「AI活用が変える職場とマネジメント業務調査」の分析結果を発表

AI活用が進む中、職場とマネジメントに変化の兆し。業務効率化と、人の役割の再定義が進展

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

 企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、企業に勤務する正社員を対象に「AI活用が変える職場とマネジメント業務調査」を実施しました。本調査では、仕事におけるAI活用の現状や意識を捉えるとともに、職場やマネジメント業務にどのような変化が生じているのかを多角的に分析し、今後の組織運営のあり方を探ることを目的としています。

【エグゼクティブサマリ】

仕事活用群の勤務先の経営層・上司・同僚の約4割がAIを積極的に活用、職場での成果実感も広がる(図表1)

仕事活用群の6割超が積極的に活用と自認。自身の課題解決だけでなく組織の課題解決への広がりも(図表2)

仕事活用群の方が仕事非活用群よりも直近1、2年の業務遂行上の良い変化を感じている人が多い(図表3)

仕事活用群の中でも、AI活用度が高い方が直近1、2年の変化を感じている(図表4、5)

メンバーは、業務推進や新たな観点、選択肢の提示はAI、メンバーの感情や動機への寄り添いは人の上司を評価(図表6)

仕事活用群はAIのもたらす未来をポジティブに捉える一方、危機感も抱いている(図表7)

仕事活用群であっても、AI活用による能力拡張はその人自身の力が向上したとは言い切れない(図表8)

マネジャーの業務に関連するAIツール導入の裾野は広がるも限定的(図表9)

マネジャー業務へのAIの影響を想定している人はまだ少数(図表10)

 近年、商品・サービスの高度化や業務プロセスの効率化など、事業領域におけるAI活用が進展しており、その動きは日常的に見聞きされるようになっています。こうした中で、働く個人におけるAI活用も着実に広がり、日々の業務の進め方や職場における役割、さらにはマネジメント業務にも変化の兆しが見られつつあります。

 調査の結果、AIを仕事で活用している層は、業務の効率化や生産性向上に加え、業務の質の向上や新たな視点の獲得といった価値を実感していることが明らかになりました。一方で、やる気の喚起や感情への寄り添いといった側面では、人である上司の役割が依然として重要であることも示されています。

 また、AI活用は個人単位にとどまらず、職場全体の業務改善や価値向上へと広がりつつあり、活用内容の高度さと利用頻度の高さが成果実感を左右することも確認されました。加えて、AIがもたらす未来については、業務効率化や可能性拡張への期待がある一方で、人の思考力低下や固有価値の発揮に対する懸念も見られ、期待と危機感が共存している状況がうかがえます。

 さらに、マネジャー業務においては、AIツールの導入が進みつつあるものの、その活用は限定的であり、現時点では業務改善や要員管理といった領域から活用が進展していく兆しが見られました。

これらの結果から、AI活用は働き方やマネジメントの在り方に変化をもたらし始めている一方で、その価値を最大化するためには、個人の活用にとどまらず、組織全体での活用促進や制度・環境の整備が求められていることが示唆されます。今後は、AIと人が役割分担しながら協働することで、より高度な業務遂行やマネジメントの実現が期待されます。本調査が、今後の組織運営や人材マネジメントのあり方を検討する一助となれば幸いです。

 

※本リリースにおける「仕事活用群」「仕事非活用群」の定義

・仕事活用群:AIの活用状況が、「仕事でほぼ毎日使っている」「仕事で週1~3回程度使っている」の選択者

・仕事非活用群:「仕事では使っていないがプライベートではほぼ毎日使っている」「仕事では使っていないがプライベートでは週1~3回程度使っている」「仕事・プライベートともに週1回未満」の選択者

 

1.調査担当のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 

組織行動研究所 主任研究員 

武藤 久美子(ぶとう くみこ)

 商品・サービス、業務プロセスといった事業におけるAI活用に関するニュースを日々見聞きします。また、働く人のAI活用も進み、職場やマネジメント業務にも変化が表れてきている状況を受けて、本調査を実施しました。

 本調査を通じて、個人単位でのAI活用や成果実感だけでなく、職場全体の業務改善や生産性向上、職場での価値向上など、職場全体のAI活用の成果を感じ始めていることがわかりました。こうした動きを加速できるように、目標設定や活用度評価の制度を整えたり、AIが活躍(活用)しやすい環境を考えたり、整備を図ったりしていく必要があるのではないでしょうか。

