があればどこにでも発生し、環境・衛生に影響を与えるとともに、材料腐食などの原因となります。微生物と微生物が産生する細胞外高分子物質(多糖類やタンパク質など)の集合体であり、一般的には“ぬめり”として知られています。

※ クリスタルバイオレットとは
主として細菌類を染色する色素のひとつで、細菌を分類する基準にも使われています。

※ SIAA(一般社団法人 抗菌製品技術協議会)
https://www.kohkin.net/siaa.html

※ ラマン分光法とは
ラマン分光法とは、ラマン散乱光を用いて物質の評価を行う分光法です。光を物質に照射すると、光が物質と相互作用することで入射光と異なる波長を持つラマン散乱光と呼ばれる光がでてきます。ラマン散乱光の性質から、物質の分子構造や結晶構造を知ることができます。

今後の期待
 本研究では、工業的な観点から簡易的に・迅速にバイオフィルムを定量評価できる新たな測定法が提案されました。これまで、バイオフィルム対策技術の研究開発では、さまざまな試薬や顕微鏡による検出方法が利用されてきましたが、本研究を発展させることで今後バイオフィルムの形成の評価をより簡便・迅速に行うことができることが強く期待されます。

 【鈴鹿工業高等専門学校について】
鈴鹿工業高等専門学校は、全国12の国立高専一期校のひとつとして1962年に設立され約10,000人の卒業生は技術者や研究者あるいは企業家として社会で活躍し、産業界から高い評価を受けています。1993年には、さらに2年間の高度な専門教育を実施する専攻科を設置して国際社会で活躍できる創造性豊かなエンジニアの育成に努めています。また、鈴鹿高専テクノプラザをはじめとして地域社会と密接に連携した教育研究により産業振興に努めています。

【学校概要】


学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校
所在地:三重県鈴鹿市白子町
校長名:竹茂 求
設立:1962年
URL:https://www.suzuka-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

【本リリースに関するお問い合わせ先】
独立行政法人国立高等専門学校機構
鈴鹿工業高等専門学校
総務課地域連携係
TEL:059-368-1717(平日8:30-17:00)
e-mail:chiiki@jim.suzuka-ct.ac.jp
 

~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/

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業種
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本社所在地
東京都八王子市東浅川町 701-2
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谷口 功
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