産後ママの3人に1人は「産後ケアにたどり着けない」。求められているのは「自宅に来てくれる支援」
産後のメンタルヘルス【キッズライン調査レポート】

全国47都道府県で24時間スマートフォンから依頼できるベビーシッター・家事代行サービス「キッズライン」を運営する株式会社キッズライン(本社:東京都港区/代表取締役社長:福田太樹)は、2026年8月26日(水)〜9月1日(火)にかけて、産後のメンタルヘルスとサポート利用に関する実態調査(子を持つ親580名対象)を実施しました。今回は2024年に続く2回目の調査となります。その結果についてお伝えいたします。
要点
・産後に精神的なつらさを感じた親は69%。原因の1位は「睡眠不足による疲労感」84%
・つらさを感じなかった理由の1位は「身近な人からのサポート」71%。負担をひとりで抱え込まず、家族や外部サービスを借りることが心身の安定につながる
・産後ケアの利用経験は65%。2024年の前回調査(46%)から18ポイント増
・それでも3人に1人は産後ケア未経験。ハードルは「近くに利用できるサービスがない」32%、「手続きが複雑」30%
・求める支援の1位は前回調査に続き、「新生児ベビーシッター」57%
■産後に精神的なつらさを感じた人は69%。つらさの理由の上位は「他者が代われる負担」

産後の精神状態についてたずねたところ、「精神的にとてもつらかった(今思えば産後うつだったと思う)」が23.8%、「精神的に少しつらいときがあった(今思えば産後うつ傾向があったと思う)」が45.2%で、合わせて69.0%が精神的な負担を感じたと回答しました。

前回調査(2024年)でも1位は「睡眠不足による疲労感」83.8%で、順位は変わっていません。一方で「出産後の体力低下・体調不良」は4位から2位へと上昇しました。
つらさを感じていた理由・原因について、上位に並んだ項目のうち、身体的な要因を除けば、睡眠不足、夜間の対応、自分の時間の確保、パートナーのサポート不足など、いずれも周囲のサポートがあれば軽減できる性質の負担です。産後の心の不調が、母親個人の気質や心構えではなく、休息を確保できない環境から生じている可能性がうかがえます。
また精神的につらかったピークの時期についても聞きました。最も多かったのは「産後2週間〜1か月以内」45.0%、次いで「退院後〜産後2週間」36.5%、「産後1か月」34.5%と、産後1か月以内に回答が集中しました。
見過ごせないのはその先です。「産後2か月」24.5%、「産後3か月」22.5%と続き、産後3か月以降のいずれかの時期をピークに挙げた人は50.0%にのぼりました。「産後1年以上後」を挙げた人も15.0%います。
母体の健康診査は主に産後1か月までとされています。一方、自治体の産後ケア事業は産後1年まで利用可能なケースも増えていますが、今回の調査では半数の親が「産後3か月以降」に負担のピークを迎えていることが分かりました。
■産後につらくなかった理由、71%が「身近な人のサポートを得られた」と回答

一方、産後精神的に「あまりつらくなかった」「まったくつらくなかった」と答えた方にその理由をたずねたところ、最も多かったのは「パートナーや親など身近な人から十分な家事育児のサポートを得られた」71.1%でした。次いで「パートナーや親など身近な人に十分な育児相談ができた」44.4%、「便利家電(食洗機・乾燥機等)や宅配サービス等を活用し、家事を手放せた」40.0%、「赤ちゃんがよく寝てくれるなど、睡眠サイクルが比較的安定していた」36.1%、「自治体の産後ケアを計画的に利用した」33.9%、「産後に頼れる具体的なサービスやサポートを産前から調べて準備し利用した」31.1%と続きました。
手段は「人の手」「家電」「外部サービス」と多岐にわたりますが、上位項目に共通しているのは「産後の負担を自分ひとりで抱え込まずに済んだ」という点です。自治体の産後ケアや民間のサービスを挙げた方も、それぞれ3人に1人にのぼりました。
つらさの理由の上位に並んだ「睡眠不足」「夜泣き対応」「自分の時間が持てない」は、いずれも他者の手で補える負担です。その負担を誰かと分けられたかどうかが、産後の心身の状態に影響を与えている可能性があります。
■頼れる相手の3位に「ベビーシッター・産後ドゥーラ」。一方で8%が「誰もいない」

