【イベントレポート】東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(d.lab)主催の生成AIセミナーにArsaga GenerativeAI Lab所長、横溝が登壇

〜生成AIチュートリアル​「生成AIの活用事例」〜

 企業のDXを推進するアルサーガパートナーズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 CEO/CTO:小俣泰明、以下「アルサーガパートナーズ」)は、2024年9月11日(水)、東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(d.lab)主催の「d.lab 協賛事業 生成AIチュートリアル」に、アルサーガパートナーズの生成AI研究チーム、Arsaga GenerativeAI Lab所長 横溝が登壇したことをお知らせいたします。

本セミナーでは、東京大学の岩澤教授による生成AIの基礎に関する講演があり、アルサーガパートナーズからは、生成AIの事業応用についての発表が行われました。

◾東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(d.lab)について

東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(通称:d.lab)は2019年10月に設立され、4年半にわたる活動を通じて、半導体技術の研究開発において多くの実績を積み重ねてきました。

世界的な半導体産業の成長に伴い、d.labは「次世代X-nics半導体創生拠点形成事業」に採択され、RaaSや「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」の設立に関与。また、VDEC機能の強化を通じて産業界との連携を推進しています。2024年には「半導体教育プログラム(SPIRIT)」を主導し、次世代技術者育成に力を入れています。

d.labの公式サイト:http://www.dlab.t.u-tokyo.ac.jp/

◾「d.lab 協賛事業 生成AIチュートリアル」について

近年話題となっている生成AIや大規模言語モデル(LLM)に関するチュートリアルと、実務での活用事例を紹介しました。

日本のAI研究の最高峰の一つである松尾・岩澤研究室の岩澤先生には、初学者でも直感的に理解できるよう、生成AIの原理や仕組みについてご説明いただきました。続いて、Arsaga GenerativeAI Lab 所長の横溝が製造業における適用事例を紹介しました。

当日は約300名の参加者が集まり、生成AIに対する関心の高さがうかがえました。

【登壇者】

「基盤モデルの技術と展望~生成AIの基礎~」

東京大学大学院工学系研究科 岩澤 有祐准教授

<プロフィール>

2012年 上智大学理工学研究科情報学領域を卒業

2014年 上智大学理工学研究科理工学専攻情報学領域を修了

2017年 東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻博士後期課程を修了(学術振興会特別研究員DC1)

2017年より、東京大学松尾研究室 特任研究員

<研究内容>

機械学習/深層学習のIoTへの応用(現在、特にプライバシー、耐故障性、消費電力などを考慮した深層学習モデル)

ウェアラブルセンサによる行動認識のための表現学習(博士)

車いすセンシングを利用した路面アクセシビリティ情報の自動収集システム(修士)

「生成AIの活用事例」

アルサーガパートナーズ株式会社 Arsaga GenerativeAI Lab 所長 横溝 比呂

<プロフィール>

1995年神奈川県小田原市生まれ。

大学在学中に大学受験専門の学習塾を開業。その後、エンジニアにキャリアチェンジしSES企業でPHP/Laravelを使った銀行のシステム開発に従事。

2023年にアルサーガパートナーズに転職し、生成AIを使ったアプリケーション開発を担当、また生成AIのハルシネーションの抑制や検索拡張生成など回答生成周りの調査/研究をするAI_Labを社内で立ち上げる。

エンジニアリング領域:サーバーサイドエンジニア、プロンプトエンジニア

開発領域:Python、PHP、Laravel、AWS、Azure、他多数

プロジェクト経験:

銀行:給与管理システムの詳細設計、開発、テスト

生成AIプロジェクト全般(リサーチ業務含め)

◾登壇内容

本セミナーでは、東京大学松尾・岩澤研究室の岩澤教授により、生成AIの基礎的な部分についてご講演いただきました。また、アルサーガパートナーズの横溝からは、生成AIを実務で活用する際の具体的なユースケースや事例の紹介、さらに実務において生成AIを活用する際の留意点など、ビジネス向けの視点でお話しいたしました。

大盛況だった本セミナーのうち、アルサーガパートナーズ横溝の登壇内容の一部をイベントレポートとしてお伝えします。

⚫︎生成AIの市場規模と成長予測

JEITAの調査によると、日本国内における生成AI市場は、今後大幅な成長が見込まれており、2023年から2030年にかけての需要額は年平均47.2%の増加が予測されています。この成長により、2030年には市場規模が1兆7,774億円に達するとされています。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)が行った生成AIの活用に関する研究では、AIを使用したコンサルタントは、AIを使用していないコンサルタントに比べてタスク完了までにかかる工数が25.1%少ないことが示されました。また、AIを使用したコンサルタントのアウトプット品質は、AIを使用していないコンサルタントに比べて40%以上高かったという結果が得られています。

