テックドクターとベルシステム24、体調変化の予兆を的確に捉える基盤構築に向けたリアルワールドデータ活用を開始
~「頭痛―る」データに基づき、気圧や天候の変化による不調やQOLの変化を探索的に解析し、新たなデジタルバイオマーカー*1による個別化医療の実現を目指す~
株式会社テックドクター(代表取締役:湊 和修、本社:東京都中央区、以下、テックドクター)と株式会社ベルシステム24(代表取締役 社長執行役員:梶原 浩、本社:東京都港区、以下、ベルシステム24)は、両社が保有するヘルスケアデータを統合し、気圧や天候の変化によって不調が引き起こされる気象病やQOL(生活の質)の変化を探索的に解析し、体調変化の予兆をより的確に捉えるための基盤構築に向けたリアルワールドデータ*2の活用を開始しました。
本取り組みでは、テックドクターが提供するデジタルバイオマーカー開発プラットフォーム「SelfBase」と連携したFitbitから得られる生体データと、「頭痛―る」アプリ内に蓄積された体調・服薬などの情報、さらにアンケートによる主観情報などのリアルワールドデータを統合し、気象病による不調やQOLの変化を定量的に把握します。
テックドクターのデータ分析技術とデジタルバイオマーカーの開発力を活かし、これらのデータを解析することで、より精度の高い評価を実現し、個別の症状やその変動に基づく解決策を提供することを目指します。

■取り組みの背景と目的
医療機関での診断や治療時に取得されるデータは、受診時点の患者の状態(症状の強さや発生頻度など)のみ反映され、経時的な変化を捉えることができないという課題があります。
特に、頭痛は多くの人々が抱える一般的な健康問題であり、その原因は多様です。個々の患者の生活習慣や環境(気象、ストレス、睡眠習慣など)に影響されるため、これらの要因を反映した詳細なデータが不足している状況です。そのため、症状の原因や変動を十分に考慮した、適切な治療法や予防策(薬の選択、生活習慣の改善など)を患者に提供することができません。
これらの課題を解決し、患者に対するより包括的で個別化された医療サービスの提供を支援するため、本取り組みの開始に至りました。
■各社のこれまでの取り組み
テックドクターは、ウェアラブルデバイスなどから取得される日常の生体データを活用し、疾患の有無や治療効果を客観的に評価するデジタルバイオマーカーの開発に取り組んでいます。
ベルシステム24は、2013年に「頭痛ーる」を提供開始し、2023年には、医療機関や大学との共同研究により、気圧の変化や降雨、湿度等の天気が頭痛発生に関与する可能性に関する論文を発表し、アメリカ頭痛学会の公式医学雑誌「Headache」に掲載されました。さらに、気象だけでなくストレスや月経、睡眠など他の要因にも着目し、ウェアラブルデバイス「Fitbit」の睡眠・心拍データと連携することで、より精度の高い体調管理支援を行っています。これらの取り組みにより、気象病や頭痛に悩む方々の症状の予防・軽減、QOLの向上への貢献を目指しています。

■取り組み概要
本取り組みでは、「頭痛ーる」を利用する約300名を対象に、利用者の日常的な健康情報を多角的に収集・分析します。
具体的には、以下のようなデータを取得します。
1. 心拍数・睡眠などの生体データ
テックドクターが提供するデジタルバイオマーカー開発プラットフォーム「SelfBase」とFitbitを連携し自動的に取得
2. 頭痛の強さや服薬などの健康データ
利用者自身が「頭痛ーる」に登録した記録情報から取得
3. 生活習慣や体調に関するアンケートデータ
利用者に日次で実施するオンライン調査から取得
これらのデータを、利用者ごとに時系列で統合・分析することで、健康状態の変化を追跡します。
また、「SelfBase」で取得・開発したデータやデジタルバイオマーカーは、テックドクターが提供する社会実装プラットフォーム「Health Portal」で一元管理されます。これにより、将来的には疾患予測や症状の早期検出に役立つヘルスケアサービスの提供が可能となります。
■今後の展望