「産後、身近であなたをサポートしてくれた人(育児や家事、夜間対応を物理的に頼れる人)は誰か」をたずねたところ、1位は「パートナー」78.1%、2位は「自身の親」53.6%。そして3位に「ベビーシッターや産後ドゥーラなど支援サービス」33.8%が入りました。
身近な家族に頼る人が大多数を占める構図は変わりません。ただし、核家族化や転居によって近くに頼れる親族がいない家庭、親が高齢または就労中の家庭では、家族だけで産後を支えることが難しくなります。ベビーシッターや産後ドゥーラが3番目に挙がったことは、そうした家庭の受け皿として、家族以外の担い手が現実的な選択肢になりつつあることを示しています。
同時に見過ごせないのが、「誰もサポートしてくれる人がいない」と答えた8.4%の存在です。育児支援サービスに接点のある層のなかにも、産後を完全にひとりで乗り切らざるを得なかった親たちが、一定数存在します。
■産後ケアの利用経験は2年で18.3ポイント増。それでも3人に1人が未経験

「これまでに一度でも『産後ケア』や『産後ヘルパー』サービスを受けたことがあるか」をたずねたところ、「はい」が65.0%、「いいえ」が34.1%でした。2024年の前回調査では「はい」が46.7%だったため、2年間で18.3ポイント増加しています。
この傾向は全国的な動きとも重なります。こども家庭庁の資料(※1)によると、市町村が実施する産後ケア事業の産婦の利用率は、令和3年度6.1%、令和4年度10.9%、令和5年度15.8%、令和6年度31.8%と増加しています。制度の整備が進むなかで、利用の裾野は着実に広がってきました。
ただし今回の回答者は、ベビーシッターや家事代行を実際に利用している方々です。育児支援サービスの存在を知り、費用感も把握し、外部の手を借りることへの心理的な抵抗も比較的小さい層といえます。その層でも、3人に1人は産後ケアを一度も利用していないことが分かります。

一方で産後ケアを利用しなかった方にその理由をたずねたところ、最も多かったのは「近くに利用できる施設・サービスがなかった」32%。次いで「申請・事前登録手続きが複雑で面倒だった」30%、「利用料金などの経済的負担が気になった」28.1%、「心身の疲弊により、利用を手配する気力がなかった」25.1%、「身近なサポート(家族など)で足りていた」21.2%と続きました。
上位に並んだのは、サービスの質や必要性ではなく、そこにたどり着くまでのハードルです。
〈利用に至らなかった理由の声〉
・宿泊できる産後ケア施設があると聞いたが、申し込みは役所へ直接伺う形で、まずそれに行く気力がなく利用しなかった。どの施策も利用のハードルが下がるといい。(岐阜県/40代女性)
・行政のサービスを利用するには勇気がいる。産後に一律で受付をして、実際に受けるかどうかはメールなどで選択する形にしてほしい。改めて電話することもできない母親は多いのではないか。(福島県/20代女性)
・体を休めるために保育施設に預けたいと思っても、施設を自ら探して連絡して面談して、ということをやっている暇も気力もない。(北海道/20代女性)
「距離」の課題については、支援者が利用者の自宅に赴く訪問型(アウトリーチ型)であれば、移動を前提としないため制約を受けにくくなります。「心身の疲弊により手配できなかった」という声も、出産前に登録や事前面談を済ませておくことで解消できる部分があります。
国の動きとしては、母子保健法の改正により2021年度から市町村による産後ケア事業の実施が努力義務とされ、2025年度には子ども・子育て支援交付金事業へと位置づけを変えました。こども家庭庁は2027年度(令和9年度)予算の概算要求で、この事業に104億円を求めています(令和6年度予算額は60.5億円)。同事業では、上の子を受け入れる施設への加算や住民税非課税世帯への利用料減免など、利用のハードルを下げる仕組みも設けられています。
制度の整備は着実に進んでいます。残る課題は、産後過酷な状況にある親が、移動や複雑な手続きといったハードルに阻まれることなく、必要な人が支援を受け取れるようにする仕組みづくりです。
(※1) こども家庭庁「令和9年度予算概算要求の概要(主な新規・拡充事業)」
■求められる支援の1位は、前回調査と変わらず「新生児ベビーシッター」

