「京都の生活史」プロジェクト、聞き手募集開始 身近な人の人生を書き残しませんか。
100人が語り、100人が聞く、京都の人生。

「京都で生まれた」「京都で暮らしている」「京都で暮らしていた」など、京都に縁のある100人の人生を100人が聞き取り、一冊の書籍にまとめた『京都の生活史』が、京都新聞出版センターから2027年初夏に刊行されます。東京や大阪、沖縄などで聞き手を公募して刊行されてきた人気企画の第5弾です。「京都の生活史」プロジェクト事務局では、聞き手の募集を12月20日に開始します(締め切りは来年1月31日、応募者多数の場合は選考)。
「京都の生活史」プロジェクト開始に寄せて
東京、沖縄、大阪、北海道と続いた「一般公募型大規模生活史プロジェクト」、いよいよ京都でスタートします。
生活史プロジェクトについては、詳しく説明する必要はないでしょう。一般の方々から「聞き手」を公募し、それぞれがひとりの「語り手」から生活史を聞き取り、そしてそれを1万字の原稿にまとめる。このやり方で、これまで4箇所で、550人の聞き手が550人の語り手に生活史を聞いてきました。あわせて1100人がこのプロジェクトに関わってきたことになります。
そしてこのたび、京都でプロジェクトがスタートすることになりました。
京都という場所は、沖縄や大阪や北海道と同じく、日本のなかでも特別な、固有の場所です。それはともすれば、いかにも京都らしい表象によって代表されてしまうような、そんな「わかりやすい」場所でもあるのです。
しかしこれまで私は、職場として20年ほど京都に通うなかで、その「ふつうさ」を強く感じています。それはさまざまな階層の、さまざまな職業の、さまざまな属性の人びとが、さまざまな生活を送る、ごくごくふつうの街なのです。
そして同時に、京都でしか会えない人びとから、京都にしかないような酒場で、京都でしか聞けないような話を聞いてきました。それはまさに、京都でしか得られないような経験でした。
京都は、外から勝手な意味づけをされ、羨望と欲望の対象となり、しかし同時に数千年も前から「ふつうの人びと」がふつうの暮らしを営む、ふつうの街なのです。もちろんこの「ふつう」とは、「ノーマル」という意味ではありません。さまざまなもの、いろいろなものが当たり前に混じる、という意味での「ふつう」です。
私はこのプロジェクトで、「京都らしくない人生」「京都らしくない語り」と、たくさん出会いたいと願っています。生活史の聞き取りの方法や、原稿の編集作業で生じる悩み事などは、私が徹底的にサポートします。「京都ならでは」の「京都らしくない」語りを聞き取ってみたい方の、熱い応募を、心からお待ちしています。
2025年12月20日 岸 政彦
■監修者紹介

岸 政彦(きし まさひこ)
1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院文学研究科教授。専門は沖縄、生活史、社会調査方法論。主な著作に『同化と他者化』(ナカニシヤ出版、2013)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015、紀伊國屋じんぶん大賞2016)、『ビニール傘』(新潮社、2017)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021)、『リリアン』(新潮社、2021、第38回織田作之助賞)、『地元を生きる』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021、紀伊國屋じんぶん大賞2022・毎日出版文化賞)、『沖縄の生活史』(石原昌家と監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023)、『にがにが日記』(新潮社、2023)、『大阪の生活史』(編著、筑摩書房、2023)、『生活史の方法――人生を聞いて書く』(ちくま新書、2025)、『北海道の生活史』(北海道新聞社、2025)、ほか。NHK番組「100分de名著」などにも出演。 X(旧Twitter) @sociologbook https://x.com/sociologbook
■書籍情報
『京都の生活史』 岸 政彦 監修
A5判・上製・900頁・予価 5,400円+税
2027年初夏 全国の書店で発売予定
京都新聞出版センター発行
■特設サイト
■聞き手応募はこちらから
「京都の生活史」聞き手応募フォーム
https://forms.gle/cdytjaqG632aeWNVA
■お問い合わせ
京都新聞「京都の生活史」プロジェクト事務局
seikatsushi@mb.kyoto-np.co.jp
京都新聞出版センター
〒604-8556 京都市中京区烏丸通二条上ル蒔絵屋町260 京都新聞トラストビル5階
電話 075-241-6192(平日9:30~17:30) 担当:吉田千恵
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