【慶應義塾】紀伊半島の神経難病である牟婁(むろ)病(Kii ALS/PDC)のグリア細胞に関わる病態を解明
-iPS細胞創薬への糸口を見出す-
慶應義塾大学再生医療リサーチセンターの岡野 栄之 センター長/教授(研究当時:慶應義塾大学医学部生理学教室・教授)、理化学研究所のニコラ ルヴァントゥ 特任助教(研究当時:慶應義塾大学医学部生理学教室・特任助教)、慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエアの森本 悟 特任准教授(研究当時:慶應義塾大学医学部生理学教室・専任講師)、三重大学大学院地域イノベーション学研究科の小久保 康昌 招聘教授らの研究グループは、紀伊半島に多発する筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合(牟婁(むろ)病)患者iPS細胞モデルを用いて、病気に重要な役割を果たすと考えられているアストロサイトを作製して、CHCHD2というミトコンドリア機能に重要な遺伝子およびタンパク質が、著明に低下していることを明らかにしました。さらに、アストロサイトの神経保護機能が低下していること、機能を回復する手法、そして実際の患者脳脊髄内アストロサイトでもCHCHD2の異常をきたしていることを突き止めました。
牟婁病という病名が書物に記載されてから300年以上、当該疾患の原因については不明なままでしたが、今回患者iPS細胞モデルおよび高純度な細胞分化誘導技術を用いることで、重要な病態の一端を明らかにし、iPS細胞創薬に繋がる糸口を見出すことに成功しました。
この研究成果は、これまで疾患モデルも存在せず謎に包まれていた牟婁病の病態を明らかにし、本疾患の理解や創薬に向けて、大きく加速するものと考えます。
本研究成果は2024年5月16日に、神経疾患の病理学および病因に関する著明な科学雑誌である「Acta Neuropathologica」誌(オンライン)にて公開されました。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/5/30/240530-1.pdf
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