【令和7年5月時点|放課後児童クラブ待機児童1万6,330人】「預かるだけ」から「育つ場」へ、いま問われる学童保育の再定義

〜明日香、夏休みを前に学童保育の付加価値に関する「提言レポート」を発表〜

株式会社 明日香

株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、 https://www.g-asuka.co.jp )が運営する子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ( https://konnect-labo.jp/ )」は、小学生の子どもを持つ保護者を対象とした学童保育に関する意識調査(※4)の結果、および国が進める放課後児童対策の動向を踏まえ、学童保育の付加価値に関する提言レポートを公開いたしましたので、お知らせいたします。

■保育の無償化が進む一方、小学校以降の放課後は「有料・預かり・地域格差」が残る

幼児教育・保育の無償化により、幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3歳から5歳までの子どもの基本的な利用料は、無償となっています(※3)。就学前の保育所等の待機児童も、国と自治体による受け皿整備が進み、ピークだった2017年の2万6,081人から減少を続け、2025年4月1日時点では2,254人まで減りました(※3)。ピーク時の10分の1以下の水準です。就学前の保育環境は、費用と受け皿の両面で着実に前進してきました。

一方、小学校進学後に共働き家庭の受け皿となる放課後児童クラブ、すなわち学童保育では、なお課題が残っています。こども家庭庁が令和7年12月に公表した実施状況によると、令和7年5月1日時点の待機児童数は1万6,330人で、前年から1,356人減りました(※1)。就学前の保育所等が2,254人まで減ったことと比べると、依然として桁の違う水準にあります。登録児童数は157万645人と過去最多を更新しており、需要は拡大を続けています。待機児童は地域に偏在しており、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県で合計7,214人と、全体の約44%を占めています。一方で、福井県のように待機児童がいない地域もあります。

保育園から学童へと預け先が切り替わる小学校入学の時期には、「小1の壁」と呼ばれる仕事と子育ての両立の難しさが生じます。就学前は無償で手厚い保育を受けられた家庭が、就学後は有料で、内容も地域によってばらつく放課後に向き合うことになります。この課題に対し、こども家庭庁と文部科学省は「放課後児童対策パッケージ2026」を策定し、「小1の壁」の打破に向けて受け皿の整備を進めています(※2)。同パッケージは、受け皿の確保を大きな柱としつつ、質・量両面の充実や多様な体験・活動にも言及しています。国の方針を踏まえながら、各地域や事業者が、子どもが放課後をどのように過ごすかを具体化していく段階にあります。

長期休暇には、子どもが朝から夕方まで学童保育で過ごすことになります。夏休みを前にしたいま、預かる時間の長さに見合う中身をどう確保するかに、保護者の関心が集まっています。

■保護者の約8割が現状を「預かるだけ」と実感、それでも「学びや体験の場」を求める

本調査の対象は、現在学童保育を利用している小学生の保護者です。その回答からは、次のような実態がみえてきました。

明日香の子ねくとラボが実施した調査(※4)では、学童保育の過ごし方や中身について不安や疑問を感じている保護者が約8割(76.5%)に上りました。現在利用している学童を「預けるだけの場所になっている」と感じる保護者も、同じく約8割(77.4%)を占めています。子どもの過ごし方を把握できていると感じる保護者が多い一方で、中身への物足りなさや不安が併存しています。

不安を感じている保護者にその内容を尋ねると、最も多かったのは「学習面でのサポートが不足していると感じること」(61.2%)で、「子どもがどんな活動をしているか見えにくいこと」(44.7%)、「体験や習い事のような学びの機会が少ないこと」(43.5%)が続きました。自由回答では、宿題の進捗が管理されず放置されているように感じるという声や、見守る大人がどのような人か分からず不安だという声が寄せられています。

注目すべきは、こうした現状に対して保護者が受け身にとどまっていない点です。「追加料金を払ってでも、より充実した学びや体験を提供してほしい」と考える保護者は85.6%に達しました。追加料金を払ってでも希望すると答えた保護者にその内容を尋ねると、「英語や外国語に触れる体験」(55.8%)が最も多く、「学習サポート」(47.4%)、「プログラミングやITに関する体験」(33.7%)が続きます。

その背景には、教育投資への関心の高さがあります。小学校進学の前後で養育・教育にかかる費用が増えたと感じる保護者は約8割(78.4%)に上ります。費用が増えたと感じながらも、なお対価を払って質の高い学びや体験を求める回答が多く見られます。ここから読み取れるのは、保護者のニーズが「安全に預かってほしい」という段階から、「放課後の時間を学びや成長に充ててほしい」という段階へと広がりつつあることです。