今後、生活者に身近なヘルスケアアプリ等を通じて、ユーザーの継続的な健康データ(体調・症状・服薬など)と、ウェアラブルデバイスによる生体データ、アンケート回答といった多様なデータを収集し統合的に解析することで、実臨床では取得が難しいリアルワールドデータの収集基盤の構築を目指します。これにより、リアルワールドエビデンス*3の創出や、治療介入効果の検証にもつながるため、製薬・食品・ヘルスケア分野における研究開発やサービス設計において、価値の高いインサイトを提供できると考えています。
本取り組みにより、新たな疾患の予測や早期発見に有用なデジタルバイオマーカーを開発し、個別化医療や予防医療への応用につなげ、より多くの人の健康とウェルビーイングに貢献してまいります。
*1デジタルバイオマーカー
スマートフォンやウェアラブルデバイスなどから取得される日常的な生体データをもとに、疾患の有無や病状の変化、治療の効果を連続的かつ客観的に評価する指標です。従来のバイオマーカーは、医療機関で一時的に測定される「点のデータ」でしたが、デジタルバイオマーカーは日常生活の「線のデータ」を継続的に取得できる点が特徴です。運動、睡眠、心拍などの指標をもとに、病気の早期発見や治療モニタリング、さらには薬剤開発における新たなエンドポイントとしても期待されています。海外では2019年頃から開発が進み、国内でも注目が高まっています。
*2リアルワールドデータ(Real-world data)
日常生活で得られる人の健康に関わるデータです。例えば、診療録(カルテ)や処方箋、ウェアラブルデバイスのデータがリアルワールドデータと呼ばれており、医薬品などの研究・開発、公衆衛生、医療経済など幅広い分野で利用されています。
※参照「日本製薬工業協会」:https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/kenkou_iryou_data/detail_01.html
*3リアルワールドエビデンス(Real-World Evidence)
リアルワールドデータ(RWD)を解析して得られる医療的な知見や科学的根拠のことです。RWEは、医薬品や治療法の有効性・安全性の評価、公衆衛生政策の立案、医療の質改善などに活用されます。
頭痛―るについて サービスURL:https://zutool.jp/
「頭痛ーる」は、ベルシステム24が、気象を起因とする疾患を持った方の「気象や心身の変化による体調不良に備え、その不調を軽減したい」というニーズに応えるべく提供している、気圧予報に基づく体調管理アプリです。気象庁から提供された気圧予報とアプリで毎月120万件収集しているユーザーの体調に関する情報を組み合わせ、導き出された精度の高い気象病予報は多くのユーザーに愛用されています。月間アクティブユーザー数は約120万人、2025年6月現在、累計2,200万ダウンロードを達成しました。
ベルシステム24について 企業URL:https://www.bell24.co.jp/
株式会社ベルシステム24は、1982年に日本初の本格的コールセンターサービス開始以来、様々な企業の消費者との接点を担うコミュニケーション基盤を構築し、コンタクトセンターを中核としたBPO事業で業界スタンダードモデルを確立してきました。現在は、高度な人材力と最先端テクノロジーを融合し、「総合BPOパートナー」として進化を続けています。 顧客体験の革新からビジネスプロセスの最適化まで企業のDXを推進し、次世代の企業競争力を創出する戦略的パートナーとして、クライアント企業のビジネス進化を加速させます。
「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」というパーパスのもと、社会のニーズに応える新たなソリューションを創出し、持続可能な社会の実現に貢献します。
テックドクターについて 企業URL: https://www.technology-doctor.com/
株式会社テックドクターは「データで調子をよくする時代へ」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスをはじめとした日常のセンシングデータから健康に関するインサイトを導く「デジタルバイオマーカー」の開発と、その社会実装を進めています。医療・製薬・食品関連企業や研究機関と連携し、データに基づくAI医療の実現を目指しています。
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