これらのデータから、生成AIが業務効率の向上に大きな影響を与えることが明らかになっており、企業の生産性向上に大きな期待が寄せられています。

⚫︎生成AIサービスの最新事例

続いて、生成AIを実務で活用するユースケースや具体的な事例を紹介しました。生成AIは、あらゆる業種・業態で活用が可能ですが、本セミナーでは特に製造業に焦点を当て、アルサーガパートナーズが開発している事例をいくつか取り上げました。

AR-AGENTは、生成AIを活用した高度な対話型ドキュメント管理ツールで、製造業を含む多様な業界で利用可能です。特に、資料管理や検索が複雑な環境で、資料の所在や更新状況を簡単に把握できるサポートを提供します。

課題として、必要な資料がどこにあるかわからない、部門ごとに複数の資料があり把握が困難、または最新情報の確認が難しい点があります。AR-AGENTは生成AIを活用し、効率的な資料管理を実現します。

機能としては、タイトル・キーワード・AI検索の3種類の検索方法、チャット機能による資料検索と回答提示、そしてAIがどの部分を参照しているか確認できるハイライト機能があります。

スマート保安デモは、生成AIを活用して製造業における機械の異常検知や予測保全を実現するものです。振動や電流値の異常を検知し、回転機械の動作異常を予測します。

データの収集はセンサーから行い、そのデータを生成AIで解析・加工し、グラフ表示やフーリエ変換による分析結果の比較を行います。異常検知には通常時のデータとの比較が重要であり、AIは異常ピークやノイズの違いをもとに、将来の故障を予測する手助けをします。

生成AIを活用したタグ付けの事例についても紹介しました。生成AIを利用することで、平面図から物件情報に関する詳細なタグを自動的に抽出することが可能です。

タグには、物件の「タイプ」「間取り」「専有面積」「エリア」「キッチンの形状」などが含まれ、図面の細部に基づいてこれらの情報が自動生成されます。また、異なる生成AIモデルによるタグ付け結果の比較も行い、特に和室や洋室などの細かい物件仕様を正確に認識できることが示されています。

これにより、従来手作業で行われていた物件データの整理や情報入力が大幅に効率化され、物件管理や不動産業務において活用が期待されています。


⚫︎生成AIを活用した業務改善の進め方

生成AIの導入は、2023年の「試用」段階から、2024年には「活用」の段階へと進化を遂げようとしています。2023年は、いち早く生成AI技術を導入し、社会の変化に備えるための試行錯誤の時期でした。この段階では、企業は新技術に触れることで、その価値を理解し、どのような効果が得られるかを見極めてきました。

一方、2024年には、生成AIを活用した実用的なアプリケーションが普及し、企業における圧倒的な差別化や競争力の強化を目指す時期へと移行します。この段階では、AI技術の導入により、人やモノの機能・能力を最大限に活用することで、業務の効率化や生産性向上を実現することが重要となります。

この進化に伴い、企業は生成AIを実務の中核に据え、競争力を強化するための戦略的なアプローチが求められています。

生成AIを活用した業務改革を進めるためには、現状の業務プロセス(AsIs)と理想的な業務プロセス(ToBe)のギャップを埋めることが不可欠です。このギャップを解消し、あるべき姿を実現するために、各プロセスの見直しとAIの活用が検討されています。

現状の業務プロセス(AsIs)では、契約書関連の作成や修正、レビューにおいて、文書管理が手作業に依存しており、契約変更漏れや関連知識の不足などの課題が存在しています。一方、あるべき姿(ToBe)では、AIによる契約書のドラフト自動生成や半自動レビュー、デジタル化された契約書の期限監視などを活用し、プロセス全体を最適化します。これにより、契約書の管理精度が向上し、業務の効率化が図られると期待されています。

このToBe業務プロセスの実現には、ワークフロー全体の監視と最適化が鍵となり、生成AIを活用することで、企業の業務改革が加速します。

⚫︎生成AI導入における留意点

生成AIを導入する際、ユーザーが気を付けるべき重要なリスクとして、以下の点が挙げられます。

・ハルシネーション(幻覚)
生成AIは時折、事実と異なる内容や現実とかけ離れた回答を生成してしまうリスクがあります。このような誤った出力を防ぐためには、ガイドラインの設定や検証が不可欠です。

・バイアス(情報の偏り)
生成AIは訓練データの偏りを反映してしまう可能性があり、開発者は多様性に配慮した訓練データの選定と、バイアスを最小限に抑えるための対策が求められます。ユーザーも、出力された情報に偏りがないか注意を払う必要があります。

・情報漏洩リスク
生成AIが利用する訓練データに個人情報や機密性の高いデータが含まれている場合、それらの情報がモデルから漏洩するリスクがあります。適切なデータ管理とプライバシー保護対策を徹底することが重要です。