 そして、AI活用による成果実感・変化実感は、応用的な活用内容をしているか、高頻度で使っているかという活用内容と頻度の両方が揃っていることで更に感じられるということがわかりました。AIを使うか否かに留まらず、複数のAIの使い分け、AIエージェントの活用、ワークフローへのAIの組み込みといった形で活用内容を広げ、高頻度で使っていくということが、AIにおける未来の変化の兆しを捉えるうえでも重要になっているようです。

 AIの高度化は、今後の組織人事を考えていくうえで外せない環境変化です。今後の働く人の風景はどうなるのか、今後のマネジャーの役割はどうなるのか、今後の組織人事はどうしていく必要があるのか。AIの高度化や、AI活用進展のスピードが早い中で、こうした問いに答えを持つことは容易ではありません。しかし、活用内容も利用頻度も高い人たちがどのような変化の兆しを感じているのかを捉えることは変化の兆しを捉えるヒントになると思います。加えて、AIを積極的に活用する人が、自社・自組織でどれくらい多数派になっていくのかを見立てることで、今後のマネジメントや組織人事の変革の必要度合いを考えることができるのではないでしょうか。

2.調査の結果

 

  • 仕事活用群の勤務先の経営層・上司・同僚の約4割がAIを積極的に活用、職場での成果実感も広がる

・[仕事活用群]に、勤務先の会社や職場のAI活用状況について尋ねた。「1.勤務先の会社はAIに投資する方向性を出している」は、肯定回答率(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)が45.7%と、約半数の企業でAIが戦略として位置付けられている。

・「社員のAI活用を推奨している(4)」の肯定回答は6割近くにのぼり、職場におけるAI活用の推進機運は高まりつつある。

・一方で、「AI活用に関する目標設定(5)」の肯定回答率は29.6%、「活用状況の把握・評価(6)」は33.7%にとどまり、制度的な部分においてはまだ整っていないことが分かる。

・「経営層のAI活用(3)」の肯定回答率は約4割にとどまり、回答者である社員側には必ずしも可視化されていない状況がうかがえる。

・職場レベルでは、「上司が活用(7)」の肯定回答率が44.9%、「同僚が活用(8)」49.2%、「活用事例・方法の共有(9)」47.5%と、いずれも約半数でAI活用が進んでいる。

・AI活用による成果実感として、「業務効率化・生産性向上(10)」の肯定回答率が49.3%、「新たにできることの増加(11)」46.6%、「施策の試行・実行スピードの向上(12)」44.6%、「業務の質向上(13)」41.8%と、いずれも4割を超えている。

⇒これらの結果から、企業におけるAI活用は一定程度浸透し、現場レベルでも活用と成果実感が広がりつつある一方で、経営層による発信や、目標設定や評価といった制度面での牽引は今後の課題であることが示唆される。

図表1:会社や職場のAI活用状況

  • 仕事活用群の6割超が積極的に活用と自認。自身の課題解決だけでなく組織の課題解決への広がりも

・回答者本人のAI活用状況と成果実感について尋ねた。「AIを仕事で積極的に活用している(1)」は、6割超が自らの活用を積極的だと認識している。

・活用内容としては、「自身の業務の自動化・効率化(4)」の肯定回答率が60.4%、「自組織・職場の業務の自動化・効率化(5)」が53.8%と、自身の業務にとどまらず、組織単位での活用も広がっている。

・成果実感として、「業務効率化・生産性向上(7)」の肯定回答率が61.7%、「新たにできることの増加(8)」56.5%、「商品・サービスや業務の質向上(9)」52.9%と、いずれも過半数が効果を実感している。

・周囲への活用期待として、「上司・先輩にもっと活用してほしい(11)」の肯定回答率が47.8%、「同僚・後輩にもっと活用してほしい(13)」44.8%である一方、「部下にもっと活用してほしい(12)」は58.3%と、組織長の期待が特に高い。

⇒これらの結果から、AI活用は個人の業務効率化にとどまらず、組織全体の生産性向上へと広がる段階に入っていると考えられる。また、特に組織長においてメンバーのAI活用への期待が高く、今後は組織全体での活用水準の引き上げが重要になることが考えられる。

