【建設業界従事者1,000人の建設DXに対する調査】デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思う業務プロセスは、「施工・専門工事」と「施工管理」で58.4%
~「施工・専門工事」と「施工管理」のデジタル化の遅れは、地方ゼネコン、サブコン、工務店、専門工事店、大工などの自営が上位に~
建設DXに取り組む野原グループの野原ホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:野原弘輔)は、建設業界従事者1000人への「建設業界イメージ調査」( https://nohara-inc.co.jp/news/release/7192/ )に続き、「建設DXに対する意識調査」を実施しました。
「人手不足」「高齢化による技術継承」が業界課題として顕在化した中、調査結果から、課題解決には何が必要かを考察します。
「人手不足」「高齢化による技術継承」が業界課題として顕在化した中、調査結果から、課題解決には何が必要かを考察します。
- 建設業界従事者への独自調査|建設DXに対する意識は<総評>
- 前回調査結果から、建設業界従事者が思う建設業界で最も深刻な課題は、1位「人材不足」(56.5%)、2位「高齢化による技術継承」(43.6%)が上がり、この2項目が課題として顕在化した。
【建設業界従事者が思う建設業界の深刻な課題】※前回調査結果
1位:人材不足(56.5%)
2位:高齢化による技術継承(43.6%)
3位:円安などによる建材・人件費の高騰(30.8%) - 建設業界の課題解決として、建設業界従事者が期待するデジタル技術には「建設ロボット」や「測量ドローン」「VR・AR・MR」が上がっているが、建設現場での導入は進んでいない実態も明らかに。
- 「デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思う業務プロセス」には、「施工・専門工事」(35.3%)、「施工管理」(23.1%)がトップ3にランクイン(複数回答)。このことから、生産性向上、業務効率化の鍵は「施工・専門工事」「施工管理」にあると推測できる。
- デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」のトップ5から、今後の推進には予算確保や導入の煩雑さ、今までのやり方にとらわれない「柔軟な発想や業界従事者の意識変革」が鍵になるものと思料される。
1.【建設業界の課題解決に期待するデジタル技術】
建設業界従事者が思う最大の課題(人材不足、高齢化による技術承継、円安などによる建材・人件費の高騰)に対する解決方法として期待するものと、現実に導入が進んでいるかの現状の上位3つをそれぞれ尋ねたところ、結果は次表の通りとなりました。
業界課題を解決すると期待するデジタル技術 | 導入が進んでいると思うデジタル技術 | |
1位 | 建設ロボット(37.7%) | 建設ロボット(20.1% |
2位 | 測量ドローン(21.1%) | 工事管理システム(18.7%) |
3位 | VR・AR・MR(18.5%) | VR・AR・MR(14.5%) |
2.【デジタル化による生産性向上、業務効率化】
業務プロセスごとに、「デジタル化による生産性向上、業務効率化」が進んでいるものと、遅れているものを尋ねたところ、次表の通りの結果となりました。※複数回答
「デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思う業務プロセス」の1位「施工・専門工事」、3位「施工管理」が、生産性向上、業務効率化の鍵になりうると考えられます。
(施工管理については、デジタル化による生産性向上と業務効率化が「進んでいる」でも3位に入っていることから「遅れている」「進んでいる」は二極化している可能性も)
進んでいると思う業務プロセス | 遅れていると思う業務プロセス | |
1位 | 設計関連業務(設計・監理など)(46.6%) | 施工・専門工事(35.3%) |
2位 | 見積・積算業務(38.4%) | 営業(25.1%) |
3位 | 施工管理(30.75%) | 施工管理(23.1%) |
4位 | 施工・専門工事(14.6%) | 購買・調達業務(15.5%) |
5位 | 営業(13.7%) | 見積・積算業務(15.4% |
2-1.【業種別】「施工・専門工事」「施工管理」のデジタル化が遅れていると感じる業種別での結果は、次表の通りで、特に「施工・専門工事」については現場に近い業種ほどデジタル化の遅れを感じている傾向が強いと言えます。
※複数回答
施工・専門工事 | 施工管理 | |
1位 | 空間ディスプレイ(50.0%) | サブコン(37.9%) |
2位 | 工務店(48.8%) | 空間ディスプレイ(30.0%) |
3位 | 自営(例:大工)(45.0%) | 準大手・中堅ゼネコン(29.1%) |
4位 | 専門工事店(42.1%) | スーパーゼネコン(29.0%) |
5位 | サブコン(41.4%) | 住宅リフォーム(26.7%) |
6位 | 地方ゼネコン(40.9%) | 地方ゼネコン(24.7%) |
※空間ディスプレイとは、店舗や展示会ブース、オフィスなど、幅広い範囲で内装や展示に関するデザインを行う企業のこと
3.デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」(複数回答)の上位5位は、1位「デジタル化できない作業が多い(52.8%)」、2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」、3位「導入から運用までの煩雑さ(23.8%)」、4位「予算が確保できない(22.1%)」、5位「従来のやり方が一番早いと思っているから(21.7%)」でした。
2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」、5位「従来のやり方が一番早いと思っている(21.7%)」と圏外6位「ツールの使い方を覚えるのが面倒」については、建設業界従事者の業界イメージ」調査のマイナスイメージ5位に「昔ながらの文化(20.1%)や慣習が多い」が上がっていたことも併せて考慮すると、建設業界従事者の一部には変化を望まない層もあるのではないかと推測されます。