・著作権侵害リスク
生成AIが作成する内容が、訓練データから無断でコピーされたものを含む可能性があり、これが著作権侵害に繋がる恐れがあります。生み出されたコンテンツのオリジナリティを確保し、適切な権利処理を行うことが必要です。

生成AIの利用を拡大するためには、これらのリスクに対する理解と適切な対策が欠かせません。

生成AIの精度を向上させるためには、目的に応じた異なるアプローチが必要です。プロンプトエンジニアリングによって生成文の質を向上させ、RAG(検索拡張生成)で外部データを参照し、さらにFine Tuning(再学習)を行うことで特定のタスクに最適化した生成モデルを構築します。また、基盤モデルの変更や再設計により、モデル自体のアーキテクチャを進化させ、新たな能力を付与することも精度向上の重要な手段です。

生成AIは、メール作成や推論タスクなどの反復的なホワイトカラー業務を効率化する一方で、重要な意思決定や評価においては人間の判断が不可欠です。生成AIと人間の適切な役割分担を行うことで、業務の効率と品質を向上させることが求められています。

PDCAサイクルにおいて、生成AIは「Do(実行)」のフェーズで効果的に活用でき、ミスの許容範囲内で作業をサポートします。一方で、「Plan(計画)」や「Check(評価)」のフェーズでは、生成AIはアシスタントとして活用され、最終的な意思決定は人間が行う必要があります。これにより、AIが人間の補助役として業務を効率化し、適切な役割分担を実現することが可能です。

AI事業者ガイドラインは、AI開発者、提供者、利用者が相互に連携し、AIのリスクを適切に認識し、必要な対策をライフサイクル全体で自発的に実行できるようにすることを目的としています。このガイドラインは、国際的な動向やステークホルダーの懸念を考慮し、イノベーションの促進とリスク管理の両立を目指したものです。

AIのライフサイクルにおいては、データの前処理やモデルの学習、開発、システムの実装から提供、利用に至るまでの各段階で、開発者、提供者、利用者がそれぞれの役割を果たします。特に、社会全体に対する影響を考慮し、人間の尊厳を尊重しながら、持続可能な社会の実現を追求することが求められています。このような取り組みを通じ、多様な背景を持つ人々が幸せを追求できる社会の構築を目指しています。


⚫︎まとめ

先端AI技術と製造業の既存業務や技術が融合することで、想像もつかない発見や革新的なソリューションが生まれる可能性があります。この組み合わせにより、異なる事業分野において新たな価値創造の機会が広がっています。

生成AIやディープラーニングが自然言語処理の革命をもたらしたように、通信技術とタッチスクリーンの融合がモバイル革命を起こしました。同様に、製造業では既存技術やデータのノウハウと先端AI技術が組み合わせることで、新たな革新の可能性が期待されています。新しい価値を生み出す鍵は、既存要素の革新的な組み合わせにあります。

最後に、アルサーガパートナーズ代表であり、一般社団法人Generative AI Japanの理事を務める小俣の言葉を引用し、「生成AIに取って代わることのない『決断』『判断』『行動』という領域で、人間が最も価値を発揮できる領域で自分の価値を高めて行くことが重要です」と語り、セミナーを締めくくりました。

アルサーガパートナーズおよびArsaga Generative AI Labにご興味をお持ちの企業様は、以下のリンクよりお問い合わせください。

https://www.arsaga.jp/contact/

アルサーガパートナーズ株式会社

アルサーガパートナーズ株式会社

アルサーガパートナーズは、成長し続ける流行の発信地“渋谷”に拠点を置く総合ファームです。「日本のDXを世界で誇れる産業へ」をビジョンに掲げ、DXサービスをワンストップで提供するため、コンサルティングからシステム開発、保守・運用までの体制を整えています。「最高品質を最速で」をスローガンに掲げ、お客さまに寄り添いながらビジネスの成功をより確実なものへと導きます。

本社    :東京都渋谷区桜丘町1番1号 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー18階
熊本支社  :熊本県熊本市南区江越2丁目24-1
福岡支社  :福岡県福岡市中央区天神一丁目10番20号 天神ビジネスセンター7階
代表者   :代表取締役社長 CEO/CTO 小俣泰明
設立日   :2016年1月
資本金   :14億3,470万円(資本準備金等を含む)
従業員数  :472名(SES含む、2024年9月末時点)
事業内容  :ワンストップDXソリューション事業
Web     :https://www.arsaga.jp/


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会社概要

URL
http://www.arsaga.jp
業種
情報通信
本社所在地
東京都渋谷区桜丘町1番1号 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー18階
電話番号
03-3461-3028
代表者名
小俣泰明
上場
未上場
資本金
14億3470万円
設立
2016年01月