産後のメンタルヘルスケアとして「これがあればとても楽になる」と思うサービスを最大5つまで選んでもらったところ、1位は「産後の外出や休息をとるための新生児ベビーシッターサービス」57.2%でした。次いで「睡眠不足解消のための夜間育児サポート(ナイトシッター)」52.1%、「家事代行サービス(掃除・洗濯・料理・買い物代行)」45.2%が続きます。
前回調査でも同じ3項目が上位を占めており(順に58.6%、52.0%、47.1%)、2年を経ても求められている支援の中身はほとんど変わっていません。一方で「産後ケア施設への宿泊」34.5%、「日帰り産後ケア施設の利用」13.6%と、施設に出向く形のサービスは在宅型を下回りました。
〈在宅型のケアを求める声〉
・新生児を預かってくれるサービスが見当たらず、パートナーの不在時にワンオペで疲弊した。少しの外出も難しくなるので、家事代行やシッターサービスをもっと早くから利用すればよかったと思う。(東京都/40代女性)
・産後ケア施設は、行くまでがしんどいので家に来てほしいと思った。今でも子ども(生後6か月〜11か月)と2人で外出はできていない。(栃木県/40代女性)
・寝不足からの頭痛とメンタル不調がひどく、ナイトシッターに頼れていたら全然違ったと思う。下の子の夜泣きと上の子の夜間の咳き込みがひどくて、夜が来るのが怖かった。(千葉県/30代女性)
産後の身体にとって、外出そのものが負担になります。上の子がいれば家を空けること自体が難しく、外出先で数時間ケアを受けても、帰宅すれば家事と育児が待っています。移動の負荷がなく、自宅にいながら安心して休息を確保できること。それこそが、産後の親に求められている支援の条件です。
■現場を支える「産前産後ケアシッター」が見る実態とサポートの重要性
キッズラインには、助産師や産後ドゥーラの資格を持ち、新生児期からの保育に対応するサポーターが在籍しています。実際に産後まもない家庭を訪問している2名に、現場での実感を聞きました。
【キッズラインサポーターからのコメント】

助産師 下川 由香子さん
訪問型の産後ケアの大きな価値は、母親と赤ちゃんが普段過ごす生活環境の中で支援できることです。授乳や睡眠、家事動線、家族との関わりなど、施設では見えにくい「自宅での育児と暮らしの困りごと」に気づき、その場で具体的に整えることができます。
疲れていたり気分が落ち込んでいる時は、施設へ出向くこと自体が負担になることもあります。だからこそ、支援する側が自宅へ伺う意味があります。産後うつや孤立を防ぐためにも、限界になる前から安心して頼れる人とつながり、日常の中に自然に支援が入る社会であってほしいと思います。

産後ドゥーラ 三浦 恵美子さん
ご出産後のダメージだらけの心身で授乳に奮闘され、寝不足で辛い中でも上のお子様の通園も気に掛けたり、ご家族の食事も心配したりと、満身創痍の中でもお休みのない産後ママ。ただただ頭が下がります。
サポートに伺うと「温かいごはんを落ち着いて食べることができました」と涙ぐんだり、「ゆっくり眠ることができて充電できました」と笑顔になったり、「上の子との時間を作ることができました」と安堵したり、「パパに優しくなれそうです」と肩の力が抜けたりと、あるがままの表情を見せていただけるのが励みになります。センシティブなこの時期は無理せず、新米ママもベテランママもあるがままに周りに頼っていいということをお伝えしながら新たな生活軌道に向けて伴走できたら幸いです。
■産後うつのハイリスクは10人に1人。産後の自殺、76%以上は「産後3か月以降」
こども家庭庁の公表資料によると、産後1か月までの褥婦のうち、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)で9点以上を示した人の割合は9.8%でした。令和4年度9.9%、令和5年度9.8%とほぼ横ばいで、およそ10人に1人がハイリスクとされる水準が、改善しないまま続いています。(※2)
さらに、いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)が日本産婦人科医会と協力して公開した資料によれば、2022年から2025年の4年間で、妊娠中または産後1年以内の妊産婦210人が自殺で亡くなっています。内訳は妊娠中が61人、産後2か月以内が36人、産後3か月から1年以内が113人と、産後の自殺者のうち76%は産後3か月を過ぎて発生しているのが現状です。(※3)