■学びや体験の質は、住む地域や通う施設によって変わる

保護者が実感しているのは、中身の物足りなさだけではありません。学童保育の質や提供される内容に「自治体や地域による差がある」と感じる保護者は、約9割(86.5%)に上りました。差があると考えた理由として最も多かったのは「SNSやインターネットで情報を見たから」(57.3%)です。他地域の状況が可視化されるなかで、格差に対する意識が高まっています。

実際に、利用料には地域や施設による差があります。こども家庭庁の実施状況では、利用料を徴収するクラブが大半を占める一方、月額利用料は数千円台から1万円以上まで幅広く分布しています(※1)。英語やプログラミングなどに特色を持つ民間学童では、利用日数や預かり時間、送迎、プログラムの内容によって費用がさらに変わります。どのような放課後を過ごせるかが、住む地域と家庭の負担能力に左右されやすくなっています。

こうした状況を受け、保護者が自治体に対して期待する支援の第1位は「体験や学びに対する補助金の支給」(53.2%)でした。「指導員の質を担保する研修制度の整備」(42.3%)、「利用料の補助・無償化の拡充」(37.8%)が続きます。現在学童保育を利用している保護者の回答では、受け入れ枠の拡大よりも、体験・学びへの補助や指導員の質の担保が上位に挙がっています。

保育の分野では、「地域格差=保育教育格差」を避けることが長く課題とされてきました。同じ構図が、いま放課後の学童保育にも現れています。すべての子どもが、住む地域にかかわらず質の高い学びと体験に触れられる環境をどう整えるかが問われています。

■なぜ「育つ場」への転換は容易でないのか|学童保育の運営が抱える現実

保護者の期待に応えるためには、学童保育の運営が置かれている現実にも目を向ける必要があります。学童保育は1998年の児童福祉法改正で「放課後児童健全育成事業」として制度化されました。いまでは登録児童数が157万645人に達し、働きながら子育てをする家庭を支える社会インフラとなっています(※1)。一方で、その運営基盤は必ずしも盤石ではありません。

放課後児童クラブの運営は、公的な補助と利用料で賄われますが、その水準は就学前の保育と比べて手厚いとはいえません。現場を担う指導員は非常勤が多く、有資格の常勤職員でも平均年収は約289万円にとどまるとの調査があり、国も処遇改善事業を続けています(※5)。人材の確保と定着が難しく、こうした財政・人材の制約が、保護者の求める学習サポートや体験プログラムといった「質」への投資を難しくしています。

負担は特定の時期に集中します。夏休みなどの長期休暇には、子どもが朝から一日を過ごすため、通常より多くの職員を確保しなければなりません。短期間だけ人員を増やす必要があることから、人材の確保に苦慮する現場は少なくありません。国が「放課後児童対策パッケージ2026」で夏休み期間の開所支援を掲げているのも、この構造を踏まえたものです(※2)。

限られた人員のもとでは、まず「安全に預かる」ことを最優先せざるを得ず、学びや体験にまで手を広げる余力を持ちにくいのが実情です。保護者が感じる「預かるだけ」という物足りなさの背景には、こうした運営の厳しさがあります。保護者の不安と運営の現実は、対立するものではなく、同じ課題の表と裏です。学童保育を「育つ場」へと転換するには、現場のこの現実を踏まえた議論が欠かせません。

■提言|「預かるだけ」から「育つ場」へ、学童保育を再定義する

今回の調査、運営の現実、そして国の動向が示すのは、学童保育を「安全に預かる場」から「学びと体験によって子どもが育つ場」へと再定義する必要があるということです。保護者は、対価を払ってでも学習サポートや英語、プログラミング、多様な体験を求めています。放課後の時間は、単に保護者の帰宅を待つ時間ではなく、子どもの成長に充てられる時間として位置づけ直すことができます。

この再定義は、国が進める「放課後児童対策パッケージ2026」と対立するものではありません。政策が重点を置く受け皿の整備を「量」とすれば、本提言が求めるのは中身の充実という「質」であり、両者は放課後を支える車の両輪です。ただし、質の転換は現場の負担増を伴います。財政基盤の強化や指導員の処遇改善、外部との連携といった、現場を支える仕組みがあってはじめて実現します。量の確保と並行して、現場を支えながら質を具体化していく段階に来ています。

求められる要素は、調査結果に沿って四つに整理できます。第一に、宿題の進捗管理を含む学習サポートです。第二に、英語やプログラミングをはじめとする多様な体験の機会です。第三に、子どもの活動を保護者が把握できる可視化の仕組みです。第四に、指導員の質を担保する研修と処遇の改善です。これらを備えた放課後こそが、保護者が対価を払ってでも求める「育つ場」であり、家庭の安心と子どもの成長の双方を支えます。