図表2:本人のAI活用状況

  • 仕事活用群の方が仕事非活用群よりも直近1、2年の業務遂行上の良い変化を感じている人が多い

・直近1、2年での仕事上での変化について尋ねたところ、「1.業務効率化や生産性向上が図れるようになった」の肯定回答率は、仕事活用群で58.7%と約6割に達する一方、仕事非活用群では20.1%にとどまり、両者の差は+38.6ポイントと、全項目中最大となった。

・「2.アウトプットや業務の質が高まった」は仕事活用群51.4%、非活用群17.2%(+34.2ポイント)と、効率化にとどまらずアウトプットの質向上においても顕著な差が見られる。

・「3.顧客や協働者の期待に応えやすくなった」は仕事活用群43.7%、非活用群13.2%(+30.5ポイント)と、個人の業務変化にとどまらず、対外的な成果実感にも差が生じている。

・「4.施策検討から実行までの時間短縮」は仕事活用群49.4%、非活用群15.8%(+33.6ポイント)と、構想から実行までのスピードにも大きな開きが見られる。

・「5.やりたかった仕事や業務に取り組めるようになった」は仕事活用群43.6%、非活用群16.9%(+26.7ポイント)と、効率化の先にある「業務機会の拡張」においても差が確認された。

⇒これらの結果から、AIを業務で活用している群は、非活用群と比較して業務効率化や質の向上、業務機会の拡張といったポジティブな変化を強く実感していることが明らかとなった。AI活用が直接的な要因とは限らないものの、両者の間には明確な差が見られ、AI活用が業務変化の実感に影響している可能性が考えられる。

図表3:この1、2年の変化実感

  • 仕事活用群の中でも、AI活用度が高い方が直近1、2年の変化を感じている

・前述の設問について、AIの活用内容と頻度別で分析した(図表4)。「アドバンスト群×毎日」利用群は、すべての項目で最も高い変化実感を示しており、他の活用層を上回る結果となった。

・「アドバンスト群×時々」利用群と「ベーシック群×毎日」利用群は、変化実感に大きな差は見られず、活用内容または頻度のいずれか一方だけでは十分ではないことがうかがえる。

・「ベーシック群×時々」利用群は、全体的に変化実感が低く、活用内容の幅や難度および利用頻度の狭さや低さが影響していると考えられる。

⇒これらの結果から、AI活用による変化実感は、活用の高度化と日常的な利用の双方がそろうことで高まることが示唆される。単なる導入や部分的な活用にとどまらず、活用レベルの深化と習慣化が重要になると考えられる。

図表4:[仕事活用群]の活用内容と活用頻度による分類

図表5:AIの活用内容と頻度別 直近1、2年の変化

  • メンバーは、業務推進や新たな観点、選択肢の提示はAI、メンバーの感情や動機への寄り添いは人の上司を評価

・仕事活用群のうち組織長以外の人に、「(それぞれの活用場面において)AIを用いた方が、上司に話したり相談したりするよりもそうであるか」という肯定回答を尋ねた。AIが優位と評価されたのは、「複数選択肢の提示(1)」の肯定回答率が42.4%、「新たな視点の提供(2)」38.8%、「業務の推進(3)」38.3%、「実践的なアドバイス(4)」37.0%と、業務遂行や思考拡張に関する領域が中心となった。

・一方で、「やる気の喚起(15)」はAIの肯定回答率が26.0%に対し上司40.8%、「気持ちへの寄り添い(14)」はAI 27.2%に対し上司42.7%、「価値観や感情の理解(13)」はAI 29.0%に対し上司38.5%と、感情や内面への関与では上司が上回る結果となった。

⇒これらの結果から、AIは業務推進や意思決定支援といった領域で強みを発揮する一方、メンバーの感情や動機づけといった深い関与は人の上司が担っていることが明らかとなった。AIの高度化の状況にもよるところもあるが、今後はAIを補助的に活用しながら、上司が感情面のマネジメントにより注力するなど、役割分担を前提としたマネジメントが求められると示唆される。

図表6:メンバーからみたピープルマネジメントにおけるAIと上司の役割分担

  • 仕事活用群はAIのもたらす未来をポジティブに捉える一方、危機感も抱いている

・AIがもたらす社会的な変化について、「業務の効率化が進む(5)」は仕事活用群67.0%、非活用群46.1%、「試行やアイデア創出が容易になる(1)」は仕事活用群60.9%、非活用群40.3%と、活用者の方がポジティブに捉えている。