今回の調査で、つらさのピークを産後3か月以降に挙げた人が50.0%にのぼったことと、この傾向は重なります。産後ケア事業や産婦健康診査が手厚く設計されているのは主に産後2か月までであり、支援が薄くなる時期に負担が残り続けている構図です。
産後の心の不調は、個々の家庭の努力で解消できる問題ではありません。今回の調査では、育児支援サービスに接点のある層においてさえ、7割近くが産後に精神的なつらさを抱え、3人に1人が産後ケアにたどり着いていないことが確認されました。支援の仕組みそのものを、社会全体で整えていく必要があります。
(※2)こども家庭庁「令和6年度母子保健事業の実施状況等について」
(※3)公益社団法人日本産婦人科医会・いのち支える自殺対策推進センター(JSCP) 「いのちを育む妊産婦の危機 〜自殺の実態と今後の課題〜」(2026年度版)
■産後を自分らしく過ごすための「訪問型サポート」という選択肢
今回の調査からは、産後の心の健康を守る分かれ目は「頼れる先を確保できていたか」にあることが見えてきました。特に多くの親が求めているのは、移動の負担がない「在宅型」の支援です。
しかし現状では、普段から育児支援サービスを利用している方でさえ、産後ケアの制度利用には高いハードルを感じています。必要としている人に、必要な支援がスムーズに届いていない現状を変え、誰もが安心して頼れる環境を整えることが、今まさに求められています。
キッズラインが提供するベビーシッターサービスは、0歳0か月のお子様から対応しています。「ベビーシッターは就労のために依頼するもの」というイメージが先行しがちですが、私たちは「親が自分を取り戻す時間」をつくることも大切な役割だと考えています。睡眠の確保や心のリフレッシュなど、自分ひとりで抱え込まず、プロの手を借りることで得られる心の余裕を、より多くの親御様に感じていただきたいと願っています。
出産前に「つらくなったら頼る先」を用意しておくこと、助成制度を事前に調べておくこと。それだけで、産後の数か月は変わります。私たちは今後も、必要な人に支援が届く体制の整備を進めてまいります。
本調査で明らかになった産後うつの現状や、親御様が真に必要としている支援の在り方について、社会的な理解が深まる一助となればと考えております。
誰もが安心して頼れる支援環境を社会全体で整えていくため、メディア関係者の皆様のお力添えをいただけますと幸いです。本件に関する詳細なデータ提供や、インタビューのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考)2024年11月 産後のメンタルヘルス【キッズライン調査レポート】
■キッズラインとは
「キッズライン」は、スマートフォンから簡単に利用できるベビーシッターおよび家事代行のマッチングプラットフォームです。現在、全国47都道府県で活動するサポーターは5,300名以上(2026年2月現在)。利用者は事前にサポーターの詳細なプロフィールや口コミ評価を確認して、24時間オンラインで手配できます。
サービスに登録できるベビーシッターは、特定の資格や研修(※1)をクリアし、弊社の面接および研修に合格した者のみとなっています。
家事サポーターは、整理収納アドバイザー資格を有する方や飲食店勤務経験者、豊富な主婦経験を持つ方が選考を通過し、活動しています。
累計依頼件数は270万件を突破し、全国各地の自治体とも連携。法人経由では2,300社以上の従業員の方に、育児や家事のサポートをご利用いただいています。また、安心してサービスを利用いただくために「安心安全対策10箇条」(※2)を策定しています。
詳しくは、公式サイトをご覧ください。
(※1)<該当する資格・研修>
保育士(保母は対象外)/看護師/准看護師/子育て支援員研修(地域保育コース)/家庭的保育者等研修/全国保育サービス協会(ACSA)認定ベビーシッター/全国保育サービス協会(ACSA)ベビーシッター養成研修+現任研修/全国保育サービス協会(ACSA)居宅訪問型基礎研修
<キッズラインサポーターの活動エリア>
北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 長野県 新潟県 富山県 石川県 福井県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
■調査概要
・調査主体:株式会社キッズライン
・調査期間:2026年8月26日(水)~9月1日(火)
・調査対象:子を持つ親 580名(女性536名、男性34名、無回答10名)※男性はパートナーの産後の状況を回答
・調査方法:インターネット調査
▶本プレスリリースのお問い合わせ先
株式会社キッズライン 広報担当
取材依頼フォーム:https://kidsline.me/corp/coverage/
■会社概要
株式会社キッズライン
代表者:福田太樹
事業内容:インターネットを使った⼥性⽀援事業、育児⽀援事業、家事支援事業
所在地:東京都港区六本⽊5-2-3 マガジンハウス六本⽊ビル7F
URL: https://kidsline.me/
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