株式会社明日香は、1994年の創業以来、一人のベビーシッターによる訪問型子育て支援を出発点に、保育の人材サービス、教育・研修、保育施設の運営、公共の子育て支援施設の指定管理、そして放課後児童クラブの運営へと事業を広げてきました。現在は1,500人を超える保育スタッフを擁し、保護者の期待と運営現場の実情の双方を知る立場から、子ねくとラボを通じて現場の実態を調査・発信しています。

とりわけ明日香は、2014年より株式会社図書館流通センター(TRC)グループの一員として、保育・子育て支援に、図書館運営で培った教育的要素を組み合わせたサービスを展開してきました。放課後を「育つ場」へと転換する「学び×子育て」は、この体制に根ざした明日香の独自性です。子どもの最善の利益を第一に置き、住む地域にかかわらず質の高い学びと体験を届けることを目指してまいります。

保育の無償化が就学前の環境を前進させたように、就学後の放課後にも、質と機会の保障が求められています。「預かるだけ」から「育つ場」へ。学童保育の再定義は、働く保護者の安心と、子どもの成長の双方を支える鍵となります。明日香は、この転換を現場から後押ししてまいります。

※1|こども家庭庁「令和7年(2025年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年12月23日公表の確報値/令和7年5月1日時点) https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/houkago-jidou

※2|こども家庭庁・文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026」 https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/houkago-jidou

※3|こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」( https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/mushouka/gaiyou )、および「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」( https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome )

※4|学童保育の過ごし方と教育投資意識に関する実態調査/調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®」の企画によるインターネット調査/調査期間:2026年6月24日〜同年6月25日/有効回答:小学校1〜6年生のお子様がおり、そのお子様が現在学童保育(公立学童・民間学童・アフタースクール等を含む)を利用している保護者111名。本調査は現在学童保育を利用している保護者を対象としており、待機している家庭等は含みません。構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

※5|放課後児童支援員の処遇に関する調査(みずほリサーチ&テクノロジーズ「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 放課後児童クラブの運営状況及び職員の処遇に関する調査」)、およびこども家庭庁「放課後児童支援員等処遇改善事業」等に基づく。

■レポート執筆|「子ねくとラボ」所長|末廣剛プロフィール

末廣 剛(取締役/子ねくとラボ所長/駿河台大学 非常勤講師/Advanced Marketer(公益社団法人日本マーケティング協会公認)/心理カウンセラー)

立命館大学卒業後、渡英しサブカルチャー/エンタメビジネスを研究。現地の児童支援施設等にてイベント企画・運営を行い、自身もパフォーマーとしても活動。その後、広告代理店等の勤務を経て、保育業界に。人材コーディネーター、人事・採用、新規園開設、広報、教育研修など、保育・子育て支援事業における多岐分野に携わり、面接・面談を行った保育士数は新卒から園長クラスまで延べ1,200人以上。保育所運営における広報戦略と組織構築の重要性を伝え、「子どもファースト」をモットーに、保育士が輝き続けられる環境を構築するため活動中。プライベートにおいても育児奮闘中。(※自治体主催セミナー、保育士等キャリアアップ研修講師、SDGsイベント等出演)

◾️「子ねくとラボ」について

「子ねくとラボ」は、「子ども+Nursery(保育)+Education(教育)・Entertainment(エンターテインメント)+Creation(創造)+Trend(トレンド)」の要素から構成された、子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクトです。子育てや保育に関する「調査レポート」や「ニュース/記事」、また「子ねくとラボ」が提供しているサービスについて発信しております。

事業名   :子ねくとラボ

事業責任者 :末廣 剛

URL   : https://konnect-labo.jp/

サービス内容:・選ばれる園づくりコンサルティングサービス

       ・保育施設向け研修&巡回サービス

       ・保育専門実証実験 コーディネートサービス

       ・スタートアップ支援サービス

■ 会社概要

会社名  :株式会社 明日香

設立   :1994年8月30日

代表取締役:萩野 吉俗

所在地  :東京都文京区小石川5丁目2番2号 明日香ビル3F

事業内容 :■保育室の設置・運営(院内保育室、企業内保育室、認可保育所)

      ■地方自治体と連携した子育て支援事業

      (児童館、放課後児童クラブ、子育て支援拠点、こども広場等の運営)

      ■保育に関わる人材の派遣・紹介

      (保育士・幼稚園教諭・看護師・栄養士など)

      ■訪問型子育て支援

      (ベビー・キッズシッターサービス、家事代行サービス、地方自治体の委託業務)

      ■保育施設向け研修・巡回支援

      ■新規保育事業の開発及びコンサルティング

URL   : https://www.g-asuka.co.jp/

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会社概要

株式会社 明日香

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業種
サービス業
本社所在地
東京都文京区小石川5丁目2番2号 わかさビル3F
電話番号
03-6912-0015
代表者名
萩野 吉俗
上場
未上場
資本金
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設立
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