いまどきお年玉事情
「スマホのキャッシュレス決済」渡す側はほぼ想定せず。もらう側は3割が希望 相場感、小学生は5,000円以内、中学生以上は10,000円以内
【ポイント】
- 渡す側は「現金手渡し」がほとんど、「スマホのキャッシュレス決済」は1%未満。一方、もらう側は「スマホのキャッシュレス決済」希望が3割。
- 渡す側、もらう側とも、「現金での手渡し派」の理由トップは「ありがたみが感じられる」。
- お年玉の予算総額、約半数が「5,000円超~20,000円」を想定。
- お年玉の相場、未就学児は「3,000円以下」、小学1-3年生は「1,000円超~3,000円」、小学4-6年生は「3,000円超~5,000円」、中学生以上は、「5,000円超~10,000円」。
【コメント】
生活者研究センター センター長 田中宏昌 交通系の電子マネーの普及により、中高生のキャッシュレス決済も広がってきました。お年玉の渡し方、もらい方に目を向けると、実に3割もの人が「スマホのキャッシュレス決裁でもらいたい」と回答していました。一方の渡す側の意向は1%未満。「(現金の)ありがたみ」や「もらった実感」が現金を選び続ける理由のようです。キャッシュレスの利便性より、現金の持つ「ぬくもり」が現時点では勝っているようですね。 |
今度のお正月にお年玉を渡す予定の人に、予算の総額についてたずねたところ、4人に1人が「10,000円超~20,000円」と回答。次いで多かったのが「5,000円超~10,000円」(21%)で、約半数の人がだいたい5,000円から20,000円を想定していることがわかりました。【図表1】
続いて、渡す相手別の相場(ひとりあたりの金額)を見てみましょう。未就学児では過半数が3,000円以下、小学生では、1-3年生、小学4-6年生ではそれぞれ、1,000円超~3,000円(43%)、3,000円超~5,000円(42%)が最も多く、中学生以上では、5,000円超~10,000円がいずれも約5割と最も多い結果でした。大学生では10,000円超から20,000円を想定している人も3割存在していました。【図表2】
キャッシュレス決済が急速に浸透している昨今、お年玉を渡す方法としてどれくらい活用されているのかを見てみましょう。渡す相手が、自分の子ども、孫、親戚の子ども、いずれの場合も、「現金での手渡し」という人がほとんどで、「スマホのキャッシュレス決済」という人は1%にも満たない結果となりました。手渡し以外の方法としては、キャッシュレス決済より、「現金書留」や「振り込み」の方が多いのが現状ということがわかりました。【図表3】
キャッシュレス決済が進んでも、お年玉は現金での手渡し派が圧倒的に多い背景に、どういった理由があるのでしょうか。最も多くの人が挙げた理由は「現金の方がありがたみが伝わる」「現金の方がもらったという実感がわく」で、いずれも40%超の回答を集めました。次いで、「現金の方がうれしさが大きい」「現金で渡すのが伝統」も、それぞれ4人に1人が理由として回答。お正月という伝統行事に紐づいた風習であるお年玉に関しては、従来通りの渡し方を大切に思う人が多いことが明らかになりました。【図表4】
では逆に、お年玉をもらう側の若者はどう思っているのでしょうか。20歳以下の人に、お年玉をキャッシュレス決済でもらいたいか、そしてその理由をたずねました。「キャッシュレス決済でもらいたい」という人は29%でした。その人たちの主な理由は、「普段キャッシュレス決済を使っていて便利」(64%)でした。一方、7割を占めた「キャッシュレス決済でもらいたくない」人の半数が挙げた理由は「ありがたみが感じられない」でした。【図表5】【図表6】
渡す側の大半が現金手渡しを想定し、もらう側の3割がキャッシュレス希望と乖離はあるものの、これまで、現金でお年玉をもらってきた大人世代のみならず、デジタルネイティブであるお年玉の受け取り手にとっても、現金で手渡しされることの「ありがたさ」を大切に思っている様子がうかがえる結果となりました。「キャッシュレス決済」というテクノロジーが、日本人にとって最も大切な伝統行事であるお正月の習慣にどれくらい浸透していくのか、インテージは今後も生活者の行動や価値観をウォッチしてまいります。
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使用したデータ
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】 https://www.intage.co.jp/service/research/net/
調査地域:日本全国
対象者条件:18~79歳の男女
標本抽出方法:「マイティモニター」より母集団構成比にあわせて抽出しアンケート配信および回収
標本サイズ:n=2517 ※ウエイトバック集計あり
調査実施時期: 2022年11月25日(金)~11月28日(月)
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【株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージは1960年に創業。世界11の国と地域に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2022」に基づく(グループ連結売上高ベース)
【生活者研究センター】
生活者の消費行動やメディアへの接触行動、さらには生活意識・価値観データなど膨大な情報を横断して用いるとともに、社内の各領域におけるスペシャリストの知見を織り合わせることで生活者を深く理解し、生活者を起点とする情報を発信することを目的として、2020年8月に設立されました。SDGsといった社会的トピックスやZ世代研究など、さまざまなテーマにフォーカスしながら、社会や生活者の今を捉え、その行く先を展望する存在となるべく活動しています。
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