3-1.【業種別】デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」(複数回答)で、2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」、5位「従来のやり方が一番早いと思っているから(21.7%)」を業種別にみてみると、次表の通りとなりました。※複数回答
建設ロボットの開発や、生産性向上の手段の一つとして国が進めるBIM(ビム/Building Infomation Modeling)の業界内旗振り役ともいえるゼネコンが上位に名を連ねている点に注目したいと思います。
現場での変更が多くデータ更新が面倒 | 従来のやり方が一番早いと思っているから | |
1位 | サブコン(41.4%) | スーパーゼネコン(33.9%) |
2位 | 設計事務所(33.1% | 地方ゼネコン(28.0%) |
3位 | スーパーゼネコン(32.3%) | サプコン(24.1%) |
- 野原グループ CDO(最高デジタル責任者) 山﨑芳治より|調査結果について
“業界課題を解決するためには、業界全体でデジタル化へ取り組む必要。その切り札の一つと言われるBIM活用を推進して業界構造から変えていくには「業界の意識変化」も求められる。”
同じ建設業界に従事される1000人の「人手不足」「高齢化による技術承継」に対する危機感はあるものの、デジタル化が思うように進んでいないと感じていることはとても残念に思います。
建設業界では、従事者の高齢化などもあり、2030年には建設需要に対して、ベースライン成長の場合、建設技術者は6の約3万2000人(内閣府予想の成長実現ケースを当てはめると10の約6万人)、建設技能工は9の約23万1000人(同14の約36万4000人)が足りなくなると予想されています。
大学生の建設業界に対するイメージ調査(https://nohara-inc.co.jp/news/release/7148/ )では、建設業で働く=建設現場で働くというイメージが強いという結果が出ていましたが、その現場においてデジタル化の遅れが目立つ結果となりました。
また、大学生・建設業界従事者ともに建設業界のマイナスイメージとして挙がっている給与や待遇面での改善を進めていくには、企業として、生産性を高め、収益性を改善する必要があります。
どうやって、生産性を高め、収益性を改善していくか?
その方法の一つには、人手不足を補う、デジタル技術の導入が必須であると考えられています。
現在、国と建設業界は官民一体で、手段として、「建設DX」に取り組んでいます。
特にBIM(ビム/ Building Information Modeling)によるデータの利活用で建設工程全体の生産性向上を実現する動きが始まっています。BIMは、直訳すると、情報で建物をつくること。建設物のデジタルモデルに、部材やコストなど多様な属性データを追加した建設物のデータベースを持たせ、設計・施工・維持管理といったプロセスを横断して活用するため考え方や仕組みです。
BIM導入のメリットの一つには「図面の整合性」があります。BIMでは、BIMモデルから「切り出す」ことで図面・リスト・パースを生成でき、切り出された各種データ(図面など)は常に整合性が保たれます。このことは、BIMが、デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由(複数回答)」(トピック3)の2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」への対策にもなるのではないでしょうか。
今回の調査結果からは、業界最大の課題に対する解決策として、現場でのデジタル化を阻害する要因が「予算」や「煩雑さ(面倒さ)」「これまでのやり方から抜けられない」ことにあるのだとしたら、業界での意識変革を現場レベルまで含めて変えていく必要があるように思います。(詳細は、別紙参照)。
私たち「野原グループ」は、BIMのメリットを最大限発揮するために、BIM設計-生産-施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を主軸とした建設DX推進事業に注力しています。
BIMを中心としたデジタル活用による変革(デジタルトランスフォーメーション)によって、10年後には、働き方もプロジェクトの進め方も生産性も変わっている「アップデートした建設業界」にしていこうではありませんか。
今こそ、我々、業界全体が一丸となって、BIM=新たな挑戦に取り組んでいくときです。
ぜひ、業種、事業規模の枠を超えて協力していければと思います。
以上
- BIM設計-生産-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について
「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から生産・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。設計・施工の手間・手戻りをなくし、生産・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。
「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。【WEB】https://build-app.jp/
- 野原ホールディングス株式会社について
野原ホールディングスを中心とする野原グループは、「CHANGE THE GAME.クリエイティブに、面白く、建設業界をアップデートしていこう」のミッションのもと、これまで培ってきた知見をさらに磨き、未来につなげていくことで、より一層社会に貢献して参ります。
https://nohara-inc.co.jp
- 資料
【別紙(結果詳細)】https://prtimes.jp/a/?f=d19866-20230405-f620bb0aa464e4deb99c33e1cafc70bf.pdf
- 調査実施概要
調査対象者:全国の建設業界従事者
回答数:1,000人
調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)
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