台湾再生可能エネルギー産業の2022年振り返りと23年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2023年4月第2週号発行>
〜台湾機械・エネルギー・電子・自動車業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年4月第2週号を発行しました。今週号ではエネルギー業界、半導体業界、工作機械業界と金属業界の動向を紹介します。
<最新号目次>
- 台湾再生可能エネルギー産業の2022年振り返りと23年の展望
- 台湾半導体産業の2022年Q4振り返りとトピック
- 台湾工作機械輸出入速報ー2022年通年
- ネットゼロ時代の到来により、水道部品産業に転換の機会が訪れる
一、産業概況
1.太陽光発電産業
台湾太陽光発電産業の2022年の生産額は724億台湾元で、前年比0.3%増だった。原料である多結晶シリコンの価格上昇が10月まで続いたことや、台湾元安による為替差損を受け、製品価格が高水準で推移した。また、台湾での太陽光発電設備の設置容量が年間で2.52ギガワット(GW)に達し、当産業の需要を支えた。
2.風力発電産業
台湾風力発電産業の22年の生産額は335億8000万元で、前年比19.3%減だった。台湾では洋上(オフショア)風力発電所向け海中基礎構造物など補助設備の需要が拡大したものの、世界最大の風力発電市場である中国でゼロコロナ政策により風力発電所建設が遅れ、台湾メーカーの原材料、部品の出荷に響いた。
3.その他再生可能エネルギー産業
その他再生可能エネルギー産業の22年の生産額は36億1200万元で、前年比13.5%増だった。このうち、燃料電池の生産額は35億4000万元で、13.7%増加した。▽韓国、▽米国、▽欧州、▽台湾で水素燃料電池の需要が拡大し、部品受託生産が増加した。バイオ燃料の22年生産額は前年比5%増加した。世界景気が回復し、欧州向けを中心に輸出が増加した。 (中略)
三、23年通年の展望
1.太陽光発電産業
台湾太陽光発電産業の23年通年の生産額は前年比4.1%減の694億4000万元となる見通しだ。台湾で23年の太陽光発電の買い取り価格が前年の水準で据え置かれることなどから、太陽光発電設備の設置拡大が期待できるほか、M10(182ミリメートル)ウエハーを使用した大型の太陽電池、モジュールの生産能力が拡大し、平均販売単価(ASP)の上昇が期待できるものの、多結晶シリコンなどの原料価格が供給増を受けて下落する兆しがあり、製品のオファー価格も低下すると予想されるためだ。
2.風力発電産業
台湾風力発電産業の23年通年の生産額は前年比7.1%増の359億7000万元となる見通しだ。中国でゼロコロナ政策が大幅緩和されたことで、同国の風力発電機向け▽ブレード用樹脂、▽鋳造部品、▽線材などの出荷増が期待できるほか、台湾で25年時点の設備容量目標達成に向け、工事が遅れている洋上風力発電所の開発が加速し、補助設備や部品の需要が拡大すると予想される。
3.その他再生可能エネルギー産業
燃料電池の23年通年の生産額は40億5000万元となる見通しだ。世界各国・地域が50年までの温室効果ガス実質排出ゼロ(ネットゼロ)実現を目標に掲げる中、水素エネルギーを推進する動きが強まると予想される。また、海外の燃料電池メーカー大手が市場開拓を強化していることから、台湾メーカーの部品受託生産が増加する見込みだ。
バイオ燃料の23年通年の生産額は前年比3~4%増加する見通しだ。先進国で燃料の使用量が減少しているほか、欧州連合(EU)の改訂再生可能エネルギー指令(RED II)でアブラヤシが間接的な土地利用変化(ILUC)リスクが高い作物と分類され、アブラヤシの果実から得られるパーム油を原料とするバイオディーゼルの需要減が予想されるものの、開発途上国で化石燃料とバイオエタノールやバイオディーゼルの混合率を高める政策が進められており、バイオ燃料の消費量が増加すると見込まれている。
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