車・デザイン・建築のプロが選ぶ、究極のガレージハウス~「重量木骨の家 ガレージハウスコンテスト」受賞作品が決定~
2022年8月1日からガレージハウスの作品募集を開始、締め切りの同年9月30日までに全国の重量木骨プレミアムパートナー71社から計42件の作品が集まりました。2022年12月2日に開かれた審査会を経て、グランプリをはじめとする受賞作品が決定しましたので2023年1月20日付けで発表いたします。
住宅とガレージを安心・安全に一体化させることと、デザイン性を両立させることは従来の木造では難しいと言えるでしょう。SE構法の技術力と構造計算は、柱や壁を極力減らしながら、自由な設計でガレージハウスを作り出すことが可能です。また、車はその実用的な機能を超えて、「愛でる」「眺める」「大切な相棒」という視点も昨今は増えています。本コンテストでは、ガレージハウスを建築、ライフスタイルの双方の視点から審査し、優秀な作品を選出しました。
審査にあたったのは、カーライフ、デザイン、構造の専門家3名。ガレージだけではなく、住宅全体としての設計の巧み、デザインの美しさ、ライフスタイルとの調和、愛車とのパートナーシップについてそれぞれの視点から、6棟のガレージハウスを厳選しました。
■受賞作品
グランプリ
「ガレージハウス」 設計、施工:株式会社星野建築事務所
~「家のどこからでも愛車を見たい」という要望に応えたガレージハウス~
【審査員コメント】
吉田氏:建物の外観もユニークで個性的ですが、ガレージも「オーナーのご要望である開放的でかつプライバシーを守りながら愛車を鑑賞できること」という願いを叶えています。前後や横からだけではなく、ガラスの床と階段によって、360度どこからでも愛車を見ることができるうえ、クルマ側から見ても楽しいカーライフであることがうかがえる高いデザイン性を評価しました。
君塚氏:ガレージハウスにおいて、ガレージと住空間のつなげ方は非常に難しいと感じています。音や排気など生活の場からは切り離したい問題や、ビジュアル的にも雑然としたガレージ空間では、室内から見えていることがストレスにもなりかねません。この住宅は、ガレージへの動線と魅せる開口を立体的に切り分け、ガレージ内に大容量の収納を用意することで、美しい空間のつなぎと魅せ方が両立された素晴らしい作品だと思います。
池田氏:木造住宅の中にガレージを作りながら、吹き抜けと居住空間とをつなげる窓を設けることで、開放的な内部空間を感じられる作品です。この開放感を実現するためにSE構法による木骨構造を選択したことによって、木の温かみも感じられる親しみとスケール感のあるガレージハウスとなっています。
準グランプリ
「A様邸」 設計、施工:株式会社星野建築事務所
~インパクトのある外壁が絵画のようにガレージと車を切り取る。外に開かれた「魅せるガレージ」
君塚氏コメント:この住宅最大の魅力になっている前面の一枚壁は、絵画のように切り取られたガレージ空間とそこに置かれた車を引き立たせており、インナーガレージとは違う、外に開かれた魅せるガレージをもつ住宅として魅力的でした。またこの壁は、プライバシーの守られた中庭やエントランスをつくるとともに、室内から望む美しい庭の背景にもなり、用と美を兼ねたプランも秀逸でした。
特別賞
「東豊中の家」設計:施工:株式会社伊田工務店
~木造建築で構造の強度と建築の精度を綿密に計画し実現。設計者、施工者の技。
池田氏コメント:今回の審査にあたって、「木造とインナーガレージをどのように解釈して設計施工を行ったか」というテーマがあるように感じました。この住宅はガレージ階と居住階を分けており、下層階のガレージはコンクリート造です。そのうえで、上層階の木造居住部分は伝統工法のような仕上がりになっています。この選択は本質的にとても理にかなっており、かつとても美しいので、どうしても賞を出したくなった作品でした。
吉田由美賞(カーライフ的視点)
「ビンテージカーが主役の家」 設計、施工:株式会社東産業
~好きなものに囲まれ充実したカーライフがイメージできる家。
吉田氏コメント:ファサードにも現しの木が使われるなど木造の印象が強い物件だと思いますが、愛車のクラシックカーから住まいや暮らしがデザインされていて、好きなものに囲まれて充実したカーライフを送っていることがイメージできる素敵なガレージハウスだと思いました。内側の壁もユニークで、趣味の空間を完全に切り離したまさに「秘密基地」のようなところが素敵です。
君塚賢賞(デザイン的視点)
「S:house」 設計、施工:株式会社コージーライフ
~室内のスキップフロアの基盤となるガレージの配置が上手く生きることで、住む楽しさが想像できる。
君塚氏コメント:都市部の住宅は厳しい条件での計画が多くなりますが、この住宅はプライバシーを確保しつつも空間を立体的に捉え、機能以上に空間の豊かさを創出していることに感銘を受けました。リビングからライブラリー、その奥にある子供部屋までのつながりは、ステップフロアーによる空間ボリュームの変化が生きており、基盤となるガレージの配置がうまく生かされています。ガレージがあることで生まれた、住む楽しさが想像できる作品です。
池田昌弘賞(構造的視点)
「平日はリビング、休日はアウトドア。くつろぎ遊ぶガレージハウス」 設計、施工:株式会社ホープス
~ガレージハウスを構造設計するときにお手本とするべき住宅。外観からは想像もつかない玄人の技。