・「人との協働が進む(4)」は仕事活用群49.3%、非活用群28.2%と差が見られ、AI活用者ほど協働の促進にも期待を寄せている。

・ 一方で、「思考力の低下(8)」は52.9%、「自分ならではの価値発揮が難しくなる(7)」は36.5%と、ネガティブな側面への懸念も一定数存在している。

・自身への影響としては、「生産性が向上する(12)」62.7%、「将来の可能性が広がる(13)」56.1%、「能力が拡張される(11)」54.8%と、総じて前向きに捉えられている。

⇒これらの結果から、AI活用者はAIのもたらす効率化や可能性拡張に期待を寄せている一方で、思考力の低下や個人の価値の希薄化といったリスクも認識しており、期待と危機感が同時に存在していることが示唆される。

 

図表7:AIが社会にもたらす未来/AIが自身にもたらす未来

  • 仕事活用群であっても、AI活用による能力拡張はその人自身の力が向上したとは言い切れない

・「AIで自分の不得意な部分を補ったら、それはその人の実力があがったといえる(3)」は仕事活用群で51.3%と、約半数がAI活用による能力拡張を肯定的に捉えている。

・一方で、「AIで作成したアウトプットは本人の力とはいえない(4)」は仕事活用群で39.3%と、一定数がAI活用と本人の実力を区別して認識している。

・仕事活用群においても、AIによる成果をそのまま個人の能力とみなすことには慎重な見方が存在している。

⇒これらの結果から、AIは個人の能力を補完・拡張する手段として一定の評価を得ているものの、それがそのまま本人の実力向上と認識されるわけではなく、その人自身の判断や付加価値が伴うことの重要性が認識されていることが示唆される。

図表8:AIによる能力拡張への見立て

  • マネジャーの業務に関連するAIツール導入の裾野は広がるも限定的

・勤務先の会社や職場に導入されているAIツールについて、仕事活用群のうち組織長に尋ねた。AIツールを「導入しているものはない(17)」は32.5%である一方、何らかのツールを導入している企業は67.5%と、導入の裾野は広がりつつある。

・導入されているツールとしては、「計画・企画立案支援(13)」21.9%、「履歴や社内知見の検索(14)」21.6%、「業務ログ・活動記録(10)」19.4%、「人材検索(スキル・経験)(2)」19.4%、「コミュニケーション支援(9)」18.6%が上位となっている。

・特に、ログ管理や情報検索、既存データの活用など、従来の業務基盤と親和性の高い領域での導入が先行している。

⇒これらの結果から、マネジャー業務におけるAIツールの導入は一定程度進んでいるものの、活用の進展は現時点では限定的であり、既存の業務プロセスやデータ基盤と連動した領域から段階的に導入が進んでいることが示唆される。

図表9:マネジャーの業務に関するAIツール導入状況

  • マネジャー業務へのAIの影響を想定している人はまだ少数

・組織長の役割・業務としてAIの活用が進みそうなものは何かを尋ねた。マネジャー業務へのAIの影響については、日常の業務改善など一部を除いて、現時点で影響するという見通しを持つ人はあまり多くない。

・その中で、AI活用が進みそうな業務として、「日々の業務改善(13)」、「要員管理(3)」、「メンバーの基礎知識・スキル向上支援(10)」が上位となった。

・特に「要員管理」は、AI活用度が高い層([アドバンスト群]×[毎日群])で顕著に選択率が高く、他群との差も大きい。

・スキルや経験の見積り、人材とのマッチング、チーム編成といった領域において、AIの活用による高度化が期待されている。

⇒これらの結果から、マネジャー業務におけるAI活用は、まずは日常業務の効率化や要員配置といった比較的構造化された領域から進展し、徐々に人材マネジメントの高度化へと広がっていく可能性が示唆される。

図表10:マネジャーの役割・業務におけるAI活用の見通し

3.調査概要

リクルートマネジメントソリューションズについて

ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな課題に向き合い続けています。

●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス

また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。

※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp

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会社概要

URL
https://www.recruit-ms.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区芝浦3-16-16 住友不動産田町ビル東館 4F
電話番号
0120-878-300
代表者名
山﨑 淳
上場
未上場
資本金
1億5000万円
設立
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