池田氏コメント:インナーガレージのある木造住宅を構造設計するときにお手本とするべき住宅です。どうしてもガレージの入り口はスパンが大きくなってしまうので、安全面に関しては地震や津波などの天災に加え、ガレージの木造の柱や壁に車が衝突する人災にも注意が必要です。経済面でも、スパンが大きくなったり耐震壁のバランスが悪くなるとコストアップにつながります。この作品は外観からは想像もつかないさりげない玄人の技で、それらの問題を見事に解決しています。
Instagram いいね!賞
一般の方々にもInstagramを通じて投票いただきました。2022年10月21日~11月20日の期間中、約7000件の投票を経て、「S様邸」株式会社星野建築事務所が一番多く、いいね!を獲得しました。
審査員から全体講評コメント
吉田由美氏
自由度の高いSE構法だからこそいろいろなタイプや方向性、世界観のガレージハウスがあり、選考に悩みましたが、私は建物から考えるのではなく、クルマから見たガレージハウス、クルマをリスペクトしているガレージハウスをイメージして選考しました。クルマへの愛情が感じられ、もし私がクルマだったら「ここのガレージハウスのクルマになりたい!」「ここのガレージハウスのクルマなら幸せ」と、クルマも人も笑顔になれるガレージハウスを選びました。ガレージハウスが気になっている方や、今後建てようと思っている方の参考になれば嬉しいです。
君塚賢氏
「ガレージハウス」とは何か楽しい空間を想起させるネーミングだなと思っていました。実際に自分自身もガレージハウスを設計し、住んでみたところ、「車をとめる」という機能以上に生活の変化や豊かさを感じています。今回拝見した全てのガレージハウスでは、ガレージという空間を単なる車庫ではなく、様々に活用される個性を持った空間として生かされていました。その中でも選ばせていただいた作品は、住空間とのつながりやバランスなど、第三者としても住んでみたいと思わされる魅力のあるガレージハウスでした。ガレージハウスには想像通りの楽しさ、豊かさがあることを再認識できる審査会でした。
池田昌弘氏
「車」「住宅」「木造」というキーワードとSE構法はとても相性がいいと感じました。それと同時に、施主や施工者からの要望や期待も大きいことがわかります。特に「車」については、とても愛着を感じている人たちが、車を家の中に置ける・見られる・触れられるということをとても楽しんでいることが全作品の写真から十分に伝わってきます。木造の温かみやスケール感が、インナーガレージから居住空間への連続性を生み出しているのでしょう。機会があれば、住み始めてからの感想や工夫をぜひ直接聞いてみたいと思いました。
審査基準
・ガレージハウスとしての設計コンセプトが優れていること
・車と人間の暮らしの、新しい関係を示唆するものであること
・建て主のライフスタイルが表現されていること
・建築デザインの美しさ(住まい部分との調和、駐車したときの美しさ、外部環境との調和等)
・住まいとガレージの動線に工夫や配慮があること
・SE構法の技術をたくみに活用していること など
【審査員プロフィール】
吉田由美氏
カーライフエッセイスト。日本自動車ジャーナリスト協会理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1998 年よりモデル業の傍ら日産ドライビングパークにて、セーフティ・ドライビング(安全運転講習)のインストラクターとして 3 年間活動。その後、「カーライフ・エッセイスト」として、クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で執筆活動を開始。現在は自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、イベントなどで幅広く活動中。YouTube「吉田由美ちゃんねる」開設。クルマのみならずカーライフの魅力を展開。
君塚賢氏
インテリアデザイナー。有限会社トネリコ取締役。神奈川県生まれ。武蔵野美術大学建築学科を卒業後、インテリアデザイナーの内田繁氏に師事。2002年にデザインスタジオ「トネリコ」を米谷ひろし氏、増子由美氏とともに設立。空間デザインを手掛けた主な作品に、「アーティゾン美術館」「銀座 蔦屋書店」などがある。車やバイクへの思い入れも強く、自宅(重量木骨の家)の設計時はガレージを最初に検討したほど熱が入った。
池田昌弘氏
構造家。建築構造設計事務所 ナチュラルセンス代表。1964年静岡県生まれ。大学院を卒業後、木村俊彦氏らに師事、1994年に池田昌弘建築研究所を開設。吉岡賞、松井源吾賞、JIA 新人賞、日本建築選奨賞など多数受賞。フランス、ポンピドーセンター常設展に作品が展示。建築構造の第一人者。SE構法の監修も行っている。
■会社概要
株式会社エヌ・シー・エヌ https://www.ncn-se.co.jp
代表者:代表取締役社長 田鎖郁男
所在地:〒100-0014 東京都千代田区永田町2-13-5 赤坂エイトワンビル7階
代表電話 :03-6897-6311
設立 :1996年12月11日
資本金:3億9,085万円 (2022年3月末現在)
従業員数:93名(構造設計一級建築士3名、一級建築士14名、二級建築士13名)(2022年3月末現在)
□事業内容
・木造システム「耐震構法 SE構法」の提供
・建築ネットワーク事業
・建築関連サポート
□子会社
・SE住宅ローンサービス株式会社
・株式会社MAKE HOUSE
・株式会社木構造デザイン
・株式会社翠豊
□関係会社
・株式会社MUJI HOUSE(無印良品の家)
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